2017年 10月 10日 ( 1 )

2017年 10月 10日
日本国憲法の秘密-586- (加計学園問題について)

またまた国家戦略特区・今治市分科会の加戸守行提出資料について続き。

1、背 景
・ 人獣共通感染症(エボラ出血熱・MARS等)の発生、国境を越えた流行。
・ 特に、食料に関する国際貿易を通じた感染の危険性(バイオテロ等を含む)

2、趣 旨 (新設する大学・学部の目指す基本コンセプト)
① 「世界に冠たる先端ライフサイエンス研究」を行う国際教育拠点
・ 医学(創薬等)との連携強化(動物のみを対象をするのではなく、ヒトをゴールに)
(参考1)近年、「トランスレーショナル・メディシン」として、創薬プロセス等において、基礎研究と臨床研究の間に、実験動物(従来のマウスのみならず、ヒトに近い霊長類等)を用いた研究が重視されている。
・ 「アジア・トップクラス」の獣医大学・学部
(参考2)「世界獣医大学ランキング・トップ50」では、米国を中心に、欧州、豪、ニュージーランド、
ブラジルの大学など。アジアでは、41位にソウル大学。日本の獣医系大学はランク外。
② 家畜・食料等を通じた感染症に関する「危機管理(水際対策)人材」の育成拠点
・ 国家公務員(獣医行政官)や、特に獣医大学等の無い四国地域の地方公務員など

3、既存の大学・学部との関係
・ 既存の大学・学部では、一律の教育(コアカリキュラム)が主であり、上記1にあるような新たな分野への対応(アドバンス教育)は、専門教員の不足もあり、十分な取組がなされているとは言えない
・ 具体的には、大学基準協会の獣医学教育に関する基準(改定案)によれば、学生入学定員数を30~120人とした場合、アドバンス教育まで含めた場合の必要な専任教員数は、68~77人以上とされているが、ほとんどの大学では十分でない。

4、近年の獣医師に関する需給バランス (試算)
・ 平成26年度の獣医師法第22条の届出者数は39,098人であるが、獣医師の勤務年数を35年とすれば、現状を維持するために必要な一年あたりの獣医師養成数は、1,117人。
・ 現在、全国の獣医師系大学の入学定員数は、930人。
・ 獣医師に対する需給は逼迫しており、特に上記1の新たな分野に関する人材の不足が見込まれる。


ラインを引いた箇所に「上記1」という記述がある。
 ・上記1にあるような新たな分野への対応(アドバンス教育)
 ・上記1の新たな分野に関する人材の不足

上記1には新たな分野が書かれているらしい。その上記1というのはどれだと思いますか?
普通に考えれば1の背景ということになりそうですね。
・ 人獣共通感染症(エボラ出血熱・MARS等)の発生、国境を越えた流行。
・ 特に、食料に関する国際貿易を通じた感染の危険性(バイオテロ等を含む)


まとめて言えば新たな分野とは「感染症対策」と言えそうだ。感染症対策自体は新たな分野ではないので、「新たな感染症対策」といったほうが適切かもしれない。
2つに分けて書いてある感染症は感染源や感染経路など種類が違う。

・新たな人獣共通感染症(エボラ出血熱・MERS等)は未知なる点も多い感染症である。自然宿主はヒトコブラクダ(MERS;中東呼吸器症候群)やコウモリ(エボラ)と考えられている。
※加戸資料にはMARSとあるがMERSのタイプミスだと思われる。


・食料に関する国際貿易を通じた感染というのは、食品媒介感染症だと思われる。主なものは次の3つ。
 ●カンピロバクター(家畜、主に鶏の腸管に常在菌として存在し、食中毒を引き起こす)
 ●サルモネラ(家畜やペット、ヒトの腸管に常在菌として存在し、食中毒・腸チフス・性感染症などを引き起こす)
 ●腸管出血性大腸菌O157(毒素を出す病原性大腸菌であり主に牛の腸管に存在し、食中毒を引き起こす)


鳥インフルエンザが話題になることが時々あるが、あれは人間がインフルエンザに感染することがあるように、鳥類がインフルエンザに感染するものである。
ウイルスは野生のカモ類などが保有しているものだが(自然宿主)、鶏など家畜として飼育されている鳥に感染すると非常に高い病原性をもたらすものがある。
高い病原性を持つウイルスに次々と感染していけば飼っている鶏が全滅するということもある。閉鎖空間で非常に多くの鶏を飼育している養鶏所はもともと感染に極めて弱い環境にある。
だから養鶏業者に与えるダメージ(損失)は大きい。

人間のインフルエンザの原因となるウイルス(ヒトインフルエンザウイルス)と、鳥インフルエンザの原因となるウイルス(トリインフルエンザウイルス)は宿主(動物)が違っていて、鳥インフルエンザウイルスが人間に直接感染させうる能力は低く、万一感染しても人間から人間への伝染は起こりにくいと考えられている。
人間への感染発病も報告されているが、その感染者はトリインフルエンザウイルスに対する受容体(レセプター)を有しており、特異的なケースである。
現時点では人間が必要以上に脅威を感じる必要はない。

但しヒトインフルエンザウイルスというのは、もともとトリインフルエンザウイルスだったものが何らかの理由や過程を経て変異したものだと考えられている。
心配しているのはこの変異が新たに起こることである。
変異が起こったばかりの時には免疫がなく対処も後手になるので爆発的感染(パンデミック)に繋がる恐れがあるという懸念である。


これら感染症と新設学部のコンセプトにある「医学(創薬等)との連携」という記述を考えると、創薬とはMERSやエボラ出血熱のワクチンや治療薬の開発なのではないかということが1つ考えられる。
そのためには自然宿主なりウイルスなりを日本に持ってきて研究実験する必要があるであろう。
現在有効な予防法や治療法が確立されていないウイルスをあえて日本に持ち込むということは、リスクをも持ち込むということに他ならない。
研究開発は何も日本だけが行っているわけではないだろうから、今現在発生がない国がリスクを冒す必要があるのかということになるが、いち早く作らないと特許やら名誉やらの関係で金儲けにならないということなんだろうと思う。
リスクを冒すかどうかは国が決めるのだろうけれども、とりあえず誰でもが扱えるということでは大変困る。


食料に関する国際貿易を通じた感染(食品媒介感染症)の危険性についてだが、これは現在でも獣医師による検査・認定制度・防疫官によるチェックなどによって対応がとられている。
国内における検査員(獣医師)は獣医学部を新設増員しなくても以前より増えている。
輸入に関わる動物検疫所を強化したいということならば家畜防疫官(国家公務員)採用人員を増やせば良いのでないかと思う。おそらく現在は応募者全員を採用してはいないはず。
国家公務員レベルに達していないので増やせないということならば、学部新設にはより一層慎重になるべきであろう。











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by yumimi61 | 2017-10-10 14:02