2017年 04月 03日 ( 2 )

2017年 04月 03日
山岳競技について(続き)
少し前にテレビでスポーツ選手がインタビューに答えていた。
どんな大会の何のスポーツの選手だったか全く覚えていないが若い女性だったと記憶している。
その選手が「皆さんを感動させられるように精一杯頑張ります」と言うような感じで答えていた。
今のスポーツ選手は勝利や記録更新のために行っているのではなく、人々を感動させるために行っているのか、と私は少々驚いてしまった。
感動なんて偶然の産物であって、最初から選手が感動させるために競技していると知れば却って萎える気がするが、昨今は見る側もそうではないということだろうか。


そもそもスポーツって見てもらうことを前提に始まったわけではないと思う。
大前提にあるのは「楽しい」や「面白い」という気持ち。何かが出来るようになったり目標を達成しての「達成感」や「快感」。集団スポーツには集団スポーツならではの面白さや達成感がある(大変さもあり)。健康維持に行う人もいる。
自分自身が感動したり競技仲間と感動を共有することはあるが、見ている者を感動させてやるなんて思って行わない。
ところが最近は見せることを意識し、見ている人に感動してもらうことに意義を感じているようだ。
感動してもらうとは言わなくても良い成績で人々に喜んでもらうことに意義があるように思っているのでは。
プロスポーツとの関連でそうならざるを得ないのか。
日の丸を背負う試合が好きな日本人は特にその傾向が強いように思うがそうでもないのだろうか。
見てもらうこと前提の幼稚園・保育園・小学校の運動会にはその傾向が持ち込まれているような気がする。
兎にも角にもスポーツも承認欲求を満たす手段になっている面がある。

見せる(魅せる)ことを意識して行うのは興行である。
プロレスや相撲は興行である。
お金を取って見せるために行う興行は、舞台に台本があるのと同じで、ある意味シナリオ(八百長)があっても仕方がない。

登山は相手との勝敗を競う競技として始まった活動ではないところにもってきて、基本他者が見学できるスポーツ(競技)ではない。
他者が見ていないので感動させるも何もない。感動は自分の中にある。完全なる自己満足の世界。
孤独で閉鎖的で自己完結的でもある。
だから成果をやたら外に向かって発表したくなる人がいるのかもしれないが、他者が見ていないのだからまごまごすれば嘘がまかり通ってしまう。
行動も誠実さも全てが自身との戦いである。
そうした登山本来の特徴を考えると他者の存在がある合同登山、ややもするとパーティーすら微妙であるように思う。


単独登山かパーティー登山か。
アンザイレン(危険を伴う岩壁・氷面・雪面などで相互安全確保のために2人以上をザイルを結んで登降する)をすべきかどうか。
確保の態勢を取るタイプでもあっても滑落を止めるのは大変なことだろうから、一斉に登降している場合にはザイルを結んでいても止めることは不可能と思っていいのではないだろうか。1人滑落すれば道連れである。
アイザイレンをしていてアクシデントが起こった際には他の者が生きるためにザイルを切断する(アクシデントを起こした者を落とす)という判断を迫られることもある。
どちらにしても1人で済むことが済まなくなる。
それを望むのかそうでないかは外野が口出しすることではなくそれぞれが決めることだろうけれども、複数人いるとどうしたって気を使う(忖度する!)ということが出てくる。
自分の命や行動に自分自身で責任が持てない人は危険な山に登るべきではないと私は思う。
不思議なことだけれど、結構誰もが自分がアクシデントを起こす側だとは思っていなかったりする。
万一の時には道連れにされる側、ザイルを切る側だと思っている。
若いうちは死が身近でないのと同じようなことなのだろうか。


ヨーロッパの山やスキー場では雪崩れ注意の旗や看板が出る。
危険度に応じて黄色い旗、黄色と黒のチェックの旗、黒い旗。
そうしたところでも人の手が入っていない雪面(オフピステ)は非常に危険と言われている。

雪崩対策には、ビーコン、スコップ、ゾンデ棒!?
今回も雪崩対策にビーコンという話が聞こえてきたが、これを持っているかといって雪崩が発生しないわけではない。雪崩が避けられるようになるわけでもない。ビーコンは魔法の杖ではない。
無いよりは有るほうが良いくらいなもので、救出を保証するわけでもない。使い方を知らないのでは話にもならない。
即死してしまえば、何を使っても、使い方が素晴らしくてもダメだろう。まだ生きている人がいてこそ救出が可能。
入出力の指向性や複数の発信音(別のビーコンの電波が入り込む)などに惑わされることなく、精神的な動揺や混乱に負けずにビーコンを使いこなし、ここだ!というポイントを定めてゾンデ棒で確定する。(言うほど簡単ではないので練習が必要)
二次雪崩に十分注意しながら、雪崩のあとの重く締まった雪に耐えられる強度のあるスコップで掘り出す。
雪崩に埋没してから15分程度で急速に生存率が下がる(呼吸空間が確保できたかが生存率に大きく影響する)ので、それ以内に行わなければならない。



【大田原高校山岳の活動実績】(ホームページより)

・大会
県大会 インターハイ予選会(第1位のみインターハイ出場) 8連覇中
      関東大会予選会(第6位まで関東大会出場) 3連覇中
      新人大会(上位大会なし) 3連覇中 
上位大会 インターハイ(全国高校登山大会) 8年連続インターハイ出場
           平成20年(埼玉)  5位
           平成22年(鹿児島) 6位
           平成26年(神奈川) 7位   と全国でも活躍しています。
       関東大会(関東高校登山大会) 7年連続出場
           関東大会は、各都県代表チームとの合同登山を行う大会で順位付けはありません。

・夏山合宿
    平成27年 白馬岳(2932m)第26位  富士山(3776m)日本一
    平成26年 槍ヶ岳(3180m)第5位  北穂高岳(3106m)第9位 富士山(3776m)日本一
    平成25年 北岳(3193m)第2位   間ノ岳(3190m)第3位   富士山(3776m)日本一
    平成24年 奥穂高岳(3190m)第3位 富士山(3776m)日本一
   毎年、夏には、日本を代表する山々を舞台に、魅力ある山行を行っています。

・冬合宿
  毎年12月の下旬に日光白根山を目指して、2泊3日で冬山合宿を行っています。
  氷点下20度になることもある厳しい環境の中で(雪上にテントを張ります)、なかなか体験することができない素晴らしいひとときを過ごします。

・その他、春山(県内)、秋山(県内)も実施しています。



大田原高校は冬山合宿も行っている。
冬山はインターハイには直接関係ないだろう。
広島の先生が「他のスポーツ競技であれば合宿や遠征は大会で好成績を収めるための手段であろうが,登山の場合は,たとえば夏の日本アルプス登山のように,合宿・遠征それ自体が目的となっている」と書いていたが、それ自体が目的の合宿を大田原高校も行っていた。
大会で好成績を収めることと、登山そのものと、両方に足を突っ込んでいたような形になる。
夏山合宿では標高順位が記されている。これだけでも目指すべき登山の嗜好が分かる。
今回の件は、大会で好成績を収めることと登山そのものと、その両者の隙間に落ちてしまったような遭難であるという印象を持つ。
但し亡くなった生徒さんの保護者の方の反応を見ていると、登山が自己責任であるということ十分理解しているような感じがあった。
高体連が主催しているインターハイでの競技中に遭難したとかだったら問題あるだろうし、責任の所在を明らかにする必要があるだろうけれども、登山が目的の合宿であるならば例え部活動中といえど自己責任と言われても仕方ない。
高校生の部活動加入や合宿参加は強制ではないはずである。


かつてはマイナースポーツだった登山が、山ガールブームや中高年の登山人気を経て、今やメジャーになりつつある。
インターネットで社会全体が大きく変わったが日本の登山ブームに一役買っているのが山レコというサイト

ヤマレコは、登山、ハイキングなど、山に関わる全ての方を対象にしたコミュニティサイト です。 写真、GPSログと同期したルート図、標高グラフなどを投稿できる登山の計画や 山行記録(登山記録)を中心に、日記や掲示板などの機能も豊富に揃っています。

他人の旅行記(旅行話)ほど興味を持てずつまらないものはないが、これから自分が行く場所の参考にしようと思えば他人の旅行記ほど役に立つものはない。自分が行ったことのある場所を後から見るのも比較や共感などできるためにそれなりに楽しめる。
このような心理を付いたサイトが山レコだと思う。便利で登山という同じ趣味を持つ人には有益なものであろう。
私も御嶽山の噴火の時には、噴火に遭遇した人の山レコを探した。(記事にリンクしたような気もするが定かではない)
山レコもSNSと同様に弊害もある。基本にあるのは承認欲求だと思う。

佐倉葉ウェブ文化研究室
 自己顕示欲充足システムに飲み込まれる登山者と事故の危険性
 ~インターネットの普及による山行への影響について『ヤマレコ』を事例にして~


 アウトドアレジャーのうち”登山”は油断すると事故に繋がるし最悪”死ぬ”。だから、事前の計画、装備、技術、経験が問われる事になる。

 今回取り上げるのは、”登山”と”ウェブ上の活動”が組み合わさった場合にどうなるかということである。 インターネット時代における登山の問題としてよく挙げられるのは”即席パーティによる遭難”である。 ウェブ上で一緒に山を登る人を募集すると見ず知らずの人達による即席パーティになる。 即席パーティの為、参加者同士の意思疎通がうまく行かなかったり、お互いの実力が判らないまま登山を行うことにより、お互いに足を引っ張ってしまい、事故や遭難に繋がっていくという問題である。 これはこれで問題なわけだがここでは取り上げない。

 ハイカーに”目立ちたい””同情してほしい”という気持ちがあって、ウェブ上の活動でそれを満たそうとする場合、どういう行為に繋がっていくのか。 そしてその行為はやがて事故に繋がっていくのではないか。それがこの文の内容であり、 舞台はウェブ登山界の中で圧倒的な存在感をみせる登山SNS『ヤマレコ』である。


・拍手目的の山行記録
・ユーザーの遭難死

yucon氏(パーキンソン病を患っていると自身で語っていた)
 yucon氏は鈴鹿山脈をよく歩いているハイカーであり、2011年7月3日から山行記録を書いている『ヤマレコ』ユーザーである。 氏は道迷いや滑落を起こしている、危なっかしいハイカーであった。

 2012年07月16日、yucon氏は御池岳山頂からT字尾根(バリエーションハイキングのコース)を道中で出会ったR氏と一緒に進む。やがて道に迷い、予定していなかった谷に降りてしまった。 一日ビバークをしたものの登り返し、再び御池岳山頂に戻ることに成功。しかしながら再びT字尾根を進み再び道迷い。前日と同じ谷に降りてしまう。しかもR氏と逸れてしまった。 T字尾根に登り返すことや谷を下る事を試みるも失敗し谷で数日過ごす。22日、捜索しにきた人(この人もヤマレコユーザー)に発見された。

遭難記を書いたことで『ヤマレコ』内の有名人となり、狭い世界の中の話ではあるが脚光を浴びる存在になったのである。 それを裏付ける数字として山行記録の拍手数が遭難以降上昇している。また、山行記録につけている写真数が遭難以降上昇しており、 山行記録を書くモチベーションが上がったと考えられる(*3B)。 彼は遭難後もバリエーションコースをよく歩いており、しかも夏の低山。さらに時々、道を間違えている。遭難後は以前にも増して危ないハイキングを行っていた。
2013年11月23日、yucon氏はまず銚子ヶ口に登り、そこからを御在所岳へ向う途中で遭難(山と高原地図では赤点線コース)。 27日に救助される。しかし28日、搬送先の病院で死亡した。


uedayasuji氏
uedayasuji氏は八ヶ岳や北アルプスをよく歩いているハイカーであり、2012年12月22日から山行記録を書いている『ヤマレコ』ユーザーである。 氏は『ヤマレコ』内で活発に活動しており、『ヤマレコ』にはまっていたと考えられる。山行記録における氏のコメント数は6000を超える。

uedayasuji氏はナイトハイクが多い(これは仕事の関係上致し方ないところもあると見受けられる)。また、雪渓歩きをして雪渓の下に落ちる、物をロストするなど危険な山行をしていた。 さらに、鐘楼をピッケルで叩いたり鳥居に蹴りをいれたりして、それを山行記録に書くという事も行っていた。 しかし、こういう事に対し、ネット上で他のヤマレコユーザーから注意される事は殆ど無かった。 逆に「生還できてすごいですね!」「すごい運ですね!」「すごい体力ですね!」みたいなコメントばかりであった。 唯一、一人だけコメントで忠告し続けた人(元ヤマレコユーザー)がいたが、その忠告も途中で無くなった。

2015年3月28日、彼は赤岳を真教寺尾根から登る。 前日にナイトハイクで牛首山まで行き、ここで幕営。この時点で標準コースタイムの2倍の時間がかかっていた。 深夜は雪が降り積もり、そのまま赤岳まで行っても下山予定の13時には間に合わないことから、下山した。 4月11日、再び真教寺尾根へ。滑落し死亡した。








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by yumimi61 | 2017-04-03 15:35
2017年 04月 03日
山岳競技について
山岳部の雪崩事故が依然話題に上るので山岳競技について少々書いておこうかと思う。

死亡者を8人出した栃木県立大田原高校は全国高校総体(インターハイ)県予選会で9連覇中の強豪校であったとも報じられていた。
事故の遠因はこの辺りにあるのではないかと当初からなんとなく感じているが、あまりうっかりしたことも言えない。
山岳競技というのはその捉え方が多様であるため非常に難しい。評価価値基準は一様ではない。
従って部活動として他校と競うには難しいスポーツでもある。

山の近くに住む人々が日常的に、あるいは趣味の一環として山に登ることを別にすれば、山登りというのは歴史的にお金持ちの道楽の1つであった。
高く険しい山ほど人を選ぶ、宇宙旅行するのと同じように(?)、お金持ちでなければ出来なかったのだ。
現地までの旅費やら装備やら現地ガイドを頼む費用やら何かとお金がかかるものである。


ともかく大田原高校の山岳部が強豪ということなので、「がくらん」というサイトをあたってみた。

がくらんより
学力成績は点数化がしやすい側面があるので、学生生活はそれによって評価されがちです。
もちろん、学業に打ち込むことは、将来の可能性を広げたり、考える力の基礎を養うためにとても大切なことです。
だけれど、学校生活は必ずしも学力やテストの点数だけではありませんよね。
がくらんでは、部活動の強さを客観的に数値化して、使える情報としてまとめることを1つの目的としています。

『サッカー部ってどこが強いっけ?』『がくらんで見てみよう』
そんな会話が日常になるように、情報をまとめられるサイトを目指していきます。
今まであまり知られていなかったけれど実績のあるような部活も、存在感を示すことができるはずです。


このサイトに部活動ランキングというものがある。

部活動のランキングは、入力フォームから得られた大会名と結果から計算されます。
過去3年のデータ(今年、去年、おととし)がランキングの点数として反映されます。
ランキングはリアルタイムで更新されます。
つまり、がくらんは全国のユーザーの入力によってランキングが上下推移する、相互作用型の情報サイトです。


要するに在校生なり保護者なり教師なり学校関係者が大会記録をその都度自分で入力しないかぎりランキングには反映されない。自己申告制なのである。
部活動数としては多いだろうと予想される野球部でも全国で39校しかランキングに参加していない状況である。サッカー部では18校。
もっとも大会で好成績を収めなければ入力したくとも入力することがないので、入力できる学校は必然と限られてくる。
しかし自己申告制なので強豪校でもサイトの存在自体を誰も知らないこともあるだろうし、知っていても興味関心もないという学校もあるだろう。
ともかくサイトとしては成功している感じは全くない。

部活ごとのランキングで山岳部を調べて見る。
現時点でランキングに参加している学校は3校のみ。
1 位 / 3校中 広島県 修道高等学校 山岳部 男子 200,000 point
     2015年 全国高等学校総合体育大会(インターハイ) 団体戦 優勝(200,000ポイント)
2 位 / 3校中 栃木県 栃木県立栃木高等学校 山岳部 男子 2,400 point
     2016年 全国高等学校総合体育大会(インターハイ) 都道府県大会 団体戦 3位(2,400ポイント)
3 位 / 3校中 兵庫県 須磨学園高等学校 山岳部 男子 600 point
    2016年12月 都道府県大会 学校対抗得点 6LQZqAc9BOvS wgQmaLPvtshI 14位(600ポイント)

試しにキャッシュでも見てみた。いつのキャッシュなのかこちらには19校参加している。
大田原高校も含まれていて7位である。大田原高校は総体県大会で連覇中ということなのでポイントにはなるはずだが、現時点ではランキングに参加していないので入力する人がいなくなったということであろう。
このように同じ学校でも年が変わればランキング熱も変わるということである。

1 位 / 19校中 長崎県 長崎県立長崎北陽台高等学校 山岳部 男子 200,000 point
1 位 / 19校中 広島県 修道高等学校 山岳部 男子 200,000 point
2 位 / 19校中 岩手県 岩手高等学校 山岳部 男子 176,000 point
3 位 / 19校中 千葉県 千葉県立千葉東高等学校 山岳部 男子 160,000 point
4 位 / 19校中 広島県 広島学院高等学校 山岳部 男子 144,000 point
5 位 / 19校中 静岡県 静岡県立藤枝東高等学校 山岳部 男子 128,000 point
6 位 / 19校中 山梨県 山梨県立韮崎高等学校 山岳部 男子 116,000 point
7 位 / 19校中 栃木県 栃木県立大田原高等学校 山岳部 男子 104,000 point
7 位 / 19校中 愛媛県 愛媛県立松山南高等学校 山岳部 男子 104,000 point
8 位 / 19校中 福島県 福島県立橘高等学校 山岳部 男子 80,000 point
8 位 / 19校中 山口県 山口県立下松工業高等学校 山岳部 男子 80,000 point
9 位 / 19校中 高知県 土佐高等学校 山岳部 男子 64,000 point
10 位 / 19校中 神奈川県 神奈川県立麻溝台高等学校 山岳部 男子 56,000 point
11 位 / 19校中 群馬県 新島学園高等学校 山岳部 男子 48,000 point
12 位 / 19校中 福岡県 福岡県立修猷館高等学校 山岳部 男子 40,000 point
13 位 / 19校中 三重県 三重県立神戸高等学校 山岳部 男子 36,000 point
14 位 / 19校中 長野県 長野県屋代高等学校 山岳部 男子 32,000 point
15 位 / 19校中 栃木県 栃木県立栃木高等学校 山岳部 男子 2,400 point
16 位 / 19校中 兵庫県 須磨学園高等学校 山岳部 男子 600 point


日本における全国レベルの山岳競技として挙げられるのは、国民体育大会(国体)と全国高等学校総合体育大会(インターハイ)である。

国体の前身は1924年から太平洋戦争中の1943年まで行なわれていた明治神宮競技大会。
国民体育大会と名を変えて復活したのは終戦の翌年1946年(国体としては第1回)。
第1回から山岳部門はあったが当初は講演会などを行っているのみであった。
1959年(東京にて国体開催)に日本山岳協会が設立されスポーツ登山として見直しが図られ、1971年(和歌山にて国体開催)からは名称が山岳競技と改称された。
1980年(栃木にて国体開催)から山岳競技が正式競技となった。
国体には少年の部があり、中学3年生以上から出場可能である。
一般的には高校生が出場することから、全国高校選抜大会、全国高校総体(インターハイ)、国体・少年種別の3大会を制すると「高校3冠」と言われる。
(競技によっては3大会実施していないものもあり)

全国高等学校総合体育大会(インターハイ)では当初は山岳部を有する高校が合同で登山をするような形をとっていた。
1967年の大会から順位は付けないが優秀校を10校ほど選ぶ方式を採用。
1994年の大会からは順位を付ける方式に変更した。
但し高校によってはインターハイ出場を目標にはしておらず高体連に登録していない山岳部もある。
全国高等学校総合体育大会(インターハイ)は高体連が主催。
要するに個々あるいは集団のスキルが高くてもインターハイには出場しない学校もある。



国体では、縦走競技、登はん競技、踏査競技の3種類の種目があった。
縦走競技や登はん競技は正直若さが必要である(そう言ったらオリエンテーリングもか)。
●縦走競技―山岳マラソンとも言われる。約7kmの山岳コースを、荷物を背負い一気に駆け上がる所要時間を競う。持久力を必要とする過酷な競技である。
●登はん競技―スポーツクライミングとも言われる。人工壁の競技場において規定の用具を使用してクライミングし、時間内にその到達高度を競う。
●踏査競技―山岳オリエンテーリングとも言われる。山岳地帯の競技コースにおいて、荷物を背負い、記入した定点の位置の正確さと所要時間を競う。

インターハイの競技は国体のそれとは全く違う。いわゆる採点競技である。
審査員が登山に同行していろいろなことを採点していくのである。
2泊3日で何時間も歩く。

採点内容
 ・事前準備(登山計画、ルート調査、食事メニュー)
 ・パーティーの統制や歩行技術
 ・装備品
 ・テント設営や撤収技術や整理整頓
 ・体力
 ・炊事
 ・天気図作成と気象予測
 ・読図
 ・登山全般に関するペーパーテスト
などなど

何をどう採点されているかは分かるような分からないような。
地元山岳会の人が審査員だったりするので、顧問が山岳会会員だったりすると対策もしやすいだろうけれども単なる山好きの場合には高得点は難しいかもしれない。
全国大会はこの方式で行われているが都道府県予選では踏査(オリエンテーリング)を取り入れている所もある。

日本が国体やインターハイで行っていた山岳競技というのは国際基準ではなく、日本独自の競技と言っても良い。
日本型の山岳競技はかなり手間暇がかかる。
また山岳競技と言っても、普段から登山をする人ではなく大会用に訓練された陸上競技の選手などが出場することもあった。
国際的に山岳競技と言えば、人工壁でのクライミングである。
そうしたこともあって、国体では2002年大会で踏査が、2008年大会には縦走が廃止され、現在国体の山岳競技はクライミング(リード、ボルダリング)に特化している。
従って尚の事インターハイの山岳競技は浮いてしまった形になった。


実際に高校の部活動で登山指導を行っている先生が書いた文章が参考になる。(一部抜粋、ラインは私が引きました)

http://www.geocities.jp/hiroshima_kokotozan/files/sidou.doc
『登山部指導と登山競技』
(第52回広島県高等学校運動部活動研究大会(平成26年11月21日(金)みよし公園カルチャーセンター)発表レポート) 登山専門部 安芸高校 西部伸也

1 登山競技とは
根本的な問題として,「登山は競技なのか」という疑問がある。登山が体育的な活動であり,軽重はあるものの相当の体力を要する活動であることには疑問はない。したがって登山部・山岳部・ワンダーフォーゲル部・等(以下,登山部で代表)が運動部・体育系クラブに属し,登山専門部が高等学校体育連盟に所属するのも不思議ではない。
ところが登山は他のスポーツとは異なり,相手との勝敗を競う競技として始まった活動ではない。
もちろん登山の歴史においては,未踏峰の初登頂を競ったということはあるし,時期も含めてより困難なルートの登攀に成功することで,優れた登山者としての名誉を得ようとしたことはよくあった。しかしながらそれらの活動は冒険家とも言える一部の先鋭的な登山者に限られた話で,一般の登山者は,より困難な登山への挑戦という意識はある程度普遍的ではあるにしても,他者と競うことを念頭に登山活動をするということはあまりない。
さらに,スポーツが競技となるためには一定のルールが整備され,異なった場所・時においても同様な活動を行いうるゲーム・試合とならなければならないであろうが,登山においては長らくそのようなルールの制定・標準化というものはなかった。


3 インターハイ登山大会における登山競技
 一方,学校体育のクラブ活動では,登山部も各都道府県で高等学校体育連盟の一専門部として組織されるようになり,各校の登山部が集う大会が運営されるようになった
。登山の大会は最初は単に各校が集まって合同で普通の登山を行うものであったが,学校のクラブ活動として生徒たちを指導する目標ともなるべく,より熟達した登山ができるパーティーを表彰しようという機運が生まれたものと思われる。
(略)
それではインターハイの登山大会ではどのような観点で競技が行われるのか。
インターハイ登山大会は国体山岳競技とは異なり,学校のクラブ活動の中で登山を指導しているのだということが大いに意識されている。
登山部の活動は,安全に留意しながら,いかに充実した登山活動が行えるかということが第一義であって,競技に勝つことが第一義ではない。もちろん充実した登山活動を行っていれば競技においても優秀な成績を収める可能性は高く,競技において優秀な成績を収めることができれば,充実した登山活動を行う素地が大いにあるといった相関はある。
インターハイの登山大会では,かつての国体山岳競技のように,登山活動の中の一部を抽出して競技化するのではなく,日頃の登山活動の充実と競技での優秀な成績との相関が高められることを意図して競技化が図られていると言ってよい。
高体連登山専門部の中では「安全登山の推進」ということがよく口にされるが,これは「充実した登山活動の推進」と言い換えてもよいだろう。より充実した登山を求めてより高度な登山に挑戦する中でこそ安全ということに価値があるのであって,平易な登山の中で安全といってもあまり意味がない。したがって全国登山大会における『審査基準』・審査細則は,登山の基礎を身につけることはもちろん,充実した登山活動の推進を念頭に制定されていると考えてよかろう。
登山の審査は100点満点方式で,体力30点・歩行技術10点・装備所持10点・設営技術10点・炊事技術5点・天気図作成5点・気象知識テスト2点・読図4点・自然観察(山域概要・登山用語・地形図知識)テスト4点・救急法テスト2点・医薬品所持3点・計画書作成6点・記録書記入4点・マナー5点の配分となっている。スポーツ活動であるから体力点の比重は高くなっているが,それだけではなく,登山に関連する技術や知識,登山に必要な装備・医薬品の適正な所持,なども審査対象となっている。(ただしこの審査基準は,インターハイ登山大会の経費削減と(国体と同様の)競技性の向上が全国高体連より求められる中で,インターハイ登山大会に従来の隊行動や班行動と異なるチーム行動が大幅に取り入れられることとなり,審査基準・配点の変更も現在検討されているところである。)


4 競技のみには収斂されない高校登山部活動
このようにして,元々競技とは異質のものであった登山が,学校体育のクラブ活動としての指導の過程で競技化されるようになったのであるが,それでは学校体育においては登山がすっかり競技に移行してしまったかというと,それは否である。
このことは各校の登山部が各都道府県の高体連登山専門部に加盟しているかどうか,また各校の登山部員が競技をする際に必要な日本山岳協会への選手登録を行っているかどうかに見ることができる。
広島県の場合は各校の登山部の高体連への加盟率は比較的高い方であるが,それでも10年ほど前の五日市高校や本年度の安芸府中高校などのように,登山部として一定の活動を行いながら高体連には加盟しない学校が皆無ではない。
さらに,東京都や神奈川県など大都市圏の都道府県にあってはかなりの数の学校が登山部はありながら高体連には加盟していないと聞く。
また,加盟校の各部員の選手登録率についていえば,広島県の場合は227人の登録で,登録率は92%であるが,例えば加盟校数が広島県の3倍ないし2倍近くあり,部員数も広島県よりかなり多いと思われる埼玉県や群馬県の登録数はそれぞれ25人,20人と少なく,登録率はかなり低いと思われる。
これらのことは登山の活動が決して競技のみには収斂されないことを示している。
選手登録をしない部員,高体連に加盟しない学校にあってはもちろん,登録部員や加盟校の間でも,競技に出場して良い成績を収めることにはあまり主眼を置かず,通常の登山活動に目的を置く傾向があったりするのは否めない。
他のスポーツ競技であれば合宿や遠征は大会で好成績を収めるための手段であろうが,登山の場合は,たとえば夏の日本アルプス登山のように,合宿・遠征それ自体が目的となっている。
登山にはまた,様々なジャンルがあり,岩登り,沢登り,雪山,さらにはバックカントリースキーという分野もある。これらの登山形態は高校生としては一歩進んだ登山であり,ある程度の危険性も増すため,これらの登山形態で競技が行われるということは通常ない。
高校生がそれらの登山形態を実践するときは,それらの登山自体が目的となっている。それらの登山で得られる充実感・満足感が最終目的である。高校生としてどれだけ困難な登山ができるかという観点で他校と競う面が全くないわけではないが,敢えて競い闘うというなら,むしろそれは厳しい姿も見せる自然の世界との闘い,困難に負けそうになる自分自身との闘いということになろう。



山岳競技は難しいと書いてきたが登山自体その位置づけが難しい。
広島の先生が書いている通り、登山は他のスポーツとは異なり相手との勝敗を競う競技として始まった活動ではない。道楽、趣味、レクリエーションである。
登山が道楽、趣味、レクリエーションならば仕事でも職業でもないはずである。もちろんどこかの代表選手でもない。国旗も校旗も背負っていない。好きだから行うのだし自己責任で行うものである。
広島の先生はこう続けている。
もちろん登山の歴史においては,未踏峰の初登頂を競ったということはあるし,時期も含めてより困難なルートの登攀に成功することで,優れた登山者としての名誉を得ようとしたことはよくあった。しかしながらそれらの活動は冒険家とも言える一部の先鋭的な登山者に限られた話で・・・
未踏峰の初登頂や困難なルートを競う一部の登山家(冒険家)も職業ではない。プロ登山家なんて別にないのだ。
自然の前ではみな素人である(な~んて)。
一部の先鋭的な登山も歴史的にはお金持ちが金に物を言わせて栄光や名誉を得るための手段である。
頂上に札束が金銀財宝が置かれているわけではないのだから出費しかない。
ではお金がない人は高みを目指すことは出来ないのか?貯めれば出来る!
あとは節約が大事ですね。パーティーを組むことも節約の1つになる。
成功の暁には本を執筆するとか写真集出すとか、教室などを開いて指導者になるとかガイドになるとか、名声によって儲ける方法はあるかもしれない。
そして何より寄付やスポンサーが大事になります。
どこの世界もスポンサー様さま。
高校の部活動だって強くなればスポーツメーカーからこれを着てくださいだの使ってくださいだの無料で持って来るわけで。芸能人にもそういうことはありますね。
極めるとどうしても商業臭くなってしまうもの。しかしながら極めればそれで食べていくことも可能となる。
登山や登山家として世間一般に注目されるのは(大手メディアが大々的に扱うのは)、一部の先鋭的な登山や登山家である。
そんなわけで、お金持ちの道楽や商業にまみれて行われる登山が目指すべき登山だと勘違いしやすい傾向にある。







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by yumimi61 | 2017-04-03 11:57