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真珠

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授かった美しきレンズ  贈られた温かな真珠 






2,3日前だったろうか、次男が「あと1ヶ月くらいで夏休み~♪」と言っていた。
もう夏休み気分なんだろうかと呆れている私をよそにさらに続けた。

「他の市はみんな、夏休みの終わりが1週間くらい早くなっちゃうんだって」

数年前から夏休みを短縮する学校は増えてきている。
学力低下の改善や授業時間の不足を補うため、まとめて時間を確保しやすい夏休みが削られるのであろう。
(今年度からは指導要綱の変更もあったのかな?)

「そういう学校、多くなってきてるよね」
「先生達も話し合ったんだって。だけど、1週間くらい夏休みの終わりを早めたからって急に学力が上がるものでもないだろうって、夏休みそのままにしたって」
「へーそうなんだ。先生達かっこいいじゃん」
「うん、よかった、夏休みが減らなくって」


先生達の思いに応えて、今度は子供達が勉強に頑張れたら、彼らもまたかっこよくなれると思うのだが、そんな風に都合よくいかないのが常で、息子の勉強はなかなか捗らない。


でも、まぁ、有意義な時間ばかりがすべてではないだろう


先日、次男が学校にキッチンバサミを持っていった理科の解剖実習。
持っていったキッチンバサミと一緒に彼が持ち帰ってきたものがあった。

「その袋の中に魚の目が入ってるから」
「えっ。魚の目・・・?」

思わず思い出したことがあった。
かつて、しらすをご飯に混ぜておにぎりにして食べようと思ったら、しらすの目に一斉に見つめられているような気になり、食べられなくなったという若い苦い経験があったのだ。
今はまったくそんなことはないのだが、解剖の後に魚の目と言われ、さすがにちょっと引いてしまった。
こちらを真っ直ぐに見つめる大きな魚の目を頭の中に描いてしまったのだ。

「すごい綺麗なんだよ。真珠みたいだから家に持って帰ってお母さんに見せてあげなさいって先生が言ったんだ」

よっぽど新鮮な魚だったのだろうか、、、おそるおそる開けてみると、、、
魚の目は目でも、レンズ(水晶体)で、本当に美しいレンズだった。


魚は、腐った魚の目なんていう比喩に使われたりするくらいだが、こんな美しいレンズを隠し持っている。
魚も人も、美しいレンズを持っているのだ。レンズだけではない。
前のエントリーではないけれど、あたりまえのように思っている、人の、生き物の、存在は、奇跡的な成り立ちに支えられている。


そんなものを少しでも垣間見ることのできるもうひとつのレンズを彼は作っただろうか。


夕方、彼がいつものように訊いてきた。
「今日のごはんなに?」
「魚。サバの味噌煮にしようと思って」
「サバ?このあいだ解剖した魚だ」

しばらくしてまたやってきて、今度は切り身の魚を見て、彼は言った。
「そうそう、これこれ、この肉」
「肉? 魚だよ」
「わかってるよー。魚の肉っていうこと。やっぱりこのあいだ解剖した魚と同じだ」

魚の身を肉というあたり、解剖の成果か。

先日解剖したという魚を、今日は食す。
解剖した魚も、食した魚も、血や肉になっていくのだろうか。

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国と国がそうであるように、私達が暮らす社会がそうであるように、
現実は、悲しいことがたくさんあって、目を塞ぎたくなるような出来事に溢れていて、何もかも無意味に思えるときも多い。
小さな魚は大きな魚に飲み込まれる運命にあるように、それもまた摂理であるように、いつか大きな波に呑み込まれてしまう日がくるのかもしれない。
もしそうだとしても、授けられた四肢を持って、奇跡のようなすべてを持って、泳げるうちは泳ぎぬく、その誇りだけは失いたくないと
魚の美しきレンズを思い出して思ってみたりする。




【2019年9月15日】
今年の8月の終わり頃に学校の夏休みの宿題などについて書いたけれど、夏休み終わりが早まっている話もここに書いていたんだなぁ。
この記事は2009年に書いたものだからちょうど10年前。
10年ひと昔と言うけれど、夏休みを短くして学力低下に歯止めがかかったのかどうか。どうなんでしょう。
ところでレンズと言えば、私は虫眼鏡の両凸レンズ(の触り心地)がわりと好きかもしれない。



by yumimi61 | 2009-06-18 09:16 | photo