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甍(いらか)百九十五

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隔世

大国主神が天照大御神に国を譲ったという話、俗にいう「国譲り」までの道を見ていきたいと思う。

前にも述べたことだが、天照大御神と大国主神では世代に随分違いがある。
天照大御神とスサノオは姉と弟という関係。ここを1代目・1世とすれば、大国主神はスサノオ家の7代目・7世となる。
神に寿命がないと言ってしまえばそれまでだが、そうだとすればいつから神には寿命が出来たのだろうか?
寿命もなかったような神話時代の物が現存することは甚だ怪しいと言わざるを得ない。
三種の神器然り、出雲大社の巨大柱然り。(リンク先は以前こちらの記事でもリンクしたものです。養蚕の創始者は天照大神だったという群馬県のページは残念ながら現在は404になっています)
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スサノオ×櫛名田比売(河上で出会った老父の女)→八島士奴美【しぬび・しどび】神
スサノオ×神大市比売(大山津見神の女)→大年神、宇迦【うか】之御魂神  

八島士奴美×木花知流【ちる】比売(大山津見神の女)→布波能母遅久奴須奴神

布波能母遅久奴須奴神×日河比売(イザナギが火の神を殺した際に生まれた淤迦美神の女)→深淵之水夜礼花神

深淵之水夜礼【やれい】花神×天之都度閇知泥【とどはいちでい】【上】神→淤美豆奴神

淤美豆奴【よみとうど】神×布帝【ほてい】耳【上】神(布怒豆怒【ほどとうど】神の女)→天之冬布神

天之冬布神×刺国若比売(刺国大【上】神の女)→大国主神
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天照大御神は皇室の祖神であり、また日本民族の総氏神でもあるそうだ。
天照大御神高天原の統治者ということであるが、昨日述べたように天照大御神が誕生するより遥か前に、高天原にはすでに別の独立神が存在していたと記されている。
それら神が失脚したという記述はどこにもない。
自らに箔を付けるために潜んでいる神を引っ張り出してきたのか、古事記や日本書紀にもまれに登場し格上の気配を漂わすのだ。
天照大御神について言えば天岩戸の一件で実権を失っており、それは国譲りの場面でも見て取れる。

もう1つの大いなる疑問はスサノオや大国主神の系譜は細かく記されているのに、天照大御神の系譜は全く記されていないことだ。
とにもかくにも「国譲り」は世代を超越した者たちの間で行われている。


大国主神が大国主神なら、天忍穗耳命も天忍穗耳命で、名前負け!?

天照大御神之命以 豐葦原之千秋長五百秋之水穗國者 我御子正勝吾勝勝速日天忍穗耳命之所知國 言因賜而天降也 於是天忍穗耳命 於天浮橋多多志【此三字以音】而詔之 豐葦原之千秋長五百秋之水穗國者 伊多久佐夜藝弖【此七字以音】有那理【此二字以音下效此】告而更還上請于天照大神
アマテラス大御神は命令によって、「豊葦原の千秋長五百秋の水穂国は、私の子の正勝吾勝勝速日天の忍穂耳(マサカツアカツカチハヤヒアメノオシホミミ)の命が治めるべき国である」とし、天降りさせました。
そこでアメノオシホミミ命が、天の浮橋に立って、「豊葦原の千秋長五百秋の水穂国は、大変騒がしい状態だ」と言い、また帰り上ってアマテラス大神に指図を仰いだのです。


ここで初めて天照大御神の子らしき者の名前が出てくるのである。
我が御子の「正勝吾勝勝速日天忍穗耳命」、略して天忍穗耳命(または忍穗耳命)。
「豐葦原の千秋長五百秋の水穗」という国は私の子の忍穗耳命が統治すると決まっているざます、と言いだしたらしい。
こうした心強いよすが(言葉)を貰って天忍穗耳命は降り立つことになる。
そして天忍穗耳命は天浮橋に立った。
ここは神々から命令を受けたイザナギとイザナミが、玉で飾った天の沼矛を下ろし掻き回し、矛から滴り落ちた塩で地(島)を作った橋である。雲に浮かぶ天上と地上をつなぐ場所。
ここにいるということは天忍穗耳命は地上には降りてはいない。

漢文では於天浮橋多多志【此三字以音】と音読み指定箇所となっており、「天浮橋にたたし」となる。
多くの志(野望)を持って立たせたという意味と、多くの志(野望)を持って立脚した(立足し)という意味に取れるが、後の文を読むと前者であるということが分かる。

詔之 豐葦原之千秋長五百秋之水穗國者 伊多久佐夜藝弖【此七字以音】有那理【此二字以音下效此】告
そこで詔を告げたのである。
音読み指定箇所があるが、「いたくさやげいてあるなり」であろう。
「豐葦原の千秋長五百秋の水穗国はたいそう騒がしい状態にあります」
そう言うと踵を返して天に駆け戻り、「ママ~」と天照大御神に泣きつく(頼る)わけである。
「豐葦原の千秋長五百秋の水穗国はたいそう騒がしい状態にあります」はママに言った言葉ではない。
現代語訳はどれもこれを天照大御神への報告の言葉と捉えているが、詔を告げたのだから、国民に向かって発した言葉である。
それで何が分かるかと言うと、統治の不正義と自信の無さである。
「私が統治します!」と上から宣言したのではなく、「此の国は騒がしい状態にある」と国を下げることによって自分を上げることを試みたのである。
弱みに付け込む作戦であるが本当に騒がしかったどうかは疑問だし、その言い方では統治者宣言だとも思わないだろう。

また前述したとおり、天浮橋は天と地の中間点であって、地上に降りていない。
中間点にある国に対して言ったのならばともかく、地上の国に宣言したとするならば遠すぎる。
ひょっとすると自分の話を誰も聞いていなかったことを「騒がしい状態にある」と言ったのかもしれないが、「それでは聞こえなくて当たり前よ」という状況である。


無限ループ

爾高御產巢日神天照大御神之命以 於天安河之河原 神集八百萬神集而 思金神令思而詔 此葦原中國者 我御子之所知國 言依所賜之國也 故以爲於此國道速振荒振國神等之多在 是使何神而將言趣 爾思金神及八百萬神議白之天菩比神是可遣 故遣天菩比神者 乃媚附大國主神 至于三年不復奏
そこで、タカミムスヒ神とアマテラス大御神の命令によって、天の安河の河原に八百万の神を集めるだけ集めて、オモヒカネ神に考えさせて「この葦原中国は、私の子の治めるべき国と委任した国である。しかし、この国には暴威を振るう乱暴な国つ神どもが大勢いると思われる。そこで、どの神を遣わして服従させたらよいだろうか」と尋ねました。
そこで、オモヒカネ神や八百万の神が相談して、「天の菩比(アメノホヒ)神を遣わすべきでしょう」と答えました。そこで、アメノホヒ神を遣わしたところ、なんとオホクニヌシ神に媚びへつらい、三年経っても復命しなかったのです


ここではまた天地創造の時の3柱(別天神)の1柱である「高御産巣日神」が取って付けたように登場している。

「高御産巣日神」「天照大御神」の命令によって天安河の河原に神集八百萬神を集め、思金神に考えるよう命じた上で述べた。

この展開や登場人物は、天照大御神が天岩戸に籠り、高天原や葦原中つ国が悉く暗くなって禍が起こった時と同じである。
スサノオ系は代替わりしているが、こちらは相も変わらず同じ人物が同じことをしているということになる。
しかしそれにしてもなぜ天照大御神よりも格上で且つ別天界にいるはずの高御産巣日神の子に命じることが出来るのだろうか?(そう思ったので急遽親の名を文頭に足して親の命令のように見せかけたんだろうか)

是以 八百萬神 於天安之河原 神集集而【訓集云都度比】 高御產巢日神之子 思金神令思【訓金云加尼】 ・・天岩戸の場面(こちらで扱った

爾高御產巢日神天照大御神之命以 於天安河之河原 神集八百萬神集而 思金神令思 ・・・国譲りの場面


中の津の国!?

相談の箇所では天照大御神の御子が統治すべき国(ターゲット)が「葦原中國」と記されているが、前の段では「豐葦原之千秋長五百秋之水穗國」であった。
これをみな同じ国であると考えているようだが、はたして本当にそうなのだろうか?

思金神と八百萬神の協議にて、「ここは私の御子が統治すべき国です」という要旨を伝え広める使いに選ばれ、送り込まれたのは天菩比神だった。
統治者ではなく宣教師のような役割を担わされたということになる。
しかし大国主神に媚びて3年経っても帰ってこなかったという。
ここで大国主神の名が登場するということは、大国主神は「葦原中國」(葦原中つ国・葦原中津国)にいたようである。
彼がそこの統治者であったとするならば、大国主神は大物主の言葉の意味することを理解してしていなかったということになる。
大物主は統治の話をしていたのに、大国主神は「どのように奉ればいいでしょうか?」などと素っ頓狂な質問をしていた。
つまりそれは、政策の話をしているのに、休日の予定を訊くようなものである。
大物主はそれに合わせて答えてやったのである。
自信がないくせにどこか傲慢で、筋違いの助言をもらって上手くいった気になっているという、とても御目出度い話であった。






by yumimi61 | 2015-01-02 21:54