2018年 05月 07日
日本国憲法の秘密-729- (外貨準備と貿易について)

植物も動物も、石炭・石油・天然ガスなど化石燃料も主に有機物からなる。
有機物を構成している多量元素は、炭素、水素、酸素、窒素、リン、硫黄の6種である。
これらの元素は十分な酸素と熱で完全燃焼させれば、二酸化炭素と水蒸気などの気体を放出する。
但し、有機物に微量に含まれている無機質、特に金属元素(カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの化合物類)は燃焼しても気体にはならず固体として残る。これが灰である。

酸素不足や低温で不完全燃焼した時には、煤(すす)や一酸化炭素なども放出する。
不完全燃焼すると揮発性のガスのみが燃えてしまい、炭素が燃え残ってしまうのだ。
煤(固体)は炭素の微粒子であり、一酸化炭素(気体)は反応途中の中間生成物である。



完全燃焼と不完全燃焼を完全に切り離すことは難しい。特に人間が特別に手を入れない自然に任せた燃やし方では。
何かを燃やす時には酸素が十分に回ってよく燃える瞬間もあれば、酸素不足で不完全燃焼っぽくなってしまう時もある。
燃え始めは低温で不完全燃焼だが、だんだん火に勢いが出てきて完全燃焼するということもある。
従って煙を回収して留めて置かず外にどんどん放出している時には、不完全燃焼の煙も完全燃焼の煙も混じるのが普通。
ただ煤が多いほど黒っぽくなるので、煤の混じり方は煙の色でおおよそ判断できる。
不完全燃焼では一酸化炭素を放出する。屋外で焚火をしていて燻った場合、一酸化炭素を放出させることになるが、一酸化炭素中毒になる人はまずいないだろう。大気に拡散して中毒や致死に至る濃度にならないからである。

練炭自殺は一酸化炭素で死ぬことを狙ったもの。
一酸化炭素は赤血球中のヘモグロビンと結合しやすいので、一酸化炭素を吸入すると血液の酸素運搬能力が下がり、中毒を引き起こす。
軽度の頭痛や 吐き気から始まり、程度が重くなれば、昏倒し呼吸停止し死亡する。
練炭自殺によく自動車が選ばれるのは空間が狭く一酸化炭素が充満しやすいから。
練炭を幾つ置くかにもよるけれど、屋外はもちろんのこと広々とした部屋や隙間風の入る部屋では死ぬことはなかなか難しい。
だから狭い部屋で隙間風が入らないように目張りをしたりするケースがある。

練炭を一般に使いやすくさせて普及させたのは群馬県人。煙が出ないために養蚕室の保温用に用いられた。
私の母の実家は囲炉裏もあったし、保温用に豆炭などを使っていたのを私も見たことがある。
私の実家は私が子供の頃に掘り炬燵に練炭を使っていたことがある。
だから私は子供の頃に自分でも何度も練炭を熾したことがある。
練炭というと強い臭気を思い出す人がいるかもしれないが、あの匂いは一酸化炭素の匂いではない。一酸化炭素は無臭である。
練炭も最初は不完全燃焼するので、完全燃焼するまで屋外に置いて、その後に中に入れていたが、私は1人の時に(たぶん寒かったのだろう)早めに中に入れ過ぎて、うっかりそのまま炬燵で眠り込み、帰宅した家人が匂いで気が付いて慌てて起こされるということがあった。起きた時に私は軽く頭痛と吐き気があった。
一酸化炭素も然ることながら、あの臭気で気分が悪くなる。練炭の臭気は不完全燃焼の時に出るもので、完全燃焼が始まれば匂いはしない。
あの匂いは硫黄。



燃焼には誤解も多いので木が燃えることを例に「燃焼」を説明したいと思う。
木を燃やす材料にする時には普通はある程度乾燥させた木を使う。
それでも木がいきなり燃え出すなんてことは無理である。
つまり最初はよく燃える焚き付け材や熱源が必要である。乾いた木の葉や小枝、紙、着火剤、バーナーなど。
①熱を浴びた木はまず水分を蒸発させる。⇒水蒸気が放出されるので白い煙が出る。
②さらに熱を浴び続けた木は揮発性ガスを放出する。→熱分解によってガスを生成
③木から放出されたガスが燃え出し、さらに高温となる。

・酸素が十分に供給された状況では固体である木そのものが燃え出す。←完全燃焼に移行⇒水蒸気・二酸化炭素が出る
・酸素が十分に供給されない状況では固体である木は燃えない。←不完全燃焼続行⇒煤・一酸化炭素が出る


熱分解とは熱によって合成(結合)している物質が分解すること。
熱があっても酸素があると酸化して燃焼となる。
分解も合成も物質が分かれたりくっついたりして違う物になる。
いわゆる「物が燃える」という現象の中で分かりにくかったり不明な点が多いのは熱分解部分である。

昨今は蚊取り線香を使う人も少なくなっていそうなので例えになるか若干不安だが、蚊取り線香で言えば、蚊取り線香の有効成分は煙ではない。
煙は燃えている先端から出ているが、殺虫のための有効成分はその少し手前からガスとして放出されている。
先端のほうが温度が高く、手前のほうが若干低い。
その「燃えている先端よりも温度の低い部分」は不完全燃焼な状態で、揮発性のガスが出ているということになる。そのガスに殺虫成分が含まれる。

ガスは可燃性(燃える)ガスと不燃性(燃えない)ガスとに分けられる。
酸素・窒素・ヘリウム・アンモニアなどは燃えないガス。
燃えなくても化学反応を容易に起こすガスもある。熱分解も化学反応の1つ。
化学反応をほとんど起こさないガスは不活性ガスと言う。
ヘリウム・ネオン・アルゴン・クリプトン・キセノンなどの希ガスや窒素は安定していて化学反応性が低い。

【熱を浴びた木から出てくるガス】
不燃性ガス 水蒸気・二酸化炭素
可燃性ガス 一酸化炭素・メタン・エタン・水素・アルデヒド・ケトン類など


大気汚染の原因と槍玉に挙げられているのは、煤・二酸化硫黄・二酸化窒素である。
硫黄も窒素も化石燃料にもともと含まれているものである。

硫黄
石炭や石油など化石燃料は多量の硫黄化合物を含んでおり、この硫黄化合物が燃焼することで二酸化硫黄が発生する。火山活動でも発生する。
二酸化硫黄は二酸化窒素などの存在下で酸化され硫酸となり、森林や湖沼などに影響を与える 酸性雨の原因となると言われている。
人間に対しては呼吸器に影響を及ぼすが、それにはよほど高濃度でなければならない。

窒素
大気の約80%を占めるのが窒素。
大気中の窒素は不活性な安定分子として存在している。
地球のほぼ全ての生物にとって必須元素であり非常に重要なものであるが、動植物はそれをそのまま利用することが出来ない。
反応性の低いその窒素を反応性の高い他の窒素化合物(アンモニア、硝酸塩、二酸化窒素など)に変換するプロセスを窒素固定と言う。
窒素固定できるのは雷と土壌中の微生物くらい。
大気中に沢山存在していても、その固定には限界があり、それによって地球上で動植物を育める量にも限界があった。
大気の80%を占める窒素を使えたら・・・窒素固定は長い間人類の夢であり、大気を変える錬金術として注目されてきた。
窒素は不活性な安定分子なので窒素固定への道は容易ではなかったが1900年代に工業的にアンモニア肥料を生産することに成功。
これが人口爆発の1つの要因になったとも言われている。
しかし同時にその肥料や人口増大が地上や地下の水質を汚染してしまうことへの危惧も大きくなってきた。

石炭や石油など化石燃料は窒素化合物も含んでいる。だから化石燃料を燃やせば(酸化させれば)、窒素酸化物となる。
窒素は地球上の有機物の構成物質の1つである。植物も動物も人間も同じく。
また高温高圧で燃焼させた場合(エンジンや天然ガスボイラーなど)、本来不活性であるはずの燃焼用空気の中に含まれている窒素と酸素が反応し、二酸化窒素になるとも言われている(サーマルNOx)。

窒素酸化物は工場、家庭、自動車などあらゆる場所から放出されるが、大部分は一酸化窒素として排出される。
一酸化窒素が大気中で酸化されて二酸化窒素になるのだが、酸化という化学反応が起こるにはそれなりの理由が必要である。
気温が高い日の熱とか、太陽光による光化学反応だとか。
二酸化窒素も酸性雨や光化学オキシダントの原因となると言われている。
こちらも人間に対しては呼吸器に影響を及ぼすが、それにはよほど高濃度でなければならない。


大気汚染の原因とされる二酸化硫黄や二酸化窒素は燃焼によって生成されるというのだから、低酸素状態の不完全燃焼によって出てくるものではない。
それなのに完全燃焼から可燃性のガスが出てくるのは何故だろうか?
可燃性ガスならばガスだって燃えるのだ。
二酸化硫黄は可燃性のガスである。
二酸化窒素は不燃性のガスだから燃えないが、炭素・リン・硫黄は助燃性のない二酸化窒素の気体中でも燃えるという。



バーベキューをする時に炭を使ったことがあるという人は結構いるだろうと思う。この場合の炭とは木炭のことである。
石炭や木炭は火を出さずに燃える燃料である。
近年はホームセンターなどで、おそらく輸入品が、申し訳ないくらい安く売られているが、炭を作るためには先に大きなエネルギーを消費していて、手間暇もかかっている。
炭を作るエネルギーがあれば大量の肉が焼ける。石油も天然ガスも同じだけど、エネルギーを作り出すということは何かと効率が悪い。

「炭焼き」という言葉を聞いたことがあろうだろうか。(炭火焼肉店の略語ではありません)
木から木炭を作るのが炭焼きで、かつては日本でも里山のあちこちで行われていた。
完全燃焼させたら灰になってしまうので、酸素を出来るだけ遮断し不完全燃焼を維持させて適当なところで終了する。
炭焼きの場合も最初は焚き付け材を燃やして熱を上げていくので、最初から全ての酸素を遮断するわけではない。
窯を一度閉めたら開けてみることは出来ないので、中の様子は煙で判断する。

この炭焼きの副生成物に木酢液がある。
私は木酢液にいろいろ浸けこんでみた怪しい液(別に怪しくないけど)を庭で使っていると以前に書いたことがある。
木酢液は炭焼きの時に出てくる煙を外に出さずに冷やして液体にしたものから作られる。
まさに煙から出来るものなのだ。


その煙から出来る液体のことをちょっと専門的に言うと「乾留液」「タール」となる。
乾留液・タール(英: tar, 独: Teer)
有機物質の熱分解によって得られる、粘り気のある黒から褐色の油状の液体である。大部分のタールは石炭からコークスを生産する際の副産物として産出されるが、石油、泥炭又は木材その他の植物から作り出すこともできる。
(豆知識)
電子レンジで加熱することでトウモロコシの芯からでもタールを作り出すことができる。このプロセスは、熱分解として知られている。(トウモロコシは比較的炭素を多く含む植物)


煙を外に出さずに煙突で誘導し冷やして液体を回収する(60~130℃くらいとなった煙を回収して自然に冷やす)。それが黒い粘り気のある液体で乾留液やタールと呼ばれる。
主成分は炭化水素(炭素と水素の有機化合物)。
炭化水素は炭素原子の結合の仕方によって種類や性質が変わってくる。
前記事に書いた発がん性のある物質があると言われる芳香族炭化水素もその1グループ。
ベンゼン環を持つ炭化水素を芳香族炭化水素と呼んでおり、ベンゼン・トルエン・ナフタレンなどが該当する。

煙から採れた黒い液体は時間の経過とともに水に溶ける液と油に溶ける液に分かれていく。
水溶液部分が木酢液となる。
下に沈む油部分が俗にいうタール。一番表層にも少し油が浮くが、これは軽油質。
石炭の乾留で得られるコールタールも再蒸留して各成分に分け合成化学工業の原料となり、下層の油部分はそのまま燃料や塗料に使われる。

炭焼きの煙から木酢液を作る場合には、短くて3ヶ月、6か月~1年くらいは容器に入れたまま動かさずそっと置いておくのがベスト。
このようにして分かれた上層部分の木酢液を採り出す。
100kgの木を用いて炭焼きを行い、出来る木炭は25kgほど。採れる乾留液は約8kg。そこから取り出せる木酢液は5kg(≒5リットル)ほど。
不完全燃焼を維持させ3日ほどかけて集めた煙で出来る液体はその程度。
炭も木酢液も本来とても貴重品である。
その液体(水や油)の中に熱分解で生じた様々な物質が含まれていると考えられるが、1つ1つの物質の量はそう多くはない。
その然程多くない物質が大気に拡散されてしまえば、濃度的にはかなり落ちてしまう。
完全燃焼ならば尚更。





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by yumimi61 | 2018-05-07 13:55


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