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甍(いらか)八十三

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+ ゚ *.。゚。*.:。* 女性研究者に贈る4℃ *.。゚。*.:。゚。* ゚ +




続きです。
後述(1)~(3)まではこちらを参照
後述(4)はこちらを。
下記「STAP実験・STAP騒動で私が受けた主なる衝撃主なる衝撃」部分は重複しています。


STAP実験・STAP騒動で私が受けた主なる衝撃

●STAP細胞が幹細胞ではなかったこと。 
自己複製能が無く細胞分裂しないということであるから、STAP細胞には多分化能はない。胎児にも胎盤にもなれないのは明確。にも拘わらず「生殖細胞を含む全ての細胞に分化する能力を持っていると明確に示された」と報告されていた。


●幹細胞ではないSTAP細胞からキメラマウスを作製。STAP由来の胎仔と胎盤をできたこと。 
上記の理由でありえない。だからなのか、「単一細胞(トリプシンでバラバラにする)」から「小分けブロック」にすることで可能になった、その技術は若山氏ならではのものと語られた。この方法や文言には非常に強く作為的なものを感じる。


●全身グリーンマウスを喜んでいること。
Oct4-GFPマウス(分化した細胞は蛍光しない)とCAG-GFPマウス(最初から全ての細胞で蛍光するように操作されている)のどちらのマウスが使用されたとしても、全身が蛍光したことを喜ぶのはおかしい。喜ぶ意味がない。


●グリーンな胎仔と胎盤の画像撮影。拍動している画像もあった。
どうやって撮影したのか?またマウスは多胎妊娠があたりまえな生物なので、通常は着床成功率を上げるためにも複数の胚を移植すると思う。画像で指し示された胎仔・胎盤は1つだけであった。


●小保方氏が幹細胞樹立は苦手で全く関与していないと述べたこと。
培養が出来ないと言っているようなもので、世紀の科学者のごとく持ち上げられた報道も然ることながら筆頭著者であることへの疑問あり。前段階の実験に携わっており本当に実験が成功していたとしても彼女の貢献度は極めて低い。・・・※後述(1)


●Oct4-GFPマウスを使って実験を行ったと述べられていたのに、その後(検証実験やマウス解析報告など)にCAG-GFPマウスだったと語られていたこと。
実験が成立しない。


●STAP細胞から幹細胞樹立(増殖性獲得)に副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が使用された。 
副腎皮質ホルモンはリンパ球の活性を抑制する。培養中のT細胞に添加すれば死滅に至る。STAP細胞の基になったのはT細胞である。T細胞の特性を残しているならば増殖ではなくて死滅するのではないだろうか。・・・※後述(2)


●TCR(T細胞受容体)の遺伝子再構成を調べることの意味。
初期化した細胞から元の細胞を断定することが可能だろうか。断定できるならば初期化したとは言わないのでは?元の細胞を断定するにはTCR再構成を利用する以外になかった、ゆえに元の細胞はT細胞にしたという恣意的なものを感じる。(しかしそれが命取りだった気も・・)・・・※後述(3)


●初期化(一度分化した細胞が多能性細胞・未分化細胞に戻ること)の意味が曖昧。
詳細は解明されていないが相同組換えなどの遺伝子組替えでは一旦一部分のDNAがほぐれると考えられている。強固な連鎖に新たなものは入りにくいということ。ほぐれた箇所に似たものが入り込むという考えが相同組換え。そうであるならば分化した細胞が初期化するということはすべてのDNAがほぐれるということを意味する。ほぐれた全てのDNAを人為的に再構成して臓器なり生物を作製することができるだろうか?今の知識や技術ではとてもじゃないが無理だろう。(組換えの発生は人間の我儘な期待に応えるレベルにない。そこでほぐしや耐性など人為的に働きかけるわけだが現段階では相同組換えでさえ、その成功は難しい状況である。)


●異なる種の細胞がいとも簡単に細胞接着したこと。
ありえない。(理研の著名な研究者が同意してくれるはず)・・・※後述(4)


●2つ目の論文の力尽きた観。
整合性のない実験を利用して証明していたりする。・・・※後述(5)


●最後は従来から可逆性があると言われている線維芽細胞の増殖因子を用いたこと。
辻褄合わせっぽい。STAP細胞初期化はありえないという間接的な証明をしているようにすら感じる。・・・※後述



勘違いのもとはES細胞かiPS細胞か ※後述(5)

整合性のない実験は前述したとおり、JAK阻害剤を使用したFgf4-induced幹細胞へのSTAP幹細胞混入否定であった。
先行研究で胚盤胞の内部細胞塊由来の多能性細胞はJAK阻害剤により除去されることが報告されていうことで、それを利用して判別したらしいが、そもそもSTAP幹細胞は内部細胞塊由来の細胞ではない。
STAP幹細胞をES細胞と勘違いしてしまったのだろうか?
そうだとすると、STAP幹細胞が実はES細胞だと知っていた可能性があり、「STAP幹細胞はES細胞だった説」を有力にしてしまう。

確かにSTAP幹細胞がそっくりES細胞に置き換わったとしても問題はなさそうだ。
胎盤組織に寄与しない点なんかまさにES細胞らしさを漂わせる。
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■STAP幹細胞樹立
STAP細胞を「理研が開発した副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)を含む多能性細胞用の特殊な培養液」とフィーダー細胞(マウス胎仔線維芽細胞若しくはゼラチンコート)を使用して培養すると増殖性が発露し幹細胞になった。
STAP幹細胞は胚(胎仔)に寄与するが、胎盤組織には寄与しない。
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もうひとつ考えられるのは、内部細胞塊由来ではない多能性幹細胞(たとえばiPS細胞)の論文などで用いられたES細胞混入(コンタミ)否定の手段をそのまま利用してしまったということである。
小保方氏の論文はコピー&ペーストが非常に多く常態化していたようなので、これも大いに考えられる。
またそうした手法で証明してきた人が指導しており、うっかり過ってしまったということも考えられる。

どちらにしても集中力を欠いた印象は否めない。


ES細胞との差異 ※後述(5)

STAP幹細胞がそっくりES細胞に置き換わったとしても問題はない。
しかし1つだけ異なる点がある。胚盤胞への注入前処理である。
トリプシンでバラバラにして注入するのがES細胞で、この方法では成功しなかったのがSTAP細胞(及びSTAP幹細胞)である。
若山氏の手技(マイクロメスによる小分けブロック化)が生かされたところである。
小保方氏が「沢山のコツやある種のレシピがある」と言ったのと同じで、若山氏が「身に着けた独自の技術」と言えば、「それなら再現できなくても仕方ない」と思わせるものがある。
だからこそ私はこのあたりをとても作為的に感じてしまう。

「ごく簡単に作製できる」と大々的に発表されたが、2人のコツや技術が必要不可欠なものであるならば「私達ならごく簡単に作製できる」と言うべきだったろうと思う。

4月頃になると理研は簡単に出来ないことをアピールしていた。
4月7日に「STAP現象の検証の実施」として理研内での検証スケジュールが発表されたが、下図はその資料にあったもの。
これは1月末のプレスリリース時の資料にも用いられていた図であるが、新たに赤丸のところが追加された。
リンパ球をソートすること自体簡単ではないと言っている。
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4月16日に行われた笹井氏の会見資料でも簡単に再現できないことが綴られている。
e0126350_2322726.png


こうなってくると俄然言い訳がましい。
だったらあのような前代未聞の発表をしなければいいでしょうという話になる。
しかしまあ騒動になってしまった以上、背に腹はかえられぬ。「簡単には出来ません作戦でいきましょう!」と相談したのだろうか。


弱酸性溶液処理への疑問 ※後述(5)

下図がプレスリリース資料に掲載された図である。
e0126350_2345155.jpg

要するにこの図の下の部分の文字はみな後から追加されたものなのである。
e0126350_9121958.jpg


「トランスジェニックマウスの安定供給」という文字も重大な書き入れであるが、ここでは「酸処理 HCl」に注目したい。(HClは塩化水素・塩酸)
プレスリリース資料の図では「酸性溶液で刺激」という文字が強調されている。
それはそう、これがSTAP細胞への変換の肝であったわけだから。(最初の最初は細管通すだけだったけどね!)
報道などではやたら「弱酸性」であることが強調された。
テレビの解説で「「酸っぱいオレンジジュースぐらいの酸性の液に浸けるだけ」「紅茶くらいの弱酸性に25分浸けるだけ」と説明されていたそう。
「それならビオレを顔に塗りつけておけばいいんじゃない?」と思った人もいたはずである。
しかし理研のこの図は弱酸性であることはあまり強調してない。
pH5.7という数字から中性に近い弱酸性なんだなぁ分かる程度である。(pH3.0~6.0が弱酸性)

この部分は小保方論文にはこのように表記されている。
After cell sorting,1×10^6 CD45+ cells were treated with 500μl of low-pH HBSS solution (titrated to pH 5.7 by HCl) for 25 min at 37°C, and then centrifuged at1,000 rpm at room temperature for 5 min.

(訳)
細胞を選別した後に、CD45陽性細胞を低pHのHBSS溶液500μl(HClでpHを5.7に滴定)にて37℃で25分間処理し、それから室温で5分間1,000rpm遠心分離した。

1×10^6 (10^6=10の6乗) ・・細胞数
500μl・・1μlの100万倍が1リットル。1立方mm=1/100万リットル=1μl(マイクロリットル)
1,000rpm・・遠心分離機の回転数1分間回転あたりの回転数

つまり、HBSS溶液(生理的等張緩衝塩溶液・・このようなもの)に塩酸を混ぜて低pH(5.7)にしたものに細胞を処理した(浸した)ということを述べている。


再現できないとの声を受けて3月上旬に詳細手順を発表した理研だが、その中ではこの部分はこのように補足説明されている。

IMPORTANT
(i) The buffering action of HBSS is weak, so carry-over of the solution may affect pH. Please adjust pH to 5.7 in cell suspension by the following method.First, suspend the cell pellet with 494 μl of HBSS pre-chilled at 4°C, then add 6 μl of diluted HCl (10 μl of 35% HCl in 590 μl of HBSS) to adjust to a final pH of 5.7. Please confirm the final pH in a pilot experiment, and optimize the volume of HCl added, as necessary. Alternatively, suspend the cell pellet in HBSS-pH 5.4 pre-chilled at 4°C.

(ii) The HBSS we used is Ca2+/Mg2+ free (Gibco 14170-112).

(iii) Incubate the cells suspended in HBSS in a CO2 incubator.

(iv) Cell viability is a critical parameter in this step. Under optimal conditions, massive cell death is observed at two days after plating, as shown in Figure 1d (Obokata et al. Nature, 2014a).

(v) If you find massive cell death at one day after plating, it may be ameliorated by shortening the incubation period with low-pH HBSS solution to 15 min.



これによればpHの調整もなかなか難しく、そんなに簡単に「弱酸性溶液処理」できるわけではなさそうだ。
まずHBSS溶液(中性)を4℃に予備冷却して、その中に細胞を入れる。
そこに最終pHが5.7になるように希釈した塩酸(HCl)を加える。
(それでもダメなら適宜)HBSSの量とHClの量や濃度を調整してみたり、HBSS溶液pHを5.4にしてから4℃で予備冷却してみたりすることを試してみて。
そのように述べられている。

「最終pHが5.7になるように希釈した塩酸(HCl)を加える」ということは、5.7よりもう少し酸性寄りの希塩酸を細胞に直接かけることになる。(中性と酸性の間が弱酸性だから)
最終的に溶液が弱酸性であるならば、細胞に与えられるストレスは酸性に近いと考えたのだと思う。
私も以前こちらに書いた
優しいということは効かないということでもあり、効くということは厳しいということでもある。
理研にも「弱酸性溶液に浸す」という処理が細胞を運命的に変えるほどのストレスになりうるのだろうかという疑問があったに違いない。(または、そんなの無理に決まっている!と思っていたかだ)
しかし「常識を覆す発想」「この発想は生物・生命分野からは出てこなかっただろう」と大々的に誇張されれば、「そうなのかなぁ・・」と思ってしまうのもまた研究者の性かもしれない。






by yumimi61 | 2014-07-22 22:34