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甍(いらか)四十二

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黒い雨と黒い津波

子供の頃、井伏鱒二の『黒い雨』という小説を読んだことがある。
原爆投下後に降った雨が黒かったから「黒い雨」なのである。
黒さを作るのは、爆発時の泥や塵、煤などらしい。
「本当に大事なものは危ないものは目に見えないんだよ」といったところか。
東日本大震災の際、テレビに映し出された津波が黒かった
三陸海岸での黒い津波は不思議なことではないと言う。

三陸海岸を津波が襲ったのは初めての事ではない。
1906年(明治39年)の明治三陸大津波。1933年(昭和8年)の昭和三陸大津波
どちらも多数の死傷者を出した。105年前と78年前のことである。
数百年に1度の地震、1000年に1度の大津波、こうした表現を耳にすることがあるだろう。
あくまでも比喩表現であって実際にはこれらの数字は意味をなさない。
時代が社会に与えうる影響という観点から言えば、波の高さや堤防の高さも同じことではないだろうか。

2度の三陸海岸大津波も小説として描かれている。
黒い津波はここにも見られる。
しかし多くの人は津波など見たことが無かったし、考えたこともなかった。たとえ海が身近にあっても。
一方、過去の三陸海岸大津波を経験していれば、この小説を読んでいれば、黒い津波を不思議に思わない人もいたと思う。
人はやはり忘れる生き物であり、且つ認知バイアスを持つ。
教訓がいかに難しいかということを知らしめた。
しかしそのこともすぐに忘れてしまう。堂々巡りである。


「禁止」「準備」という名の偵察と風評管理!?

包括的核実験禁止条約をご存じだろうか?
Wikipediaにある通り、あらゆる空間(宇宙空間、大気圏内、水中、地下)における核実験の実施や核爆発を禁止した条約である。但し爆発を伴わない臨界前核実験は禁止していない。

1996年、同条約案をニューヨークの国連本部に提出するという前例のない行動を起こし、その結果同条約は圧倒的過半数で採択された。在日オーストラリア大使館HPより
しかし、アメリカ、イスラエル、イラン、エジプト、中国は署名したものの批准していない。
批准とは自国における確認や同意の手続きで、国内での公布や効力発生に必要不可欠。その条約に拘束されてもよいという国家の意思表示。
北朝鮮、インド、パキスタンは署名も批准もしていない。
これら発効要件国の未批准があるため、採択から20年が経過しようとしているのに条約は未だに発行されていない。
批准しないということはその国の指導者が「核実験をしたい」「核実験する予定」「核実験します」「条約反対!」「何言ってんだか」などと考えているか、その国の代表者(または国民)の大多数とまではいかなくともそれなりの人数(可決できないほどの人数)の人がそう思っているということなのだと思う。

さらに言えば、戦争に国はそれほど関係ない。
「連合国」や「多国籍軍」を考えれば分かる。「手を組みましょう」という話になる。
昔から一騎打ちの戦争なんてそうそうない。
今はグローバルな時代なんだから余計にそうでしょ?
条約をチラつかせて核実験の反対や廃止の姿勢を見せているだけで実は何の効力も説得力も無い。


オーストラリアとニュージーランドは、国際的な包括的核実験禁止条約(CTBT)の枠組みの下で核爆発の検知強化と核実験の永久的かつ効果的な禁止の推進協力を行うための科学技術協力協定を締結した。

この文章で始まる記事の原文は2012年10月に書かれたものである。
その中にこのような記述がある。

「両国は核兵器の問題について何らかの対策を行っているように見えますが、実際のところは核兵器禁止条約への支持を拒否しているのです。両国が本来すべきことは、米国が(CTBTへの)条約批准を行うよう、本気で外交上かつ経済的な圧力をかけることなのです。」とリーパー氏(公益財団法人広島平和文化センターの理事長)はIDNの取材に対して語った。

リーパー氏は、それを行う1つの方法として、米国及びその他の(CTBT)未批准国に対し、包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)準備委員会が構築した国際監視システム(IMS)が収集した地震活動、放射線放出及び実験に関する極めて貴重な情報の提供を拒否するという戦略を提案している。

CTBTは、関係国が互いに協力し合って、核爆発が発生したかどうかを検証するための監視システムの活用能力を強化するよう求めている。

CTBTO準備委員会は、核爆発から発せられる音波と放射性核種微粒子及びガスを把握するために環境を監視している300以上の施設からなるIMSの構築を完了している。こうした施設で収集されたデータは、どの事象(年間およそ3万件)が核爆発であるかを判断する最終的な責任を持つCTBT関係国に提供されている。


条約が発効されれば国際連合関連機関として「包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)」が誕生するわけだが、なにせ発行されない。
だから機関も設置されないかと言えばそんなことはなく、「包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)準備委員会」という名称で本部はオーストリアの設置されている。
条約発効されずとも国連機関である。
この機関には国際監視制度(International Monitoring System:IMS)がある。
地球上を均質な観測技術で覆い尽くし、核実験を24時間監視するもの。地震学的監視施設、放射性核種監視施設、水中音波監視施設及び微気圧振動監視施設の4種類があり、世界89か国、337か所に設置される。各施設が探知するデータは、ウィーンの国際データセンター(IDC)に送付され、処理される。
さらに疑わしい事象があった場合には現地査察を行うとしている。
しかし準備委員会にすぎないから基本的にデータの公表はしないんだそうだ。


威厳と異言

外務省によれば、CTBT条約には受け入れ国はIMS監視施設を所有し運用すると規定されているとのこと。
それら施設の他に、日本はCTBT発効後に設立される執行理事会の常任理事国になるべく、核爆発実験の探知に係る独自の放射性核種や連続波形の解析・評価能力を備える必要があるそうである。

◆国連>包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)>日本国内当局(外務省)>公益社団法人日本国際問題研究所 軍縮・不拡散促進センター(外務省依頼により事務局となる)

日本国際問題研究所というのはシンクタンクである。国策経済戦略機関である。
現在の会長は西村泰三氏。日本郵政の現社長でもある。こちらの#ゆの簡保生命情報に登場した。
慶應義塾大学→東芝→東京証券取引所→日本郵政という経歴で、日本郵政の民間出身西西コンビ社長のお一人。
会長の御挨拶では「故吉田茂元首相の提唱により、英国王立国際問題研究所(チャタム・ハウス)等に範をとりつつ設立された外交・安全保障に関する不偏不党の総合的な政策シンクタンクです。」と述べられている。
歴代会長や理事長は こちらを参照
私が「小保方建築」から弾き出した「鹿島建設」の元会長や皇太子妃雅子様のお父様のお名前なども見られる。
研究所設立は1959年だが、「軍縮・不拡散促進センター」が設置されたのはオーストラリアが国連に包括的核実験禁止条約を提唱した1996年、まさにその年である。

CTBTの日本国内運用体制は下図のとおり(出典:軍縮・不拡散促進センター
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外務省は気象庁と文部科学省と連携し、日本国際問題研究所の軍縮・不拡散促進センターは実際の監視業務を日本気象協会日本原子力研究開発機構に委託している。


●外務省―気象庁(軍縮・不拡散促進センター>日本気象協会)>地震学的監視観測所(6か所)
 ・主要観測所:松代(PS22) 国際データセンター(IDC、在ウィーン)に24時間オンラインで地震データを送付している。
 ・補助観測所:大分(AS51)国頭(AS52)八丈島(AS53)上川朝日(AS54)父島(AS55)  IDCの要請に応じて地震データを送付する。

●外務省―気象庁(軍縮・不拡散促進センター>日本気象協会)>微気圧振動監視観測所(1か所)
 ・夷隅(IS30)

●外務省―文部科学省(軍縮・不拡散促進センター>日本原子力研究開発機構)>放射性核種監視施設(3か所)
 ・放射性核種監視観測所:沖縄(RN37)高崎(RN38)
 ・実験施設:東海(RL11) 日本原子力研究開発機構東海研究所内にスペースを確保している。

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(出典:外務省>外交政策>軍縮・拡散 日本国内の国際監視施設設置ポイントPDF


松代は長野県、夷隅は千葉県、高崎は群馬県、実験施設の東海は茨城県。
主要観測所は長野県、千葉県、群馬県、茨城県、そして沖縄県に設置されているということになる。






by yumimi61 | 2014-05-30 16:21