2014年 04月 15日
甍(いらか)十一
e0126350_11362049.jpg






独立行政法人の理化学研究所

理研こと理化学研究所のことはこちらでも少し触れたが、理研の本部は埼玉県にあり、今問題となっている兵庫県神戸市のセンターが本部ではない。
2003年に文部科学省所管の「独立行政法人」となった。
その前は「特殊法人」であった。
法人の種類についてはこちらで説明した

法人にとって「特殊法人」と「独立行政法人」のどちらがいいかと言えば、「特殊法人」である。
何故かと言えば運営資金が国から保証されているから。
「独立行政法人」はそこに書いた通り、基本的には民間企業と同じで納税義務があり、国からの資金援助を受けずに運営されるべき法人である。
しかしそうは言っても、100の法人のほとんどが国庫から資金を交付されている。
予算においては総額3~4兆円ほど。特別会計から流れるお金の実態は分からない。
国立大学法人も2003年より独立行政法人に準じている。
資金交付される大学とそうでない大学は国家権力の胸三寸といったところか。
気に入らなかったら「経済制裁」と「孤立化」!?


日本国民すべてが国際的優位に立てるだろうか?

日本政府は「国立研究開発法人」なる新たな法人枠を作る予定でいた。

「研究開発法人」は国家戦略に基づく基礎研究や国家基幹技術等の研究開発に取り組む主体であり、我が国の国際的な知的優位性を確保する拠点である必要がある。(国立研究開発法人に関する懇談会にて)

知的優位性と述べているが、国際競争に勝つためのメイン手段を再生医療と考えているならば、それはやはり優生学に繋がるのではないだろうか。

優生学を簡単に言えば、良い遺伝子を残し、悪い遺伝子は廃除するという考えである。
ナチスドイツの最高指導者・ヒトラーは優生学の信奉者であったと言われている。
またかつてアメリカではロックフェラーなどの資産家が優生学を支持し積極的に資金援助をしていたと言われていて、今でもロックフェラー財団やゲイツ財団が秘密裏に関係しているとして非難されることが多い。

ヒトラーの悪イメージからか優生学は表向きにはすっかり衰退してしまった観があるが、日本でも1948~1996年の間、「優生保護法」という法律が存在しており、本人の同意を必要としない優性手術(不妊手術)が実施されていた。

特定の遺伝性精神・身体疾患に対し、医師がその疾患の遺伝を防止するため公益上必要であると判断した場合、都道府県優生保護審査会の審査を経て、(本人又は配偶者の意向に関係なく)優生手術を行う。(優生保護法より)

現在は「母体保護法」という名に変わっており、同意なく手術を行えるという条文は削除された。
不妊手術(欧米各国の「sterilization」という言葉は「全てを殺す」という意味合いから「滅菌」という意味にも用いられる)は審査を必要とせず本人と配偶者の同意で実施することが出来る。
中絶もこの法律に支えられている手術であり、当初は母体保護というより優生学的な考えで行われていた。

現代における出生前診断や着床前診断は優生学を彷彿させる。
同意なく勝手に実施するわけではないが、胎児が障害と認定されれば中絶を選択する人も少なくないだろう。
個人に責任を転嫁したやり方のようにも思えてしまう。共犯者づくりである。
生命の価値には違いがある。私達一人一人の価値にも違いがある。
それは私達がよく知るところではないだろうか?
だから平等や差別反対の大合唱が空しく響いてしまう時がある。
平等で差別のない社会の実現とは「共生」ではなく「強制排除」であるべきか、平等ではなく差別もある社会を受け入れるべきなのか。


特定国立研究開発法人に選ばれた理化学研究所

話が優生学に逸れてしまったが、政府は国際競争に勝つために「特定国立研究開発法人」を作ることにした。
しかしはっきりと言えば、この法人は優秀な研究者に対し高額の報酬を払うことを可能にするものなのである。

こちらは法人の在り方に関する懇談会(2010年3月)での発言。
参加者に理化学研究所の野依理事長と笹井副センター長(小保方さんの指導役)がいる。
以下、おふたりの発言をコピペしました。(文字に若干手を加えています)


【野依理事長の発言】
●国の研究開発法人は、国の研究戦略について、組織としてトップダウンで研究開発を実施できる体制を持つ。世界水準の研究開発システムを構築することを目指すべきであり、科学技術創造立国実現の中核を担う機関となるべきもの。

●世界水準をしのぐ基礎科学力なくして、我が国の未来はない。各府省がSTI(サイエンス・テクノロジー・イノベーション)のSTをより積極的に担い、基礎研究の重要性を認識すべき。

大型の研究基盤を支えるには、その開発をしていくために研究力が必要。それは大変な負担であるが、研究基盤を開発、改良し続け、アップデートすることで、最高の研究水準を維持できるため、それには研究者が関わっていかなければならない。さらに、最高の基盤には多くの優れた研究者が集結する。

●現行独法制度には、トップ・マネジメントをできることに意義がある。

●柔軟な研究開発システムを持つべきもの

●頭脳循環が起きている世界において、優秀な人材を獲得するためには、海外の卓越した研究機関や研究者との協力関係を構築することが重要。

●研究人材は府省の枠を超えて流動すべき。人材流動は研究を推進すると共に、研究の室を向上させ、幅を拡大する。

●一律に予算が減少しており、独立行政法人評価委員会において最高のS評価をもらっても、予算が増えず、これは大変困ったことである。

●日本の産学官連携において知的財産の共有や協力の在り方に問題があり、日本国内で開発の協力ができないため、海外の研究機関と組むような状況になっているが、国内外の民間企業から研究開発法人が尊敬され、活用されるような状況にする必要がある

●そもそも日本の研究開発予算は貧弱である。



【笹井氏の発言】
●科学技術の領域における研究開発法人の使命の一つには、“尖った”科学的優位性と人材の育成による、急成長分野における国際競争力の強化があり、高度な機動力を要する。 

●研究開発法人の使命には、例えば、海洋開発、宇宙開発、スーパーコンピュータといった大規模研究開発や、民間や大学等では実施が困難な国力を高めるために必須の持続的基盤整備といった国家レベルでのインフラ整備もある。

大学にはないような独創性、国際性、自由度を強く保障する研究体制を構築し、人材の厳格な評価、国際公募の実施を行うべき。一方、若手人材に対する助言機能の充実、また彼らに雑務をさせないことなど、研究開発法人には優秀な次世代エリート研究者を育成するシステム科学技術振興国との差別化の観点で必要。

●研究開発法人は、民間企業の研修員を受け入れることなどにより、研究開発関係者の育成に対して積極的に貢献するべき。

●新興国の優秀な研究者にはまだ促成栽培的な要素がある。日本の強みは明治時代以来、応用だけでなく基礎的な分野を非常に幅広く研究をしてきたことにある。それらの分野をリンクさせ産業につなげていくことで新興国との差別化が生み出される。

●大学等は日本の学問の土台であり、その役割は持続力・包括力を特長とした知の創生と継承であり、人材育成においては平均値の底上げがある。一方、研究開発法人の役割は、機動力・専門力を特長とした戦略分野に特化した知の創生であり、日本の国際競争力、優位性に資する特定領域の頂点(ピーク)を形成するとともに、国力の基盤整備を行うことである。

●研究開発法人の特徴として、機動力を生かした拠点化が迅速に行えること、優れた人材を確保し、研究開発を強力に実施できること、国家ミッションを担うため、オープン型のプラットフォームを形成できること等がある。そのような特徴を生かし、我が国独自の費用対効果の高い研究体制を確立するためには、インフラ整備による拠点化を進めるとともに、そのインフラの共同利用のためのオープン型のプラットフォームを中核拠点に整備し、大学等とのネットワーク化を進めて、双方向の共同開発の促進を行うことが重要。

●研究開発法人の機動力を生かすには、次世代の研究開発に対する提案力強化が必要。そのとき自らの整理再編を前提にして新しい提案が積極的に採用される仕組みにより、新陳代謝が活発となる組織とすべき。

●成果の高い研究開発は容易に予算を削減してはならない。独法改革の名の下、成果の評価に基づかずに運営費交付金の一律削減が行われたため、研究室の閉鎖、若手の活躍の場の縮小等、国際競争力の面で厳しい状況になっている。

複数年度会計処理の弾力化、次世代の研究者育成、次世代領域開拓のための自由度をもった交付金の在り方などを検討すべき。

コンクリートと人は対立する概念ではない。人が集まる研究施設というのは非常に重要。融合研究、人材育成、共同利用、産学連携などは研究開発法人だけでなく、研究振興の開放拠点となるため、新規施設であっても積極的に整備すべき。それは、「人のためのコンクリート」ということ。


政府の総合科学技術会議は「特定国立研究開発法人」に「理化学研究所」と「産業技術総合研究所」を選んだと発表した。
もうすでにSTAP細胞や小保方さんの問題が取り沙汰されていた最中の3月12日のことである

会議の議長は安倍首相。山本一太科技担当相や下村博文文部科学相もメンバー。どちらも群馬県出身!
山本一太議員 内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策・ 科学技術政策・宇宙政策)
          情報通信技術(IT)政策担当、海洋政策・領土問題担当
群馬県の太田市や沼田市の市長とも懇意。選挙ポスターがやけに怖かった方である。中央大学出身。
下村博文議員は安倍首相や小泉進次郎議員(元首相ジュニア)とともに秋元康宅を訪問した方である。早稲田大学出身。


理研はこの法人認定のために成果を急いだとの論調もあるが、最初から理研ありきの話で焦る必要なんか全然なかったはず。
「認定」ではなく「選定」という言葉を使っていることからもそれが分かる。
「対象法人は極力少数に限定」と言っており、2つの研究所が選ばれた。
誤解している人がいるかもしれないが今でも選定取り消しになっているわけではない。
今国会中の成立は困難」と言っているだけである。
そう、この法人は法律に支えられるものだからだ。

[PR]

by yumimi61 | 2014-04-15 17:39


<< 甍(いらか)十二      甍(いらか)十 >>