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日本国憲法の秘密-553- (森友・加計学園問題について)

不動産の現況と権利関係を登記簿に記録して公示するのが不動産登記である。
法務省の地方支分部局である法務局が不動産登記という制度によって土地や建物を管理している。
その制度に基づいて国がその不動産が誰のものであるかを証明してくれる。
だから調べようと思えば誰が所有者なのか分かる。
また抵当権が登記されていれば、その不動産を担保にして誰がお金を貸しているかも分かる。


土地は法的に無期限の価値を持つし(減価償却されない資産)、土地を作ったり壊したりということは基本的に出来ないので(埋立地は別)、建物に比べると所有者や価値が動き難く、同時に明確にしておく必要がある。
一方の建物は劣化するし、造ったり壊したりも可能。
価値の増減は土地以上に大きい。
そんな建物の新築時登記には「建物表題登記」と「所有権保存登記」と「抵当権設定登記」がある。
「建物表題登記」は建物を新築した際に行う登記。
この建物の所有者は誰々さんであるという表札みたいなもの。借地に建てた場合などには特に重要である。
「所有権保存登記」は所有権登記のなかった不動産に初めてされる所有権の登記のこと。
「抵当権設定登記」は住宅ローンなど融資を受ける際に行われるもの。

登記のない建物の所有者になった者は不動産登記法に基づいて「建物表題登記」や「所有権保存登記」をする必要がある。
但し実際には未登記の建物は数多く存在する。
未登記となる一番の理由は銀行を介していないこと。要するに融資(ローン)で建物を新築したのではなくて手持ち現金で建てた場合。
また母屋は登記されているが、母屋以外の建物(離れ)を後から建てた場合の離れや増築部分が未登記であることなども多い。
未登記ならば固定資産税が逃れられるかと言えば、そんなことはない。
固定資産税は登記の有無に関わらず課税される。税金徴収への執念は凄まじく(?)、ちゃんと見回って発見するので見逃されることはまずないとのことです。


融資を受ける場合には何か抵当に入れる必要がある。
例えば銀行から3000万円借りようと思ったら、同じ価格(価値)程度の不動産を抵当として差し出す。
差し出すと言っても自分の物でなくなるのは万一返済不能となった場合の事で、返済が行われていれば不動産を実際に差し出す必要はない。
抵当権という権利をお金を貸してくれた人に渡すだけのことである。
完済すれば抵当権は抹消できる。
銀行もビジネスなのでそんなに気前よくポンポンとお金を貸してくれはしない。審査の上で貸してくれることになっても何か抵当権を設定する。
通常庶民が住宅ローンで家を新築する場合には、新たに新築する家の土地建物に抵当権が設定される。


抵当権それ自体は契約書も登記も必要なくて、お互いの意思表示つまり口約束だけでも成立する。
だからこそと言おうか、だけれどもと言おうか、言った言わない論争でなんとか有耶無耶にしてしまおうなんて考えは甘い。
お金を借りるということはそれだけの覚悟を持って行うこと。お金を貸すということはそれだけのリスクを背負うということ。
同時にお金の貸し借りは信用第一であるということでもある。
しかしながら抵当権は複数の人が持っている可能性がある。
1つの不動産に1つの抵当権しか設定できないということではないのだ。
例えば、1つの家にA銀行、B銀行、C社、3つの抵当権が設定されることもある。家の所有者は3か所から借金をしているということ。
借金返済に行き詰まれば、3者が返せ返せ返せと言い、それぞれ抵当権を主張する。
債権者平等という原則があるので、本来お金を貸している人の権利は平等であるべきなのだ。
しかし1つの価値を3等分したら到底貸した金額は戻ってこない。
貸した側がなるべく損をしないためには2者よりも優先して返してもらわなければならない。
それが抵当権の登記によって可能になる。
優先順位は登記の早い順なので、お金を貸したのは先だったけれど登記を忘れていて先を越されてしまえば、もう1番にはなれない。
だから抵当権が設定されたらすぐさま登記する必要がある。
銀行など第三者からお金を借りるときには、こうして第三者側から登記が求められるので未登記であるということはまずない。
また一般的に考えればあまり価値のない物件に2番目3番目として融資することはないだろうと思う。
お金を貸した当時の評価額よりも相当高値で売れなければお金が戻ってくることは考えにくいからだ。


抵当権を設定したら登記をすぐに行う必要があると書いたが、建物を抵当に入れるのに建物が存在していなかったら意味がない。透明では何の価値もない。
つまり建物の登記は基本的に建物が完成したら出来るということになる。
では建築主に引き渡される前(建設途中)の建物の所有者が誰かと言えば建設業者である。
建設業者は工事が完了したら所有権を建築主に引き渡し、工事完了引渡証明書を発行する。(その後に残工事をすることはある)
所有権が建築主に引き渡されていないのに登記することは出来ない。
「所有権保存登記」と「抵当権設定登記」の間が開いてしまうと、抵当権の順番に先を越されてしまう可能性があるので、これは同時に行ったほうがよい。

ここで問題となるのが融資(振込み)時期と業者への支払いの関係。
3000万円の工事費を融資してもらうことが決定したが、実際にお金が振り込まれるのは建物が完成し建築主に引き渡されて登記後になるということである。
例えば建設業者への支払いが、着手1000万、中間1000万、完成(引き渡し時)1000万だとすれば、とりあえずその3000万円を自分で用立てる必要がある。
通常建設業者は支払いのない工事を進めたり、支払いのない建築主に所有権の引き渡しを行ったりはしないから建築主はその工面が絶対必要となる。
とりあえず手持ちのお金を融通しておくか、実際に振込みが行われるまで他の所から借りるか(つなぎ融資)。
とりあえずの短期だからと説得して親兄弟や知人に無利子で借りるという手段もあろう。
工事期間が長ければ長いほど融通しづらくなるし、ビジネスで借りれば金利がかさんでくる。
建設業者との交渉で最終段階の引き渡し時期などは多少融通がきくこともある。



森友学園の問題は国有地が安く払い下げられたということから始まったはずだ。
土地評価額は9億5600万円。
森友学園は地下のごみ撤去費など(8億1900万円)が差し引かれた約1億3400万円で購入したという。
近隣国有地に比べると破格の安さ(10%ほど)だと問題視された。

学園「ごみ撤去1億円」 国は8億円見積り 国有地購入
吉村治彦、飯島健太
朝日デジタル 2017年2月14日12時10分


 国有地は国土交通省大阪航空局が管理していた8770平方メートル。財務局は2013年に売却先を公募し、森友学園が小学校用地として取得を要望。学園が10年以内に買い取るとした定期借地契約が15年5月に結ばれたが、基礎工事の掘削中に「地下に埋設物が見つかった」と連絡してきた学園と財務局との間で、16年6月に売買契約が結ばれた。

森友学園はやはり購入資金が不足していたのか、国有地をすぐには購入するつもりはなく、10年以内に買い取るという条件でとりあえず借りる契約を結んだ。
ところが、地下に埋設物が見つかった途端、売買契約に変更。それはつまり値引きの理由が出来て、安く買えることになったということだろう。
値引きの理由(地下埋設物が本当にあったのか)と値引き額が嘘偽りない事実なのか、それとも人を騙すための創作話なのかは分からない。

 財務省の資料によると、近畿財務局はこの売買にあたり、不動産鑑定士が査定した更地価格9億5600万円から、国交省が積算した地下のごみの撤去・処理費8億1900万円と撤去によって事業が長期化する損失を差し引いていた。

建物と違い土地は完成を待つ必要はない。土地はすでに存在している。
売買と同時に所有権移転登記が出来る。
しかし前述したように建物は完成してからの登記であるので、融資と業者への支払いの関係で工事期間が長くなることは望ましいことではない。
工事が始まってから当初の予定より工期が長くなることを余儀なくされたとなれば、確かに建築主には損失が生じる。
工事費が高額になればなるほど建築主は損失は大きい。それは金利を考えれば分かること。
森友学園の小学校建設の場合、建設に支障ある埋設物が存在するにも関わらず説明もなく土地を売却した責任は国にあるということで、撤去費と損失分を値引きしたということなんだろう。
国有地売買の法的詳細や契約は分からないが、一般的に考えると代価を値引きするという行為はおかしくはない。
問題はその価格が正当かどうかということになるが、埋設物がどんなもので、その撤去費が幾らなら妥当なのか、また損失計算をどのようにしたのか、埋設物の存在が土地の価値に影響を与えるのか、開校時期がずれこむなど森友学園の事業に与える損失があったのか、国と学園の間で交わした売買契約に違約があったのか、詳細が分からないので何とも言えない。
2015年5月に定期借地契約、2016年6月に売買契約を結び、2017年には校舎はほぼ完成しているようなので、工期延長による金利分の損失と常識的な金利から考えれば8億越えの値引きは高いと感じる。何年何十年と延びたわけではないのだから。










by yumimi61 | 2017-09-10 15:48