2017年 02月 06日
父の病④
長く入院させると診療報酬の点数が下がるので病院は儲からない。
病院はボランティアではないので、病院経営を考えてなくてはならない。
病院経営を考えた時には看護体制の維持と病床の管理が非常に重要となる。
病床管理には「病床稼働率」と「平均在院日数」という2つの指標がある。
急性期病院では1~2週間での退院を目指している。
このようなことを先に書いた。

では一般的に「3か月で追い出される」「3ヶ月で転院させられる」と言われてるものは何かと言えば、急性期病院ではない病院である。
かつては、療養型病床や慢性期病院(慢性期病棟)、老人病院などと呼ばれていた。
それが2000年介護保険法施行、2001年医療法改正で見直された。
高齢者とは限らない療養型病床(慢性期病院)と高齢者が中心の老人病院を「療養病床」として一本化した。
そのうえで、「医療療養病床」と「介護療養病床」に分けたのである。

「医療型療養病床」は医療保険を利用して入院する。
「介護療養病床(介護療養型医療施設)」は介護保険を利用して入院する。


まずは「医療療養病床」の説明から。
療養型の病院は、急性期病院(病棟)や回復期リハビリ病院からの受け入れが多い。
病院によっては急性期(一般病床)と療養型(療養病床)の両方を持つ病院もある。

前に紹介したこの診療報酬の点数は一般病棟に当てはまるものである。
【一般病棟入院基本料】
看護体制 1日の点数 看護師比率 平均在院日数
 7対1   1591点   7割以上   18日以内
10対1   1332点   7割以上   21日以内
13対1   1121点   7割以上   24日以内
15対1    960点   4割以上   60日以内
特別     584点     ―       ―  
(特別とは上記を満たさない場合)

【入院期間加算】
①1~14日以内の期間  450点加算
②15日~30日以内の期間  192点加算
③30日以上 加算なし


療養型の点数は次の通り。
医療区分1では診療報酬の点数が低くて病院は儲からない。
でも医療区分3や2という状態は一般の人からしたらかなり重体であり、そこに該当しない区分1であっても、これで区分1なのかと感じてしまうかもしれない。(実際には患者や家族に区分を教えるわけではないけれども)

【療養病棟入院基本料1】・・医師48対1、看護体制20対1、医療区分2と3の患者が8割以上である必要あり

        医療区分3 医療区分2 医療区分1
ADL区分3   1810    1412    967
ADL区分2   1755    1385    919
ADL区分1   1468    1230    814


【療養病棟入院基本料2】・・医師48対1、看護体制25対1、医療区分2と3の患者が5割以上である必要あり
                ・・29年度末まで暫定的に認められている体制。

        医療区分3 医療区分2 医療区分1
ADL区分3   1745    1347    902
ADL区分2   1691    1320    854
ADL区分1   1403    1165    750


■医療区分3
・スモン
・医師及び看護職員により、常時、監視及び管理を実施している状態
・中心静脈栄養を実施している状態
・24時間持続点滴を実施している状態
・人工呼吸器を使用している状態
・ドレ−ン法又は胸腔若しくは腹腔の洗浄を実施している状態
・気管切開又は気管内挿管が行われており、かつ、発熱を伴う状態
・酸素療法を実施している状態 (安静時・睡眠時・運動負荷いずれかでSaO290%以下。常時流量3L以上を必要とする状態、心不全状態(NYHA重症度分類のⅢ度又はⅣ度)、肺炎等の急性増悪で点滴治療を実施している状態(実施から30日間)に限定。それ以外は区分2)
・感染症の治療上の必要性から隔離室での管理が行われている状態

■医療区分2
・筋ジストロフィ−症
・多発性硬化症
・筋萎縮性側索硬化症
・パ−キンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パ−キンソン病(ホ−エン・ヤ−ルの重症度分類 がステ−ジ3以上であって生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度の状態に限る))
・その他の難病(スモン、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、パ−キンソン病(ホ−エン・ヤ−ルの重症度分類がステ− ジ3以上であって生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度の状態に限る)を除く)
・脊髄損傷(頸椎損傷を原因とする麻痺が四肢全てに認められる場合に限る)
・肺気腫/慢性閉塞性肺疾患(ヒュー・ジョーンズの分類がⅤ度の状態に該当する場合に限る)
・悪性腫瘍(医療用麻薬等の薬剤投与による疼痛コントロ−ルが必要な場合に限る)
・肺炎に対する治療を実施している状態
・尿路感染症に対する治療を実施している状態 (発熱、細菌症、白血球尿(>10/HPF)の全てに該当する場合)
・傷病等によりリハビリテ−ションが必要な状態(原因となる傷病等の発症後、30日以内の場合で、実際にリハビリテーションを行っている場合に限る)
・脱水に対する治療を実施している状態 (舌の乾燥,皮膚の乾燥の両方ともみられるもの)
・消化管等の体内からの出血が反復継続している状態
・頻回の嘔吐に対する治療を実施している状態 (1日1回以上を7日間のうち3日以上)
・褥瘡に対する治療を実施している状態(皮膚層の部分的喪失が認められる場合又は褥瘡が2カ所以上に認められる場合に限る。)
・抹消循環障害による下肢末端の開放創に対する治療を実施している状態
・せん妄に対する治療を実施している状態
・うつ症状に対する治療を実施している状態(うつ症状に対する薬の投与は精神保健指定医が行う場合に限定)
・他者に対する暴行が毎日認められる状態
・人口腎臓、持続緩除式血液濾過、腹膜灌流又は血漿交換療法を実施している状態
・経鼻胃管や胃瘻等の経腸栄養が行われており、かつ、発熱又は嘔吐を伴う状態
・1日8回以上の喀痰吸引を実施している状態
・気管切開又は気管内挿管が行われている状態(発熱を伴う状態を除く)
・頻回の血糖検査を実施している状態((1日3回以上の血糖チェックを7日間のうち2日以上実施、糖尿病へのインスリン製剤又はソマトメジンC製剤の注射を1日1回以上実施)
・創傷(手術創や感染創を含む)、皮膚潰瘍又は下腿若しくは足部の蜂巣炎、膿等の感染症に対する治療を実施している状態

■医療区分1
医療区分3、医療区分2に該当しないもの


●ADL(日常生活動作)区分
ベッドの可動性・移乗・食事・トイレの使用についてそれぞれ次の6段階で評価し、ADL得点(合計)が決まる。

0:自立―手助け、準備、観察は不要又は1〜2回
1:準備のみ―物や用具を患者の手の届く範囲に置くことが3回以上
2:観察―見守り、励まし、誘導が3回以上
3:部分的な援助―動作の大部分(50%以上)は自分でできるが、四肢の動きを助けるなどの体重(身体)を支えない援助を3回以上
4:広範な援助―動作の大部分(50%以上)は自分でできるが、体重を支える援助(例えば、四肢や体幹の重みを支える)を3回以上
5:最大の援助―動作の一部(50%未満)しか自分でできず、体重を支える援助を3回以上
6:全面依存―まる3日間すべての面で他者が全面援助した(及び本動作は一度もなかった場合)

※合計ADL得点による区分
0~10点  → ADL区分1
11~22点 → ADL区分2
23~24点 → ADL区分3


医療区分3で唯一入っているスモン(亜急性脊髄視神経症)という疾患は薬害病である。
整腸剤キノホルム(クリオキノール、5-クロロ-7-ヨード-8-キノリノール)による薬害。1955年頃より発生し、1967〜1968年頃に多量発生した。
当初は原因不明の風土病とされ、発症者が多かった土地の名を取って釧路病と言われたり戸田奇病と言われたりした。ウイルス原因説も出たが、現在ではキノホルムが原因と判明している。
田辺製薬はキノホルム原因説の正しさを認識しつつ自社に不都合なデータを握り潰し、ウィルス原因説に固執していたが、白木博次の証言により敗訴に追い込まれた。




医療保険を利用する「医療型療養病床」(医師は48対1、看護体制20対1、29年度末までは25対1が認められている)への入院は、病院が入院に応じてくれさえすれば誰でも入院できる。
但し上記のように療養病床は医療区分3・2の人の比率を一定以上にしなければならず、医療区分3・2の患者が優先されるため区分1の患者の入院については必然的に厳しくなる。
こちらは医療保険を利用するので患者の支払う医療費(入院費など)は高額療養費制度の対象となる。

一方の介護保険を利用する「介護療養病床(介護療養型医療施設)」。
医師は48対1、看護体制は20対1であるが29年度末までは暫定的に30対1が認められている。
こちらは比較的重度の要介護者に対して医療処置とリハビリなどを提供するものである。
酸素吸入、痰の吸引、経管栄養など医学的管理ケアへの対応は十分であるが、レクリエーションや生活支援系サービスには重点が置かれていない。
医療機関という位置づけにある。医療法人が運営し病院に併設されていることが多い。
一般病棟のように大部屋もあり比較的少ない費用負担で利用できる。
とはいっても介護保険での入所となるため、かかる費用は医療保険とは全く性質を異にする。
初期費用は必要ないが、月額利用料が必要となる。
月額利用料は施設や部屋の設備、世帯収入や課税状況によって違いがあるが、およそ9万~17万円/月ほどの自己負担となる。
医療保険ではないので高額療養費の対象でもない。
入所対象者は医学的管理が必要な要介護1以上の高齢者(65歳以上)。
現実的には介護療養型医療施設の平均要介護度は4.39であり、入所者の要介護度はもっと高い。
ケアマネジャーを通して申込み、医師や施設スタッフや行政担当者などで構成される委員会が「要介護度」「介護の必要性」「介護者の状況」「待機期間」「資産や収入額」などから入所を判断する。
ほとんど満員状態であり、入所まで通常数か月程度の期間を要すると言われている。








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by yumimi61 | 2017-02-06 17:50


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