2017年 03月 31日
父の病㉗
かかりつけの病院→A病院→B病院→C病院→D病院→かかりつけの病院

1月17日(火) D病院受診(鎮痛剤トラムセットを10錠処方)
1月19日(木) かかりつけの病院を午後受診→そのまま夕方入院 (午前中は母が受診)
1月20日(金) 入院に必要な荷物を持っていったり書類を提出したり。
1月21日(土)
1月22日(日)
1月23日(月) 地域連携課から電話あり(面談予約)。
1月24日(火) 地域連携課担当者と面談し、その後転院先へ送る書類記入。
1月25日(水)
1月26日(木) 地域連携課担当者から電話あり。面談。夕方3者面談。(午前中は母が受診)
1月27日(金) ナースステーション前の個室に移っている。地域連携課担当者と面談。
1月28日(土)
1月29日(日) 死亡

1月26日(木)
急ぎの話は、「かなり温度差がある」ということだった。
この日の朝に父に話を聞くために訪ねたところ、「転院なんか知らない。家に帰る」というようなことを父が言ったらしいのだ。
その言い方が荒かったのか無下だったのか、ともかく父は「話は娘が来てから」と全く取り合わなかったらしい。
緩和ケア病棟は家族ではなく本人が何もかも納得の上で強く希望していないと入れないそうで、「あれでは緩和ケア病棟に受け入れてもらうことは無理です」ということだった。
でも私は24日に書いた質問の答えに嘘なんか書いたつもりは全くない。
とにかくもう一度お父さんと話をしてみてくださいとは言っていたが、緩和ケア病棟への転院はもはやないような雰囲気があった。
看護学校の講義の時間が迫っていたので、夕方もう一度面談をする約束をして別れた。

(略)

地域連携課の担当者と別れたその足で母と父の病室を訪ねた。
「お父さんっ転院しないで家に帰るって言ったでしょ」
私は家で父に話しかけるように遠慮なくそう言った。
「今朝来て急に言われたから、娘が来てからにしてくれって言ったんだよ」と父。
「あの人は転院の手続きをしてくれている人だから。入院した時に説明したじゃない、転院するんだよって。あの時苦しかったからよく覚えてないんでしょ。だけどここにずっといられるわけではないし、家に帰っても大変だと思うよ。入院する前の日の夜の事を考えたらそう思うでしょう?今は病院で面倒見てくれるから少し楽になったかもしれないけれどさぁ」
「人は、喉元過ぎれば熱さ忘れる、なんだなあ」
結局父はすぐに観念した。
「面会に行くよ、お母さんも連れて行くから。状態がよくなれば外泊もできるんだって」と教えてあげるとちょっと安心したみたいだった。
母が「みんな心配してよくしてくれるんだからあまり我儘言わないで言うことを聞いてくださいね」と「そうだね」と父はうんうんと頷いた。


1月26日(木)夕方
「かなり温度差があり、あれでは緩和ケア病棟に受け入れてもらうことは無理です」という言葉を残して看護学校の講義に出掛けて行った地域連携課の担当者(看護師資格を持つ相談員)と夕方再び会った。
まず私との2者面談を行った。
私は父と話をして転院することに対して了解を得たことを告げたが、相談員さんはもはや転院に積極的ではなかった。
完全に緩和ケア病棟への転院は無理と判断し諦めているような様子であった。
緩和ケア病棟は審査が厳しいので誰でも入れるわけではないというようなことを説明された。
本人が治療を望んでいる状態ではもちろんダメ。
病気の状態や現実を全てを理解し納得していること。迷いがある状態ではダメ。
死を受け入れて、死までを安らかに過ごしたいので「お願いします」というような気持ちや態度である必要がある。
それは家族ではなくあくまでも本人の意志でなければならない。
これだけを聞けば、父は緩和ケア病棟を希望する患者に相応しい優等生ではないと相談員さんに判断されたと理解するしかない。



肺がんであることと治療方法がないことを宣告されてからおよそ1年。
1年もの間、死が迫りくるというストレスの中に身を置いてきた。
年末には胸の痛みが出たり以前にも増して呼吸が苦しくなっていた。これもまたかなりのストレスとなる。
息苦しさと胸痛(肺疾患・心臓疾患)、強い痛みは死を彷彿させるもので患者の苦痛(ストレス)は相当高くなるものでもある。
父はまさにその状況にあった。
年齢的にも80歳を超えている。
この状態にあって鮮明な記憶を維持し、混乱を来たさないことを要求することはあまりに酷である。
命が危ないと感じている状況で本人が意識的にインプットできる情報なんて限られている。
状態の悪かった入院時、「転院するからね」という私の言葉を父が意識的にせよ無意識であったにせよ生命維持には重要ではないと判断したとしてもそれは仕方のないことだ。
痛みがあり呼吸が苦しくて命が危ないと感じている状況でテスト勉強をしてどれほど頭に入るかという話ですよ。100点満点取れると思いますか?


父は入院前から自身の混乱を「頭の中がぐちゃぐちゃになる」などと幾度が口にしたことがある。
何かを忘れてしまったことや勘違いなどがあり本人もそれを自覚していた。
短期記憶が怪しくなる時があるわけだから、認知症テストをすれば点はそれまでよりも低めに出るだろう。
実際父はがん発覚以降に行った介護認定更新時の認知症テストで要経過観察となった。
加齢による記憶力低下も当然あるだろうけれども、多くはストレスから来るものだろうと私は感じていた。

父は介護認定更新時の認知症テストを受けた頃に私に電話をかけてきたことがあった。
「認知症テストしたんだけど、ぼけちゃったらしい。家族と病院に来るように言われた」という内容だった。
その後、指定の日に父と病院へ行った。
病院に行って初めて分かったが、認知症テストは全く関係なかった。
父は耳の下のリンパ節に少し痛みがあり、かかりつけの病院の耳鼻科を自分で受診したのだった。
そこで検査して悪性腫瘍が疑われたため結果説明に家族と来るようにと言われたのである。
父はそのことを忘れていたり分からなかったわけではない。
ちゃんと指定された日時に、呼吸器科でも内科でもリハビリ科でもなく耳鼻科に私を連れて行った。
医師の話も理解していた。
何も知らなかったのは私である。父は私にリンパ節の痛みという不安を打ち明けず自分一人で受診し、来てほしいという電話の時にもバツが悪かったのか私に心配をかけまいと必死だったのか耳鼻科にかかったという話を一切持ち出さなかった。
父を怒る気にはなれなかった。

耳の下のリンパ節に若干異常があることはB病院で指摘されていた。
但しこれを問題にするレベルにはないということも言われた。
肺の腫瘍のほうが大きく、それを治療する手立てがない状況では、リンパ節に異常があったとしてもどうにもならない。
リンパ節に関してはそれ以上詳しい検査などはしなかった。
私はそのことをよく覚えていたので、父に「耳の下のリンパ節に少し異常があることはB病院で言われたよ。だけど問題にするものではないから」と説明した。
「そうか」と父はちょっと安堵した表情を見せた。
私は耳鼻科の医師にも、父は肺がんであり耳の下のリンパ節にも若干異常が認められることをB病院で指摘されていることを説明した。
「父もその場にいました。聞いたこと自体は忘れてしまったのかもしれませんが、聞いたからこそ無意識に耳の下が気になっていて痛みとして現れ、受診したのかもしれません」とも話した。
「そうでしたか、知っていたならば結構です。知らないのかと思いまして」と医師は答えた。


地域連携課の担当者は、1月24日(火)の面談の時にはそういう素振りはなかったが、1月26日(木)になると緩和病棟への転院に急に難色を示した。
前にも書いた通り、地域連携課の担当者は26日の朝に父のもとに行ったということだった。
父はその場で転院をしないとかなんとか言ったらしかった。
私は入院後父が若干元気を取り戻していたように感じていたので、「病院で安心して少し元気になったせいかもしれません」と言った。
担当者も「私が訪ねて行った時にもベッドに座っていたから驚きました」と言った。
もっと容態が悪いことを想像していたということだろう。
ベッドに座って口答えをするような患者は緩和ケア病棟には向かないということなのだろうか。
私は緩和ケア病棟という所に実際に行ったことがないので、いろいろと質問をしてみた。
その担当者は緩和ケア病棟で働いていたことがあるということだった。
緩和ケア病棟にもいろいろあるが、転院しようしている所(B病院)はとにかく審査が厳しいということだった。
26日には担当者はほぼ無理であるという判断をしていたのだが、それがB病院の反応からだったのか、それとも本当に26日朝の父の様子からなのか私は真意を計りかねていた。

「書類審査で断られました」という返事ならば了承するしかない。でもそういう言い方はされなかった。
だから私は「審査を通らなくてもいいので手続きを勧めてほしい」と訴えたが良い返事はもらえなかった。
中間管理職のような医療ソーシャルワーカーにあまり無理強いをしても申し訳ないと思い、「それならば外来(緩和ケア外来)を受診してみるというのはどうでしょうか?」とまでも言ってみた。
しかし何を言っても駄目だった。

担当者は話す。
「本来はD病院で受け入れるべきだと思うんですよ。私もD病院い聞いてみたんですけど断られました」
D病院には緩和ケア病棟はないが緩和ケアチームが作られているそうである。
私は担当者に一通りの経過を24日に嘘偽りなく話しているのだが、D病院の内科を受診したことは確認がとれなかったような口ぶりだった。整形にかかっているとかなんとか言われたとか。
「地域連携課の話ですけれども」と付け加えた。

そして担当者は施設を勧めてきた。
「実はがん患者も受け入れている施設に1つ空きがあるとの情報をもらったのでちょうどよいと思って。月夜野病院の施設です」
私は、「父は施設に入れるような状態ではないと思うし、父の介護度は要支援1なので施設に入れる資格はないかもしれません」と答えた。
すると「とりあえず病院で受け入れて状態が良くなったら施設に行けばいいんですから」ということだった。
たった今「病院」ではなくて、「施設」に空きがあるって紹介したじゃない!(なんてことは口には出していない)
病院が運営している施設で併設されているから医療も受けられて安心と勧められた。
月夜野病院は知っていたが、月夜野病院がどんな施設を有しているのか私はその時点では分からなかった。
担当者から施設の詳細の説明はなかった。介護度についても触れなかった。
状態が良くなったら施設に行けばいいということは介護度が高い人が行く施設ではなさそうだと判断した。


月夜野病院の施設については家に戻ってから調べてみた。
介護関係の施設を幾つか持っているが、担当者から得た情報から判断すると該当するのは1つ。有料老人ホームだった。
有料老人ホーム花水月は、月夜野病院の3階に開設された住宅型有料老人ホームです。全室個室で25室あります。病院と同一の建物と併設し、医療・介護と連携して最高の安心をご提供します。「花水月」は名前の通り、春は美しい花々に囲まれ、夏は谷川の清水に蛍が飛び交い、秋は月夜野の名月を望む自然豊かな環境の中にあります。このような恵まれた環境で入居の皆様と一緒にリラックスした楽しい毎日を作っていくように、職員一同頑張ります。どうぞ、よろしくお願い致します。
月夜野病院ホームページより>

施設詳細はこちら

入居者募集中とある。

住宅型有料老人ホーム
全室個室 25室
(14.3~15.41㎡)

月額利用料金
136,500円
+別途介護費用がかかります。

例外があるのか分からないが入居条件は「要介護の方」と記されている。父は該当しない。
受け入れ体制完備という欄には、経管栄養や点滴などの他にがんの終末期とも書いてあった。


(医療保険)
■一般病床 89.4万床
■医療型療養病床 27.1万床
■精神病床 33.6万床

(介護保険)
●介護療養病床(介護療養型医療施設) 6.1万床 ・・・廃止が決定してから5〜6万床減少した。
●特別養護老人ホーム 54.1万床
●介護老人保健施設 36.2万床

・有料老人ホーム
・軽費老人ホーム(ケアハウス)
・グループホーム
・サービス付き高齢者向け住宅 


前にも書いたことだが有料老人ホームには次の種類がある。

■「介護付有料老人ホーム」(特定施設入居者生活介護)
都道府県より特定施設入居者生活介護の指定を受けた有料老人ホームのみが「介護付有料老人ホーム」と名乗ることが出来る。
特定施設入居者生活介護の指定を受けていない有料老人ホームについては介護付と表示することはできない。
介護サービスは24時間施設常駐スタッフによって提供される。
食事や入浴や排泄など日常生活全般の介護サービス・生活サービスの提供を受けられる。
入居は要介護者を対象とした介護専用型と、要支援者や自立している人(認定を受けていない人)も受け入れる混合型がある。
経管栄養や気管切開といった医療ケア(医療行為)が必要な人でも入居できる施設が比較的多い。(しかしながら看護師が24時間常駐している施設はごく僅か)
部屋は個室、入居は終身が原則。
(以後略)

■住宅型有料老人ホーム
入居は終身が原則。
サービスは食事の提供と緊急時の対応くらいで、施設常駐の介護スタッフによる介護サービスは提供されない。
介護が必要な人は自宅の場合と同様に訪問介護などの介護サービスを受けることは可能。(=介護保険による在宅介護サービス)
入居一時金は0〜数千万と幅広い。月額費用は10〜30万程度。
常駐の介護スタッフがいないため介護度の重い人の場合には外部介護サービスを頻繁に利用することになり介護保険の上限額を超えやすい。
超えた分は全額自己負担となるので、介護度の高い人は費用が必要以上にかかってしまう可能性が高い。

■健康型有料老人ホーム
(略)

■特定有料老人ホーム
有料老人ホームのうち、次の条件を満たすもの。
1.医療法に規定する病院、老人福祉法に規定する養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム又は介護保険法に規定する介護老人保健施設に隣接した場所に設置されている。
2.定員が50人未満。
3.利用料が比較的低廉であり、かつ、入居者からは原則として利用料以外の金品を徴収しない。
これを満たせば独立行政法人福祉医療機構から融資の対象となるため、「介護付有料老人ホーム」(特定施設入居者生活介護)などに比べて利用料を安く設定でき、近くに病院や介護スタッフ・支援スタッフがいる施設があるということで住宅型有料老人ホームなどよりも安心感を売りにできる。
最近はこのタイプも多い。 



「新しい月夜野病院の建物の3階に併設 最高の安心と安全を提供します」と施設紹介ページには大きく書かれている。
しかしながら居室の種類は、介護付有料老人ホームでも特定優良老人ホームでもなく、住宅型有料老人ホームなのである。
医療スタッフどころか介護スタッフも常駐していないのが住宅型有料老人ホームである。
必要な人は在宅時と同様に外部の介護サービスを申し込んで受けるタイプの施設である。
但し月夜野病院は介護サービスを提供する施設やセンター(月夜野病院総合介護センター)を別に持っている。
介護保険あるいは実費で希望者はその月夜野病院が展開する外部介護サービスを受けられるということなのだ。
病院と同じ建物に併設してあっても、法的には全く別の施設である。
言い方は悪いかもしれないが、ちょっとした詐欺のような感じである。


みんなの介護 有料老人ホームの設立の条件とは?

有料老人ホームの中でも、住宅型有料老人ホームでは人員配置に関する基準は特にありません。これは比較的元気な高齢者を入居対象者として想定しているこ と、提供するサービスが利用者ニーズにより異なることなどから施設が提供するサービスに応じて必要なスタッフが配置されていればいいとされているからです。

一方で、介護保険における特定施設入居者生活介護の指定を受けている介護付き有料老人ホームでは、介護保険法に基づき職員配置に関しては最低基準が設定されています。下記の表にある通り、要介護・要支援2の高齢者3人に対して最低1名を配置することが求められています。老人ホームを探している際に、人員体制で 「3:1」と記載されているのはこのことを指し、入居者2名に対し1名の職員を配置している場合は「2:1」などと表記されているはずです。最低基準は 「3:1」ですから、この数字が手厚い介護体制が整っているかどうかなどを判断するひとつの基準となっているのです。

有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅を運営するにあたって、特別に必要となる資格はありません。強いて言えば、「法人であること」ということになるでしょう。








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by yumimi61 | 2017-03-31 12:29


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