2013年 01月 25日
機宜
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一昨日、夕食後に次男がテレビを付けた。

我が家で一番テレビを観るのは次男である。
兄弟が小学生の頃はテレビを観るよりも二人で遊んでいる時間のほうが圧倒的に多かった。
喧嘩も絶えなかったがとても仲の良い兄弟だった。
しかし蜜月の時期は終わった。
長男が高校生になってそれは確かなものとなった。
時間と空間を共有しないだけでなく、一緒にいても兄弟で会話することがほとんどなくなった。
四六時中一緒にいた友人をある日なんとなく余所余所しく感じてしまう、あの感じだろうか。
それに比例して次男のテレビ鑑賞時間は増えた。
受験に備えて部活がなくなり帰宅時間が早くなってからというもの、夕方からテレビ三昧である。
今は受験生なのでやはりどう考えても過多だと思うのだけれど、テレビを観ていないと友達との会話に入れないという現実もあるらしい。
これは中学時代の長男も言っていた。
現に私も「あの人、タレントの誰々に似ていると思わない?」とか「あの番組観た?」と話しかけられて、さっぱり分からないという経験が数年前まではよくあった。

長男が中学1年の時に珍しく「今日はテレビを観る」と言った日があった。
「珍しいね」と言うと、「すごく面白いドラマがあるんだって」と彼は言った。
どうやらスポーツ関係のドラマらしい。
長男によると「サッカー部の1,2年で観ていないのは俺くらいだよ」ということだった。
友達が「すっげー面白いから観てみ」と勧めてくれたんだとか。
それを聞いて私はサッカーのドラマなんだと信じて疑わなかったのだが、いざ始まってみると野球のドラマでずっこけてしまった。
その『ROOKIES』というドラマに、うちの兄弟も見事にはまっていた。
しかし長男がテレビに夢中になったり日課にすることはなく、彼は今でもテレビは滅多に観ない。
家にいるときは自室で、音楽を聞き、勉強をし、パソコンや携帯電話をいじり、時々DVDを観たり本を読んでいる。



一昨日、次男がテレビを付けた時は夕食の直後だったので長男もその場にいた。
ちょうど桜宮高校バスケ部キャプテン自殺に関するニュースをやっていた。
在校生の記者会見が映り、女子生徒の声が流れていた。
長男がそれをじっと見ていたので、話しかけてみた。
「学校で話題になったりしてない?」
「してないよ。っていうかさ、俺、このニュース、今初めて知ったんだけど」
「え~そうなの。すごい話題になってるよね」と私は次男に同意を求めた。

テレビを観ないとこのように時事には非常に疎くなる。
今はパソコンでも携帯でも見たり調べたりできるわけだが、パソコンや携帯は嫌でも聞こえてくる状況にはならないから、自発的に見にいったり開かなければ知らずじまい。
マイパソコンや携帯電話を持つ長男よりも、パソコンも携帯も持たない(テレビっ子)次男のほうが時事には詳しい。


そこで私が経過をざっと長男に説明した。
私もいろいろと思うところはあるけれども、ごく簡単に「死んじゃうくらいなら、その前に部活辞めるとか、家出するとか出来なかったのかなぁ」と言ってみた。
すぐに返答がなかったので、「でも性格的に出来ない子もいるかぁ」と独り言のように呟いた。
すると長男が言った。
「逆に、死ねるって凄いよね。そんなに簡単には死ねないもんだよ」


そんなに簡単には死ねないもんだよ。
長男の言葉を心の中で反芻した。

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by yumimi61 | 2013-01-25 01:18


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