2016年 12月 18日
政官民で暴走!?
先日ランチ&ティーをしていた時、隣の席の男性2人の会話がところどころ耳に入ってきた。
何について語っていたのかはよくわからないけれど、「こんなに国力落としているのに」と言っていた。
私が日本もやばいくらい国力が落ちているのかもしれないなぁと感じるのは、外国人観光客が増えたとか増やそうとか、外国人観光客のためにとかいった観光騒乱を見聞きした時。
一億総観光かぶれみたいになっている感じさえする。
「観光客を呼び込もう」ならまだしも「観光立国を目指そう」なんて聞いた時には暗澹たる気持ちになる。
観光立国と言ってしまうと、単純に海外からの旅行者数が多いということではなく、国の経済や発展を観光に依存するという意味になる。

国土交通省 観光庁
観光は、我が国の力強い経済を取り戻すための極めて重要な成長分野です。
経済波及効果の大きい観光は、急速に成長するアジアをはじめとする世界の観光需要を取り込むことにより、地域活性化、雇用機会の増大などの効果を期待できます。


観光立国が検討されはじめたのは2003年小泉首相の時。
2006年9月に首相が小泉首相から安倍首相にバトンタッチされた。
観光立国推進基本法が成立し、最初の観光立国推進基本計画が閣議決定されたのは安倍首相の時だった。
しかしこの時の安倍首相は1年あまりで退任し、観光立国推進も2009年麻生首相の時に中国個人観光ビザの発給が開始されたくらいで目立った動きはなかった。
大きく観光に舵を切ったのは東日本大震災から1年経った2012年3月頃からのことで野田首相の時のことである。
2012年12月に安倍首相に代わったが、観光立国推進はそのまま引き継がれている。

この観光についても雰囲気論が非常に多いと感じられるもの。
そこでデータから見てみよう。

社会実情データ図録 海外旅行収支の国際比較より

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タテ軸は海外旅行愛好度であり、上ほど海外旅行が好きな国である。ヨコ軸は国際観光立国度であり、右ほど国際観光収入に経済が依存している比率が大きい国である。また、45度線より左上ほど収支がマイナス、右下ほど収支がプラスであることを示している。

海外旅行好きの国としては、香港、シンガポールがGDPの7〜8%を海外旅行に使っており、非常に目立っている。しかし、この2国は都市国家であり、それぞれ中国やマレーシアとの関係が深い。日本のような国であれば国内観光にあたるものまでも海外旅行となっているので、少し性格をことにしている。

香港、シンガポール以外では、ベルギー、マレーシア、アラブ首長国連邦、スウェーデンといった国が海外旅行の好きな国として目立っている。
日本と米国は、実は海外旅行の対GDP比は1%以下であり、海外旅行にお金を使っているかどうかでは、世界の中でも海外旅行を好んでいない2国である。まあ、閉鎖的な国民とも言える。(下の付表を見えれば分かるとおり、海外旅行の支出の金額規模から言えば、米国は2位、日本は12位と決して小さくはなく、日本人観光客の場合はかつて特定の国際観光地に集中する傾向があったから、日本人観光客の金遣いは目立っていたと言うことはあろうが、稼いだ額のどれだけを支出しているかという今回の指標からはこう言わざるを得ない。)


グラフの横軸の右に行けば行くほど観光収入が多い(GDP比)。
でも幾ら国際観光収入が多くても国際観光支出がそれを上回れば、収支は赤字であり観光立国にはなり得ない。
観光を商売(国の収益)として見るならば、国際観光収入が多くて国際観光支出が少ない国が観光立国になり得る。
貿易収支と同じ考えである。
観光立国と、観光好きや余暇の在り方は、分けて考えなければならない。
またこの場合の観光とは外国旅行のことなので、国内旅行は含まれていない。
従ってこの結果から一概に観光好きや余暇の在り方を語ることは出来ない。
さらに言えば、人の価値感はそれぞれ。
貯蓄が趣味な人と、宵越しの金は持たないという人もいる。入ってきたお金を入ってきたそばから出してしまう人もいるわけだが、それで幸せな人もいる。幸福度は人それぞれなのだ。
儲けたお金で海外旅行に行くことが幸せという人を非難することなど出来ないが、それでは残念ながら国は潤わない。
個人の幸福度と国の経済的豊かさは必ずしも一致しない。


グラフの青斜め線(45度線)の右下が収支プラスの国で、左上がマイナスの国だそうである。
押しも押されぬ観光立国はタイである。
マレーシア、オーストリア、スペインなどがそれに次ぐ。 

日本は収支がマイナスの国のようだ。
国際観光収入GDP比(国際観光依存度・観光立国度)は、2002年の0.1%から2013年の0.3%にへと増加している。
経済波及効果を謳っている観光庁であるが、収入が増えてもそれを外に持ち出したら、国内は決して潤わない。

収益という側面からではなく単に観光客数を比較した場合は下記のとおり。

外国からの観光客数が多い国ベスト10(2013年)
1.フランス
2.アメリカ
3.スペイン
4.中国
5.イタリア
6.トルコ
7.ドイツ
8.イギリス
9.ロシア
10.タイ



国際観光収入がGDP比が10%にもなるタイはともかく、せいぜい1~2%のことで、日本なんて0.5%未満。
それを「伸び代が大きい」と言えば聞こえもいいが、さほど大きくもない国土、限られた空港や移動手段、歴史を軽んじてきた歴史、災害の多さ、国内における都市集中(一極集中)などを考えると、大きな飛躍はなかなか難しいのではないかと思われる。
また大概の場合、何かが増えるということは何かが減るということなので、国際観光収入が増えてもGDPを押し上げるとも、失業者が減るとも、国の収益が上がるとも限らない。




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by yumimi61 | 2016-12-18 15:05


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