2013年 03月 16日
機宜*58
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病院を入院から考える

●入院と看護配置

今までは主に病院の外来の話をしてきたが、今度は入院について。
病院の収入で多いのは入院収入である。
よって入院によっていかに稼ぐかが病院経営を左右する。

その入院収入に大きな影響を与えるのが看護師である。
何故かと言えば、一般病棟の入院基本料(点数)は看護師の配置比率をベースにしているからである。
もちろん看護師だけで成り立つものではないが、入院や病院は看護師によって支えられていると言っても過言ではないのだ。



                      点数   常勤医師 平均在院日数
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患者7人に対して1人に看護師  1555点  10:1    19日以内

患者10人に対して1人の看護師 1300点          21日以内

患者13人に対して1人の看護師 1092点          24日以内

患者15人に対して1人の看護師  956点          60日以内

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※看護師は7割が正看護師でなくてはならない(看護師比率)
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※看護師配置比率、看護師比率、平均在院日数、どれか1つでも基準に
満たない場合には、点数は 575点となる。
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※この看護師は一般病棟のみ。
救急室、手術室、外来などの看護師は含まれない。
ICUなどは配置比率が違う。(2人に1人)
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※患者や看護師にとっては、一般的に、看護師が多い方がよりよい環境である。
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※配置人数は平均であるから、どの時間帯、どの病棟にも、この比率で医師や
看護師がいるということではない。
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●看護師の必要人数

【例1】450床の病院―患者10人に対して1人の看護師―40人―約210人

稼働率90%ほどで1日平均400名の入院患者がいる病院と仮定する。
その病院の10対1の看護配置では、1日に必要な病棟看護師数は40人となる。

病棟は24時間休みはないが、1人の看護師が24時間働くことは出来ない。
実働時間があり所定の休日もある。また有給休暇を取る看護師もいるだろう。
それらを加味して大まかに計算した病棟看護師の必要人数は210人前後となる。


【例2】450床の病院―患者13人に対して1人の看護師―31人―約160人

上記と同じ病院が13対1の看護配置を取った場合、1日に必要な病棟看護師数は31人となる。
病棟看護師の必要人数は160人前後となる。



●看護配置による入院基本料の年間収入の違い

看護配置によって診療報酬の入院基本料が違うので、看護師の人数が違っただけで収入に違いが出てくる。
例として上記病院(病床数450人、稼働率約90%で常時400人の入院患者がいる)の看護配置を変えてみた。

【例1】患者10人に対して1人の看護師

13,000円(1300点×10円)×400人×365日=1,898,000,000円・・・・・・・・・18億9800万円
 

【例2】患者13人に対して1人の看護師

10,920円(1092点×10円)×400人×365日=1,594,320,000円・・・・・・・・・15億9432万円

 ☆両者収入の差は、3億368万円となる。



●看護師の人件費(看護師の給与)

看護師を増やせば収入はアップする。
しかし同時に看護師の人件費もアップする。
従って人件費を考慮して比較しないと利益に繋がるかどうかは分からない。


病棟勤務(夜勤あり)の正看護師の年収は平均470万円。病院規模によって違いがある。

・病床数100以下  430万円
・病床数100~1000 450万円
・病床数1000以上 500万円

病棟勤務(夜勤あり)の准看護師の年収は平均400万円。

・病床数100以下  360万円
・病床数100~1000 380万円
・病床数1000以上 430万円

会社(病院)はこれら支払う給与の他に法定福利費(社会保険料)の会社負担分の費用が必要である。
給与に占める法定福利費の割合は13%程度なので、会社が最低限必要となる費用は給与の1.13倍ということになる。



【例1】患者10人に対して1人の看護師を配置した場合の人件費
    看護師数210人(正看護師7割で147人、准看護師3割の63人で計算)

(450万円×147人+380万円×63人)×1.13=1,018,017,000円・・・・・・・約10億1802円


【例2】患者13人に対して1人の看護師を配置した場合の人件費
    看護師数160人(正看護師7割で112人、准看護師3割の48人で計算)

(450万円×112人+380万円×48人)×1.13=775,632,000円・・・・・・・約7億7563万円

 ☆両者人件費の差は、2億4239億円である。


●看護配置における祖利益の差

収入の差(3億368万円)-人件費の差(2億4239万円)=6129万円

同じ病院であっても看護配置比率を13:1から10:1に変えただけで、利益が6千万円も違ってくるということである。
比率を変えるためにはより多くの看護師(一定割合の正看護師)を確保しなければならない。
病院にとって看護師確保は大変重要なことなのである。



●平均在院日数

看護師の数の他にもうひとつ重要なのが平均在院日数である。
平均在院日数の求め方は下記の通り。

                       3ヵ月間に入院述べ患者数
 平均在院日数 = ─────────────────────────────────────
               (3ヵ月間の新規入院患者数+3ヵ月間の退院患者数)÷2



上記病院例(常時400人の入院患者)で比較してみた。


                   36,000人(400人×90日)
 19日 = ─────────────────────────────────────
         (3ヵ月間の新規入院患者数+3ヵ月間の退院患者数)÷2

  平均在院日数を19日とするためには、分母を1894人にする必要がある。
  単純に入院数と退院数が同じと考えると1894人となる。


                   36,000人(400人×90日)
 21日 = ─────────────────────────────────────
         (3ヵ月間の新規入院患者数+3ヵ月間の退院患者数)÷2

  平均在院日数を21日とするためには、分母を1714人にする必要がある。
  単純に入院数と退院数が同じと考えると1714人となる。


                   36,000人(400人×90日)
 24日 = ─────────────────────────────────────
         (3ヵ月間の新規入院患者数+3ヵ月間の退院患者数)÷2

  平均在院日数を24日とするためには、分母を1500人にする必要がある。
  単純に入院数と退院数が同じと考えると1500人となる。


つまり平均在院日数を21日以内にするということは、3カ月間の新規入院数と退院患者数の平均を1714人以上にしておかなければならない。
24日以内であれば1500人以上ということになる。

この平均在院日数がクリアできないと、看護師比率が基準に達していてもランクが変わってしまう。
診療報酬の点数を上げ、利益を出すためには、一定数の新規入院患者が必要であるということである。




◎トップの写真

こぼれ種で咲いたビオラ。小さくて可愛い。
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by yumimi61 | 2013-03-16 02:21


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