2018年 04月 20日
日本国憲法の秘密-718- (外貨準備と貿易について)
2001年3月、日銀は当座預金残高(民間金融機関が日銀内に保有する預金)を一定額増加させていくという金融政策を導入した。
これはデフレ脱却(前年比のインフレ率を安定的にゼロ%以上にする)という理由が掲げられていた。
どうして日銀の当座預金が増えると金融調節が出来るのかと言えば、その預金で日銀が国債や手形が買えるから。
日銀が国債や手形を買うということは市中銀行に現金が出ていくということ。さらに市中銀行から世間に出され、世の中に出回るお金が増える。
世にお金が増えるとインフレになると考えられている。。

銀行であっても誰であってもお金がなければ国債や手形を買うことは出来ない。
日銀とて買うにはお金が必要。でも日銀は紙幣発行権を持っている。つまり紙幣を作る権利を持っている。
日銀は国債を発行する時に紙幣を製造して市中に出していたはずである。
世に出す紙幣が負債で、所有する国債が資産。これでプラスマイナスゼロ。左右のバランスが取れる。

銀行の事業というのは自分の資金を使うのでなく、他人から預かったお金(預金)を用いて行っている。預金をどれだけ集められるかが銀行の成功を左右する。(しかし預金は銀行にとって負債でもあるので、それをただそのまま自分のところに置いておくわけにはいかない。貸したり買ったり他に貯金したりして左側の資産にしなければプラスマイナスゼロにならない)
市中銀行は企業や国民が預金しているが、日銀は企業や国民と直接取引していない。日銀にお金を預金するのは銀行という企業のみである。
日銀が積極的に事業を行おうと思ったら預金を集める必要があるけれども、紙幣発行権を持っている日銀の積極的な事業とは何か?
インフレを目標に国債や手形を購入するというならば、新しい紙幣を出せるはずである。



【市中銀行から見た日本銀行の当座預金】①+②=預金額
①所要準備額 0%
 市中銀行が日銀に必ず預金しなければならない額。
②任意額 ほぼプラス金利に該当する
 市中銀行が所要準備額を超えて預けた額

【日本銀行から見た日本銀行の当座預金】
預けられた金額を次の3つに仕分けする。 ①+②+③=預金残高
①マクロ加算残高 0%
 ・所要準備額 
 ・日銀が特別にゼロ金利で一般の銀行に貸し出す金額(貸出支援基金および被災地金融機関支援)
 ・日銀が適宜加算する金額 
②基礎残高  0.1%
③政策金利残高 -0.1%(マイナス金利)
 預金残高から①と②の額を引いた残りの金額


2016年1月に日銀がマイナス金利を導入して話題になったが、マイナス金利が適用されるのはごく一部だけである。③政策金利残高の部分のみ。

マイナス金利導入当時の日銀当座預金残高がおよそ250兆円。
①マクロ加算残高
 ・所要準備額9兆円
 ・日銀が特別にゼロ金利で一般の銀行に貸し出す金額(貸出支援基金および被災地金融機関支援)30兆円
 ・日銀が適宜加算する金額0円
②基礎残高210兆円
③政策金利残高
 250兆円-39兆円-210兆円=1兆円

250兆円のうち、マイナス金利に該当するのは1兆円くらいの計算だった。

日銀の当座預金は増えている。
10年ほど前は5兆円くらいで、黒田総裁が就任した2013年3月頃には60兆円近くになっており史上最高額を記録していた。
しかしマイナス金利を導入した2016年1月にはすでに250兆円となっていた。
日銀は一頃、日銀当座預金残高が増えればインフレ率2%が実現できるというような説明をしていた。
日銀が当座預金を使って国債や手形を買うことで紙幣を市中に出せば、一応その可能性は無くはない。
だがその出したはずの紙幣が世間に出ずに、再び銀行から日銀の当座預金に戻ってくるならばインフレなんか起こりようもない。
そもそも日銀に預けられたお金は日銀のものではない。市中銀行のものである。
インフレを目標としているならば、日銀が国債を買ったりなんかする必要も無く、最初から市中銀行がそれを日銀に預けず世間に出せばよいだけのことである。
また新しく紙幣を作らない限り、お金の総量は同じである。
結局のところ日銀のやりたいことは国債の回収なのではないかという疑惑が涌く。


市中銀行が日銀に預金しないようにする策が「マイナス金利」だったように一見見えるが、実際のところマイナス金利に該当するのは僅かな部分でしかない。
日銀がマイナス金利部分を増やすには、預金をしないようにするどころか、もっと預金してもらう必要がある。
世間に紙幣を出すという目的からしたら本末転倒。そのお金でもっと国債を回収したいということか。


だいいち、0.1%という金利は日本の世間一般から見れば高い。
この時代、私達の普通預金金利は0.001%、定期預金でも0.01%くらしかない。
1年で500円の金利を稼ぐのは決して楽ではないんですよ、黒田総裁。
だというのに、銀行は日銀の当座預金(普通預金)に預けておくだけで0.1%の金利が付く。
日銀の当座預金の金利が真の意味でマイナスになるのは、0.1%付けている基礎残高よりも-0.1%の政策金利残高が大きくならなければならない。同額ならば相殺されて金利ゼロである。そこまでは銀行は損をすることはない。

また例えば日銀が「もっとマイナス度を上げます!」と言って-0.5%にしたとする。でもその時に日銀が同時に「適宜加算する金額」を上げてしまえば、ゼロ金利該当額が増え、実質的な金利は言うほど落ちない。


日銀当座預金の実質金利(実質的な金利)は金利に幾つかの種類があることから生じるが、金融の話で「実質金利」と言う場合には次の事を指していることが多い。 

実質金利=名目金利ー物価上昇率(インフレ率) 

(例)1,000万円貯金があるので1000万円の家を買おうか考えている。
   今買えばプラスマイナス0円。
   では1年後はどうだろう?
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  金利:0% ⇒1,000万円
 インフレ率:0% ⇒1,000万円
   ↓
 1年後もその家は1,000万円で、貯金も1,000万円。
 今と変わらない。
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 金利:0% ⇒1,000万円
 インフレ率:2% ⇒1,020万円
   ↓
 1年後その家は1,020万円になっているが、貯金は1,000万円。
 1年後に買うと今買うより20万円損する。(足りない)
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 金利:0% ⇒1,000万円
 インフレ率:-2% ⇒980万円
   ↓
 1年後その家は980万円になっていて、貯金は1,000万円。
 1年後に買えば20万円得する。
------------------------------------------------------------------------
 金利:2% ⇒1,020万円
 インフレ率:0% ⇒1,000万円
   ↓
 1年後もその家は1,000万円で、貯金は1,020万円になっている。
 1年後に買えば20万円得する。
------------------------------------------------------------------------
 金利:2% ⇒1,020万円
 インフレ率:2% ⇒1,020万円
   ↓
 1年貯金しておけば1,020万円になるが、その家も1020万円になる。
 今と変わらず損も得もしない。
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 金利:5% ⇒1,050万円
 インフレ率:2% ⇒1,020万円
   ↓
 1年貯金しておけば1,050万円になり、その家は1020万円となる。
 1年後に買えば30万円得する。
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 金利:1% ⇒1,010万円
 インフレ率:0%  ⇒1,000万円
   ↓
 1年貯金しておけば1,010万円になり、その家は1,000万円と変わらず。
 1年後に買えば10万円得する。
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幾つかのパターンを書いてみたが、金利が何%で貯金し1年後に幾らになったか、インフレ率(物価上昇率)がどの程度で物の値段が1年後に幾らになっていたか、それによって損するのか得するのかは違ってくるということ。
だけどこれは、どうしても今買わなければならない人、どうしても今欲しい人には関係のない話。
時は金なりではないけれども、時が優先順位で上ならば、損得なんか関係ない。
そもそも1年後にどれくらい物価が上昇したかということは、1年経ってみなければ分からないこと。1年前に出来るのは予想と期待でしかない。
予想や期待は当たるとも叶うとも限らない。
2%の物価上昇率を目標にしても達成できなかったと日銀は何度も発表したではないか。
日銀が大々的に「2%の物価上昇率を目指します」と言えば(色を付けたケースになる)、1年待たずに今すぐ買ってくれて景気がよくなると期待しているのか知らないけれど、実質金利の意味を理解していなければ、そんな期待も意味なし。





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by yumimi61 | 2018-04-20 16:28


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