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水の色

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水色のクレヨンを握り締めたあの日

私達は考えることを

やめてしまったのかもしれない




一枚の写真がある。
自分で書いた自画像を胸の前に持ってクラス全員で撮った記念写真。
私が小学校1年生か、2年生ぐらいの頃のもの。
この写真で私が持っている自画像はなぜかニワトリだ。
それだけでもかなり目を引くというのに、ご丁寧に背景が黒で塗りつぶしてあったりするので
殊更目立っているのだ。
けれど実のところ、そのとき私がなぜニワトリを描こうと思ったのか、
ニワトリを描かなくちゃいけなかったのかはよく覚えていない。
いくら鏡に映したって自分なんてそんな簡単にわかるものじゃない、今ならそんな注釈をつけそうだが
その時は本当に自分がニワトリに見えたという、ただそれだけのことなのかも。


「犬の足は4本でしょ。」
「目がそこにあったらおかしいんじゃないのかな。」
「水の色は赤じゃないでしょ、ほらここに水色っていうクレヨンがあるじゃない。」

『水色』という名前がつけられたクレヨン。
川を海を、雨を、涙を、、、 水を描くときには『水色』を使えば間違いないのだ。
だって『水色』って書いてあるから。
言葉ってなんて便利なものなんだろう。
私達はやがて条件反射のように迷うことなく水色を選び出せるようになる。
自画像にニワトリの絵を描いた私にだって、子供たちに遠近法を語ったりもできるようになる。


『水色』はクレヨンの箱を飛び出して、もっと大きな箱を見つけた。

もう分からないことなんてない。
条件反射のように検索にかければいい。
世界は知っている人で溢れてる。賢い人で溢れてる。

何もしなくても大丈夫。
たくさんのレビューがその本を、その映画を教えてくれる。
面倒な恋愛なんてしなくたって大丈夫。
大きな箱には、たくさんの『愛』がつまっているから。


レンタルショップで借りた綺麗な衣装に身を包み、必死になって言葉を探して、分かった気になって安心。
安心しているはずが、どこまでいってもひとりぼっちで。
この時代を覆う闇というものがあるとするのなら、
それはすべてが明るくなってしまったところにあるのかもしれない。


川で泳いでいたあの頃、いくつもの色を見た。水にはいくつもの色があることを知っていた。
海を泳いでいたら、あるところから途端に色が変わって、これが海なんだと思った。心細くて急に怖くなった。


決して知りえない他者がいるということは
分からないものを抱えているということは
理解を超えたところに畏れがあるということは
そんなに悪いことなんだろうか。

今日見た色がクレヨンの箱に見つからない。
取りこぼさないように両手で自分を抱きしめる。

by yumimi61 | 2007-06-21 16:17 | photo