2017年 01月 25日
父の病②
1月18日の未明、父は炬燵から立ち上がろうとして後ろに倒れ、そのまま起き上がれなくなったそうで、母が3時にトイレに起きた際に「うーうー」というような声で何とか自分の存在を知らせたらしい。
母が「救急車を呼ぼうか?」と訊くと首を横に振って断ったため、母が父の首の後ろに手を入れ子供を抱えるようにして付き添い4~5時間同じ状態でいたらしかった。
その間にも何度か起き上がろうとしたが力が入らず起き上がれなかったそうだ。
母も力があまりないので力で起こしてやるようなことは出来ない。

年末頃から昼間はベッドで横になっていることが多かったのだが、母の話だとどうも夜中に起き炬燵に座っていたらしい。
呼吸器疾患や心臓疾患の人が呼吸苦になった時には起座位のほうが楽なのである。
父のベッドはもともとリクライニングベッドだったのだが壊れてしまっていて上げ下げが効かなかった。
12月の上旬にはいつもお世話になっているケアマネージャーさんが電動ベッドのレンタルを働きかけてくれて、父は一度は了解したのが何を思ったのか直後に断っていた。
私も「起きていたほうが楽なんじゃないの?」と何度も尋ねたが、「寝てれば大丈夫」と言う返事で、現に私が昼間行った時などは静かにベッドで寝ていた。
夜中になると不安感が増大して余計に呼吸が苦しくなってしまうのだろうか。

1月17日13時頃ににD病院で出してもらった鎮痛剤トラムセット10錠は、1月19日午前中には残り1錠になっていた。
1月19日午後がかかりつけの病院の呼吸器外来の日だったので受診した。
家の中でトイレにいくくらいはなんとか動いていたが、それ以上動くことはもう無理なので病院での移動は車椅子を利用した。


呼吸器外来の医師に12月中旬以降の状態や17日にD病院を受診して鎮痛剤を処方してもらったこと、18日未明の出来事、緩和ケアを希望することなどを話した。
すると今日入院させましょうと言ってくれた。
B病院の緩和ケア病棟への転院を前提にかかりつけの系列の病院(E病院)へ入院が決まった。


放射線治療を受ける前、父は治療はしなくてもよいと言っていた。
私は全く治療しないにしても放射線治療を受けるにしても状態が悪化してきた時が在宅では難しくなると思っていた。
そこで最初の段階から緩和ケアを行っている病院を気にしていたのだった。
前述したとおりD病院では放射線治療の時にスタッフが緩和ケアについてアンケート(問診)を取っていた。
また新病院のB病院では病院案内に緩和ケア病棟とあったので緩和ケアを行っていることを知った。
C病院で「定位放射線治療はやはり出来ない(難しい)」と言われた時にも、治療は仕方ないが最期の時が心配である旨伝えた。
「そういう意味も含めて近くの病院で放射線治療を受けておいたらどうか」とC病院の放射線科の医師にアドバイスされたのだった。

E病院にも呼吸器科があるわけではないのだが、父は以前にも肺炎で入院したことがあって馴染みがある。
家に戻ることなく受診から直に19日の夕方にE病院に入院した。
入院前のE病院の医師と話をして気管切開や経管栄養を希望するかどうかを確認されたが望まない旨伝えた。
状態によっては転院前に・・ということも覚悟の上。
移動は両病院の看護師さんが行ってくれ、夕方入院なのに夕食にも即対応してくれて、その前に摂食・嚥下障害の有無を確認すると言語聴覚士が病室を訪ねてくれるなど本当に一安心だった。
病院スタッフは基本みんな親切で本当によくしてくれる。
たぶん父も精神的に安心したのではないかと思う。
ただE病院の看護師さんが「この病院では普段そんなに強い鎮痛剤(麻薬系のことだと思う)は使わないので置いてないんですよ。早く転院できればいいですね」と言っていたように、鎮痛剤が効かず痛みが酷くなるようならば緩和ケアしかないだろうと思う。
痛みに苦しむということは本人も家族もスタッフも大変である。


看護師をはじめ病院スタッフは常に入院患者のQOL(quality of life)維持や向上に努めている。
出来ればずっと病院にお願いしたいという人も少なくないだろうと思う。
病院で見てもらえれば家族は安心。
病院嫌いな患者さんは少なくないが、そうは言っても本人にとっても安心。現実的な話、身内より他人のほうが良いこともあるのだ。
でも病院にずっといるこということはなかなか難しいことでもある。
一般的にはよく「3か月たつと退院や転院するように迫られる」というようなことが言われる。
どうしてこういうことが起きるのかと言うと、病院や病院スタッフはボランティアで行っているわけではないから。利益を出さなければならないのだ。
(災害ボランティアだってずっとではない、急性期だけですよね!?ボランティアですらそうなのだからボランティアでない場合には当たり前という話になる)


入院料金に大きく関与しているのは看護職員の配置である。
看護職員が多く配置されている病院ほど診療報酬の点数が高くなる。

【一般病棟入院基本料】
看護体制 1日の点数 看護師比率 平均在院日数
 7対1   1591点   7割以上   18日以内
10対1   1332点   7割以上   21日以内
13対1   1121点   7割以上   24日以内
15対1    960点   4割以上   60日以内
特別     584点     ―       ―  
(特別とは上記を満たさない場合)

看護職員が入院患者何人に対して1人いるかということが看護体制。7人に1人、10人に1人など。
平均人数なので平日昼間にはもっと多くの看護職がいる場合もあるし、夜間や休日はもっと少なくなる。
夜間も病棟ごとに最低2人は看護職員を配置しておく必要があるが、大抵最低人数2人で担当している。
「私1人で2人分働くので」とか言ってもダメである。

1点10円なので、看護職員が入院患者7人に1人いる病院では、1日の入院基本料は15910円となる。
そのうち患者さんの負担は1~3割。残りの部分は国民保険や社会保険が支払う。

看護師比率とは看護職員(看護師と准看護師の合計)のうちの看護師(正看護師)の割合のこと。
ランクが高い(入院基本料金が高い)病院ほど正看護師が多く必要になる。

平均在院日数は病院の一般病棟の入院患者から計算する。
例えば7対1の病院で平均在院日数18日を超えると、たとえ看護職員が十分に足りていても7対1の点数(入院基本料)を課すことが出来なくなってしまうのである。
看護職員を多く抱えるといことはそれだけ人件費がかさむのに、入院基本料金が安くなってしまっては元も子もないという状況に陥る。
看護体制の確保、平均在院日数の縛り、それ以外にもランクを維持するのは条件があるが、次第に条件は厳しくなってきている。
病院経営も大変なのだ。
看護体制が7人に1人、10人に1人の病院が一般に急性期病院と言われる病院で、こうした病院では3か月も入院させておけない。平均在院日数絡みで1~2週間勝負。
短期間入院を稼ぐためには手術よりも内視鏡のほうが良い。1クールの放射線治療を入院して行う理由などどこにもない。
とにかくベッドの回転率は病院にとってとても重要なのである。

過去記事
機宜*58 病院を入院から考える
機宜*61 入院とベッドの関係性 矛盾を抱えて
(診療報酬の点数は2年ごとに改定されているので過去記事とこの記事の点数は異なっています)






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by yumimi61 | 2017-01-25 17:11


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