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甍(いらか)百六十

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保健師はいらない論

新人類の出現によって保健師と看護師の資格の有り様が怪しくなったため、2007年に「保健師国家試験に合格しても看護師国家試験が不合格の場合には保健師免許は取得できない」との通達が出た。
しかし先にも引用したこの部分の条文は変更されていない。
通達により資格(免許)の解釈を明確にしたということなのである。(憲法みたいですね!)

第5条 この法律において「看護師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者をいう。

第31条 看護師でない者は、第5条に規定する業をしてはならない。ただし、医師法又は歯科医師法(昭和23年法律第202号)の規定に基づいて行う場合は、この限りでない。
2 保健師及び助産師は、前項の規定にかかわらず、第5条に規定する業を行うことができる。


従って保健師のWikipediaにもこのように記載されている。
基礎資格の厳格化として2007年から適用の法改正が取り上げられているのだが、その最後の文章はこのようになっている。

なお、保助看法第31条第2項は改正されていないため、保健師免許のみで看護師業務を行うことは可能であり、前述の通りの経緯から職能の違いにも関わらず、保健師が看護師の上級免許と誤解されることが多い。

これは通達が出た背景をいまひとつ理解していないと思われる記述である。
保健師免許のみで看護師業務を行うことが可能ならばわざわざ通達を出して明確化する必要はなかったはずである。
看護師資格がベースに必要と言っているのだから保健師免許のほうが上級免許と考えるほうが自然である。
実は看護大学が増加した以降は、教員職に携わる看護師にも「保健師免許が別に存在する必要は無い。看護師資格としてまとめるべき」と考える人が出現してきた。
看護師資格の必要のない保健師資格を認めるわけでもなく、看護師として一本化すべきという意見なのだ。
多数決で決めるとするならば保健師は看護師の数には到底及ばない。


看護界における学歴と派閥

看護師免許に正看と准看という区別があるためにトラブルや確執があったことはすでに述べたことだが、それを背景にするのか看護師は思った以上に学歴に敏感なところがある。
私がそれを最初に感じたのは群馬県の看護学校学生の看護研究発表会だった。
当時、前橋市民会館だったか県民ホールだったか忘れたが学外のホールを会場にして毎年1回開催されていた。
群馬大学医療技術短期大学部看護学科の他、県内の3~4の高等看護専門学校の学生による発表会だった。
先輩から「医短は他の看護学校から嫌われているから目の敵にされるよ」というような噂を耳にしていたが、看護研究発表会で裏庭に呼びだされるようなことはないと思って、俄かには信じ難かった。
しかし実際にそのような雰囲気があった。
目の敵というのは漂う空気と執拗までの質問攻撃だった。
研究レベルに少々差があったのである。
しかしそれは個人の資質というよりも、大学と専門学校の研究への意識の違いからくるもので、仕方ない部分があったのだと思うが、だからこそ歯がゆかった人がいたのかもしれない。


国立大学の医療技術短期大学部の看護学科を卒業して就職する場合、多くは実習をした大学の医学部付属病院を選択する。
そうでなくて出身地の総合病院などに就職すれば婦長コースが約束された。
実際に私は学生時代に地元の2つの総合病院(1つは国立病院)から「ゆくゆくは婦長として」と勧誘された。
独り暮らしの部屋を事務長と看護婦長が訪問してきたのだ。今ならば「なぜここを知っている!」と言うところですね。
病院が付属の看護専門学校を持っている場合や特定の看護学校の実習病院になっている所に他から就職した場合には人間関係がとても難しいという話も先輩などから聞いていた。
それで早々に昇進した際には尚更だろう。
医学部や病院にも派閥があるように、女の世界もなかなか厳しいものがある。
看護大学増殖は反逆だったのではないかと思うことさえある。 


救われる者、救われない者

保健師免許と国家試験受験資格について現在は下記のように記述されている。

第7条 保健師になろうとする者は、保健師国家試験及び看護師国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受けなければならない。
2 助産師になろうとする者は、助産師国家試験及び看護師国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受けなければならない。
3 看護師になろうとする者は、看護師国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受けなければならない。

第19条 保健師国家試験は、次の各号のいずれかに該当する者でなければ、これを受けることができない。

一 文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものとして、文部科学大臣の指定した学校において1年以上保健師になるのに必要な学科を修めた者
二 文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものとして、厚生労働大臣の指定した保健師養成所を卒業した者
三 外国の第2条に規定する業務に関する学校若しくは養成所を卒業し、又は外国において保健師免許に相当する免許を受けた者で、厚生労働大臣が前2号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認めたもの


下記は法律制定時(1948年)の同条文である。
第7条 保健婦、助産婦又は甲種看護婦になろうとする者は、保健婦国家試験、助産婦国家試験又は、甲種看護婦国家試験に合格し厚生大臣の免許を受けなければならない。

第19 条 保健婦国家試験は、甲種看護婦国家試験に合格した者又は第21 条各号の一に該当する者であって、さらに左の各号の一に該当するものでなければ、これを受けることができない。

 一 文部大臣が指定した学校において1年以上保健婦になるのに必要な学科を修めた者
 二 厚生大臣の指定した保健婦養成所を卒業した者
 三 外国の保健婦学校を卒業し、又は外国において保健婦免許を得た者で、厚生大臣が前2号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認めた者

※甲種とは高卒後に3年以上の看護師養成教育を受けた者(正看)、乙種は中卒後2年以上の看護師養成教育を受けた者(准看)。

1948年以前は看護婦資格がなくとも保健婦になれたのだが、保健婦助産婦看護婦法という法律が制定されるにあたって、看護婦の修業年限をそれまでの2年以上から3年以上に延長し、さらに保健婦教育を受けられる要件として看護婦国家試験合格者と新たに規定された。
この時の保健婦の修業年限は1年だった。
法律制定時に看護婦国家試験合格者と明記したのだがら看護婦免許を持たない保健婦が誕生するはずはなかったのである。

1951年に修業年限が1年以上から6ヶ月以上に短縮された。
1年も必要ないとの判断だったらしい。

次に改正されたのは2006年。
戦後間もなく制定された法律のこの条文は修業年限の短縮を除けば58年間全く変わらなかった。
2006年の改正では「甲種看護婦国家試験に合格した者又は第21条各号のいずれかに該当するものであって、さらに」という文章を削除したのである。
つまり従来ここに明記されていた「看護婦国家試験合格者」という要件を外したのである。
そして第7条に付け加えた。明記場所を移動させたのである。
全部読まない可能性があるから最初の方に持っていこうと思ったのか、それともダーティーの曖昧化か。

2009年には保健師の修業年限を再び1年以上に延長する改正が行われた。また必要単位数も増加した。
統合カリキュラムによる看護師・保健師双方の質の低下を防ぐための処置だろう。諦めなさい的な一手。


省庁の違い

上の条文を見てもらうと分かるように、「大学」になると文部科学省管轄となり、「保健師養成所」だと厚生労働省管轄となる。
健康や医療、福祉や介護の政策は厚生労働省の分野である。

「資格」ではなく「博士号」を武器にして世を渡るというのは、どちらかと言えば文部科学省的な観点である。



by yumimi61 | 2014-11-07 14:22