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コンパス

今日は音の話です。

人間の可聴領域

この地球にはいろいろな音があるけれど、人間の耳が聴き取れる音には限界がある。
人間の可聴領域は100(感度が良ければ20)Hz~20000Hzである。もちろん個人差がある。
一般論としては、低周波ほど感度が鈍くなり(聴き取り難くなり)、高周波ほど感度が高い(聴き取りやすい)。
人間の耳の感度が良い音(聴き取りやすい音)は2000~5000Hz付近で、このため初期の携帯電話のベル音はこの辺りの音が採用されたそうだ。
e0126350_15211282.jpg
加齢による低下

個人差があると書いたが、加齢によって可聴領域は低下する。
一般的には高周波の音が聞こえにくくなってくる。
30歳以降には聴力の低下が始まり、60歳以降では著しく低下してくる。

下のグラフで右軸が周波数。年代が上がるほど右下がりのグラフになっているのが分かると思うが、これは高周波の音が聞こえにくくなってくるということを意味している。

e0126350_15062556.jpg
先日モスキート音(→蚊よけになる音)のことをちょっと書いたけれど、あれが17kHz(=17000Hz)である。
上のグラフは右端が8000Hzとなっているので、モスキート音はさらにずっと高い音である。
興味のある人は、こちらのサイトでモスキート音を提供しているので、聴いて確かめてみてください。私は10kHzしか聴こえないです。

グラフ縦軸は音の大きさ。
聴力検査では小さい音が聞こえるかどうかということも調べるが、70歳以降では高周波音より聴き取りやすいはずの低周波音も小さい音では聴こえにくくなるということである。
聴力レベルの下に書いてある「サイレン」「深夜の郊外」などの記述は、それらの物が出す音、あるいはその環境での音レベルが、通常どれくらいかを示している。
30dB以下の音が聴こえなくなったら、補聴器を検討するレベルと言われている。


オーケストラの周波数(音程・ピッチ)

楽器は放っておくと音程が狂ってしまうし、温度や湿度でも音程が変わってしまう。演奏の仕方でも音程は変わる。
オーケストラのように幾つもの楽器が音を出してハーモニーを奏でるのに音程がそれぞれ違うというのも困る。
従ってチューニング(音合わせ)をして音程を合わせる。
どうやって合わせるかと言うと、オーボエが吹くA(ドレミのラ)の音に合わせる。
このA(ドレミのラ)の音は440Hzだそうだ。
1オクターブ上がると倍の880Hzになる。
440Hzと書いたけれど、これはアメリカの主流で、日本のオーケストラは442Hzが標準だそうである。ヨーロッパはもっと高いとか。
こうした世界では、2くらい誤差の範囲でしょ、というわけにはいかないようである。

e0126350_16263139.jpg
楽器の音はうるさい!?

オーケストラのピッチは440Hzで、1オクターブ上がっても880Hz。
楽器によって出せる音域は多少変わるが、楽器というものは周波数的にはそれほど高い音ではない。
日本語の音域くらいの音だから、日本人が会話しているくらいの周波数である。
それほど大きな音でなくても聴こえるのに、楽器は人間が話している声より大きな音が出る。
周波数的に言えば、楽器演奏は拡声器を通しての会話をずっと近くで聞いているようなことなのである。

しかも言葉ならば、何を言っているのかなぁと聴き取ろう(理解しよう)という意識が働く。
つまり人間はそちらにも意識が振られる。右脳左脳で言えば、言葉を理解しようと左脳が働く。
しかし楽器演奏だけの場合、言葉の意味を理解しようとする必要もない。
意識が振られないだけに、うるさいと感じれば、その気持ちが分散されることなく「うるさいー!」になってしまうわけだ。


言語の周波数

グラフには日本語の音域(周波数)を書き入れたけれど、言語によって音域が異なる。
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誰が決めたのか分からないけれど、今ではすっかり英語が世界共通語として扱われ、日本人も必死に学んでいるわけだが、日本語の周波数と英語の周波数は全く違う。重なる部分もない。
アメリカ英語になると、もう少し周波数が低くなり、これだと日本語とも一部重なる周波数がある。

ちなみに上の図にはないが、韓国語は125~2000Hzと日本語に一番近い。
韓国語は比較的分かりやすいと言う日本人、日本語は比較的分かりやすいと言う韓国人は少なくないと思うが、これはやはり音域がとても近いからという理由が考えられる。
ということは、どちらも英語には少し遠い音域であるということで、だから日本と韓国は英語習得の面でもライバルになる。
中国語は500~3000Hzであり、アメリカ英語に近い。だから言語的に両国はわりと馴染みやすい。


日本人の特色

日本語は他の言語に比べると周波数が低い。
上のグラフには日本人に聞こえる会話の音域をえんじ色で書き入れた。
日本語の音域(周波数)は125~1500Hzだが、もう少し高い周波数の会話でも聴き取ることは一応可能である。
もう少し高いというのはどれくらい迄かという4000~6000Hzくらい迄である。
この範囲内には多くの言語が含まれてくるが、英語の周波数はこれを軽く超えるので、聴き取れない音が非常に多くなり、結果何を言っているのか分からないということになる。
但し同じ英語でもアメリカ英語の場合は、4000Hz内に収まるので日本人でも聴き取りが可能な言語である。

しかしながら年齢による聴力低下があるので、いつまでも高周波の会話が聴き取れるわけではない。
年代別グラフの線の上側は聴こえないということである。
日本語の音域ならば、通常の会話において聴こえない部分が出てくるのは70代以降なのだが、それより高い音域(要するに外国語)だと問題なく聴くことが出来そうなのは30代まで。
それ以降は聴こえない音が出てくる。
加齢による聴力低下は高周波帯から起こってくるので、高周波帯言語の国の高齢者は日本人よりも聴き取りにくくなる。
外国の先進国の補聴器の普及率は、軽く日本の普及率の倍を超える。
特に高いのがやはり高周波帯の言語である英語を使うイギリスである。
よって日本人が年をとってから英会話をマスターしようと思っても、まず無理である。

日本人は他国の方々から比べると概して声も小さい。
旅行者のマナーがどうこうという話で外国人は声が大きいとか話題にしている(文句を言っている)ことを耳にすることがあるが、もともと話し声の大きさが違うので致しかたない面がある。
何もわざと大声を出しているわけではなく、彼らにしたら通常モードなのである。(もっとも旅行で気分が高揚してカップルになることも声が大きくなってしまうこともあるだろうけれども)
日本人が小さい声なのだ。
従ってその声に慣れてしまっていると、大きな声を聴いた時に会話ではなくて騒音として認識してしまうということが出てくる。
またあまりに大きな声だと、音は聞こえても言葉の内容が理解できないというようなことも起こってくる。

オーケストラではないけれども、チューニングでもして音程を合わせないと、同じ英語でも狂いが生じて、すんなり入って来ないということも起こる。
英語とアメリカ英語の周波数はかなり違うのだから、イギリス人とアメリカ人が真の意味で通じ合うのはなかなか難しいはずである。
それと同じで日本人の英会話がいくら上達したとしても、周波数が違っていて独特であるということは十分に考えられ、その場合はやはり上手く届いていない可能性がある。

日本人英語、いわゆるカタカナ英語とでも言うか独特の英語もまず届かないであろう。
英語を喋っていても、本気で聴こうと思ったら通訳が必要というパターンである。
周波数や声の大きさだけでなく、英語をはじめとした外国語には母音が付かない子音が多い。さらに日本語にはない子音も多数存在していて、日本人はこれに全く慣れていないので、聴き取りも発音も難しい。
だからこそ日本人は日本人の英語、あるいはアジア人などが話す英語が比較的聴き取りやすいのである。


脳が言語として認識するということ

言語の理解と生成を司るのが言語中枢であり、それは大脳の左半球にあって、その領域を言語野と呼ぶ。
この言語野は固有の周波数内の音しか言語として認識しないため、それ以下あるいはそれ以上の周波数の音が聞こえたとしても、言語以外の音として処理され、感覚野に送られてしまう。

日本人でも4000~6000Hzの周波数の会話を聴き取ることが可能と書いたが、それには言語野が言語として認識するくらい、その周波数の言語に慣れ親しんでおく必要がある。
この周波数帯の音がほぼ問題なく聴こえるはずなのは30歳くらいまでだから、それまでにその高い周波数の会話を浴びて、脳が言語として処理できるくらいにしておかなければならないのである。
英会話は子供のうちから、というのは一理あるのだ。
しかし前述したように、それが日本人英語で、英語は話しているつもりだけれど、日本人ゆえに実は周波数はそれほど高くないという場合には、子供の頃から英語漬けにしても外国人との会話は難しくなると思われる。


語音弁別能と理解力

脳が言語と認識して、相手が何か言葉を話しているということは分かったとする。
しかしその会話音が聴こえても、ところどころ聴こえない音があったり、はっきりと聞き取れない音があったりすれば、全体として何と言っているのか分からなくなる。こうなると生活はだいぶ不自由になってくる。
加齢による感音性難聴というのはこの状態になる。
周波数の違う言語に慣れ親しんだ人同士の会話でも起こることである。

単に音ではなく、言葉として聴き取る(聞き分ける)能力を、語音弁別能と言う。
音を大きくするということは補聴器で出来るわけだが、言葉を聴き取る能力(語音弁別能)を低下させてしまうと、これはもう元には戻らないと言われている。補聴器で改善されるものではない。
さらに語音弁別能が低下すると次第に、言葉を忘れてしまうというか言葉自体を理解する力も落ちてくる(→筆記しても意味が分からなくなるというようなことになってくる)。

それを予防するために補聴器は早期に使用した方がよいと言われている。
「補聴器は効果がない」と言う高齢者は少なくないのだが、聴こえなくなってからでは遅くて、ときどき聴こえにくいなぁくらいの時に始めないと補聴器の効果もあまり出ないんだそうだ。

私の母は数年前から難聴気味で、最近はそれが進んでいる。
母はくも膜下出血で開頭手術をしており、今もシャント(脳に過剰に溜まる脳脊髄液を腹腔に流す管)が通っている。
その後に聞こえにくさが出てきたので、加齢による難聴に加え、そうした病気や手術などの影響もあるのだと思うけれども、「何か言っているということは分かる(声・音は聞こえる)が、何と言っているのかよく聞き取れない」と言う。
病院で補聴器専門店を紹介してもらい、検査をした上で補聴器を作って使った時期もあったが、そこまで聴こえるようになったという感じはなかったそうだ(音が耳元で反響して聞こえにくいというようなことを言っていた)。また母のシャントは補聴器や携帯電話などは気を付けて使う必要があって面倒だったり心配だったりしたこともあったのだろう。余談だがシャント(磁石のバルブ)が入っているのでMRIも出来ない。


周波数の低い言語を使う日本人が外国語で外国人と会話しようと思ったら、まず高周波帯の会話を脳に言語であることを認識させる必要があり、さらに早期に日本人であるがゆえ(日本語を使っていたがゆえ)に聴こえない音を無くして語音弁別能を獲得しなければならない。その上ではじめて言葉は理解できるようになるし、かみ合った会話が可能となる。そして少し大きめの声で会話するよう心掛ける。
これが一度出来たとしても、30歳以降は高周波帯の音を聴く力が落ちてくるので、獲得した言語から遠ざかってしまうと尚のこと語音弁別能は低下しやすい。
例え現地でその国の言語に浸かっていたとしても、ある程度の年齢になれば、かなりの人が聴力を落とすので補聴器など対策が必要となる。
外国語習得って大変ですね。


(明日もまた音の話が続きます)






by yumimi61 | 2019-08-08 15:36