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日本国憲法の秘密-647- (外貨準備と貿易について)

『雇用・利子および貨幣の一般理論』(The General Theory of Employment, Interest and Money)
イギリスの経済学者ジョン・メイナード・ケインズが1936年に著した経済学書。単に『一般理論』と呼ばれることもある。

ジョン・メイナード・ケインズ (John Maynard Keynes), 1883-1946.
 ジョン・メイナード・ケインズはまちがいなく経済学史上で最重要人物の一人だ。その古典『雇用と利子とお金の一般理論』 (1936) で、ケインズは 経済学に革命を起こした。これは 20 世紀で最も大きな影響力をもたらした社会科学理論だろうと考えられている。この本は世界の経済や社会における政府の役割についての見方を、一瞬で永久に変えてしまったからだ。 これほど大きなインパクトをもたらした本は空前絶後だ。

(略)

 1936 年初めにやっと『雇用と利子とお金の一般理論』という大仰なタイトルの新刊が刊行された。大いに期待されていた本だし、値段も安く設定されていたし、都合のいいことに世界が大恐慌に捕まっていたまさにその時に出てきたこの『一般理論』は、学界と政治の世界の両方で旋風を巻き起こした。あるアメリカの政治家曰く、新古典派の経済学者たちが提案する政策は、政治的にはろくでもないものだというのは誰でも知っていたけれど、この本のおかげでそれが経済学的にもひどい代物だというのがわかった、とのこと。

 この本は『一般理論』とだけ呼ばれるようになった。この中でケインズは、総産出がどう決まるか――そして結果として雇用がどう決まるか――を説明する理論を考案した。そして総産出こそが一番重要な決定要因だと述べた。ケインズが創出した革命的な概念としては、需要が均衡を決定してそれが失業を可能にするという考え方がある。そして価格弾性は失業をなくすことはできないという考え方、「流動性選好」に基づく独特なお金の理論、革新的な不確実性と期待の導入、投資スケジュールの限界効率によってセイの法則を破ったこと(そしてそれによって貯蓄と投資の因果関係を逆転させたこと)、不景気をなくし経済過熱を抑えるために政府が財政・金融政策を使う可能性を示したこと。実際、この本によって、ケインズは「マクロ経済学」として知られる根本的な関係や概念を、ほとんど一人で構築したのだった。

 ケインズの革命は経済学界を2つの世代に引き裂いてしまった。つまり若い連中は我先にケインズを支持した。でも古い学者たちはケインズ説を糾弾した。ジョン・メイナード・ケインズは 1937 年に最も有力な反論者たち、ジェイコブ・ ヴァイナー、デニス・ ロバートソン そしてベルティル・オリーンなどに一連の論文で反論した。この論文により、ケインズは自分の理論の重要な論点について議論をさらに展開できた。ケインズのサーカスのメンバーたちは、この緻密で難解な本の解説書を立て続けに発行した。例えば、ジョーン・ロビンソンや、その他イギリスの地方の若い経済学者たち、ロイ・ハロッド・やアバ・ラーナーなどだ。



引き裂かれた2つの世代、若い世代と古い世代と言うと、古い世代が管理や規制派のように感じることが多いと思うが、経済学の場合は少々違う。


重商主義経済学(金銀国際収支論)
  ↓
イギリス古典派経済学 アダム・スミスなど →マルクス経済学が継承
  ↓
新古典派経済学(自由主義経済学) アルフレッド・マーシャルなど
  ↓
ケインズ(マクロ)経済学 
  ↓
マクロ・ミクロ経済学(合理的期待形成仮説) ロバート・ルーカスなど


イギリス古典派経済学は労働に価値があるとする説で、各人が自分の利益を最大にしようと経済活動を行えば、最終的に全てにおいてバランスが取れるという考え。(見えざる手によって自然に調整される)
イギリス古典派経済学と書いたが、この他のケインズまでの経済学の中心人物もイギリス人である。(ルーカスはアメリカ人。シカゴ大学でノーベル賞受賞者)


それを批判して生まれたのが新古典派経済学(自由主義経済学)だが、こちらも基本的には自由放任主義。
但し、公共投資や市場が上手くいっていない時(失敗した場合)への対応、国あるいは国家間の経済安定化政策など政府にしか行えないものは政府が行うべきであるとし、政府の役割も重視しており、まるで放任主義を主張しているわけでもない。
しかし政府の積極的な財政・金融政策は、失業改善させることはなく、浪費をもたらすだけで終わるとも考えている。
市場の需給バランスは物価などによって自然に調整され、失業などの労働問題に関しては労働賃金を調整することでバランスが取れるとしている。
この新古典派経済学(自由主義経済学)が問題となるのは、完全競争が前提となっていること。
完全競争は市場原理主義(小さな政府)が前提とする「人間は平等」に近いものがある。売り手と買い手が極端に偏ることなくどちらも多数存在していて、双方が経済情報を持っており、どちらか一方が価格を操作するようなことは出来ない。提供される資金・商品・サービスの質もほぼ同じ。つまりみな同じステージにいるという前提にある。


ケインズのマクロ経済学は、国民総生産や国民所得、失業率やインフレ率など国の様々な経済データを指標にするもの。統計学が重要となる。
その指標や分析をもとに政府が積極的な財政・金融政策を採っていく。
マクロの反対のミクロ経済学は、消費者と生産者の需給が市場ひいては国家を形成すると考えるもの。
マクロは演繹法。一般論やルールに観察事項を加えて結論を導く思考方法。そう簡単に動くものではない一般論やルールが存在していて、それに当てはめる形で物事を考えて対応していく。いわばトップダウン。
ミクロは帰納法。多くの事実を観察して共通点・類似点をまとめ上げ結論を導き出す論法。いわばボトムアップ。


マクロ・ミクロ経済学(合理的期待形成仮説)は、ケインズ経済学を批判しマクロだけでは語れないとする主張。
政府がどのような財政・金融政策を採っても、国民が先に効果を期待(予想)して行動してしまうので、政府が目論んだ効果は出ず浪費に終わるとも主張する。
不確実な世界を見る時、人は利己的な期待を抱き、自分が最も得をするように(合理的に)行動すると考えるものである。
人が自分の利益を最大にしようと経済活動を行うはずとしている点はイギリス古典派経済学と同じ。
結局無駄になるのだから政府は何もせずに市場に任せたほうがよいということになる。
レーガン大統領、サッチャー首相、中曽根首相など非常に強いイメージのある1980年代頃の世界のリーダーは「市場に任せたほうがよい」という小さな政府を経済政策のバックボーンとしていた。
ソニー会長であった盛田昭夫なども「小さな政府」支持派であった。
インフレ解消には効果があるが、やはり勝ち負けがある世界(利己的に動いても結果が出せる人と出せない人がいる)なので失業率などは増える傾向にある。

人は利己的な期待を抱き、自分が最も得をするように(合理的に)行動すると言うが、その中にもいろんな人がいる。
利用可能な情報を効率的に使って形成される期待もあれば、思い込みによる期待、噂などに流される期待もある。
自分が最も得をするように(合理的に)行動しない人がいるのも事実である。
システマティックで正確な予想をし数学的に最適な選択を行なう全知全能型の合理的経済人もいれば、アニマル型経済人いる。
楽観的な人もいれば悲観的な人もいる。
全知全能型の合理的経済人はやがてコンピューターに取って代わったりもする。
結局どの経済学(理論)も、このような差があまりに大きくなるとバランスは成立しなくなる。
ある程度均一的な情報量、レベル、民度でないとバランスはとれない。


ケインズが『雇用・利子および貨幣の一般理論』を刊行したのは1936年、世界が2度目の世界大戦に突入する少し前のこと。
第一次世界大戦前も第二次世界大戦前も経済が好調だった国はドイツである。
第一次世界大戦はドイツの国際金融資本に依らない経済発展を脅威に感じて引き起こされたのではないかと考えられる。
ドイツはその戦争に負けて多額の賠償金が課せられるも開発スピリットみたないものは衰えなかった。戦争によってむしろ促進されたのかもしれない。戦争は歴史的に見ても技術革新の大きなチャンスとなっている。
戦争に疲弊し「戦争なんか懲り懲り~」という勝者の(でもアメリカからの借金がかさんだ)イギリスやフランスに比べると立ち直りも早かった。
考えようによっては、敗戦国の戦士者遺族よりも、戦勝国の戦士者遺族のほうが辛く立ち直りが遅い気がする。勝ったのになんで死んじゃったの・・なんでうちだけ・・みたいな感じで受け入れにくい、疎外感を感じやすい。その温度差や、それに気を使ったりすることが全体的な士気を下げるかもしれない。

そんな世界に訪れた世界恐慌1929年。根拠のない投機熱がもたらしたアメリカウォール街発の恐慌である。
でも大不況が世界に広まるきっかけはこちら。
1931年5月11日のオーストリアの大銀行クレジットアンシュタルト(Creditanstalt, 1855年にロスチャイルド男爵により設立。クレディ・アンシュタルトとも。)の破綻であったとされる。クレジットアンシュタルトは株価暴落に伴う信用収縮の中で突然閉鎖した。
この銀行破綻(閉鎖?)をきっかけに、ドイツ第2位の大銀行が破綻。これを機にドイツは大統領令で全銀行を閉鎖した。
銀行がストライキしたら期限までに借金返済できない。債務超過で連鎖的に企業が倒産し、小国も破綻した。ドイツも不況に陥った。

ドイツ経済の発展は市場(民間)が引っ張っていた。
しかしながらこの1931年クレジットアンシュタルトの破綻によって状況が変わった。政府が主導権を握るようになった。
その政府こそナチスである。
1933年に大統領の指名によって第一次世界大戦時に無名の青年だったヒトラーが首相に就任。ナチスを結成。
ドイツの経済は政府の主導のもと瞬く間に改善した。ケインズのマクロ経済学はその頃に執筆されたものである。









by yumimi61 | 2017-12-26 14:43