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有視界飛行✇✇✇✇✇✇

100%はありえない

消防機関が運用する消防ヘリ、都道府県の防災ヘリ、警視庁や県警の警察ヘリ、海上保安庁の巡視船搭載ヘリ、自衛隊ヘリ、ドクターヘリ(後年追加された)、これらのヘリコプターは救助のためならば法的にはどこでも離着陸できることになっている。
そうはいってもどこででも離着陸できるわけではない。
搭乗者や離着陸地点周囲の安全や影響を考えれば自ずと制約はある。
ドクターヘリは交通事故でも出動するが、公道に着陸することはほとんどない。
公道のみならず、急ぎだからと言って何の連絡も調整もなくヘリコプターがいきなり降下してきたら困るし驚くだろう。

以前私が書いたドクターヘリの短所
[短所]
・有視界飛行であるために夜間は飛べない(出動できない)。濃霧や雷雨、台風の時も飛べない。
 現在「PM2.5」が流行っているが大気汚染がひどくなった時も飛べないかもしれない。
・強風時も飛べない。(群馬県ドクターヘリ運航開始式に予定されていたデモフライトは強風のため中止だった)
・どこにでも着陸できない。着陸に適した地形、着陸できるだけのスペース、着陸するための許可が必要。
・有視飛行なのにパイロットが1人しか乗っていない。
 飛行中にパイロットに緊急事態(急病など)が発生した場合、搭乗者全員の命が危ない。
 ヘリが地上に落下すればさらに被害は拡大する可能性がある。
・燃費が悪い。



特にドクターヘリは、搬送に関して救急車という他の選択肢があるため、飛ぶ判断は難しいと思う。
救急車とドクターヘリの違いの1つは、ドクターヘリには医師と看護師が乗っているということである。
救急車は救急救命士が乗っている。

救急救命士は病院への搬送途上に限り一定の救急救命処置を施すことが認められている資格者。かつて救急車は病院への搬送が仕事であり医療行為は認められていなかったが、現在は従来医師でなければ行えなかった気管挿管や薬剤投与などの処置も可能となっている。それは救命率や傷病者の社会復帰率のアップのためであろう。
問題はそれなのに何故いまさらヘリコプターに乗って医師と看護師が現場に出向かなければならないのかということである。
「医師と看護師が乗って現場に駆けつける」ということを利点と捉えるならば、それは救急救命士資格の制定や一歩踏み込んだ応急処置が出来るようになった時代に逆行しているのではないだろうか。

もっと言えば胸骨圧迫(心臓マッサージ)や除細動(AEDによる電気ショック)などは救急救命士でなくて一般市民だって可能な処置である。

以前にドクターヘリが出動した事故関連の記事を掲載したこともあったが、その事故は医師が駆けつけても救命できなったという事例だった。ヘリコプターで医師や看護師が現場に出向いたところで全てが救命できるわけでも完全なる社会復帰に繋がるわけでもない。


飛べないと飛ばない

ドクターヘリを本気で運用しようと思ったら、救急車や病院と同じように24時間体制を敷くべきであろうが、ヘリコプターが危険を冒してまで現場に飛んでいく理由を見つけることは上記のように結構難しいと思う。

ドクターヘリを運用するには、出動要請があろうとなかろうと、ヘリコプターを置いておく病院にパイロットと整備士、ドクターヘリ専門の医師と看護師を常駐させておかなければらない。
医師と看護師は10名ずつくらいドクターヘリに乗れる人材を院内(救急救命部門)に確保しておいて、当番制で回すのが一般的ではないだろうか。

ヘリコプターが事故にあえば、慢性的な人手不足の病院が救急救命を生業や使命としている健康な医療従事者という貴重な人材を失うことになる。
そのリスクを病院が背負う必要があるのかどうか。

だからドクターヘリは、夜間は飛べない、濃霧や雷雨、台風や強風時も飛べない。
さらに付け加えれば、休日や年末年始も飛べないかもしれない。


夜は暗いという当たり前なことが

有視界飛行に対して夜間飛行が禁じられているというわけではない。
有視界飛行であっても飛ぼうと思えば飛べる。環境が整っていれば飛べる。
しかしいずれにしても計器飛行(IFR)よりリスクが高いのは間違いない。

なぜ夜間は特別危険なのかと言えば、それは暗いからである。
一年中一日中暗くなることを知らない都会に暮らす人には分からないかもしれないが、夜の闇は実に深い。

それでも月が出ている夜はまだなんとかうっすらと見える。
月の出ていない夜はそのへんにぶつかる。
これはヘリコプターの話ではなく、田舎の庭での数メートルの移動の話。本当に真っ暗で何にも見えない。
目が慣れたら見えるのではないかという微かな期待を抱いても、やっぱり何にも見えない。
仕方なく携帯電話の明かりを頼りにすることになる。
明かりのない海でもそうだった。どこから海が始まっているのか、波音はしてくるが、その境目を夜は教えてはくれなかった。

ちなみに旅客機が夜間の離着陸時に機内の照明を落とすことがあると思うが、あれは離着陸のトラブルで急に照明が落ちて客がパニックに陥るのを防ぐためと、非常脱出した時などのために暗さに目を慣らしておくという意味合いがあるとか。
だけど残念ながら本当に真っ暗な場所では目は慣れないけれど。


航空機にとっての照明

航空機には飛行中に付けているライトと離着陸時に付けるライトがある。空港には照明設備がある。
飛行中のライトは他機などに自分の存在を知らせるためのものである。接触や衝突防止。
自動車のように前方を照らすライトにて明るくして目視で進むわけではない。
それは有視界飛行であっても同じである。有視界飛行はその暗い中を目視で進まなければならないのだ。

暗い空の中では障害物も他機も雲(天候変化)も見えにくい。
そういう意味においては明るい都市の上空や空港近辺は夜間でも飛びやすい。高度が低いほど明かりが届きやすい。
航空機や鉄塔などは赤や緑のランプを灯しているので夜でも見つけやすいかもしれない。でもそのランプも濃い雲に覆われてしまったら効力はないけれども。
暗くて天候も変わりやすく山々が連なる山間地は大変危険である。
どうしても視界を確保しなければならない状況ならば暗視装置を用いる必要がある。


誰かにとって救いとなる夜の明かりや音が、誰かにとっては光害や騒音となる

飛行時も然ることながら離着陸時はもっと明かりを必要とする。
有視界飛行においては、夜間照明設備がなく、何かそれに代わる照明を準備出来ない所での離着陸は極めて難しい。
空港ならば照明設備はあるだろうが、空港でさえ24時間稼働しているのは、羽田・関西・中部・新千歳・北九州・那覇の6空港しかない。

24時間空港
国内では羽田、関西、中部、新千歳、那覇、北九州の6空港。騒音問題などを配慮して成田(午前6時〜午後11時)や福岡(午前7時〜午後10時)は時間制限がある。時差や飛行時間の長さを逆手にとって国際便で威力を発揮する。例えば関西を午前1時25分発のバンコク便なら現地の午前6時ごろに到着でき、効率よく観光が楽しめる。24時間空港は世界的には珍しくなく、シンガポールのチャンギ空港は深夜0時から午前6時の間に50便以上も発着、アジア最大級の拠点空港に成長して経済貢献している。

ヘリポートや場外離着陸場を使用するならば、夜間照明があるところに限られる。
多くの病院はその環境にはないし、夜間照明のある所にしか傷病者はいないということもない。

そもそも夜に飛ぶことや計器飛行(IFR)を前提とはしていない

じゃあヘリコプターも計器飛行(IFR)にすればよいではないかと思うかもしれないが、それではどこでも飛んで行けなくなり、どこでも離着陸できなくなる。
有視界飛行の利点を捨てるようなものであり、捜索や救命なんか意味をなさなくなる。
じゃあせめて離着陸の時だけでも切り替えればよいではないかと思うかもしれないが、それには対応したヘリコプターやパイロットや切り替え環境を準備しなければならない。
日本のヘリポートでは、計器飛行(IFR)で離着陸できる所はないというのが現状である。




by yumimi61 | 2018-09-14 11:41