2017年 12月 15日 ( 1 )

2017年 12月 15日
日本国憲法の秘密-640- (外貨準備と貿易について)
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1991年にバブル景気が終了。1991年度から税収が落ち始めた。
赤字国債発行額ゼロを達成したのは1991年~1993年度(平成3~5)であり、税収が落ちた中で達成している。
急上昇した景気が落ちるのと同じで、ガクンと落ちた景気はやがて戻ってくる。
しかしバブル景気の影響がどれくらい続いて、いったいどれくらい戻したのか、分かりにくい状況を作った。
1994年(平成6)に特別減税を行ったからである。
これは村山内閣の前の大連立・細川内閣で決まったこと。
消費税導入が念頭にあり先行減税と言われれている。
細川護煕は熊本県出身。大学はイエズス会の上智大学卒。日本赤十字社社長の近衞忠煇は実弟。

1997年(平成9)に消費税が導入されたが、その前3年に亘って特別減税を実施。
1994年(平成6)5.5兆円、1995年(平成7)2兆円、1996年(平成8)2兆円規模。
さらに所得税率の見直しも行われた。これは働き盛りの世代に配慮したもので、一時的なものでなく変更されない限り続く恒久的な減税となり、年間規模で3.5兆円の減収となった。1995年(平成7)より。
要するに、1994~1996年(平成6~8)は一時的な特別減税と所得税率見直しによる恒久的減税合わせて、年間5.5兆円の減収となったのだ。


上のグラフの一般会計税収のところに一部緑色の線を入れたが、それが減税が実施されなかった場合の税収。
バブル景気内の1989~1990年の税収レベルである。
おそらく1994年頃から自然な景気回復が見られたのではないかと私と考えるが、減税したことによって消費が刺激されて維持した景気であって、そうでなければもっと下がっただろうと主張する人も出てくるだろうと思う。
維持したと言っても税収は前年より減らしているので、減税のメリットよりもデメリットのほうが大きかったことは明らかだが、「いやいや減税しなければもっと下がったはずだ」という主張が間違えているという証明はしようがない。(安倍首相の好きな悪魔の証明)


特別減税の初年度1994年(平成6)から赤字国債も復活し始めた。
一旦ゼロに、しかもバブル景気後の減収の中でゼロを達成したのだから、それを再開するとなると、それなりの理由(言い訳)が必要である。
その言い訳に持ち出されたのが特別減税による減収だった。政府は景気回復どころか十分に減収を見越していたということになる。
「減税特例公債」という名で年度限りの特例公債にさらに特例観をつけて発行を決めたのだ。
下記金額の(うち金額)部分が当初予算の「減税特例公債」額である。
年度途中にそれでも足りなそうだと補正予算を組む。その部分はもう普通の赤字国債である。


赤字国債発行額(決算)
1994年(平成6) 約4兆1000億円(うち約3兆円)
1995年(平成7) 約4兆8000億円(うち約3兆円)
1996年(平成8) 約11兆円(うち約2兆円)

上の国債発行額の棒グラフのピンク部分(赤字国債)では「減税特例公債」は除かれているので、実際にはもう少しだけピンク部分(赤字発行額)は増える。
「減税特例公債」同様に、2011年度(平成23)は東日本大震災からの復興財源調達のための「復興債」、2012・2013年度(平成24・25)は基礎年金国庫負担2分の1を実現する財源を調達するための「年金特例公債」を除いており、実際にはもっと赤字国債は多い。


消費税率を5%にアップさせた時に地方消費税が設けられ、5%のうちの1%(国の消費税率の25%)は最終消費地の自治体(都道府県)の税収となり、さらにその半分が市町村に分配される。
国の消費税率は4%である。
3%の時は消費譲与税として消費税額の20%が地方自治体に譲与されていた。
どちらにしても丸々全部が国の収入になるわけではない。(それで地方自治体への仕送りが減るならよいが)
消費税率を3%から5%にアップさせるとおよそ5兆円の税収増になる見込みだったそうだ。
国の取り分は4兆円ということになる。
5兆円のうちの1兆円近くは政府(国家機関)が買い物するにあたって支払っている消費税だそうだから、政府(国家機関)のお買い物金額はいかに大きいかということですね。
自分で支払った消費税が収入として入ってきても、その分支出もあったということだからプラスマイナス0。
従って消費税率を3%から5%にアップでの国の税収増は実質的には3兆円強くらい。
苦労に苦労を重ねて税率を上げても、赤字を減らさないと焼け石に水。


特別減税の3年間が終わり、1997年(平成8)4月より消費税が5%に上がった。
その年の7月よりアジア通貨危機が始まった。

アジア通貨危機(英語: Asian Financial Crisis)
1997年7月よりタイを中心に始まった、アジア各国の急激な通貨下落(減価)現象である。
タイ・インドネシア・韓国は、その経済に大きな打撃を受け、IMF管理に入った。マレーシア・フィリピン・香港はある程度の打撃を被った。中国と台湾は直接の影響はなかったものの、前述の国々と関連して影響を受けた。
日本に関しては、融資の焦げ付きが爆発し、緊縮財政と消費税増税のタイミングが重なった結果、1997年と1998年における金融危機の引き金の一つとなり、1998年9月の日本銀行政策金利引き下げ、10月7-8日の日本円急騰(2日間で20円の急騰)、10月23日に日本長期信用銀行の破綻と国有化、12月13日に日本債券信用銀行の国有化へと繋がる一連の金融不安の遠因となった。
また、新興国における通貨不安はアジアに留まらず、1998年8月17日からのロシア通貨危機、1999年1月ブラジル通貨危機など、その他の経済圏でも同様の混乱を招いた。


途上国(新興国)など経済規模がそれほど大きくなく、不安定要素の多い国の場合、通貨もやや不安定なことが多い。
些細な事をきっかけにインフレやデフレが起こりやすく、そうしたことが金利や為替相場にも影響を与え、そうなると安心した貿易関係を築けない。
そこで政府や中央銀行などが金利調節や為替介入を行い、経済的に関係の深い大国の通貨との為替レートを維持させている。
これをペッグ制と呼び、USドルと連動させている場合をドルペッグ制と呼んでいる。
日本、台湾、フィリピンを除く、アジアの殆どの国家は、米ドルと自国通貨の為替レートを固定する「ドルペッグ制」を採用していた。それまではドル安の状態で、比較的通貨の相場は安定していた。

つまりアメリカのUSドルがドル安の時には、ドルペッグ制を敷いているアジア各国の通貨のレートも安めに誘導していたということ。
連動して動いているのだからアメリカとの貿易において為替変動によって急激に損をすることも得をすることもない。(差があるところに儲けも損も生じやすい)
安い労働賃金を背景にアジア諸国は輸出を伸ばしていた。(アメリカとアジア諸国の労働賃金には大きな差があり、それは双方の国のメリットになった)

ところで何故アメリカがドル安で推移していたかと言うと、重要な貿易相手国の1つである日本が1985年プラザ合意によって円安から円高に急転換したから。
アメリカから見ればドル高だったのがドル安になった。
1985年に一気に上がった後も、徐々に円高(ドル安)は進行し、ピークは1994年だった。
その後は円安(ドル高)に動いて行き、円安(ドル高)の底が1997年である。
ドルペッグ制のアジア諸国のレートはアメリカのドルに連動しているのでそれぞれ高めに動いた。
これによってアジア諸国の輸出が伸び悩むようになる。
何度も言うようだがドル建てで決済している日本の輸出企業は円安のほうが有利である。
それと同じでドルペッグ制のアジア諸国がアメリカ以外の国と相手国の通貨建てで貿易を行う場合、自国通貨安のほうがよいのだが、上がってしまったのだ。
例えば日本に円建てで輸出し売上を自国通貨に両替する時、通貨高は安い時より不利となる。
輸出企業について言えばそうだが、通貨高になるということは一般的にその通貨が国際的に強いということ、評価が上がるということである。
だけど実際ドルペッグ制のアジア諸国がそれに値するかと言えばそうではない。アメリカと連動させて意図的に上げたものであって自然に上がったものではない。
輸出が伸び悩んでいるのに国際的評価が上がっている方向に動く。
つまり実際の経済状況と乖離した数値が出ている。純粋な自身の成長ではなく、他者の動きに振り回される運命。これでは持続可能性があるとは言えない。

輸出が伸び悩み経済が思うように発展しないとなると途上国(新興国)に投資している投資家らはおもしろくない。
それならば通貨の売買(FX取引)によって一儲けしてやろうということになる。そちらのほうがよっぽど確実に儲けられる。
アジア諸国の通貨が投機攻撃の対象となったのだ。
このような投機攻撃は1992年にイギリスのポンドがやられている。当時イギリスは不景気だったが、立場としてはアジア諸国側になるわけではない。1990年10月の東西ドイツが統一が背景にあり、統一を機に東ドイツに投資家の目は向いていた。


投機(通貨の売買)の場合、買いから入る場合と売りから入る場合がある。
一般的には買いから入る。
どこかの通貨を日本円で買って、円安が進んだら売って、その差額を利益とする。
為替レートの差によって利益が生まれるが、もうひとつ金利差によっても利益が生じる。
例えば日本円でアメリカドルを買うと、円とドルの金利差分の利息のようなもの(スワップポイント)が利益となる。
アメリカドルと日本円の金利差が1.5%だとして(ドル1.5%、円0%)、100万円で1万ドルを買って(1ドル100円の場合)、それを1年保持した後に売ったとすれば、1年分の金利差15,000円も受け取れる。(別に1年と限らずポジションを持った日数分だけ日割りで貰える)
金利が高い通貨で低い通貨を買って保持すると逆に金利差分を支払わなければならないけれど、日本円にはその心配は皆無。


売りから入る場合は株の空売りと同じような感じで、通貨を持っていなくても出来る。
株の場合は借りると金利を払う必要があるが、通貨のFX取引の場合、その必要もない。
円安の時に売って円高の時に買い戻すと儲けになる。(為替は円安円高の安い高いと金額の高い低いが反対なので株の空売りの安値高値とは少々違ってくる)。
例えば1ドル120円の時に1万ドル借りて売って120万円手に入れ、1ドル100円と円高に動いた時に1万ドルを買い戻して返す。必要なお金は100万円。手元に20万円残るがこれが利益となる。


通貨安になると輸出はよいが輸入がとても大変になるし、資本を確保するために金利を上げざるを得なくなる。
そもそも通貨安というのは自国通貨の国際的評価の下がった状態である。信用面でいろいろ影響してくる。

ドルペッグ制のアジア諸国の通貨はこれ以降変動相場制に移行した。








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by yumimi61 | 2017-12-15 13:39