2017年 03月 04日
父の病⑯
高齢化社会ばかり叫ばれるので病院も施設もさぞかし儲かるのだろうと思いがちだが、どちらも経営はそれほど楽ではない。

(医療保険)
■一般病床 89.4万床
■医療型療養病床 27.1万床
■精神病床 33.6万床

(介護保険)
●介護療養病床(介護療養型医療施設) 6.1万床 ・・・廃止が決定してから5~6万床減少した。
●特別養護老人ホーム 54.1万床
●介護老人保健施設 36.2万床

・有料老人ホーム
・軽費老人ホーム(ケアハウス)
・グループホーム
・サービス付き高齢者向け住宅



療養病床は高価な機器や薬剤を使用する機会が少ないために一般病床などよりも支出が低く抑えられる。
また人件費も少なくて済む。
介護より医療の割合が大きくなればなるほど支出は増える。
病院が利益を上げるためには、人件費をなるべく抑え、入院単価(平均在院日数遵守など)と利用率(ベッド回転数)を上げることが大事であるが、単価を上げるためにはクリアしなければならない条件がある。
介護療養病床(介護療養型医療施設)の廃止が決まったために、医療型療養病床に転換した病院があるが、医療型療養病床は医療区分2・3の患者が8割以上(暫定で5割もあり)という決まりがあるため、医療の度合いが俄然高くなり支出が大きくなる。
患者も誰でも良いわけではなく、医療区分2・3の患者である必要がある。
介護療養病床(介護療養型医療施設)から医療型療養病床に転換した病院では病床利用率が下がり、且つ利用率の格差も広がっている。
患者確保と病床管理(ベッドコントロール)に苦労していて、なかなか利益に繋がらない。


施設も人件費をなるべく抑え、入居単価と利用率を上げることが大事。
入居単価が低い施設は放っておいても人気が高いが、入居単価が高い施設では利用者確保が経営を左右する。
入居単価が高いということは多くの場合、設備投資や人件費に費用が掛かっているはずなので、それを踏まえていかに利益を出すかということを考えなければならない。
例え非営利法人であっても利益を出さなければ人件費が出なくなったりして結局経営を維持できなくなってしまう。
(非営利法人とは利益を株主や出資者などに分配しない法人のことで利益を出すことは別に問題ない。但し無暗に利益追求すべき法人ではない)
営利法人であるならば利益追求は当然な話。


そこで病院も施設にも営業が必要になってくる。
かつては病院や施設の営業というと事務方の仕事であった。
例えば、企業の検診(健診)や人間ドック担当者のところに営業に向かい、「ぜひともうちの病院を使ってくれませんか」とアピールするわけである。
一方で病院は営業される側でもある。
製薬会社にはMR(Medical Representatives)と呼ばれる営業職があり、医師や薬剤師を訪ねて「これこれこういったうちの薬剤をぜひとも使ってもらえないでしょうか」と自社製品の情報提供とPRをする。

昨今は医療ソーシャルワーカーやケアマネージャーも営業活動を行う。
(昨今はと書いたが、聖路加病院の浅賀ふさは病院営業マンの先駆者ではないだろうか?)

医療型療養型病院の医療ソーシャルワーカーは、急性期病院や回復期リハビリ病院などに営業に出向き、自分の病院の対象となる患者を紹介してもらい、その患者を転院させて受け入れる。

施設のケアマネージャーは自分が勤務している施設などに利用者を確保するために病院の地域連携課(室)に営業に出向いて、医療ソーシャルワーカーなどに施設をアピールし、施設の利用者になりそうな人に施設を紹介してもらうなどする。

会計検査院が「特定の業者に偏りがちである」と指摘したように、公正中立であるべきケアマネージャーが所属法人の利益に繋がるようなプランを作成をしたりマネジメントをしてしまうことがある。
それ以外にも営業活動がケアプランやマネジメントに影響を与えていることがある。
医療や介護の現場も純粋に清廉潔白というわけでもない。
それは給料を得るために働く人がいて、利益を上げる必要があるからなのだ。
なかなか難しい問題ですね。


さらに難しいのは営業を行う人達。
経営側からは「利用率や回転率をなんとかしろ」とか」「利用者を確保してこい」といった命令を下され、いざその通りにすると今度は現場側から「こんな人手で患者(利用者)増やすとか迷惑なんですけど」とか「重症患者(利用者)ではなくてもっと軽い人を見つけてきてください!」とか言われてしまう。
経営と現場の板挟み。中間管理職みたいな感じでストレスを蓄積させたり爆発させやすい。
「いやいや・・そういう・・わけにも・・いかないのよ・・・法律での・・規定もあることだし・・・むにゃむにゃ」(蓄積型)
「はっ?それ私に言う?文句があるならば直接経営側に言いなさいよ!」(爆発型)
どちらの言い分が正当かどうかはともかく、現場に出ないマネジメントだけの仕事は現場から理解を得にくい。






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by yumimi61 | 2017-03-04 14:49


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