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月影

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愛することは祈りに似ている

生きてくことは祈りに似ている






『つくよみ』 (作り話のようなものです)

「よかった。十五夜に一緒にお月見ができて」
「昨日の天気じゃ今日も月は難しいかなって思ったよ」
「十五夜に晴れるの珍しいんだってね」
「へー。じゃあ、俺たちラッキーなんだ」

いいなぁと思う。
月なんてどこからだって見えるのに「俺たちラッキーなんだ」と言える彼を。
いいなぁと思って、すごく安心する。
それは理屈じゃなくて空気だ。ずっと前から一緒にいたような不思議な感覚。

月影をかき消してしまうほどのきらびやかな世界の外側で、
そこへの入り口が見つけられずに、泣きそうな気持ちで、だけど泣けずに、
ただお互いに手をつなぐことしかできず立ち尽くしていた子供だったような、そんな。


ハトを見たのは冬だった。
ハトはちょくちょく見かけるから厳密に言うと、あのハトを見たのは冬だったと言うべきだ。
あの頃、私は、世界の端っこで息をひそめて祈るように暮らしてた。
読んでいた本からふと目をあげて窓の外を見たとき、白樺の木に二羽のハトが止まっていた。
最初離れていたハトが、目の前で寄り添ってくっついた。
二羽のハトはくっついて、ふっくらとしたハートの形になった。
何だかすごくありがたいものを見たような気持ちになって、ひたひたと温かなものに胸を侵食されていった。
あの時、私は気づいたのだ。ハートは二つで作るものなんだって。


「片月見って言ってね、十五夜のお月見したら、十三夜もしなくちゃダメなんだって」
そう言って、手すりにかかっていた彼の手の上に自分の手を重ねた。
彼はそっと手を抜き、私の手を強く握り返した。
知っている。この暖かさを。
「もう冷えてる」
「うん。もう秋だから」
じんわりと胸に広がっていくのがわかった。


無邪気に信じてるいるわけでもない。
お月見も、節分も、冬至のかぼちゃも。
それでも、何かを切に、祈らずにはいられない時がある。

愛することは、祈りに似ている。
生きてくことは、祈りに似ている。



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昨日は十五夜でした。きれいな月が見えました。
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              (左下あたりうっすらと写っているのは鳥なんですが、わかるかなぁ)

片月見のことを教えてくれたのは、昔やっていた華道の先生でした。
職場の先輩のお母様で、華道をやっていたといってもどっちかというと
お茶を飲んでおしゃべりをしていた時間のほうが多かったのです。
生け花に使った菊の花は切り落とした茎の部分を土に挿しておくとすぐに活着することや、
煮物がどうしたら美味しく作れるかということ、月の朔のことなど
いろいろ教えていただきました。

明日は満月。
そして今年の十三夜は10/23です。

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by yumimi61 | 2007-09-26 21:05 | photo