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日本国憲法の秘密-446-

昨日の記事にて広島・長崎原爆後の調査とチェルノブイリ原発事故の調査が「甲状腺がんの増加は放射線被爆と関係がある」との結論を導き出したと書いた。
但し広島・長崎原爆とチェルノブイリ原発事故では被爆の在り様が違う形で捉えられている。
広島・長崎原爆ではγ線の被爆(外部被爆)という認識。
一方のチェルノブイリ原発事故では放射性降下物という認識である。

放射性降下物(英: nuclear fallout)またはフォールアウト(英: fallout)とは核兵器や原子力事故などで生じた放射性物質を含んだ塵を言う。広域な放射能汚染を引き起こす原因はこの放射性降下物である。
一般には死の灰という俗称で知られる。日本では第五福竜丸事件が有名である。


第五福竜丸とは1954年のアメリカの水爆実験に遭遇して被爆したマグロ船のことである。
先日書いたように死の灰を浴びたが、乗組員の異変は「輸血による血清肝炎」だとアメリカは主張した。

放射性降下物とはウランなどの放射性物質(核種)(原子が集合し微粒子となり、さらに塵などに付着し粒子となったもの)のことで、それが広範囲に拡散されるのである。拡散されるということは密度は低くなる。
放射性物質があれば放射線を放出するが、放射線を放出するのは核崩壊する時であり、随時及び長期に亘る。
密度は低いとしても微粒子1個でも人間の体内に入れば原子のイオン化という異常をもたらす。リスクは有る。
つまりチェルノブイリ原発事故の調査は内部被爆の影響が念頭にあると言うことが出来る。

広島・長崎原爆では外部被爆(γ線)の影響で甲状腺がんが増加したと考えている。
一方のチェルノブイリ原発事故では内部被爆(放射性降下物に含まれる放射性物質から放射されるα線・β線・γ線)の影響で甲状腺がんが増加したと考えている。
両者には違いがある。

何が念頭にあるかによって調査の仕方は変わる。
特に後ろ向き研究の症例対照研究(ケースコントロール研究)では、対象者からそれに合わせた情報を得る必要があるので、何が念頭にあったかによって結果は随分違うものになる。
福島の原発事故の際も、日本では原爆の調査と同様に、ほとんどがγ線や外部被爆を中心に報道されたり論じられていた。
これにずっと違和感があった。
人々は福島第一原発から放射線が飛んでくるようなイメージを持っているかのようだった。


原爆も原発も核分裂を利用していると言われている。
核分裂を起こさせるにはウラン238ではなくウラン235が必要である。
それを完全に分離して使用することは出来ないので、238と235の比率を変えて利用する。これがウラン濃縮である。
広島・長崎原爆の比率がどれくらいだったかは分からないが、核兵器に用いる場合にはウラン235の割合が相当高くないとダメだと言われていて分離できないにしても100%近くになっていないとダメだという話があった。
現在一般的には核兵器などの軍事利用には70~90%の高濃縮ウランが必要と言われている。
原発の燃料に用いているウランのウラン235の比率は3~5%ほどだという。
劣化ウランは天然ウランのウラン235の比率0.7%よりも低い。
ではウラン235以外は何かと言えばウラン238である。

核分裂では放射線は放出されない。
もし100%のウラン235を用いた原爆ならば、爆発(核分裂連鎖反応)の瞬間に放たれる放射線はない。
厳密に言えば分裂後の放射性物質(分裂片)から幾らかは放射されるかもしれないが、取るに足らないものである。
もっと厳密に言えばウラン235の自然崩壊による放出もあるが、崩壊してしまうとウラン235ではなくなるということで核分裂連鎖の成功が怪しくなってくるので、崩壊はないことになっている。
核分裂は直ちに全ての放射性物質(分裂片)が崩壊を起こして放射線を放出するわけではないのだから、放射線はそれほど放出されない。
新たに生じた放射性物質(分裂片)の種類と量と半減期によって、どんな頻度で崩壊してどの程度の放射線が放射されるかは変わってくる。
ウラン235の比率が高いということは、瞬間的な放射線の放出量は少なくなるということなのだ。
広島や長崎の原爆が爆発した瞬間に多くの放射線(α線・β線・γ線)が放出されたということはない。
それなのに急性放射線症が被害の中心であるかのように謳っていることも、私があれは原爆ではなかったとする根拠の1つである。
(どこで摩り替えたか被害をもたらしたものは「熱線(赤外線)」になってはいるけれども)


原発に用いられているウランは原爆とは逆でウラン238のほうが圧倒的に多い。
ウラン238は核分裂しないのだから、来るべき崩壊の時を待つしかない。
核燃料内のウラン238は、適宜、順次、長期に亘って崩壊が続く。崩壊に従って放射線が放出されている。
核燃料内に3~5%ほど含まれるウラン235は核分裂連鎖反応を緩やかに継続させている。

以前、福島第一原発の3号機を例にして酸化ウランの量を計算した。
 ・ペレットの大きさは直径1cm×長さ1cmほど。小さな円筒形。
 ・ペレット1個の重量は約8g。
 ・燃料棒1本につき350個のペレットを用いる(燃料被覆管に350個のペレットが密封されている)
 ・燃料棒を束ねたのが燃料集合体であり、1体あたりの燃料棒数は72本
 ・原子炉一基あたりの燃料集合体数は548体
 ⇒8×350×72×548=110,476,800g=110,476.8kg≒110t(トン)


3号機という原子炉一基あたりではおよそ110トンのウランが使用されている。(これで4年間運転継続可能だそう)
そのうちの3~5%がウラン235であるので、3.3~5.5トンのウラン235が含まれている計算となる。

では原爆にはどれくらいウランが使用されていたのか?
科学者が計算で弾き出した数値としては、以下のとおりである。
・核分裂連鎖反応による爆発を起こさせるには、純度100%のウラン235が20kg以上必要。
 (ウラン10kgはおおざっぱに500mlペットボトル1本分くらいの大きさである)
・プルトニウム239でも、純度100%で5kg以上ないと核爆発しない。

しかしウラン235を分離することは出来なかったため、ウラン総量で75kg積載した。(ウラン235の比率が80%で60kg含有)
後年、このうち核分裂を起こしたのは60分の1程度、つまり総量で1.25kg・ウラン235で1kg相当だったと言われるようになる。(つまり不完全爆発だった)
ともかく原発一基に使用されているウラン量に比べたら遥かに少ない。

【ウラン総量】
 ●原爆 75kg
 ●原発 110,000kg(110t) 
※原爆の1467倍のウランが福島第一原発3号機には存在していた。

【ウラン235量】
 ●原爆(純度80%として) 60kg
 ●原発(純度4%として)4,400kg(4.4t)
※原爆の73倍のウラン235が福島第一原発3号機には存在していた。



原発事故後にその名が取り沙汰された放射性物質は「ヨウ素131」や「セシウム137」、「ストロンチウム90」。
これらはウラン235の核分裂後に出来る放射性物質(分裂片)である。
「ヨウ素131」や「セシウム137」が崩壊して別の核種になる際に放射線を放出する。
核分裂後に出来る放射性物質(分裂片)はこの2つだけではないし、核分裂しないウラン238だって崩壊によって放射線を放出する。

「ヨウ素131」「セシウム137」「ストロンチウム90」の崩壊過程は下記の通り。
15過程を経るウラン238に比べると過程は少ないし半減期も短い。
(物質としてはウランのほうが不安定なはずなのに半減期がやたら長いという矛盾があることはすでに指摘してきたこと)
※原子番号(原子番号が大きいほど不安定) ストロンチウム38 ヨウ素53 セシウム55 ウラン92

●ヨウ素131(半減期8.0207日)→β崩壊→キセノン131m(11.934日)→γ崩壊→キセノン131(安定)

●セシウム137(半減期30.1671年)→β崩壊→バリウム137m(2.225分)→γ崩壊→バリウム137(安定)

●ストロンチウム90(半減期28.90年)→β崩壊→イットリウム90(64.053時間)→β崩壊→ジルコニウム90(安定)

大きさが1μm(0.001mm)の酸化ウラン微粒子1個からは年に3~4回放射線が放出される。
・大きさが5μm(0.005mm)の酸化ウラン微粒子1個ならば1日に1回放射線が放出される。

1回の放出でもリスクはある。
ウラン238の半減期は44.8億年である。
それに比べてヨウ素131の半減期は8.0207日である。
微粒子の大きさが同じならば放出回数がもっとずっと多くなるということである。
1回の放出でもリスクはあるのに沢山放出があれば・・・。
現状、半減期が短いと放射線被爆リスクが高いということになる。
だから事故後真っ先に「ヨウ素」が取り沙汰された。
しかし反面、ヨウ素の半減期が短いために、その間に何もなかったからと放射線被爆から解放されたような気持になっていった人も多かった。
ヨウ素131は多くの放射性物質の1つに過ぎない。
またヨウ素を取り込んで被爆したとしても外部被爆による急性の放射線症ではないのですぐに影響が現れるわけではない。一般的には4~5年でも早いくらいである。
但しヨウ素は半減期が短い(被爆リスクが高い)という特徴があるので、それによって出現時期も早いと考察することも出来なくはない。
原発ではヨウ素131が生成される可能性のあるウラン235の比率は3~5%。
97~95%はヨウ素131を放出しないウラン238である。ウラン238の崩壊ではβ線より電離能力の高いα線を放出する。
by yumimi61 | 2017-01-11 12:06