2017年 02月 20日
父の病⑨
動くと苦しくなる(苦しくて動けない)という特徴を持つ疾患を患っていて、肺気腫による呼吸器機能障害3級であった父の要介護認定の結果はどうであったかというと、要支援であり要介護になったことはない。

下記は先日書いたものだが、要介護度は要支援1から要介護5まで7段階ある。要介護5が一番介護を必要とする人。

介護保険では指定の介護サービスを1割自己負担で受けられるわけだが、①がその費用(自己負担分)である。
介護サービスは何でもかんでも希望するものを受けられるわけではなく、介護度に応じてサービスや金額は決まっている。
逆を言えば、どんなにお金を出すと言っても、介護保険における介護サービスはこれ以上は受け付けないということである。

要介護状態  支給限度額(単位) 自己負担限度額(円)
要支援1      4万9,700        約4,970
要支援2     10万4,000        約1万400
要介護1     16万5,800        約1万6,580
要介護2     19万4,800        約1万9,480
要介護3     26万7,500        約2万6,750
要介護4     30万6,000        約3万600
要介護5     35万8,300        約3万5,830
※1単位=1円
※1ヶ月あたりの限度額



【要介護度の決定まで】
①要介護認定を受けるためにはまず居住地の市町村に申請書を提出する。
②申請書が出されると、市町村の職員や市町村から依頼された介護支援専門員(ケアマネジャー)が家庭や施設、病院などに申請者を訪問し、全国共通の調査項目にそって日頃の心身状態などの聞き取り調査を行う。
③調査票の内容を元にコンピュータによって判定が行われる。⇒一次判定
④主治医から意見書をもらう。
⑤一次判定や主治医の意見に基づき、どれくらいの介護が必要かを介護認定審査会(保健医療福祉に関する学識経験者5~6人で構成)が判定する。⇒二次判定(7段階の介護度決定、あるいは非該当となる)

●申請から30日以内に市町村から認定結果が届く。
●認定は無制限に有効ではない。新規認定の場合の有効期限は6ヶ月。変更申請での認定も6ヶ月。更新申請の場合は12ヶ月。有効期限を経過すると介護サービスを利用できなくなるので、継続して介護サービスを利用する人はその都度更新申請する必要がある。


父は長いこと要支援2であった。
病気の程度や医療の必要性と要介護度は必ずしも一致しない。リンクしていないと考えたほうが良いかもしれない。

要介護認定は、介護サービスの必要度(どれ位、介護のサービスを行う必要があるか)を判断するものです。従って、その方の病気の重さと要介護度の高さとが必ずしも一致しない場合があります。

[例]認知症の進行に伴って、周辺症状が発生することがあります。例えば、アルツハイマー型の認知症の方で、身体の状況が比較的良好であった場合、徘徊をはじめとする周辺症状のために介護に要する手間が非常に多くかかることがあります。しかし、身体的な問題が発生して寝たきりである方に認知症の症状が加わった場合、病状としては進行していますが、徘徊等の周辺症状は発生しないため、介護の総量としては大きく増えないことが考えられます。

厚生労働省 要介護度認定はどのように行われるか より>

ではこの高齢化時代にどれくらいの人が介護認定(要支援・要介護)を受けているか?
認定率の全国平均値は17.6%である。
(認定率=介護保険第1号被保険者の要介護認定者数/介護保険第1号被保険者数) 
(介護保険第1号被保険者とは65歳以上の者)

簡単に言えば、65歳以上の17.6%の人が要支援・要介護の7段階の認定のいずれかを受けているということ。
65歳以上の17.6%でしかないと考えるか、17.6%もいると考えるかは人それぞれといったところか。
ちなみに要介護だけならば全国平均値は12.7%である。

■要支援・要介護認定率の高い都道府県
 1.長崎県 22.3%
 2.和歌山県 21.7%
 3.徳島県 21.2%
 4.島根県 20.7%
 5.愛媛県 20.6%
 6.鹿児島県 20.5%
 7.岡山県 20.3%
 8.秋田県 20.2%
 9.熊本県 20.1%
10.鳥取県 19.8%

■要支援・要介護認定率の低い都道府県
 1.埼玉県 13.7%
 2.千葉県 14.1%
 3.茨城県 14.4%
 4.愛知県 15.1%
 5.静岡県 15.1%
 6.栃木県 15.4%
 7.山梨県 15.6%
 8.神奈川県 15.7%
 9.岐阜県 15.8%
10.滋賀県 16.8%
(群馬県は11位で16.9%、東京都は14位で17.4%) 

認定率が低いのは関東圏である。上位3県は関東であり、関東の1都6県は全て全国平均値以下である。
ではここから何が言えるかということはなかなか難しい。
どこに有意差があって、どこに有意差がないのか、これだけでは分からない。
介護認定制度の認知度、あるいは申請の頻度に都道府県の差があるのかどうか。(上記のパーセンテージは認定者/申請者ではない)
コンピューター判定などを取り入れ公平に努めているとはいえ、最初の聞き取り調査や最終的な認定は人間が行っており、しかも全て同じ人間が担当しているわけではないから、比較のための条件が揃っているとは言いきれない。
また高齢になるほど援助が必要になるのは当たり前のことなので、「65歳以上」という同一の条件であっても、65歳以上の中に高齢者が多くいるほど認定率が高くなることは予想できる。
介護度認定と同居の有無は直接関係はないが、審査に携わる専門家(市町村職員、介護支援専門員、医師、学識経験者)にバイアスが全くかからないとは言えないと思う。
実際の運用面から見れば生活援助は同居の家族が居る場合には受けられない。
施設入所なども同居家族がいる場合には優先順位が低下したり収入限度額の関係で安いところには入れないなどといったことはある。

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出典:WAM NET 独立行政法人 福祉医療機構



第一次判定での要支援2と要介護1の要介護状態は同じである。
では2つを分けるのは何か?
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出典:厚生労働省 同上


要介護1に該当する(予防給付が適さない)のは次の人。
 ・心身の状態が安定していない者
 ・認知症等により予防給付の利用に係る適切な理解が困難な者

厚生労働省のホームページには具体的な説明がある。

予防給付の適切な利用が見込まれない状態像は、以下のように考えられる。

(1) 疾病や外傷等により、心身の状態が安定せず、短期間で要介護状態等の再評価が必要な状態

・脳卒中や心疾患、外傷等の急性期や慢性疾患の急性増悪期で不安定な状態にあり、医療系サービス等の利用を優先すべきもの 。
・末期の悪性腫瘍や進行性疾患(神経難病等)により、急速に状態の不可逆的な悪化が見込まれるもの等。

これらの状態の判断は、運動器の機能向上のためのサービス等、個別サービスの利用の適格性に着目して行うのではなく、要介護状態が変動し易いため予防給付そのものの利用が困難な事例が該当すると考えられる。

(2) 認知機能や思考・感情等の障害により、十分な説明を行ってもなお、予防給付の利用に係る適切な理解が困難である状態

・「認知症高齢者の日常生活自立度」が概ねⅡ以上の者であって、一定の介護が必要な程度の認知症があるもの。
・その他の精神神経疾患の症状の程度や病態により、予防給付の利用に係る適切な理解が困難であると認められるもの。



父は1年に一度介護認定を更新していて、昨年8月が更新時期だった。
肺がんと診断され、放射線治療を受けたのが昨年の5~6月。
呼吸機能が良くないために治療は不可能と言われ、父もそれを受け入れ積極的な治療は希望しなかった。
当初は放射線治療も呼吸機能を落とすだけなので出来ないと言われた。
それでも僅かな望みをかけてということで定位放射線治療を勧められ、その後は全て各病院の医師の指示に素直に従ったまでのこと。
結局定位放射線治療は受けることが出来ずに、当初出来ないと言われた放射線治療を行う結果になった。
「放射線治療の副作用が出るとしたら3ヶ月後くらいからだと思う」と放射線治療を行った医師は言っていた。
そうであるならば8~9月頃から副作用が出る、つまり容態が悪くなっていく可能性があるということである。

そうでなくともがんと診断されてからの父は体調が思わしくなかった。
がんが見つかるまではそれまでと変わったところはなく、がんが疑われた時にも父は「なんの症状もない」と言っていた。
肺気腫で在宅酸素療法を行っていたこともあって父は1ヶ月に1回欠かすことなく病院を受診していたが、定位放射線治療が問題なく出来るほどがんが早期に発見されることはなかった。
7~8cmの悪性腫瘍が肺にあるという宣告は周囲が思う以上に父を苦しめたと思う。
すぐに食欲不振や不眠を招き、混乱して記憶力の低下や同じことを何度も言うようなことが見られた。急激だった。
「頭の中がぐちゃぐちゃになっちゃった」とか「うつになっている」など混乱を何度か口にした。
認知症ではなくてショックで認知能力が下がってしまった状態、父が自分で言うように老人性うつに近い状態だったかもしれない。

しかしながら驚くべきことに、8月の介護認定の更新で父の等級は下がったのである。
要支援2から要支援1になった。

父の状態は厚生労働省が示す予防給付に該当する状態にはなかった。状態維持や改善可能性は低い。予防給付(要支援)ではなく介護給付(要介護)に移るべき状態に相応しい。

・末期の悪性腫瘍や進行性疾患(神経難病等)により、急速に状態の不可逆的な悪化が見込まれるもの等。

しかし結果は全く違って逆行したのである。














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by yumimi61 | 2017-02-20 14:33


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