by and by yumimi61.exblog.jp

やがてそこに。


by yumimi61
プロフィールを見る
画像一覧

2018年 05月 03日 ( 1 )

山と気温

よく言われる致死量とは条件が揃った状態での致死量であり、条件が整わなければ致死量には至らない。
↑これは先月化学兵器のことについて書いたこと。

同じようなことが山でも言える。

・標高(高度)が100m上がるにつれて気温は0.6℃下がる。

これがよく周知されているが、それに頼って安心すると失敗することになる。
上記の数字で計算すれば、1000mで6℃、2000mで12℃、3000mで18℃。3776mの富士山では22.62℃下がることになる。

日本の標高(高度)は東京湾の平均海面を基準としている。海抜。
標高が幾つの山に登っても、海岸沿いから登山を始める人は滅多にいないだろう。
現代では山の麓から登っていく人も少ないと思われる。
登山道入り口など山の途中から登山を始める人が多いはずだ。

例えば富士山。幾つかの登山ルートがある。その入り口までは道路がよく整備されており、ほとんどの人が自動車で行く。
その入り口が五合目で、ルートによって標高は違うが、一番低くて1440m、高くて2380m。
ちなみに合目は麓を0合目としている。自動車の道路が整備される前は登山道は麓から始まるのが当たり前だったのだから。
山梨県の富士吉田市を麓とする吉田ルートがあるが、富士吉田市の標高が750mほどなので、麓スタートでは3000mほど登らなければならない。吉田ルート5合目は2305mなので、自動車でここまで行けば、徒歩で登るのは1471m。

標高0m付近の海辺と麓である山梨県富士吉田市では当然気温も違う。
海岸側は静岡県富士市になるが、富士市の8月の平均気温は26℃、8月の平均低温は23.3℃、平均高温は30.7℃。
山梨県富士吉田市の8月の平均気温は20℃、8月の平均低温は16.5℃で、平均高温が25.5℃。
平均で6℃、平均高温は5℃、平均低温は7℃違ってくる。(海岸側の静岡県富士市のほうが高い)
100mで0.6℃上昇で計算すれば、標高750m地点では4.5℃低下するはずなので、5~7℃という数値は大きく違うわけではない。

ではその気温はどこで計っているかと言えば、気象庁の観測所。
全国の観測条件をなるべく一定にするため、温度計は地上1.5mの高さに設置されており、「日当たりや風通しの良い場所」「人工熱源からは充分に離す」「 温度計の周囲は30平方メートル以上の芝生を敷く」などといった設置基準が設けられている。
(比較をするには条件を揃える必要があるのは当然だが、生活の中で芝生の上ばかり歩いている人はそう多くないと思われるので、芝生ルールは微妙な感じもしなくもないが。比較狂騒競争が目的なのか注意喚起などが目的なのか、単なる研究材料なのかはっきりさせないと設置場所にも問題が出てくる)
ともかく同じ市でもあっても条件が変われば温度は結構違ってくる。


標高(高度)が100m上がるにつれて気温は0.6℃下がると知った人は、いったいどこの気温を基準に計算するんだろうか?
海抜0地点の気温、麓の気温、都心の気温、今の部屋の気温、車内の気温、富士山五合目の気温、、、このようにどこを基準に計算するかによっても計算の答えは違ってくる。

・静岡県富士市の8月平均気温26℃から富士山標高分の低下23℃を引けば3℃である。頂上付近は真夏でも3℃と考えることになる。

・山梨県富士吉田市の8月平均気温は20℃から23℃引けば-3℃(氷点下3℃)である。頂上付近は真夏でも-3℃と考えることになる。
でも山梨県富士吉田市はすでに標高750mあって、海岸近くよりも気温は下がっているため海抜0mからの計算の23℃を引くことはおかしい。
残り3000mとして計算すれば18℃引く計算になる。8月平均気温20℃から18℃引けば2℃である。

・都心は海抜が高くないので、富士山標高3770mをそのまま使って計算したとする。都心の気温が30℃として23℃引けば7℃となる。

平均気温はあくまでも平均であって、実際には当然もっと低い気温になることがある。
しかも観測地点は日当たりの良い場所や芝生の上を選んでいるという。
山も町も日当たりの良い場所や芝生ばかりではないのだから、その温度が出るとは限らない。
計算上であっても、静岡県富士市の8月平均気温26℃から計算すれば富士山頂は3℃であるが、20℃で計算すれば-3℃(氷点下3℃)である。


・標高(高度)が100m上がるにつれて気温は0.6℃下がる。←これ自体も結構大ざっぱな定義である。

厳密に言うと・・・。
・水蒸気の含まれない空気の塊が100m上昇すると気温が1℃下がる。
・水蒸気が飽和している空気の塊が100m上昇すると気温は0.5℃下がる。←飽和水蒸気量を超えれば液化(凝結・凝集)する。その時に凝結熱(気化熱の反対)が発生するので下がり方が弱くなる。
・空気の塊の熱交換(伝導や対流)は考慮していない。
地表と接する空気が温度をやり取りするのは熱交換である。異なる温度の気体や液体と温度をやり取りするのも熱交換である。気温はこの影響をかなり受けているが、それを加味したものではない。


空気が高度を上昇下降するときの温度変化のみを表すのが断熱減率。

断熱減率(adiabatic lapse rate)
空気塊が周囲の空気と熱交換をせず(断熱),大気中を上昇するとき,空気塊の温度が高度によって下降する割合。空気塊が上昇するときは,上空ほど気圧が低くなるため断熱膨張が生じて温度が下がるが,逆に空気塊が下降するときは,断熱圧縮が生じて温度が上がる。空気が水蒸気を含んでいないときは,高度差 100mごとに 1℃の気温差が生じる。この割合を乾燥断熱減率という。水蒸気で飽和した空気塊が上昇するときは,たえず水蒸気が凝結し,その際に凝結熱(0℃で水蒸気 1gあたり 2.5×106J/kg)が発生するため気温減率は乾燥断熱減率より小さくなる。これを湿潤断熱減率(→湿潤断熱変化)という。その大きさは気温によって変化するが,日本付近では,高度差 100mあたり 0.5℃程度である。


飽和水蒸気量に達して雨が降る。高度上昇による気温の下がり方は減るが、人間がその雨に打たれて濡れれば、気温より体温の高い人間は気化熱を奪われて冷えることになる。
風があれば水分の蒸発が急速に進むので急速に冷える。


風にまつわることで言えば、「風が体感気温を下げる」という話もよく聞く。
「体感気温」という言葉をどういう意味合いで用いているのかよく分からないが、私は「寒いと感じるだけで実際の気温はそれほど下がっていない」という意味合いで聞こえてくる。言い換えると「気温以上に寒く感じます」ということ。
次のようなことが言われることもあるので、私の受け取り方はたぶん合っているだろう。
(体感温度)
 気温が0度以上の場合、風速1mあたり1℃低下
 気温が氷点下の場合、風速1mあたり2℃低下

東京都心の本日18時の気温22.7℃、風速9.3m/s。
上記の数字で計算すれば体感温度が約9℃下がることになるので13.7℃。
13.7℃いうのは東京都心の4月の平均気温ほどなので、まあそんなものかという気がしてくるが、実際に今日の風を体感したわけでもなく、4月頃の気温と言っても実際にはいまひとつピンとこない。今年の春は例年より気温高いし、でも雪が降るような寒い年もあるし、今年の春は暑いと言っても私はまだ半袖で過ごしたことないし、まだこたつも使う時がある。5月3日に4月を振り返ってもほんの4~5日前の事で暖かいイメージしかないかもしれない。個人差とか人の記憶の曖昧さとか個々の体感の違いは、おそろしいほど共感を阻み、一方ではおそろしいほど共通化してしまう。


風は大気を大きく動かすものなので、実際に冷たい空気を運んでいる場合がある(逆で暖かい空気を運ぶこともあるけれども)。
だから体感だけでなく実際に気温が急に下がっている場合もあるはずなのだ。
それに風は水分を蒸発させる作用がある。
人間は水の塊のようなものだと言われるくらい、水分を蓄えているので、すぐすぐ干からびることはないけれども、風に当たり続けている状況では水分は幾らかでも蒸発する。
人間の構造と機能は優れていて、ホメオスタシス(恒常性)と体温調節機能を持ち、外気温に左右されることなく体温をほぼ一定に保てる恒温動物であると言われる。
しかし真冬の海に浸かった人間が同じ体温を維持してケロリとしていられるだろうか。無理である。
暑い日に熱中症や脱水症を心配するのは何故だろうか。暑さに晒されるだけで命を落とす人がいる。
何事も限界がある。体温ということで言えば、人間の許容できる変化はわりと小さい。
永遠の恒常性ではないし、外気温に全く左右されない恒温動物でもない。
水分も同じである。衣服だとか皮脂だとかで守られてはいるが水分蒸発は実際に起こりうること。水分が蒸発すれば気化熱を奪われる。
水の中でなくとも低温に長時間いること、風に吹かれ続けることは、体感だけではなく実際に体温が少し低下している可能性があるのだ。
また低い温度の地面や物と接触しているとそこからも体温が奪われることになる。
低温で風が吹きつける山で装備不足だったり対策が打てなければ横になっても立っていても危険な状態となる。



今度は霜について。
これも「放射冷却」に囚われて十分に説明されていない説明書きが多い。
まず最初に言っておかなければならないのは、「霜が降りる」のと「霜柱が立つ」のは同じ霜でも出来方が違い、別物である。
「霜柱」は地表から地中の水分が凍るが、「霜が降りる」の方は降りるという言葉から察しがつくが大気中の水蒸気が昇華して固体になることを言う。(気体である水蒸気が凝結して液体になるのが霧、昇華して固体になるのが霜)
ここでは「霜が降りる」の霜の話をしたいと思う。

凝結と昇華の違いはあるが、大気中の水蒸気が冷やされることによって変化するという点においては、霧も霜も同じである。霧の凝結核と同じように凍る時には氷結核が必要なことも同じ。
凝結(液化)も昇華(固体化)も関係するのは露点である。
飽和水蒸気量を超え、且つ微粒子(核)が存在すれば、水蒸気をその姿を変える。
その時に(要するに露点が)氷点下だと霜が降りる。


ではなぜ霜はよく見るのに、大気中で水蒸気が凍っているダイヤモンドダストを見ることが出来ないのだろうと思うかもしれない。
ダイヤモンドダストは氷点下10℃を下回るような寒冷地でないと見ることが出来ない。

凝結核でも氷結核でも、それが水蒸気を引き寄せる時にはエネルギーが必要である。
空気が暖かい時にはその中にある物質の動きは激しい。
でも下がってくればそれだけ動きは鈍る。
要するに運動エネルギーが余ってくる。そのエネルギーを引きつける力に変えることができるわけである。
温度が急激に変わるほど一時に余るエネルギーは大きくなるので、姿を変えるきっかけとなりやすい。
徐々に温度が変わっていくような場合には、引きつけるエネルギーが不足して姿を変えるまでに至らない。
また微粒子不足の清浄な環境の時にもきっかけがない。
水は0℃以下になったら氷になるが、条件によっては−10℃以下でも凍らない場合がある。これを過冷却という。

熱伝導性は、気体<液体<固体。
だから熱の貯め込みやすさは、固体<液体<気体。

気体が冷える速度は固体よりもゆっくりである。
地表が0℃以下となっても、その上の気体はすぐに同じになるわけではない。
大抵は同じにならないうちに次の太陽が昇ってしまうくらいの速度で熱交換される。
だからダイヤモンドダストはまず見られないけれど、地表の霜を見ることはそれほど難しくない。

また霜と言えば、真っ先に車のガラスを思い浮かべる人も多いであろう。
通常ガラスは熱伝導性が高い(断熱性が低い)。温度が低くなりやすい物である。よって霜が降りやすい場所なのだ。
ガラスは結露しやすい場所でもある。
水蒸気が多く暖かい部屋の空気がガラス表面で冷やされると凝結して水蒸気が液化する。水滴がついて流れたり、曇ったりするのが結露。
車のガラスでも起こる。
雨に濡れて車に乗り込んだのではなくても、人間の存在だけで水蒸気は存在してしまう。社内と屋外の気温の温度差が急に起こった時に結露しやすい。寒い日に暖房入れた時とか、夏の夕立ちなどの後に急に外が冷えた時とかは内側が曇る。エアコンを入れて温度調節&乾燥させれば解消するが。
逆に湿度の高い時にエアコンを効かせ過ぎるとガラスの外側が曇る時もある。

植物の葉も地表と同じように昼間太陽光の電磁波を沢山浴びているので温度が上がる。夜になると太陽が隠れて急速に冷える。地表と同じく表面上が氷点下になれば霜が降りる。
寒さに強い植物以外は霜で葉が死んでしまってダメになる。葉は薄いものだから。
秋遅くまで元気だった植物も霜にあたると一発で枯れてしまうことはよくあること。
だからというか、霜柱は凍てつく冬でも生きている植物にしか影響を与えられない。霜柱が植物に与える問題は根を浮き上がらせてしまうこと。しっかり根付いていない植物や、そのたびに抑え込んだりしなければ、やがて枯れていく。





[PR]
by yumimi61 | 2018-05-03 17:03