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甍(いらか)八

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落ちこぼれ気味だったiPS細胞の山中教授

■山中伸弥(1962年生まれ)

大阪教育大学教育学部附属高校→神戸大学医学部。

医学部に進学することを決意したのは徳田虎雄(徳洲会理事長)*の著書を読み、その生き方に感銘を受けたから。
中学高校から大学2年までは柔道、大学3年からはラグビーをしていたスポーツ少年でもあった。

神戸大学医学部卒業は1987年。
その後、国立大阪病院整形外科で臨床研修医として勤務していた。
この時の臨床医としての評判はあまり良くなかった。元来の飽きっぽい性格も災いし退職に至る。
1989年大阪市立大学大学院医学研究科薬理学専攻に入学、基礎研究医を目指す。
1993年に博士号取得。

科学雑誌の公募に片っ端から応募し、採用されたカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)グラッドストーン研究所へ博士研究員として留学。細胞研究を始めるも挫折。

日本に帰国後の1996年、日本学術振興会特別研究員(PD・ポスドク)**となる。
その後、大阪市立大学薬理学教室助手に就任したが、マウスの管理が大変で、うつ病になりかけたそう。
マウスには今でも手こずっているようで、マウス逃亡で山中教授が謝罪会見を開いたことも記憶に新しい。(これはタレコミがあったのかしら?)
このあたりでまた基礎研究に嫌気が差して研究医より給料の良い整形外科医へ戻ろうかと思案するなか、とある科学雑誌で奈良先端科学技術大学院大学(大学院のみの大学)の公募記事を見つけ応募。
元特別研究員であるから即採用。

奈良先端科学技術大学院大学には情報科学研究科とバイオサイエンス研究科がある。
どちらのマウスか悩むところだが、まあ普通に考えればネズミのマウス。
1999年奈良先端科学技術大学院大学遺伝子教育研究センター助教授(動物分子工学部門)となり、そこでまた基礎研究に従事する。
2003年に教授に昇進。科学技術振興機構の支援を受け5年間で3億円の研究費を得た。
この研究費が功を奏したのか奈良先端科学技術大学院大学にてiPS細胞の開発に成功して、2004年に京都大学へ移った。
2007年からはカリフォルニア大学サンフランシスコ校UCSF)グラッドストーン研究所上級研究員と解剖学教授を兼務。
同研究所に構えた研究室と日本の双方で研究を行った。(これでノーベル賞の下地は整ったというところでしょうかね)
2007年頃からは国から何十億という研究費が支給されている。

2010年に京都大学iPS細胞研究所所長となり、2012年にノーベル賞受賞。
ノーベル賞のメダルを「もう、見ることもないと思います」と言っていたことが非常に印象的だった。

*徳田虎雄(徳洲会)
昨年、公職選挙法違反と猪瀬都知事への資金提供で騒がれたのが徳洲会である。それらについては器官95器官96器官97に書いた。
徳田氏とALSとiPS細胞のつながりはこちらにも書いた。

**日本学術振興会
文部科学省所管の独立行政法人(2003年より)。
昭和天皇からの下賜金により設立され皇族とも関係が深い。研究者を育成している。
現在の理事長は、慶應義塾大学理工学部名誉教授および慶應義塾学事顧問である安西祐一郎氏。


小保方さんと日本学術振興会

小保方さんは早稲田大学大学院の博士課程の3年間、日本学術振興会の「特別研究員」に選ばれており、給与(生活費)として毎月20万円の研究奨励金と年間150万円の研究費が支給されていた。(愛人を囲うような感じでしょうか?)

小保方報道があった当初、ハーバード大に留学していた時期の小保方さんもポスドクと言っていた人がいたのだが、小保方さんは留学当時は大学院在籍中であり博士号は未取得であった。
ポスドク(博士研究員)というのは博士号取得後の呼び名であり、大学においては助手と呼ばれていた。
教授、助教授、(講師)、助手というランク付けになる。大学院を出たての若者の通り道。
「博士号を取得していないのになんでポスドクなんだろう?」と不思議に思って調べてみたら、日本学術振興会に行き着いた。
日本学術振興会では研究者を独自に「特別研究員」と言っており、博士課程在学中の学生をも対象としている。
これに選ばれると就職採用率も抜群にいいそうだ。
有名校出身者や著名人が採用されやすいように、「特別研究員」=「採用」という公式があるんだろう。
水戸黄門の印籠みたいな感じで。Noとは言えぬ日本でもいいわね。


しかし小保方さんの場合、修士課程までは化学専攻であり、博士課程から生命医科学に変更したのである。
それなのに博士課程の最初の1年から将来有望な優秀な研究員と認められるとはいったいどういうことなのか?
特別研究員になるためには自分で申請して審査に受かる必要がある。
博士論文もネイチャー掲載論文も「論文の体をなさない」小保方さんがなぜ審査に合格したのだろう?
審査員は誰なんだ?と、これまた不思議に思って調べてみると、選考方法が掲載されていた
特別研究員の選考は、我が国の学界の第一線の研究者で構成される特別研究員等審査会(委員47人、専門委員約1,800人)において、書面審査及び面接審査により行われます。
委員の方はこちら
山ほどいる専門委員の方はこちら(PDF)。・・・名簿は任期が終了してから公開されるので1年前のもの。

名簿を見てもらえば分かるが日本中の大学が共犯者のようになっている。
問題は博士論文だけではなかったのだ。
事を荒げたくない人が大勢いる。
日本学術振興どころか日本学術崩壊である。
でも日本だけではないと思う。

こちらのブログでは審査の問題点などを書いている。(小保方問題以前の記事)

先日こちらに「天皇陛下御即位二十年をお祝いする国民祭典」で奉祝曲(作詞者は秋元康)を披露したのがEXILEで、CDはエイベックスから発売され、売り上げは若手研究者のために寄付したということを書いた。
Wikipediaにはこのようにある。
なお、このCDの収益は今上天皇に倣って、若手研究者の支援として日本学術振興会・人間文化研究機構・自然科学研究機構に寄付されるという。
山中教授も小保方博士も日本学術振興会の特別研究員であった。
そして山中教授は秋元氏が副幹事長を務めるエンジン01文化戦略会議の会員でもある。


iPS細胞は本当にあります!?

私はiPS細胞と山中教授についても批判的な記事を何度か書いている。
何故かと言うと最初からiPS細胞に懐疑的だったからである。
作成過程、作成に携わった人物、目的や倫理観などなど。
山中教授の「(ノーベル賞のメダルを)もう見ることもないと思います」という言葉は捨て台詞に聞こえた。
と言っても話しているのを聞いたのではなく、ニュースの記事を読んでそう思っただけなので、「捨て台詞」は私の思い込みだけれども。

iPS細胞のノーベル賞と時期を同じくして、森口尚史という人が「私もiPS細胞 を使った世界初の臨床応用として心筋移植手術を実施したことがある!」と言い出したことを覚えているだろうか?
iPS細胞というのは2007年に論文発表されており、再現も出来たということで日本でもアメリカでも多額の資金が投入されている。
森口さんとiPS細胞については2010年10月に「iPS細胞活用の初の創薬」として読売新聞が一報を伝えている。創薬?山中教授のシンパの北里大の塩谷名誉教授はこれを知らなかったかしら?

大々的に話題になったのは山中教授がノーベル賞を受賞して世間にiPS細胞が認知されたことによる。
森口さんの主張は虚偽であったということで、世間から散々叩かれるという騒動となった。

私には最初から何かおかしいという違和感があった。
森口さん1人が起こした騒動なのだろうか?という疑問であった。
直にそうでないことが判明した。森口さんの経歴を見たからだ。(騒動の経過と経歴はこちらを参照
手術を実施したと主張したことから医師であると思っている人が非常に多いかと思うが、彼は医師ではない。看護師である。
驚くべき経歴を転載する。

1989年  東京医科歯科大学医学部保健衛生学科看護学専攻に入学
1993年  同大学を卒業。看護師資格を取得(看護師の国家試験を合格したということである)。
1995年  東京医科歯科大学大学院の保健衛生学研究科総合保健看護学専攻の博士前期課程を修了。修士号を取得。
       (博士前期課程というのは修士課程のこと。博士後期課程というのが博士課程)
1995-1999年
  財団法人医療経済研究機構主任研究員・調査部長。(私はこの法人を知らなかった)
  ハーバード大学メディカルスクール・マサチューセッツ総合病院客員研究員。
   東京医科歯科大学医学部保健衛生学科の非常勤講師(国際看護保健学、健康情報データベースと統計分析など担当)(2009年まで)。

1999-2000年
  東京大学先端科学技術研究センター協力研究員(知的財産権部門)(非常勤)。
  マサチューセッツ総合病院の消化器内科の客員研究員。
  東京大学先端科学技術研究センター技術補佐員。
  東京大学先端科学技術研究センター客員助教授(常勤)。

2002年 東京大学先端科学技術研究センター特任助教授(次世代的知的財産戦略研究ユニット、先端医療システム研究)(常勤)。
2006年 東京大学先端科学技術研究センターの特任教授(システム生物医学)(2009年3月まで)。

2007年 東京大学大学院にて博士号取得。
       博士論文題目は「ファーマコゲノミクス利用の難治性C型慢性肝炎治療の最適化」
       主査は児玉龍彦東京大学先端科学技術研究センター教授。
2009年  東京大学先端科学技術研究センター交流研究員(2010年3月まで)。
2010年 東京大学医学部附属病院の特任研究員となる。
       助成金から人件費として月45万円以上が支払われていた。
       研究テーマは「過冷却(細胞)臓器凍結保存技術開発」。 ←フリーザー!?

2012年 東京大学医学部附属病院形成外科・美容外科技術補佐員。形成外科!!美容外科!!補佐員って何?
2012年9月 東京大学医学部附属病院特任研究員(常勤・有期)。どんな特別な任務?やばいお仕事?


その翌月、iPS細胞を使った世界初の臨床応用として心筋移植手術を実施したとぶっちゃけた。
これに慌てたのがハーバード大、マサチューセッツ総合病院、ネイチャー誌などなど。 やばいやばい!

あっちもこっちも急に知らんぷり。そんな人はハーバード大にはいなかったとかなんとか。
まさに日本で言うところのトカゲの尻尾切り。

森口さんは当時インタビューでこんなことを言っていた。
きちんとした手続きにのっとって移植を実施した。私に医師の資格はないが、移植は医師の指示の下で行われたので問題はない。ハーバード大学が私が所属していないと否定するのはよく分からない」 
日本のメディアも虚偽を大々的に扱い、医師の資格がないことをスルー
世間の論調は「森口悪し」「狂人森口」となり事態は収束していった。

森口さんはその後もハーバード大学との密接な関わりがあったことを主張している。
詳しいことが言えないのは共同研究者から「言うな」と言われているからだそう。


恐ろしい秘密のプロジェクト?

長々と経歴を追ってきたが、途中に書いた通り、早い話、森口さんは医師の資格を持っていない。
医師になるには医学部医学科を卒業して、さらに医師国家試験に合格する必要がある。
彼は看護師資格を持っているに過ぎない。(看護師国家試験に受かっていればの話だから、それも調べたほうがいいかもしれない)
看護師も大学なり専門学校で所定の養成課程を収めて、さらに看護師国家試験に合格する必要がある。(看護師には正看護師と准看護師がある。また看護助手という資格のない人もいる)
森口さんは修士号(保健)を取得しているが、保健師ではない。
保健師になるためには、所定の保健師養成課程を収めて、看護師資格を取得した上で保健師国家試験に合格しなければならない。
医師や看護師、保健師には修士号や博士号などという学位は実質的には全く関係ないのだ。
養成課程を修了して国家試験の受験資格が得られ、それに合格して初めてなれる職種である。
専門養成機関の単位が取れて卒業できたのかどうか、国家試験に合格したかどうかが重要なのである。
但し大学教授などを目指す場合には博士号を条件にしている大学が多いので取得する必要がある。

森口さんは修士課程修了後、看護師として臨床で働くことも、保健分野で就職することもなく、客員研究員や大学講師になっている。
医学医療の世界でも出身大学の研究室から外に出ることなく、そのままそこでお手伝いをして教員になる人が結構いることは確かだが、卒業してすぐに母校の講師やハーバード大学メディカルスクールの客員研究員とは恐れ入る。
その後の経歴も普通では考えられない。

何より驚いたのは医師でないのに最先端の場で先進医療である移植手術をしていたと本人が証言したこと。
臆することなく本人が喋ったということは、無知なのかなんなのか、罪悪感すらないのだと思う。
そしてそのことが大きく問題として取り上げられず「森口氏のiPSは嘘」で片付けたメディアや医学界にも疑念を抱かずにはいられなかった。
故意であっても故意でなくても非常に問題は大きい。
一般の人はその重大性に気付くこともなかった。


医学博士や博士(医学)と、医師は、同義語ではない

すでに述べたように医師であるには博士号(Ph.D.)は必要ないが大学教授を目指す人や箔を付けたい人が取得するのである。
日本の大病院(病床500以上)は5%にしかすぎず、200床以下が70%で個人病院も多数あることを考えれば本来は必要ない人も多いはずである。
だけどテレビに出演したり本を出版する時には「医学博士」という肩書があったほうが箔が付く。

病院によっては所属する医師の資格などが個別に掲示してある場合があるが目にしたことがあるだろうか?(個人病院だと資格証明書などの証書を掲示している場合もある)
「学会認定専門医」と書いてあることが一番多いと思う。
臨床医としては「医学博士」よりも「学会認定専門医」のほうが重要視される。(あらゆる医師を縛り上げる学会という組織が諸悪の根源と言われることも多いが・・)

医学博士や博士(医学)と、医師の違いを端的に表せば、学術(理論)と臨床(実践)になる。
医学博士になるには医学部医学科の卒業でなくても構わない。
医学部以外の理系学部を卒業した人が大学院博士課程で医学系の研究科を専攻し、博士論文の審査に通れば取得できる。
しかし医師の国家試験受験資格は得られないので医師になることは不可能。
つまり医学博士・博士(医学)≠医師
上記を英語で表せば、Doctor of Philosophy in Medical Science≠Doctor。(但しDoctorという単語には医師と博士と両方の意味があるので、博士という意味では=である。)
危ないのはここでの誤解や拡大解釈なのである。
医学博士や博士(医学)と見れば、一般の人は医師だと思い込むと思う。
また幾ら博士号を取得したからと言っても、基礎医学を全く習得していない人が生命に係わることに安易に立ち入るのは如何なものだろうか?
近年医療系大学流行で乱立したことも頭痛の種である。
わりと簡単に大学に入学し、研究室上がりの教授や講師陣から基礎医学などを学び且つ博士号も習得する人が出てくる。
なかなか文句は付けづらいが、これを今までと同じ「博士」として括っていいものだろか?
博士号を取得した看護師(ナース)はドクターである。
保健師は英語に訳すとPublic Health Nurse(PHN)となるのだが、私の経験ではこれでは外国人には職種の名として通じないことが多い。
保健師という職種や概念が全くない国もある。


医学部医学科は6年制なので卒業するには留年なしで6年かかる。
4年+2年で修士号が得られると勘違いする人もいるかもしれないが、医学科卒業で得られる学位は学士(医学)である。
学位であるから、医師国家試験を受験するしない、合格したしないは関係ない。よって学士(医学)≠医師でもある。

日本だけでもこんなにややこしい挙句、外国での教育課程もそれぞれに違うため、グローバルな世界では尚のこと混乱や誤解を招きやすい。
アメリカでは「M.D.」(Doctor of Medicine,日本の医学学士のようなもの)と「Ph.D.」(Doctor of Philosophy,日本の博士号)と表する学位がある。
アメリカの大学では教授になるにも「Ph.D.」は必要ない場合が多いそうだ。

この複雑さとボーダレス化が森口・小保方問題の遠因であるようにも思う。







by yumimi61 | 2014-04-12 13:06