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日本国憲法の秘密-124-

イスラム国騒動

今年1月下旬、降って涌いたイスラム国による日本人人質騒動。
以後連日ニュースに取り上げられたことは、記憶に新しい?あれは年の初めの出来事で今はもう年の終わりだからすっかり忘れていた?

NHKは2月13日の夜、それまで「イスラム過激派組織イスラム国」と呼んでいた組織について、今後は「過激派組織ISイスラミックステート」と呼ぶことに改めたことを発表した。
変更の理由は、「この組織が国家であると受け止められないようにするとともに、イスラム教についての誤解が生まれないように」するためとのこと。

2月13日の夕方、安倍首相は、アメリカのブリンゲン国務副長官、ソン・キム北朝鮮担当特別代表、ケネディ駐日大使と会談していた。
「過激派組織ISの壊滅へ日本と連携」という見出しのニュース記事が配信されたのもその夜だった。

人質事件が報じられた当初(1月20日前後)は、日本では皆「イスラム国」という呼称を使っていた。
自民党は1月末の役員会で「ISIL」(アイシル)と呼ぶことに決定したらしい。
安倍首相も国会で「アイシル」「アイシル」と呼称していた。
「イスラム国」という名称に関しては、駐日トルコ大使館や在日イスラム関連団体なども使用の中止を求める申し入れをしていたそうだ。

アメリカのブリンゲン国務副長官は2月8日~10日に韓国訪問、10日~12日に中国訪問、12日~14日に日本訪問していた。
ブリンゲン国務副長官はクリントン政権とオバマ政権で外交政策に携わる上級職を歴任している。民主党の人ということだ。
クリントン政権任期満了の後、戦略国際問題研究所(略名:CSIS)のシニアフェローとなる。
戦略国際問題研究所は1962年に設立されたワシントンD.C.にあり超党派のシンクタンク。
創始者はイエズス会の神父で最初から外交戦略を研究していた。
イエズス会はカトリック教会の男子修道会で、宗教改革以来「教皇の精鋭部隊」とも呼ばれる。
従って民主党というよりもやはり背景には宗教があると考えたほうがよいかもしれない。カトリック、あるいはカトリック&聖公会。
戦略国際問題研究所については私も過去に書いたことがあるが、今日は他のブログをどうぞ
私のブログからは、東日本大震災時に日経・CSISバーチャル・シンクタンクが張り切っていたことを書いた記事をどうぞ。


ブリンゲン国務副長官は小学校から高校までをパリで過ごし、フランスのバカロレア資格を取得した。
フランスのバカロレア資格とは大学などの高等教育機関に入学するための資格。国家試験をパスすれば取得できる。
バカロレアを取得することによって原則どの大学にも入学することができるのだ。
希望者が大学の定員を超えてしまった場合にはバカロレアの成績や居住地などに応じて入学できる大学が決まる仕組みとなっている。
この制度なかなかよいと思いませんか?
ブリンゲン国務副長官は(フランスではなぁ・・)と思ったのか、ハーバード大学へ進学。さらにコロンビア大学法科大学院を修了だそうです。
ブリンゲンという名はドイツ語のような気がするので、ドイツ系の方でしょうか?
クリントン政権に参加する前には、ニューヨークとパリで弁護士業務を行っていそうで、その傍らなのか、どちらが本業なのかは分からないが、有名紙の記者やライターでもあった。

ソン・キム北朝鮮担当特別代表はアメリカに移住し1980年に米国市民権を取得した韓国系アメリカ人である。
駐韓アメリカ大使だった。その後、アメリカの北朝鮮担当特別代表となり、6か国協議首席代表にも就任。
6か国協議とは、北朝鮮の核開発問題を解決するための関係6か国の外交当局の局長級の担当者が直接協議を行う会議。
アメリカ・ロシア・中国・日本・韓国・北朝鮮の6か国。


ISへの配慮

「イスラム国」では駄目で「イスラミックステート」なら良い理由とはなんだろうか。
イスラミックはIslamicのカタカナにしただけのことで、意味は「イスラム教の」。
イスラム色が消えたとは到底思えない。
そうであるならば問題は「国」「ステート」にあったのだろう。

もともと名称はアラビア語のはずである。الدولة الإسلامية  
前半部分ががIslamicで、後半部分がStateと訳される。
アラビア語→英語の変換では「Islamic State」、アラビア語→日本語では「イスラム国家」である。

厳密に言えば、「国」と「国家」という言葉には違いがある。
どちらの言葉も使うが、普段はそれほど厳密に使い分けてはいない。
ではどんな違いがあるかと言えば、国は単なる存在、言うなれば国土で、国家は国の状態、いわば生命体。
私はこちらの記事の「本業はもはや副業!? 〜会社が生き物でなくなる時代〜」に企業を生命体と例えた。

日本はかつてどちらかと言えば損益計算書を重視していた。
本業の売り上げが幾らあって幾ら経費が掛かり、どれくらいの利益をあげ、財テクなど副業利益も含めた経常利益がどれくらいあるのか、会社というひとつの生命体の生産活動の結果がそこに示されるからである。

アメリカなどは貸借対照表を重視する。
生命体の動きによって生み出されてくるものではなく、今そこにすでにある物を重視するということ。すでにある物とは会社の資産と負債。
それはつまり、会社の生産やサービスに重きを置いておらず、会社は転がすためにあるという認識に立っているからだと思う。


国と国家の違いもこれに似ている。
企業と国をリンクさせれば、かつての日本型企業が国家、アメリカ型企業が国ということになる。
ただ前述したように日常的に書く文章や話の中で厳密に使い分けているわけではないし、政権や国会のことを国と言うこともあるし、国家という事もあるかもしれない。
日本ではそこまで拘って使い分けている人はいないのではないだろうか。

日本人の私から見ると、「イスラム国」が適切でないという見解は、反ISというよりもむしろ親ISではないかと思えるのだ。
アメリカ人から見ると逆なんだろうか?


アメリカ合州国

国と国家の違いは、英語ならばCountryとStateの違いになると思う。国民や民族に対応する語はNation。
このStateがなかなか厄介な言葉である。
元は立っているという状態を示す語であった。

state<研究社 新英和中辞典より>
A
1【可算名詞】
a[通例単数形で] 状態,ありさま,様子 《★【類語】 state は「状態」を表わす最も一般的な語で,人・事物とそれをとりまく状況とのあるがままの状態; condition はある状態や事情を作り出した原因や環境とその人・事物との関連を強調する; situation は人・事物とそれをとりまく状況との相互関係を重視する》.
b[通例 in [into] a state で] 《口語》 興奮状態.

2【不可算名詞】 威厳,威儀,荘厳; 公式.

B
1
a 【可算名詞】 国家,国 《一定の領土を有し政治的に組織され主権を有するもの; ★【類語】 ⇒country》.
b【不可算名詞】 (しばしば church に対し)政府.

2
a【可算名詞】 (米国などの)州.
b[the States]米国 《★【用法】 しばしば米国人が国外で用いる》.

3【不可算名詞】
a(一国の)国事,国政.
b (米国の)国務省 (the Department of State).


United States of America;USA StateはUSAのS。
アメリカはUnitedStatesと表記することも多い。略すとUSである。
NHKニュース終わりに何故かわざわざテレビカメラを映しこんでAを見せているが、あれはどういう意味があるんだろうか?
US+AでUSA?

日本でStateは州というイメージが強い。
それはアメリカを思い出すからなんだと思う。
ただその肝心なアメリカの日本語正式名称は「アメリカ合衆国」である。
この形式の呼称ならば「アメリカ合州国」にすべきだったと思う。
衆は「民衆」や「皆の衆」という言葉もあるように人のことである。
様々な人が合わさってできた国家だからアメリカに合わないということはないけれど、国名は国家の体制を表していることが多いので、その意味では合州国のほうが適している。
アメリカも連邦共和国(連合共和国)なのだ。


こんなにもあるステータスステート

ステータスの語源もステートと同じで立っている状態のことであった。

中世ヨーロッパでは領邦と呼ばれる君主を中心とする半自立の領地があった。
領邦国家として知られるのがドイツだが、ドイツでは領邦が徐々に自立を進めて国家の体裁を整え、17世紀半ばに国家主権が認められた。
これを領邦国家と言うわけだが、19世紀後半にドイツ統一が果たされると1つ1つの領邦国家の国家主権は失われ、ドイツ帝国を構成する領邦となった。
私は先日、同盟国家と連邦国家として説明したが、ドイツの例で言えば、国家主権を持った領邦国家の集まりが同盟国家で、国家主権がない構成国の集まりが連邦国家である。
結局のところ帝国も連邦国家も同じなのだが、帝国は君主制で、現在存在する連邦国家はほとんど共和制である。

国家主権がない連邦構成国(連邦構成主体、地方行政体)の呼び方は国によって違う。
国家主権がないのだから独立国家ではないが、何の権限も持っていないわけではなく、やはり半自立独立といった感じなのだろう。
アメリカではStateで、日本語では州と訳している。
他にも、Province、Region、Cantonなどがある。
Federated state(英語版Wikipedia)に連邦国家それぞれの連邦構成主体の名称と数が記されている。

これも先日書いたがことだが、ソ連にはソビエト連邦構成共和国よりも低い自治共和国なるものがあった。
そのように若干ランクが付いている国もある。
全て州と訳すわけでもないし、上級の構成国(構成主体、地方行政体)のみを州と呼んでいるふうでもなく、どういうルールでもって州と訳しているのかはよく分からない。


じゃ、パン

国名も略して言うことがほとんどだが、大部分の国の正式名称には連邦や共和国や王国などが付随している。
従って英語の公式名称では "Federated Republic" "Kingdom of " "the People's Republic" "Republic" などが付く。
日本の正式名称は日本国で、英語公式名称はJapan。
シンプルだけど、いったいどんな国なのか分からなくて、ちょっと恐ろしい。(未開の地・・とか?そ、そ、そんなことはありませんね)

ちなみにお隣「韓国」の正式名称は「大韓民国」で、英語だと"Republic of Korea"である。
そのお隣「北朝鮮」の正式名称は「朝鮮民主主義人民共和国」で、英語では"Democratic People's Republic of Korea"となる。
朝鮮半島38度線分断国家なので、通称は南朝鮮と北朝鮮。
英語圏ではNorth Korea と South Korea。(イギリスあたりではNやSに略しているかもしれない)
日本では何故か南朝鮮という通称は用いられていない。


異例中の異例

連邦国とも共和国とも連合国とも王国とも記していない日本の国名も異例なのだが、都道府県も異例である。
日本の都道府県は、上に書いたState、Province、Region、Cantonのどれでもない。Prefectureである。
連合国(同盟国)ではないから都道府県が独立国家であるわけないし、かといって連邦国でもないので構成国(構成主体)にさえならない。
日本の都道府県は半自立独立より下級ということになりそうだ。しかも君主制の国である。

フランスも連邦制ではない。君主制ではなく共和制で国名も「フランス共和国」であるが、日本とは連邦制ではないという共通点がある。
ただそのフランスも州(Region)と県(Department)があり、日本の都道府県(Prefecture)に対応するのは県(Department)のほうである。


廃藩置県で消滅したもの

日本も奈良時代から明治初期までは令制国という単位が用いられていた。
令制国が行政体並びに地理区分の基本単位として用いられていた時代には、正式名称にも通称にも国が使用されていた。
英語ではProvinceが当てられたようだ。
日本は中央集権であった時代は短く、地方分権(封建制)であった時代が長い。
ヨーロッパでもやはり封建制が主流であった。
※封建制(Feudalism)
土地を媒介とした国王・領主・家臣の間の緩やかな主従関係により形成され、近世以降の中央集権制を基盤とした絶対王政の中で消失した。

日本では明治時代の廃藩置県によって消失した。
※廃藩置県
明治維新期の明治4年7月14日(1871年8月29日)に 、明治政府がそれまでの藩を廃止して地方統治を中央管下の府と県に一元化した行政改革である。

令制国を州に置き換えるのではなく、令制国の下にあった藩を県にするという改革だったので、都道府県に対応する英語はStateやProvinceではなくて、その下のPrefectureが当てられたのだ。
しかも何度も統合再編されて、結局のところ都道府県数は令制国よりも少なくなり、令制国(StateやProvince)でよかったではないかということになっている。

他の国と同じように昔の日本の令制国にもランクがあった。(Wiki令制国を参照




by yumimi61 | 2015-12-08 14:08