2016年 12月 22日
日本国憲法の秘密-436-
先日ウラン238崩壊過程の表を掲載した。-432-
ウラン238というのは一般的なウランである。
濃縮だなんだと言っても、完全に分離しているわけではないので、当然どんなウランにもウラン238が多く含まれている。

ウラン238―99.3%を占める。非分裂性。
ウラン235―0.7%しか存在しない。分裂性。


ウラン238が非分裂性ということで「安定していて放射線を放出しないのかぁ」と思う人もいるかもしれないがそうではない。
ウラン238は人工的な核分裂を起こすことが出来ないというだけのことで崩壊はする。崩壊して安定へ向かう。
最終的に鉛206で安定するまでには15の過程を経る。
放射性物質は崩壊する時に放射線を放出する。
崩壊にはα崩壊とβ崩壊があり、それぞれα線とβ線という種類の放射線を放出する。
α線とβ線の性質は、透過力が弱く、電離能力が強い。
透過力が弱いというが、加速させれば(外からエネルギーを与えれば)、その分だけ透過力も増す。
α線やβ線は粒子である。
α線とβ線は一般的な線量計では計測できない。

核分裂すると言われているのはごく僅かしか存在しないウラン235である。
核分裂に威力があるといっても、スタートラインのところからしてすでにかなり非効率的なので、原発など産業に用いる場合、それが他の資源と比べて果たして優れたものなのかは疑問符がつく。
ともかくウラン235を人間が人工的に核分裂させる。(ウラン235の原子核に中性子を取りこませて分裂させる)
崩壊の場合は物質が次々と変わっていくのであって、次世代の物質(核種)は1つである。
核分裂の場合も物質が変わることは同じであるが、分裂によって出来る次世代の物質(核種)は2つである。
ここに福島第一原発事故の際に頻繁に聞いた「ヨウ素」や「セシウム」が登場するのだ。
2つ出来る物質(核種)の片一方が「ヨウ素」「セシウム」「バリウム」「クセノン」など。
もう一方との組み合わせは決まっている。
「ヨウ素」の場合は「イットリウム」。
「セシウム」の場合は「ルビジウム」。
「バリウム」の場合は「クリプトン」。
「クセノン」の場合は「ストロンチウム」。

どれが出るかはお楽しみ。というのは冗談だけれど、こうしていろんな種類の物質(核種)が出てしまうのが核分裂ということ。
だけど前にも書いた通り、核種同定はとても難しいもので、そうそう簡単に出来るものではない(出来る人はいない)。 簡易検出器などありえない。
また分裂で出来た物質(核種)もそれで終わりではなく崩壊しながら安定へと向かう。いつまでも同じ物質(核種)として存在するわけではない。
だから事故後にセシウムが検出されたとかされないとか聞くたびに、いったい誰がどうやって調べたのか不思議に思っていた。
結構気軽に語られていたけれど、お茶から覚醒剤が検出されるのと同じくらい不思議なことである。

そこで私はまだ思うのである。
原発は核分裂ではなくてウランの化学的性質を利用していたのではないかと。

すると「じゃあなんで放射線が検出されたの?」と反論されるかもしれないが、ウランは放射性物質なので放射線を放出するのである。
「でもα線とβ線は線量計では計測できないって言ったじゃない。ウラン238の崩壊過程にはα崩壊とβ崩壊だけしかなかった。γ崩壊がなくてγ線が出ないのだから一般の線量計では測れないはず。それなのに事故後にあちこちで測れたというのはどういうわけ?」とさらに反論を食らう。
放射線は自然にも存在します。
福島第一原発だけでなく過去にも放射性物質が世に放たれてきました。
また線量計の精度にもいろいろあって安く手軽なものは信頼度が低いです。
これでは納得しない?

実はここにも誤解がある。
「γ崩壊」は「α崩壊」や「β崩壊」と種類が違う。
そのため崩壊という言葉をあてない人もいるくらい。
何が違うかと言うと、γ崩壊は物質(核種)が変わらない。つまり原子番号や質量数が変わらない崩壊である。(だから崩壊と言わない人もいる)
通常の崩壊は物質(核種)が変わるのである。

γ線が放出されるのは、原子核が励起の状態にある時。(電子と蛍光の説明に「励起」は出てきましたね)
エネルギーを少し余分に持っている状態で不安定。
そこでエネルギーを放出してあるべき姿(基底状態)になろうとする。

崩壊するということはエネルギーを放出することでもある。
α崩壊やβ崩壊の際に放出すべきエネルギーを一回で出してすんなり基底状態に収まればよいのだが、ほとんどの場合そうでない。
崩壊後に微調整して基底状態になるのである。
微調整で余分なエネルギーを放出する、それがγ線である。
α崩壊やβ崩壊後の原子核はほぼγ線を放出する。セットだと思ってくれていい。(なかには放出しない核種もある。また確率的にも100%放出とは言えない)
つまり、ウランだってγ線を放出する。崩壊する放射性物質はほとんどγ線を放出する。
だからどんな放射性物質であっても安定しない物質が存在すれば、γ線しか検知できない線量計でも反応するのである(ただ一般的な線量計の精度は低い)。
原発が核分裂を利用していなくても、ウランがあればγ線も放出される。


放射線について言えば、比較的α線やβ線が軽視されてきたのは、自然崩壊の過程において放出されるα線やβ線の透過力が弱いからである。
つまり外部被爆しても人体などの内部までには届かないだろうという発想の下でのこと。
ウランは原子番号が大きい元素なので鉛などと同様に透過力の大きいX線やγ線の遮蔽効果が大きく、医療用放射線機器等から発生する放射線の遮蔽用途があるくらいである。
自身が放射線を放出するのに遮蔽もなにもあったものではないと思うかもしれないが、これもウラン崩壊にて放出されるα線やβ線の透過力が弱いから出来ることであり、α線やβ線を線量計が感知しないから出来ることである。
このこと(外部被爆)と吸入や摂取によって内部に運ばれてしまう内部被爆は全然違う話となる。


先日書いたこの部分も誤解されやすそうなのでもう一度説明する。
原子番号が大きい鉛やウランは透過力の大きいX線やγ線の遮蔽効果が大きい。
遮蔽によく用いられるのは鉛である。
原子番号はウランのほうが大きいが鉛が用いられる理由は、鉛のほうが一般的で、さらに鉛には安定同位体があるからである。
安定に至っているのでそれ以上崩壊することのない同位体が存在する。
しかし、実は鉛にも安定同位体は1つも存在しないのではないかとも言われ始めている。事実、長らく安定同位体と信じられてきた204Pbも、実は安定同位体ではなかった。
ウランは安定しておらず崩壊が続く。自身が放射線(α線・β線・γ線)を放出するということである。
ただもともとγ線の遮蔽効果があるくらいなのだから、物体(塊)の内部で放出されるγ線は進まない。外に出てこない。物質の熱伝導と似たような考えである。
もしα線やβ線にγ線以上の透過力があればダメだが透過力がないということで、ウランも使い方次第で遮蔽に利用できる(原子番号が鉛より大きいウランの遮蔽能力は鉛より高い)。
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by yumimi61 | 2016-12-22 12:35


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