2007年 08月 09日
標本
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光と影が揺れる 陽炎が燃える

背中に伝わる汗はこんなにも確かだというのに







蝉が生き急ぐかのように鳴いていて 草は死に絶えぬふうに生えている

この永遠とも思う暑さに私を溶かして 汚れを漉して透明な水で満たせたらいいのに


泳がせた視線の先にありふれた蝶 

シジミなんていう紛らわしい名前をつけられた蝶が 冷ややかな空気でそこにいた

悲しみのように美しかった

透明な写真が撮れるかもしれない そう思ったのは

透明な写真がたまらなく好きだったから

今でもきっと好きなのだ だというのに

流行のカメラ雑誌に乗せられたのかどうかは知らないけれど

女の人の撮る写真=透明っぽい写真 の図式が蔓延って

どこかで見たことあるような それ風の写真があちこちに溢れ出す

何もかもを曖昧にぼやかした透明感 

透明っぽい写真が嫌いになってしまった


もうきっと一生かかっても見尽くせないだろうというほどの写真と言葉が

ブログという名を借りてひしめき合っている

およそただ撮ったであろう写真

小学生の作文のほうがいいんじゃないかと思う文

何かを伝えたいのか 仲間を作りたいのか 金に物を言わせた趣味の世界か

上手なものや俗に言う価値のあるものが全てではなく

むしろそんなところから離れたところに本物はあるような気もするけれど

そんなことを考えたことがあるのかないのか

向上性を必要ともせず 外部のない内側だけで戯れる

そういう風潮が嫌いになってしまった

 

特別なカメラも交換レンズも持たずに

本体とセット販売されていたような極めて中途半端なレンズひとつで

安上がりで不透明な空気を写す

僅かに残る澄んだものがフワリ羽ばたくことはあるのだろうか

透明な写真が撮りたかった 優しい言葉を綴りたかった

陽炎が燃える

蝉が生き急ぐかのように鳴いていて 草は死に絶えぬふうに生えている
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by yumimi61 | 2007-08-09 20:50


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