2016年 12月 20日 ( 1 )

2016年 12月 20日
日本国憲法の秘密-434-
東日本大震災の際、千葉県市原市五井海岸の「コスモ石油 千葉製油所」にて火災が発生した。
この火災で隣接する「チッソ石油化学 五井製造所」も類焼(飛び火)した。
飛び火した場所は劣化ウランの保管施設だった。
先日述べたように、チッソ石油化学は1969年に合成ガス製造用の触媒として劣化ウランを使用し始めたが、その後に劣化ウランを含まない触媒が開発されたことから1972年11月に使用を止めた。
以後ずっと保管のみ続けてきたということである。


2011年3月11日の夜22:50に文部科学省に核燃料物質(劣化ウラン)の保管施設に延焼する恐れがあるとの連絡が入っていたことが東京電力の資料から確認できる。
しかしそのことが近隣住民や国民に知らされることはなかった。

3月11日の23時近くに「延焼の恐れ」だったわりには、日付が変わって3月12日2:16には地元消防による消火活動により鎮火が確認されたと記載されている。
その記載部分にこのように記されていた。
劣化ウランは不燃物質であり、不燃性壁に囲まれた倉庫に保管されているが、倉庫の状況については未確認。

劣化ウランというか、ウランは不燃物質である。それ自体は燃えない物質である。(ウランも劣化ウランも同じ)
しかしながらウランは酸化性を有している。

何故燃えないか簡単に言えば金属だから。
有機物は炭素を含んでいる。例えば石油に一番多く含まれている物質は炭素である。
有機物と違い炭素や水素(一部の金属化合物は含む)を含まない金属には燃える要素がない。

燃焼とは酸化である。
可燃物(有機化合物やある種の元素など)が空気中または酸素中で光や熱の発生を伴いながら、比較的激しく酸素と反応する酸化反応が燃焼である。
燃焼に必要な3つの要素は、可燃物、酸素供給体、点火源。

しかし金属も酸化する。そういう意味においては金属だって燃焼する。可燃物と言える。
鉄の錆も燃焼の一種であるということを先に述べた。
錆は緩慢な酸化であるが、通常錆が出たことを燃焼したとは言わない。
一般的な「燃焼(燃える)」とは激しく急速な反応なのだ。
火災や爆発のような激しく急速な反応が人間にとって問題となるのだし、その反応を用いて仕事を取り出すこともある。

実は錆にも種類がある。一般的にサビと言っているのは赤錆。
それとは性質が異なる酸化被膜という錆がある。
金属表面が空気に触れることによって酸素と反応し、とても薄い酸化化合物の膜を生じるようになる。これを酸化被膜という。
この酸化被膜はとても緻密な構造で、あらゆる物質媒体を遮断する働きを持っており、保護膜となる。
保護膜はすでに穏やかに酸化が進んだ状態であり、これ以上酸化しようがないのである。
酸化しようがないとはつまり、燃えないということである。酸化被膜によって金属は安定した状態となっている。
また金属は熱伝導率も高い(熱を放出しやすい)ため熱を蓄積しにくい。
よって金属塊は燃えない。
酸化被膜が生じているウラン(金属塊)は燃えない。

しかし金属も粉末にしたら容易に燃えてしまうということも、おがくずを例にして先に述べた。
空間が沢山あるということは熱伝導率は低くなる。
動かない空気層は保温効果があり、断熱材の役割をはたす。
乾燥したおがくずは極めて熱伝導率が低い。
熱伝導率が低いということは熱が逃げにくい(放熱しにくい)ということである。
熱伝導率の高い物質は熱が逃げやすく熱が蓄積しにくいので、物質の温度が上昇しにくい。
一方、熱伝導率の低い物質は、放熱されず引火点や発火点に達しやすく、火災の危険性が高くなる。
粉末も同じで、塊状であれば問題ない金属も粉末になると一気に燃焼しやすくなる。
粉じん爆発もその一例。


粉末にするということは金属塊よりも酸素に触れる面が数多く出来るということである。
金属塊を粉末にするのだから、塊状の時にあった酸化被膜も壊れてしまっている。
それだけ酸化しやすい(燃えやすい)状態である。


ウランは反応性の高い物質である。
酸化性を有し、可燃物や還元剤と激しく反応する。
ウランは加熱されると分解して、腐食性又は毒性の煙霧を発生する恐れがある。
粉末になったり、薄くスライスされたり、それらが水または湿った空気に触れた時には、発火する。
要するにウランは自然発火物質としての側面を持つのである。

ウラン単体は、反応性が高く、粉末を空気中に放置すると、空気中の酸素によって発火する。 

自然発火性のある固体は、不活性ガスで満たされた密封されたグローブボックスで保存される。 グローブボックスは高価で、メンテナンスを必要とする。 このため、少量の自然発火性のある固体はオイルや炭化水素溶媒に溶かしたり沈めた状態で販売されている。


不活化ガス(不活化気体)
化学合成や化学分析や反応性の高い 物質の保存に利用される反応性の低い気体である。不活性気体の利用に際しては、 製造コストや精製コストを考慮しつつ、問題となる化学反応や物質に対して不活性な ものを選択する。窒素やアルゴンが最も一般的である。

チッソ石油化学は劣化ウランを触媒として用いていた。
工業触媒は粉体で使用されることが多い。



ややこしい部分なのでもう一度説明する。
●酸化性
「酸化性」とは自分自身は燃えない(酸化されない )けれども、他の物質を酸化させる性質。
加熱・衝撃・摩擦などによる分解によって酸素を発生し、可燃物と接触すると燃焼・爆発する。「助燃性」とも言う。
ウランは酸化性を有している。

相手の物質に酸素を与えるか、相手の物質から水素または電子を奪う物質を酸化剤という。
酸化剤自体は還元される。
その反対で、相手の物質から酸素を奪うか、相手の物質に水素または電子を与える物質を還元剤という。
還元剤自体は酸化される。
酸化と還元は同時に起こり、どちらか一方だけが起こるということはない。必ず相手がいる。
ウランは加熱・衝撃・摩擦などによって酸素を放出する性質を持っているので、酸素供給体として燃焼を助ける役割を果たす。
それが、ウランは可燃物や還元剤と激しく反応する、ということである。

酸化性物質は火気・熱源から遠ざけて冷暗所に保管し、衝撃などを与えないようにしなければならない。
また酸化性物質は還元性物質や可燃物(有機物)と混合すると酸化発熱し発火するので混合させない。同じ場所に並べて置いておくことも避けるべき。

●自然発火性
室温で空気に触れると着火し燃焼する(発火する)性質。
自身は燃えないけれども酸素を発生させ可燃物などと激しく反応する、それがウランである一方で、ウラン自体も燃焼する。ウランは自然発火性を有するのである。

高温環境が必要なわけではなく、室温など環境温度で発火する。
一般的な可燃物(紙でも木でもタイヤでも)も自然発火するが、その自然発火とは意味合いが違う。
ウランの他に、ナトリウム、カリウム、リチウム、リン、セシウム、アルミニウム粉などが該当する。
自然発火性物質を無暗に放置してはいけないし、対策を取っていたとしても不活化ガスが抜けていたとか溶剤が気化していたなんてことがないように点検を継続しなければならない。
また自然発火性物質は水と激しく反応することが多い。
水と反応して可燃性ガス(水素ガスなど)を発生しその反応熱により発火、燃焼、爆発などを起こすので、水との接触は避けなければならない。


ウランは酸化性を有し酸素を発生させ、可燃物や還元剤と激しく反応する。
一方でウランは水から酸素を奪うという性質も持っている。
ウラン単体を水に投入すると、ウランは水から酸素を奪って、水素ガスが発生する。
ウランは酸化剤であり、還元剤であるのだ。
また水素とも極めて反応しやすく、水素化物(水素化合物)を作る。水素吸蔵合金の性質も持つ。
水素化物は400℃くらいまで加熱すると分解して水素を放出するが、ウランには水素を吸収する性質があるので温度が下がれば再び水素を取り込む。

※水素吸蔵合金
金属の中には、水素を取り込む性質のあるものが複数あることが知られている。水素吸蔵合金とは、このような性質を合金化によって最適化し、 水素を吸わせることを目的として開発された合金のこと。


核分裂連鎖反応なんか起こさなくてもウランの化学的性質を用いればエネルギー利用できるだろうと思う。
但し永久機関も100%の熱機関もないのは周知のとおりで、あとは効率的やコスト的に他のものと比べてどうなのだろうかという話になる。
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by yumimi61 | 2016-12-20 13:23