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The Body  *6

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秘密というものは語り手が不足しているからではなく

聞きとれる耳が不足しているからこそ 

ひめやかに埋もれたままでいるのだ

(小説スタンド・バイ・ミーより抜粋)






(前五回のエントリの続きです)

夏がそろそろ終わろうとしていた。

長い夏休みは遠の昔に返上してしまった大人にとって、夏は(あぁ終わってしまう)ではなくて
(やっと終わった)という感じのほうが強いだろう。
それでも、どこかに、あの子供時代特有の夏の匂いを感じ、少しだけ感傷的になって
ベン・E・キングの歌うスタンドバイミーが頭の中を流れてきたりもする。


ひと夏は彼らをどのように成長させたのだろうか。


「これからがホントの夏休みって感じするよね」
「えっ!?」
「宿題も終わったし、あとは遊ぶだけ~~」
「はい???」

(あとは遊ぶだけって・・。ずっと遊んでて宿題ぎりぎりまで終わらなかったんじゃない・・。)

「だからさぁ、ねぇどっか行くぅ?」
「行くよ。トイレぐらいはね」 

(あまりにくだらなすぎたのか、子供にも軽く無視される・・)

「ねぇどっか行こ」
「そうだねー。じゃあ行こうかぁ。スーパーにお買い物」
「そういうことじゃなくってぇ~。海とか、山とか、遊園地とか、そういうことでしょ、ふつう」

(「みんな」の次は「ふつう」ときたか・・)

「よしっわかった。すごく涼しいところに連れてってあげる」
「やったぁ~~どこどこ?北海道とか?」

子供はそんな急には成長しないのである・・。


ということで、夏休みの終わり、私は子供を連れて北海道へ行ってきた。
もとい。
ということで、夏休みの終わり、私は子供を連れてとある鍾乳洞へ行ってきた。(もちろん沖縄でもない)


その鍾乳洞は私が子供の頃に親に2,3度連れて行ってもらったことのある場所で、私はその記憶を鮮明に残している。
行かなかったのではなく、行ったにもかかわらずである。
行ったにもかかわらず、見たにもかかわらず、そこには目には見えないものが沢山あったのだ。
別に公言する機会がなかったので言わなかったが、私はずっと鍾乳洞が好きだった。


10年以上ぶりに訪れた鍾乳洞は変わらずそこにあった。
逃げ水が見えるほど暑い日ではあったが、中に入った途端に冷風が吹き上げてきて
その風はまさしく別世界への入り口を思わせる。
けれど、時間が環境を変えたのか、時間が私を変えたのか、時間が思い出を塗り替えていたのか、中に進めば進むほど、
あの頃ほど高揚できない自分に気付く。
事前にさんざんその凄さを熱く息子達に語っていた私は何だか申し訳なく思い
「なんかさぁ、そんなには凄くなかったね」と言ってみた。
「えっ?そうかな、すごいよ~~」
前をずんずんと行く息子達と私には確かに温度差があった。
それは、鍾乳洞の中の道がこんなに整えられてしまう以前を私が知っているせいだろうか。
それは、私があらゆるものを見すぎた大人になってしまったということなんだろうか。
それとも‥。


子供もやがて大人になるのだ。




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***次が最後です***



by yumimi61 | 2008-02-15 16:00 | *戦争と子供