2015年 05月 15日
昭和 陸拾捌
貯金と借金

財政収支を家計と照らし合わせて考えてみる。

給料が歳入である。
日々の食費、消耗品購入費、光熱費、通信費、学費(教育費)、交通費、レジャー費、交際費、医療費、税金や社会保険料の支払い、保険料(生命、損害、自動車、火災)の支払い、ローンの支払い、住居費(家賃)、こうした諸々の支出の合計が歳出となる。
クレジットカードで食品や消耗品を購入したり、光熱費や通信費を支払っていても、ここに含まれる。
歳入(給料)から歳出(家計の支出)を引いても、まだお給料のほうが多い家計は収支がプラス。
歳出のほうが多い家計は収支がマイナス。

予算か実績かによっても変わるが、家計の場合は年度初めに予算を組むという人はそれほどはいないと思う。
月末や年末に足りたくなりそうになったら節約してマイナスにしないようにするという人は沢山いると思う。
それから中には積立貯金をしている人がいると思う。
積立貯金を天引きや金融機関と積立貯金契約によって行っている場合には、収支がマイナスであっても貯金に回している金額があるという状態となる。
要するにこうした積立貯金は当座、支出として見做してしまうことが出来る。
これを決算において支出と扱うか否かで当該年(当該月)の収支差は若干変化する。
この考え方が少々面倒くさい。

国の財政は年間の予算を組む。突発な出来事でもあれば別だが、そうでなければ予算と実績が大幅にずれるということは少ない。
但しこうした場合には大抵余裕を持った予算を組むので年度末に余剰金が出ることも多い。
国や自治体の場合、あまり多くの余剰金が出ると次年度予算編成の際に「余剰金が出ているから、こんなに予算はいらないはずだ」とカットされる。
それを避けるために使い切る(使い切ったふりをする、うまく調整をする)。
だから「官公庁は予算を使い切るために苦労している」などと国民から揶揄されることになる。


家計の場合でも「ご褒美に美味しい物を食べに行こう」などと言って、余剰金を消費してしまうこともある。
しかし余剰金は貯金しておくという家庭も少なくない。
貯金の方法もいろいろあるが、一般的には貯金通帳に移して管理する家庭、日々の収支通帳に残しておくだけの家庭、それほど多くはないから財布やたんすに残したままという家庭が挙げられると思う。

家計の裏には貯金と借金が存在しているものなのだ。
貯金には余剰金の他にも、遺産相続で得たお金、宝くじに当たって得たお金、その他臨時収入、資産を売却したお金、貯金を運用して得た利益などが含まれる。
年間(ひと月)の収支がマイナスしたら多くの場合は、この貯金からマイナス分を引き出して充当する。
貯金のない家庭で収支がマイナスになれば借金をすることになる。
貯金があっても事情によっては借金することもある。

借金には住宅ローン、教育ローン、車のローン、カードローンや消費者金融からの借りたお金などがある。
全部で3000万円ほどの借金が残っていたとしても、3000万円という数値は年間収支には反映されない。
年間に実際返却するお金のみが反映されてくる。
ひと月5万円をローン返済に充てているとするならば、年間60万円が支出に含まれる。

ごくごく簡単に考えれば、この貯金部分が国の特別会計である。
集めた社会保障費を貯金部分に含めたのは積立金でもあったからという理由で一応納得できる。
しかしそうならば、当該年の給付額はここから引き出さなければならない。
一般会計の歳入に「社会保険料」か「特別会計からの引き受け」として給付額と同額を含める必要がある。
支出予算に給付額が含まれているのだから、同じ額を歳入に乗せてやればいいだけのこと。
年金は積立貯金をしてきたので、急に赤字になって困るなんてことはないはずなのだ。
困るとしたら、その貯金を使って投資や融資など行い、それが失敗して元本も回収できず、大幅に貯金を減らしたか貯金がゼロになってしまった時くらいだろう。それともまさか贈与?返済?
年金貯金の使い込みは以前から疑いを持たれている。


おんぶに抱っこで利益をあげる法人

NHKの予算を見てみよう。
下の表は平成26年度(2014年度)の予算(PDF)から抜き出したものである。

e0126350_13381486.jpg

書き入れたのは民間企業の損益計算書の科目。

損益計算書で分かるのは企業の当期利益。
①売上総利益(粗利益)・・・・本業の売上高から原価を引いた額
②営業利益・・・・①から販売費と一般管理費を引いた額
③経常利益・・・②に副業や財テクの利益を足した額
④税引前当期利益・・・・③に特別利益(固定資産売却益など)を足した額
◎当期利益(純利益)・・・・④から税金(法人税・住民税・事業税)を支払い残った額

法定福利費(社会保険料)は一般管理費に含まれる。
企業と従業員の負担割合はだいたい半々なので、企業のこの負担はかなり大きいのだ。
年金3階部分の企業年金は一般管理費のうちの福利厚生費に含まれる。
会社の規模や体力によって福利厚生の充実度というのは大きく違う。
法律を盾に広く国民から集めた費用で福利厚生を充実させていることが更なる怒りに繋がるというわけ。

民間企業の一般管理費に含まれる人件費は製造や販売に直接関係しない部門の人件費(間接部門人件費)である。
売上に直接関係する従業員の人件費、営業マンの人件費、製造工場や販売店などの人件費は原価や販売費に含まれ、一般管理費ではない。

NHKはホームページのQ&Aにて「受信料以外の収入には何がある?」という質問にアンサーしている。
1.副次収入
 DVDや出版物の販売や外部への映像素材の提供など放送番組の二次利用に対する著作権の使用料、NHKが開発した技術の特許使用料など
2.財務収入
 受取利息、受取配当金など
3.交付金収入
 国際放送関係交付金、選挙放送関係交付金
4.特別収入
 非現用不動産などの固定資産売却益など


予算収入の項目にある雑収入(34億円)には一切触れていない。
これはどうやら受信料滞納者から前年度分までの受信料を徴収した額らしい。全額それにあたるのかは不明。
2014年度の受信料収入は6428億円である。収入の97%はその年の受信料である。
これが民間企業の売上高にあたると思う。
「法律で決まっているから」という理由を使うだけで、これだけの売上を難なく上げることが出来る。

今話題のシャープの2014年3月決算の(1年の)売上高が約2兆9272億円であった。
営業利益が約1086億円で、経常利益が532億円で、当期利益が約116億円。
これは連結決算(親会社の会計に子会社や関連 会社の会計も加えた決算)である。
このような企業の損益計算は実績である。決算期にはこうした計算をしているわけだ。
シャープの従業員はおよそ5万人らしい。
(2015年3月決算では2223億円の赤字だとか)

NHKのそれはあくまでも予算である。
これは国の予算や地方自治体の予算、学校法人の予算、そうしたものと同じで実績ではない。
予算というのは売上に大きく左右されることはないのだ。
特別な事情がない限り安定的に収入があり、その収入に基づいて予算を組み、事業運営するのみである。
営利を追求する組織ではない。
だからこそ優遇されていた部分があり、だからこそ厳しく審査されるべき組織でもある。
こうした予算においては多少の余剰金(繰越金)があってもそれを支出に含めて、収支はプラスマイナスは0にするのが一般的。
利益を出す必要のない組織であるし、利益を出すべき組織でもないからだ。
ところがNHKはプラスマイナス0にしていない。90億の利益を出している。

従業員5万人で一生懸命営業やら製造やらしているだろう会社の利益が115億円であるにも関わらず、NHKは受信料を国民から徴収し1万人の従業員で90億円の利益を出す。それを国庫に戻すこともない。
さらにNHKは法定福利費も税金も支払っていない。


てきとー

事業収入の支出の「特別支出」と「予備費」も中味がよく分からないが、両方で約49億円ある。
一般的な感覚からすれば49億円というのは非常に大きな額であるが、収入支出規模が6600億円と大きいので、割合にすれば0.7%であり、そんなものかなあという気になってしまう。
しかしそもそも徴収している受信料が本当にこの金額で合っているのか誰にも分からない。
幾ら集めるべきなのか(幾らが正しいのか)も分からない。それはNHKにも分からない。
受信料を取る基準が曖昧(テレビ台数でもアンテナ本数でも世帯数でもなく住所の置いてある地でもない)なのに何故予算が組めるんだー!
払うべき人をNHKはどうやって探す?国勢調査を横流ししてもらっているのか?公共放送だから当たり前?
国勢調査だけでは追いつかなそうだ。自治体からの情報とか大学からの情報とか不動産からの情報とか光熱関係会社からの情報とか郵便局からの情報とか?
発見される人とされない人がいるのは不公平ではありませんか?ねえどうなの?


NHKの出資者(株主・社員)は誰だ?

利益90億円の行方。
e0126350_16423864.jpg

プラスマイナス0にせずに出た利益は資本部門へ送るらしい。
資本部門は家庭ならば貯金、国ならば特別会計といったところか。

企業の場合は「損益計算書」「貸借対照表」「キャッシュフロー計算書」という3つの決算書によって経営状態や財務状況を判断する。(しかしそうは言っても真の状態を把握するのはとても難しい)
それから決算書というのは税金(税務署)にも関係してくる。

決算書の1つ「貸借対照表」の負債側(貸方)に「資本」という項目が含まれている。
貸方には、企業が外部から調達した資本(負債)と自己資本があり、自己資本が「資本」に該当する。
貸方全てを合計したものを総資産という。
借金額を総資産に含めるの?と驚く人もいるかもしれないが、借金というのは言い換えれば投資や融資されるということで、その会社を支えているものであるから、そういうことになる。
そうは言っても借金は借金なので(小さい声)、「資本」のところが純粋な資産で純資産と言われる。
元は株主が出資した資本であり、返済する必要のない資金。
だから自己資本と言っても私一人の資本ということではない。一人の場合もあるけれど、複数の出資者(株主)がいても自己資本である。

「資本」を構成するのは、資本金、資本剰余金、利益剰余金である。
会社の経営が上手くいって利益を重ねていくと純資産も増加する。
以前も書いたことがあるが、株式会社は株主(出資者)のものなので、この純資産も株主のもの。
企業内にそのまま置いておくのか(内部留保)、配当として株主に分配するのかは、総会で決定する。

e0126350_23504044.gif

上図は中小企業ビジネス支援サイトより


NHKは営利目的の民間企業ではない。特殊な法人である。
出資者もいないと言われている。つまり株式会社ではない。
それなのに民間企業を自称しているだけあって、NHKが出している予算も会社法の株式会社の決算書のような、でもやっぱりそうでないような。
日本赤十字社もそうだが、非常に不可解な組織。


やっぱり変わらない価値が欲しい!?

「貸借対照表」が家計の借金と貯金と固定資産(土地や建物など売ればお金になる資産)にあたる。

「貸借対照表」は右側と左側の金額は同じであるという考えに基づいているが、理想と現実には大抵大きな開きがある。
借金額が大きいものほど、わりとあっという間に価値を失ってしまうため、利益を吸収してしまう。
それが借金の怖さでもある。
物はいつまでも変わらぬ価値を持っているわけではない。
だけどそれとは逆に、誰かがもう価値はないと決め、多数が「そうだそうだ!」と言っても、たった1人でもそれに価値を見出し高い値を付ければ、それで解決したりもする。
価値って怖いですね・・・。

シャープの例(2014年3月決算)
・総資産・・・2兆1817億円
・自己資本・・・1952億円
・資本金・・・1219億円

1兆9865億円(約91%)は他人資本、つまり負債(借金)であるということ。
負債のおよそ半分の1億円は有利子負債。有利子負債は借りた額だけでなく利払いもあるので実際に支払う金額はもっと大きくなる。
しかしローンせずに土地や住宅を購入できる個人がほとんどいないように、負債がない企業もほとんどない。
純資産がマイナスにならなければよいが(余剰金のマイナスが自己資本を越えなければよいが)、ここがマイナスになると債務超過となり、会社の全財産(上の図の左側の資産)を売却しお金にしても右側の債務を返済しきれない状態となっている。
シャープは2014年3月決算の純資産はプラスであったが、これが2015年3月決算でマイナスになったようだ。













[PR]

by yumimi61 | 2015-05-15 11:55


<< 昭和 陸拾玖      昭和 陸拾質 >>