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2015年 05月 24日
昭和 質拾陸
※追記しました。

お茶の間相手だから当たり前!?

ダイヤモンドサイトの「健康保険料の引き上げは「悪」なのか まだまだ優遇されている大企業の健保組合」という2012年4月の記事の話を続けよう。

昨年(2011年)9月28日、民主党の櫻井充議員は、NHKが中継する参議院予算委員会の中で、小宮山洋子厚生労働大臣に日本放送協会健康保険組合の保険料率を問いただした。
小宮山大臣が明らかにしたNHK健保の保険料率は5.35%(当時)。
中小零細企業の従業員が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)の2012年度の保険料率は10%なので、NHK健保はその半分程度しか負担していないことになる。
さらに櫻井議員は、「NHKの保険の負担は、事業主負担62、本人が38なんです。こんなに恵まれているんですね」と労使の負担割合にも言及した。


小宮山洋子厚生労働大臣(当時)プロフィール
元NHK解説委員・アナウンサー。
衆議院議員(4期)、厚生労働大臣(第14代)、内閣府特命担当大臣(少子化対策担当)、厚生労働副大臣(菅第1次改造内閣)、民主党財務委員長、参議院議員(1期)を務めた。
元東京大学総長の加藤一郎は実父。


国会中継を見たことがあるだろうか?
ライブでの中継は見たことがなくとも、ニュースで取り上げられた一場面は見たことがあるという人が多いだろう。
国会というのは質疑応答で進んでいく。質問する人(国会議員)も答える人(政権側)も決まっている。
みな資料を持っていて、時にはパネルなんかが登場する。
下準備ばっちりでライブ感があまりない。予定調和。
そもそも専門家でもなんでもなく、ある日突然大臣やら総理になった人が、いきなり専門的なことを事細かく質問されて分かるわけがない。
専門家だとしても即答できないことは沢山あるだろうと思う。
ちょっと白々過ぎる。勉強発表会とでも思えばいいのだろうか。
ともかく国会は、
「意見や質問のある人はいますか?」
「はいはい!!」挙手
「ではあなたどうぞ」
みたいな質疑応答ではないのだ。(それだって全くのライブじゃないわよ?)(だから小保方会見はテロップが先走っていたの?ねえそうなの?)(同時通訳も言うより早く訳すわね!)

ある日、参議院での質疑応答を見ていたら、衆議院のそれと全然違うので驚いた。
質問する側も答弁する側(安倍首相だった)も下を向いて手元の資料を読んでいるだけ。ほとんど顔を上げない。
でも衆議院ではそんなことはない。あの違いは何?(次回までに調べておきます?)


小宮山大臣は前もってNHKの健康保険組合の保険料率を質問されるということを知っていたのだ。
いくら元NHK職員だったとはいえ、健保の保険料率を即答できるとは思えない。
質問内容が分かり、事前に健康保険組合の保険料率を調べる。(または調べるよう指示する、もしくは質問側が答えまで用意した)
調べる時に保険料率より何よりNHKの健康保険組合の怪しさに気付かないというのはおかしい。
その前にNHKが健康保険組合を持つことの不自然さに気付いてほしいし追及してほしい。
そうでないということは、やはり全部が茶番劇なんだろうと思ってしまう。


目指せ世界一!?

小宮山大臣が明らかにしたNHK健保の保険料率は5.35%(当時)。

この当時というのは、質問当時(2011年9月)のことなのか、NHKに在職当時なのか、いまひとつはっきりしない。
しかし在職期間だと1972~1998年と幅がありすぎて、いったいいつの数字なのか分からない。
従って質問当時(2011年)の保険料率として話を進めます。
2011年に5%台の保険料率は低すぎる。

私は2012年3月24日に書いた記事の中で保険料率について触れた。(以下緑字はその記事の書いたもの)
その中でソニー健保が昔5%だったことがあると書いた。一番低かった頃の話である。
23年度(2011年度)は7.3%であるとも書いた。

1つ面白い記事を見つけた。(2009年の記事)
元ライブドアのホリエモンこと堀江貴文氏が「関東ITソフトウェア健康保険組合」を絶賛していたというのだ。
見てみると確かになるほど法定よりも随分と充実している。
しかし「ソニー健康保険組合」はこれより圧倒的にいい。
23年度の「ソニー健康保険組合」の保険料率は7.3%。(23年度に値上げして7%代になった)
ちなみに「協会けんぽ」も値上げしている。23年度はの保険料率は9.48%。
「関東ITソフトウェア健康保険組合」も調べて見たら値上げしていた。23年度の保険料率は8.5%だった。

保険料というのは事業主と被保険者(本人)が出し合っている。
協会けんぽは折半(50%ずつ)、堀江さん絶賛健保も折半。
ソニーはこれが6:4である。事業主が6割で、被保険者が4割の負担。
保険料率同様に健保組合の実情に合わせて事業主の負担割合を増やすことができるのだ。

かつてソニー健康保険組合の保険料率は日本一低いと言われていた時があった。(低いほうがいいのよ)
数字は忘れたけれど5%代だったことがあったような気がする。
大企業なので資金力があるということもあるが、健康管理や健康増進などにも力を入れており、そういう意味でも先進的企業だった。


2011年にNHK健保は5%台だというから、それが本当ならば年金の利率同様に世相を全く反映しておらず、驚くしかない。
昨日も書いたが現在は協会けんぽの平均が10%くらい。大手企業の健康保険組合がそれより少し安くて8~9%くらい。
今年度の保険料を健保ホームページで幾つか調べてみた。(  )内は本人負担率+事業主負担率。

三菱健康保険組合 8.9% (3.192%+5.708%)
トヨタ健康保険組合 8.3% (3.0%+5.3%)
富士重工健康保険組合 8.3% (2.767%+5.533%)
ソニー健康保険組合 8.2% (3.28%+4.92%)
パナソニック健康保険組合 9.0% (3.51%+5.49%)
シャープ健康保険組合 9.9%(3.887%+6.013%)
NTT健康保険組合 9.27% (4.56%+4.71%)
楽天健康保険組合 8.1% (4.05%+4.05%)


健康のための秘策?

昨日の記事では理研の方々に「理研健康保険組合ですか?」と尋ねてみたが、理研健康保険組合もホームページは見当たらず。
でも保険者名はある。住所はいちご東池袋ビル(旧:池袋SIAビル)。いちご不動産所有のビルらしい。
「いちご」というのはこちらに書いた(減価償却費のことも書いている)ソーラー事業で有名なあのいちごである。

理化学研究所は科学技術健康保険組合だそうだ。
理化学研究所、宇宙航空研究開発機構、海洋研究開発機構、科学技術振興機構の4団体で作っているそう。
健保は埼玉県和光市の理化学研究所の住所になっている。
ホームページ(科学技術けんぽ)はログインしないと閲覧できない。
非常に閉鎖的。何かやましいことでもあるんだろうか。
国立研究開発法人になってからの変化は不明。
利益を上げている法人ならば分かるが、税金を使っている法人の法人負担が大きい(7割)のは納得いかないというのは2010年の記事

理化学研究所も理研グループ(企業)もルーツは同じなのだが、理研と名の付く企業は少なく、現在はリコー(旧:理研光学)三愛グループと称し、その関係性が非常に分かりにくくなっている。
リコー三愛グループ健康保険組合の保険料率は8.9%(3.94%+4.96%)である。


日本の「世論」は異常なまでに大企業嫌い

下記青字もダイヤモンドサイトの記事より。
大企業の健保組合には財政状況に応じて保険料を決める独自性が認められているとはいえ、病院や診療所で受ける医療サービスは誰でも一緒だ。負担する保険料率にこれだけの開きがあるのは不公平という意見が出ても仕方ないだろう。

この日の答弁で野田佳彦内閣総理大臣も「今の数字を聞く限りには随分と開きがあるなと、不公平感があるなというふうに改めて思いました。」と答えている。

こうした恵まれた健保組合を持っているのは、NHKに限ったことではない。中には協会けんぽと同等の保険料率の組合もあるが、9割以上が協会けんぽよりも低い水準で、そのうちの44組合はいまだに6%未満という低い保険料率となっている。



2012年3月26日に私は「社会保障にはお金を出せないと明言した政府」という記事を書いた。
上記記事とは真っ向から対立するような内容である。
長くなるが大事なことなので引用する。

国民健康保険加入者は、個人事業主よりもアルバイトなどの不正規就業者や無職の人が多いのが現状である
従って国保加入者の平均年収はサラリーマン(正規就業者)のそれよりもさらに低くなる。
収入によって保険料は計算されるわけであるから、当然のことながら保険料収入も少なくなる。
しかし提供している医療には差がない。
国保加入者には高齢の人も多くいるので、医療費はむしろ余計にかかる。
国保の保険料だけでは到底カバーしきれない。
国もお金に余裕がない。

そこで何が起こったか?

財政再建のため社会保障関係費を削減する施策を打ち出したのだ。
2006年に小泉内閣が成立させた「医療制度改革」である。
これにより「後期高齢者医療制度」が導入された。

高齢者の医療保険を国民健康保険や被用者保険から独立させたのだ。
つまり高齢者を国保から抜くことができる。
そして皆で一緒に仲良く公平に高齢者を支えていきましょうと広くお金を集めることにしたのである。
相互扶助と言えば聞こえはいいが、手に負えなくなった国が責任転嫁したものだ。

実はすでにその前から「老人保健制度」なるものがあり、被用者保険(健保組合など)も拠出金を負担していた。

老人医療費が増加するに従って拠出金も増大し、健康保険組合の負担は大きくなった。
健康保険組合の経営を圧迫しだし、ついには拠出金不払い運動にまで発展することになった。1999年のことである。
ほとんどの健康保険組合がこれに賛同した。
そんなこともあって拠出金の公費との費用負担は3:7から5:5まで段階的に引き下げられた。

その後に導入されたのが「後期高齢者医療制度」なのである。
健康保険組合の財政は再びこれで悪化することになる。
これと同時に特定健診(通称メタボ健診)などといった愚かな健診が国から義務付けられ、さらなる費用増加につながった。
今や大企業の健康保険組合も9割が赤字経営を強いられ、解散に追い込まれる健保もある。
健康保険組合が独自に展開していた健康管理や健康増進などには資金が回らない。

驚いたのはこれだけではない。
協会けんぽ(旧:政府管掌健康保険)への国庫負担金を健康保険組合と共済組合は肩代わりしなさいという特例法まで持ち出してきたのだ。
通称「肩代わり法」。
全国の健康保険組合のうち財政状況の良好な組合に国の代わりにお金を出させるというものだ。
これでは健康保険組合が健康保険組合である意味がない。
出る杭は打たれる。国は共倒れさせることを狙っているんだろうか。
それとも組合や従業員には負担を強いておき、会社は別のところで国から見返りを貰っているのだろうか?
とにかく酷い状況であることは間違いない。



健康保険は、健康保険組合(組合管掌健康保険)と協会けんぽ(全国健康保険協会)に大別できる。
協会けんぽ(全国健康保険協会)は、自社の健康保険組合をもたない中小企業などの従業員を対象にした健康保険であり、かつては政府管掌健康保険として政府が運営していた(実際の運営は社会保険庁が担当)。
2008年に全国健康保険協会を設立して移行した。
全国健康保険協会はNHKと同じく法律に基づいて設置された公法人である。
移行した当初の保険料率は全国一律で8.2%(事業主と被保険者本人で折半)だった。
それが翌年2009年9月より都道府県ごとの保険料率となった(都道府県ごとに率を決められる)。
何故かと言えば、各地域で健康づくりを推進し、医療費を抑えることができれば、保険料も抑えられると考えたからである。
これはそれまで大企業やその健康保険組合が取り組んできたことである。
その要素を取り入れたのだ。
しかし保険料率はこれを機にアップした。

ダイヤモンドサイトの記事には、大企業の健保組合には財政状況に応じて保険料を決める独自性が認められているとはいえ、受けられる医療サービスは一緒なのに、負担する保険料率にこれだけの開きがあるのは不公平と書かれている。
しかし保険料率に差があれば収入にも差がある。料率だけで不公平さは決められない。
実際に払い込む保険料は収入に左右されるので一律ではない。一律でないが同じ医療にかかる医療費は一律である。
企業や健保は独自に医療職などを雇い、医療費削減や健康増進に努めてきた。(もちろん企業の方針などによって差はある)
これを不公平と言うならば、存在自体が不公平ということになってしまう。完全なる社会主義や共産主義を望んでいるということなのだろうか?

それから「44組合はいまだに6%未満という低い保険料率となっている」と書かれているが、ソニーでも2011年に7%台だった。
6%未満がそれほどあったとは俄かには信じ難い。それは事業主負担のみの率なのでは?
そうでなければNHKや理研のような法人がまだまだあるということだろう。


企業間で保険料率に差がある健康保険については取り上げても、企業間で保険料率に差が無い厚生年金が国民年金やら共済年金に食い物にされていることには触れようともしない。
厚生年金には健康保険で同情した中小企業の従業員も多数含まれている。
それなのに大企業が一緒になったというだけで蚊帳の外になるんだろうか。
まったく不公平な話だ。






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by yumimi61 | 2015-05-24 17:12