2013年 03月 19日
機宜*61
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また病院の話に戻ります。


入院とベッドの関係性


●新規入院患者

ここの基準を思い出してほしい、
常時400人の患者が入院していると仮定した病院で、平均在院日数21日以内という基準を達成しようと思ったら3ヵ月で1714人の新規入院患者を獲得する必要がある。
1カ月平均にすると571人。

平均在院日数24日以内であれば3ヵ月で1500人の新規入院患者を獲得する必要がある。
1カ月平均にすると500人。



●病床管理

病院の経営を考えた時には病床の管理が非常に重要となる。
管理には2つの指標がある。「病床稼働率」と「平均在院日数」である。

「病床稼働率」はベッドが使用されている率である。
利益のためには100%使用されていることが望ましい。
しかし100%を維持できたとしても、同じ患者がずっと入院した状態では新規患者を受け入れられなくなる。
新規患者を受け入れられないということは平均在院日数の基準をクリアできなくなる。(在院日数が長くなってしまう)
平均在院日数とはベッドの回転率のようなもの。
稼働率を維持し、且つ在院日数を下げるということは、それだけ多くの入院患者が必要ということである。
また退院日と入院日の間に空白が出来ないように「ベッドコントロール」することが重要になってくる。
高齢者の療養型入院は在院日数が長くたるために在院日数短縮を目指している急性期病院には向かない。



●差額ベッド


個室や特別室など差額ベッド代がかかる病室がある。
比較的ゆったりした広さで(1人当たり6.4平方メートル以上)、プライバシー確保のための設備などを備えている病室である。

費用のかかることなので患者の希望と同意が必要である。
入院時には必ず希望を確認されるはず。
病院側の都合でそうした病室を使用した場合には差額ベッド代を払う必要はない。
但し、「大部屋がいっぱいで個室しか空いていませんがいいですか?」と訊かれ、それに同意しサインした場合には希望したと見做されるので注意が必要。


差額ベッド代は健康保険適用外なので全額自己負担となる。
費用は様々で1,000円位からあるが、一般的に多いのは5,000円~10,000円くらい。(金額は1日あたりの費用)
政治家、スポーツ選手、芸能人、大企業の社長などがお忍びで入院するVIPルームは数万円から上は20万円。(何度も言うけど1日あたりね)
ちなみに聖路加国際病院は全室個室。
一部の医療関係者からは聖路加ホテルと揶揄されている。キリスト教なのに。
有名人が出産する病院としても名高い。
保険の利く部屋と差額ベッド代が必要な部屋が半々。
保険の利かない部屋は全て差額ベッド代3万円以上となる。
保険の利く部屋はいつも満床なのに、救急搬送を受け入れているから質が悪い。
お金のない庶民を空きがないという理由で保険の利かない病室に入れて高額請求する。
救急搬送でも差額ベッド代を払えないと分かると他院に回す。
富裕層相手が病院の特徴なのは仕方ないにしても、救急搬送受入はやめた方がいいと思う。



一般論に戻ります。

差額ベッド数は上限が決められている。
一般病院では病床数の50%が上限。(聖路加病院は上限を取っている。これだけでも病院の姿勢が分かる。)
国立病院は20%、公立病院は30%が上限。

差額ベッドは健康保険外なので儲かる。
しかしこんな不景気な時代に差額ベッドを自ら希望する庶民はそうそういない。
だから差額ベッド代のかかる病室は空いていることが多い。
空いているということは稼働率を下げる。
従って尚のこと「大部屋がいっぱいで個室しか空いていませんがいいですか?」には注意が必要である。



矛盾を抱えて

病院や医療従事者は、人々が健康を取り戻すことや健康を維持するお手伝いをしている。
人々もまた健康を望んでいる。
病院は一般的に傷病者を受け入れる場所であるから、患者は健康とは逆の状態にある。
つまり、本来は、病院が流行っていない状態が望ましい。
病院に閑古鳥が鳴いていたら喜ばなければならない。
しかしそれでは病院経営は成り立たない。
病院が儲けるためには患者が沢山いたほうがいい。

病院経営と、医療の最終的な目標や医療従事者の精神は、大いなる矛盾を抱えている。

病院も医師も看護師もボランティアではない。
それを職業とし、それで生計を立てている。
病院で働くならば、病院の利益が出るように努めなければならない。
だからこそ医師や看護師も病床管理を理解する必要がある。
しかしそうした観点で提供される医療は患者が求める医療と必ずしも一致しない。










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by yumimi61 | 2013-03-19 17:47


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