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日本国憲法の秘密-680- (外貨準備と貿易について)

ともあれ、この誤解あるいは曲解の下に男性間の性的行為や男性を神(聖職者など)に寄進することが(あるいはそれを理由に奪う事が)蔓延っていった。
カトリックが腐敗すればするほどそういうことは顕著になり、行為はエスカレートしていったのだろう。
そしてそれに対する規制が敷かれた。


イングランドではヘンリー8世が "buggery" (男女を問わず、肛門性交全般および獣姦)を犯罪化する最初の犯罪法『Buggery Act 1533』を制定し、違反者の刑罰に絞首刑を規定したが、実際には1861年までは刑罰は実行されなかった。

ヘンリー8世はイングランド国教会をカトリックから分離独立させた国王である。
イングランド国教会はこの時からプロテスタントという位置づけになる。


ヘンリー8世の在位期間は宗教改革の時代(16世紀)の前半部分にあたる。
イングランド国教会のカトリックからの分離独立はヘンリー8世自身の結婚や離婚問題が理由とされているが、ひょっとするとイギリスがカトリックから離れるための策だったかもしれない。
ヘンリー8世が "buggery"(男女を問わず、肛門性交全般および獣姦)を犯罪化する最初の犯罪法『Buggery Act 1533』を制定し、違反者の刑罰に絞首刑を規定したのも同時期で1533年だったことからもそう推測できる。
ともかくカトリックの腐敗ぶりが顕著でヨーロッパ中でカトリックに疑念の目が向けられた時代である。
キリスト教原理主義(一時期アメリカのブッシュ大統領がその顔になっていた)と揶揄され、後に興ったリベラル派と対立するようになる福音派は反カトリック・脱カトリックから発生したもの。
だから私は以前にもカトリックとリベラル派は近い存在なのではないかと書いたのだ。

1500年代にカトリックから離れたイギリスは以後、1533年に規定した刑罰を実行するほどの状態は避けられたということなんだろうと思う。
その刑罰が再び日の目を見たのはそれから300年経過した後の1800年代後半。
イギリスの王家がドイツのハノファー起源の王室になって150年ほど経過した頃。
君主で言えばヴィクトリア女王の時代。
世界各地を植民地化・半植民地化して繁栄を極めた「大英帝国」を象徴する女王である。
イギリスがドイツのハノファー起源の君主となってからも歴代君主はドイツのハノーファー王国の君主も兼ねていた。
しかしハノーファーでは女性君主を認めていなかったため、ヴィクトリア女王の時代にイングランドとハノーファーの同君連合が解消された。
ドイツは歴史的にカトリックとの関係が非常に深い国であるが、一方でというか、だからこそというか、宗教改革勃発の地でもある。ハノーファーはどちらかと言えば反カトリック勢力であった。
イギリスはその反カトリック勢力であるハノーファーとの親密な関係を1837年に解消したということになる。
性行為の問題が再び表面化したのはこの後なのだ。



1885年8月14日、イギリスにおいて刑法改正法が成立した。
1800年代後半のイギリスでは「社会純潔運動(Social Purity Movement)」が巻き起こった。
イギリスで当時大きな社会問題となっていたのは青少年の売買春(女性・男性両方含む)であり、その取り締まり強化のために刑法が改正された。

これだけ同性愛が社会的に認知された時代にあっても(だからこそという側面もあるかもしれないが)、同性への売買春や性虐待に対する取り締まりや刑罰、告訴や告発ができるような環境、アフターフォローなどが遅れている状態にあるが、イギリスでは19世紀にすでに男性に対しても法整備が行われたということになる。
当時イギリスの上流階級では男性の売買春が盛んだった。
階級社会イギリスで、権威・権力・お金という圧倒的力を持つ成人男性の性的欲望の対象になっていたのが、どこにも力の及ばない少年を中心とした男性だった。
権威や権力、お金にさほど興味のない女は、権威や権力やお金によって自由にすることは出来ない。
また男性より力のない女性を征服するよりも男性を征服した方が征服欲を満たすことができる。
聖書の解釈のみならず、力のある男が男に向かう理由にはそれなりに理由がある。
よって女性だけでなく男性も法によって保護されるべき対象との認識が急速に広まり、女性にプラスして刑法改正法の11条に「ラブシェール修正条項」が盛り込まれた。
男性同士の親密な関係を示唆する行為は"gross indecency"として取り締まることが規定されたのである。
これは私的ものでだけでなく公的なものも含む。つまり商売としての売買も見世物も、また宗教儀式などと謳っても逃れられないということである。
相手が権威や権力やお金を持つ力のある者であるからこそ、社会として弱い者をそこから守るとするならばそれくらい強い態度で臨まなければ実効性は薄くなってしまう。


ヘンリー8世の時は "buggery" (男女を問わず、肛門性交全般および獣姦)と行為を明確にした。
だが「ラブシェール修正条項」では、男性同士の親密な関係を示唆する行為"gross indecency"が具体的にどんな行為かまでは踏み込んで文章化しなかった。
例えば文章で肛門性交に限定しまうと、それ以外は取り締まれなくなる。
不倫を疑われて「一線を超えていない」という名言(?)を吐いた人もいたが、一線を超えなければ力ある者が少年に何をしても構わないのだろうか。「一線を超えていない」が免罪の理由として重宝されてしまうことはないか。

日本では昨年法律が改正されて、強姦罪から強制性交等罪に取って代わった。

・強姦罪
加害者が男性、被害者が女性で、13歳以上の女性に対し、暴力や脅迫を用い同意なく、あるいは相手の心神喪失などに乗じて性行為(性器を陰部に挿入すること)を行うこと。
・強姦致死傷罪
強姦の過程にて被害者に致死傷を与えた場合は、性器の陰部への挿入に至らずとも強姦致死傷罪が成立する。
・強制わいせつ罪
13歳以上の男女に対して暴行又は脅迫を用いて、同意なく、 わいせつ行為に及んだ罪。
※13歳未満の場合
13歳未満の女子と知っていて性行為(性器を陰部に挿入すること)をした場合には例え同意があったとしても強姦罪が成立。
強制わいせつ罪も同様に13歳未満の場合には同意があっても成立する。
13歳未満は拒否能力が圧倒的に劣り、また性行為に対する正しい判断能力がないと見做されているからである。
   
・強制性交等罪 
暴行又は脅迫を用いて13歳以上の男女に対して性交、肛門性交又は口腔性交、または、13歳未満の人間に性交等をした罪。
これまで強姦罪が女性のみだったのに対して、男性も対象となり、肛門性交や口腔性交も対象となった。
強姦罪は被害者の告訴が必須だったが(親告罪)、新しい強制性交等罪は必要なくなった。
ただし性器ではない体の部位や異物挿入などの場合にはこれが適応できない。


具体的に文章化しないと何が良くて何が悪いのか判断できないという状況が生まれる。
また個人に依れば個々に良い悪いの基準が大きく違ってきてしまう。
文章化したって「解釈」という問題にぶち当たるのだから、なかなか難しいところ。
踏み込まない抽象的な表現のほうが広く予防・救済できるという面がある反面、分別のある大人同士が強制したり強制されたりせず、お互いの同意のもとに覚悟を持って至った親密な関係までをも犯罪扱いしてしまいかねない。
そこには元々の力関係が違った場合に、「同意」と言っても本当に自分の意思に忠実に誘いを断ることができるのかという問題も孕んでいる。
また分別のある大人だって洗脳状態に陥ることがある。私達はオウム真理教などでそういう例を幾つも見てきたではないか。



性に関する事柄は元来オープンにしにくいものであり「標準」というものが捉えにくい。そこに宗教やイギリス独自の社会的構造も絡むため非常にデリケートで難しく扱いにくい。
そんな中、「分別のある大人同士が強制したり強制されたりせず、お互いの同意のもとに覚悟を持って至った親密な関係までをも犯罪扱いしてしまう」ということが問題視されるようになってきた。
実際そういうこともあったんだろうと思う。一方、規制を撤廃したいと思えば、そこが攻めどころになる。


次にイギリスで何が起こったか。
科学の登場である。
科学は同性に惹かれて親密な関係を結ぶという持って生まれた性質があるとしたのだ。
要するに遺伝子に刷り込まれたような、脳細胞にプログラミングされたような、避けようのない、そして根絶が不可能な状態として存在するとの見解を示した。
それを穏やかに言えば特質や特性ということになるし、極端に悪く言えば精神病の一種ということになる。
どちらにしても本人らの責任ではなく、他人からは奇妙に見えることも当人たちにとっては不自然なことではないということになる。
だから犯罪とは違う、不道徳なわけでもないという結論が導かれる。
そこからさらに精神分野の病理だとする見解を切り離した。
是に働くとしても精神病理とする医学的な烙印は重すぎたのかもしれない。健康な精神と同性愛(あらゆる性行為を含む)は十分に成立するという考えが採用されたのだ。
天才やギフテッドと呼ばれる人が往々にして変わったところがあるように同性愛も普通とは違うかもしれないが個性の一つなんだという考え方である。
氏か育ち(遺伝と環境)か論争にみられる環境要因は置き去りにされた。

昨今頻繁に使われる用語「LGBT」(性的マイノリティ)は、医学的に扱われるトランスジェンダー(性同一性障害)と、特性というか嗜好というかのその他の性的マイノリティが一緒になってしまっている。

LGBT(性的マイノリティ・性的少数者)
 L:レズビアン(Lesbian 女性同性愛者)
 G:ゲイ(Gay 男性同性愛者)
 B:バイセクシュアル(Bisexual 両性愛者)
、T:トランスジェンダー(Transgender 身体的性別と性自認が一致しない人)






by yumimi61 | 2018-03-01 14:39