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2015年 05月 22日
昭和 質拾肆
※追記しました。(5月23日)

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国民年金というと、フリーターや農業従事者や売れない漫画家などを思い出すかもしれない。
現在も未納・免除者7割だが、申請すればその8割が免除対象となるということから、どこか貧しい感じがしてしまう。
対象が「自営業者など」となっているが、日本は国民皆保険なので、20歳以上60歳未満の国民で、民間企業の従業員でなく、公務員でもない場合には、国民年金に加入しなければならない。
まずこの認識が薄いのだろう。

10年ほど前に政治家の年金未納問題が取り沙汰されたことがあった。
ここに名前をコピペしようと思ったが、あまりに大勢いるのでこちらを参照してください。まだまだ増え続けているんじゃないでしょうか?
そうかと思ったら、「国民年金を払いましょう」という広告に出演していた芸能人が17年も国民年金を支払っていなかった事実も判明。おそらく氷山の一角でしょう。

要するに国民年金の対象者は売れない漫画家ばかりではないということなのだ。
また自営業者も様々で、随分儲かっている人もいれば、そうでない人もいるだろう。
しかし保険料は一律。

免除の基準になる「所得」(課税金額)というのも、収入から経費を控除した後の金額なので、経費を増やしてやれば必然的に所得は減少する。
そこで自営業者は何とか経費を増やそうと生活用品購入などにも領収書を発行してもらったりして節税に勤しむわけだが、所得が減れば保険料免除も可能となる。
むろん所得には貯金額など反映していない。
その人の真の経済状態が反映されずに、減税やら免除が行われている。


憧れの1%未満!?

第2号被保険者の社会保険料には保険料率というものがある。
年金が15%前後で、健康保険が10%前後。

個人の保険料は標準報酬月額によって決められる。
標準報酬月額というのはある期間の月給の平均だと考えればいい。
実際には4・5・6月の給料から決められており、この給料には基本給だけではなく残業代なども含まれる。
(緑字は以前こちらに書いたものです
扶養の有無など家族構成によっても金額は変わる。
要するに第2被保険者(厚生年金と共済年金)の保険料というのは第1号被保険者(国民年金)のように一律ではなく、人それぞれということである。
個々に算出された保険料は本人と事業主の折半負担が基本である。
高給従業員の多い会社の負担は重くなる。残業する人が多く残業代を奮発する会社も負担が大きくなる。


保険料率とは保険料を算出する際に標準報酬月額とともに必要な基礎的な数字であって、年収分の%という意味ではない。
実際に金額で計算してみると、社会保険料というのは概ね年収の15%程度となる。
年収の少ない人ほど割合が高くなり、年収の高い人ほど割合が低くなる。
年収2000万円なら7.5%くらいで、年収1億円ならば2%くらい。年収3億を超えてくると社会保険料はもう1%にも満たない。
所得税や住民税はその逆となる。

社会保険料+所得税+住民税の控除額は年収の20~30%ほどとなる。
年収100万と1000万円を比べれば、1000万円の人が10%ほど多い。
年収が高いほど増えてくる。
1000万円と2000万円の人を比べれば、2000万円の人が10%ほど多い。
2000万円と1億円の人を比べれば、1億円の人が10%ほど多い。
年収3億以上はもう頭打ちで年収の50%が税金として徴収されるとみればよい感じ。
年収300万円の2割と、年収1000万円の3割と、1億円の半分と、100億円の半分と、引かれる額を見れば億はもったいないと思うかもしれないが、残った額を見ればその大変さが分かるというもの。

社会保険には、労災保険(全額事業主負担)、雇用保険(旧:失業保険、負担は双方)、40歳以上になると保険料を支払う介護保険(折半負担)もある。


美味しいとこどり

実は保険料率も一律ではない。
以前こちらで健康保険の保険料率と保険料の比較をしたことがある。
健康保険は会社独自で健康保険組合を設立して運営しているところもあれば、企業連合体みたいな組合もあり、そういう組合を持たない会社が加盟する公の組合もある。
健康保険組合は保険料や給付額をはじめ、その活動なども会社の業績や経営者の方針、組合の医療費の状況により独自性を発揮でき割と自由なところがあったが、年々会社経営や健康保険組合の財政が厳しくなり、保険料率や保険料を上げざるを得ず、それでも耐え切れず独自の健康保険組合は解散したという企業も少なくない。

年金の3階部分では健康保険のように独自の年金基金を持っている企業もあるが、1,2階部分の公的年金に関しては厚生年金と大きく括られており、企業は独自性を持っていない。
あらゆる民間企業が一律の保険料率となる。
ではどこの保険料率が違うのかと言えば、厚生年金と共済年金の保険料率である。
基礎部分においては第2号被保険者と第3号被保険者として両者を一緒にしているくせに、保険料率は一律ではないのだ。

平成26年度(2014年度)の年金保険料率
 ・厚生年金 17.200%
 ・国家公務員共済と地方公務員共済 16.570%
 ・私立学校教職員共済 14.180%

料率が低いほど保険料が安いということである。すなわち私立学校教職員共済の年金保険料が一番安い。
労働者と雇用主が半分折半という決まりは変わらずとも、総額が小さくなるのだから労働者も雇用主も共に拠出額が少なくて済む。
にもかかわらず、公務員と同じだけ(サラリーマンより多く)受給する資格があるということなのだ。
公務員の雇用主の負担分はまるまる税金から出せばいいけど、私立学校はまるまる税金から出すわけにはいかないから少し安くしてあげようという考えなのだと思う。
しかし私立なのだから公費をあてにすること自体間違えている。公費を使って運営したいならば全て国立や公立にし、一律の法や基準に則るべきなのだ。


とうとう一元化

「それでは一律の法に則りましょう」ということなのか、今年度(2015年度)10月から共済年金と厚生年金は統合されて、厚生年金に一元化することが決まっている。
このようになる。
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「これまでの不平等を撤廃しましょう」ということで、保険料率も横並びで18.300%に統一することになった。
しかし今年度10月に一斉に統一されるわけではない。
厚生年金と私立学校教職員共済では10年も開きがある。

18.300%になる時期
・厚生年金―2017年
・国家公務員共済と地方公務員共済―2018年
・私立学校教職員共済―2027年
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消える年金、残る年金

上記変更理由を格差是正と言うが、それは嘘である。

●共済年金も国民年金と同じく、すでに保険料よりも給付額のほうが大きい状態にある。
国民年金も共済年金も国庫負担分も厚生年金の費用を流用しているのだ。
基礎部分(1階)は厚生年金の費用と1/2に満たない税金で賄っていたと考えていいと思う。
2階部分だけは独自の保険料を使用していたが、この先はこの部分も怪しくなる。
これまでは厚生年金とそれぞれの共済年金の会計が別であったが、ここを一旦一緒にする。
そうすれば、共済年金側は「保険料が足りていないじゃないか」とか「流用している」とか言われずに、厚生年金の積立金も厚生年金の保険料も心置きなく使うことができる。
共済年金の保険料の不足は厚生年金のプラスで埋めればいいのだ。(これまでもしていたけど、厚生年金の名の下に正々堂々出来る)
ややもすれば、雇用主負担も出さなくても済むかも→税金の節約になるね!、くらいに思っているかもしれない。

●年金制度の廃止を考えている。
積立金やこの年金制度自体を諦めてもらう時に、厚生年金と共済年金が別だと格差だなんだと言われて何かと面倒くさい。
同じ「厚生年金」所属ならば、一緒に玉砕したふりが出来るというもの。
少子高齢化によって年金制度は維持できなくなったのであり、国民が背負う責任も憂いも同じと思ってもらいやすい。
厚生年金に返却すべき積立金を諦めてもらえば国の借金が一気に120兆円減ると思っているのかもしれない。
年金制度を廃止した場合にそれによって困窮する人はどれくらいいるのだろうか?
生活保護者などが急増すれば国の費用的には年金制度の廃止もあまり意味ないということになる。
実際のところ個人の貯金や年金積立て、企業年金などの状況はどうなんだろう?
この辺りがはっきりと読めないがナンバー制度導入によって把握すればいいね、という感じだろうか?
景気の悪い話しか出てこなくてもどうせみんな貯蓄があるんでしょう、と思っているのか?
それともそんな先の事よりまず目先の借金を何とかせねば、という感じだろうか?

●共済年金独自の年金は公費で確保できる。
厚生年金は3階部分の年金を事業主や個人負担で行ってきた。
これまで共済年金には3階部分がなかった。
職域加算は公的年金の2階に含まれていたもので、もちろん公費を用いてきた。
公的年金制度が廃止されたとしても厚生年金の任意の3階部分は残る。そこは公費が投入されていないところ。
厚生年金に一元化しても共済年金はこれまでの「職域加算」の部分を「年金払い退職金」として残す。名を変えただけのこと。
公的年金制度が廃止された時に何もなくなってしまうのは困るので別枠で確保したのだろう。





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by yumimi61 | 2015-05-22 13:36