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2018年 08月 28日 ( 1 )

Mix

次のYouTube動画は、NHKスペシャル「そして5人は帰らなかった~吾妻連峰・雪山遭難を辿る」
(1994年5月8日放送) 。




吾妻連峰雪山遭難事故
1994年(平成6年)2月13日早朝から翌日にかけて福島・山形両県にまたがる吾妻連峰が猛吹雪に見舞われ、登山者5名が低体温症で死亡した事故。吾妻連峰での山岳遭難事故としては最悪の事故となった。

群馬県の吾妻とは全く違う場所。群馬の吾妻は「あがつま」と読むが、福島・山形の吾妻連峰は「あづま」と読む。

パーティーは30代から60代の男性2人と女性5人。リーダーは登山歴30年で山岳ガイド資格もある新聞社勤務の男性。リーダーは同じルートを以前に二度経験しており、メンバー全てに登山経験があった。三連休を利用して山スキーで福島市の高湯より吾妻連峰を縦走し、山形県米沢市の滑川温泉に到着するルートだった。

この遭難事故は「気象遭難」に分類されるもので、不運による時間のロス、天候判断のミスおよび撤退判断の遅れ・欠如などにより厳しい気象条件下に晒される状態に陥り低体温症を引き起こしたことが主な要因である。さらに霧の平での「道迷い遭難」の要素もあった。

2017年の遭難原因(遭難の様態)で「悪天候」(気象遭難)は0.6%でしかない。
標高が高い所の気温が低いこと、冬山の雪が深いこと、春山に雪が残っていること、それ自体は特別なことではなく、別に「悪天候」というわけではない。
上記の遭難は疑似好天(疑似晴天)に遭遇している。
この疑似好天が誘因となった遭難は上記遭難以外にも、また上記遭難以後もある。大量遭難に繋がりやすい。

疑似好天
悪天候と悪天候の狭間で一時的に晴れ間が広がること。疑似好天とも言う。発生の代表的なケースは、寒冷前線の通過に伴い低気圧と寒気の狭間で晴天になり、その後急速に天候が悪化するというもの。


7人のパーティーで生き残ったは2人。男性と女性が1人ずつ。
男性のリーダーと、女性4人が亡くなった。
動画を見た感じでは、生き残った2人は体力や気力ともに並々ならぬものがあったのではないかと思った。
つまり元々いろんな意味で差があったパーティーだったのではないだろうか。

動画のコメントには厳しいものが並んでいる。
生存者に向かう刃もある。
決して多くはない確率的にはとても低い当事者になったという厳しい現実に麻痺して生きていくか、厳しい現実を背負って生きていくか。
それは多くの登山家に、高いレベルで登山をする者にほど、突きつけられる命題ではないだろうか。

登山に限らず、死ぬことよりも生きていくことのほうが辛いという現実は存在するのかもしれない。


上記の遭難にはもう1つ大きな特徴が挙げられている。
責任を持った仕事で忙しい最中での登山だったこと。
忙しい中での登山だったためで準備がおざなりで、他人任せのところがあった。
貴重な3連休での登山を無駄にしたくなかったという思いもあった。
休み明けには何が何でも出社しなければならないという使命感や呪縛によって焦り無茶をした。
人数が増えれば増えるほど、ベテランやガイドがいるほど、誰かやっているだろう、誰か準備しているだろうという油断や甘えが発生する。
そのくせ会社には自分の代わりがいないと思ってしまう。
それが悪循環を招いた遭難だったらしい。


憧れのトムラウシで… ~検証 夏山遭難8人凍死~(テレメンタリー 2009年放送)
※テレメンタリーはテレビ朝日系列の全国24社が共同で制作するドキュメンタリー番組


トムラウシ山遭難事故
2009年7月16日早朝から夕方にかけて北海道大雪山系トムラウシ山が悪天候に見舞われ、ツアーガイドを含む登山者8名が低体温症で死亡した事故。夏山の山岳遭難事故としては近年まれにみる数の死者を出した惨事となった。

同ツアーは募集型企画旅行形態で国内外の登山ツアーやエコツーリズムを取り扱う旅行代理店アミューズトラベル株式会社(本社:東京都千代田区神田駿河台、観光庁長官登録旅行業第1-1366号)が主催した企画旅行であった。旅程ではトムラウシ山や旭岳などを2泊3日で縦走する予定であり、50~60代の客15人(男性5人、女性10人)とガイド甲(添乗員兼ガイドリーダー)、乙(メインガイド)、丙(サブガイド)の3人が参加していた。ガイドのうち甲、丙の2人は今回のコースは初めてだったという。


ツアーであり人数が多い。参加者の体力や経験などには個人差があるだろうが、それがどの程度のものなのか分からない。団体行動であるがゆえに1人に何かあっただけで全体のロスに繋がってしまう。(このケースの場合、低体温を助長した)
動画では長時間一か所に留まったことが致命的だったと述べている。
夏ではあったが北海道ということで本州の気候とは違ったわけだが、ほとんどの参加者がそれを事前に身をもって知ることはなかった。

どんな形式の登山であろうと、遭難というものは救助依頼が行われるようでないと表には出てこないものだが、会社に雇われたガイドなどが引率する場合には会社という組織が付いていながら「自分の判断ミスが責められる」「失職するかも」「会社に迷惑をかけてしまう」などの理由から何とか事を収めようと却って無理をしてしまいやすいのかもしれない。
要するに組織というものが登山や遭難に対して有効に機能しない。
会社組織が参加者に「安心」を提供するわけだが、会社は利益を上げなければならない組織でもある。
「利益」と「安心安全」が比例しないことは多々ある。

総じて言うと、この遭難事故は「気象遭難」に分類されるものであり、(天候判断のミスおよび撤退判断の遅れ・欠如などにより)厳しい気象条件下に晒される状態に陥り低体温症を引き起こしたことが主な要因。

・アミューズトラベル社のリーダーやガイドによる天候判断のミス
・同リーダーやガイドが早めに引き返す決断をしなかったミス
・リーダーやガイド同士の(にわかづくりのチームで互いにあまり面識がなく、おまけに事前の打ち合わせもしなかった者同士の)現場での連携不足・協議不足
・アミューズトラベル社がリーダーやガイドに対して一応文言上は「現場では安全優先」と言っていたものの実際には経済優先のプレッシャーを感じさせ安全後回しになってしまう環境を放置していたこと
・アミューズトラベル社がガイド役らの選定を適切に行なわなかったこと
・アミューズトラベル社がツアー参加希望者の中から参加者を登山力量に応じて選ぶやり方が甘かったこと(経験不足の登山客をツアーに参加させない判断をしなかったこと)
・ガイドらが現場で(朝に山小屋等から出発する前などに)ツアー客に対して出すべきであった 着用すべき防寒着の種類などについての指示の不足・確認不足
・ツアー客自身の登山に対する自覚不足や遭難対策の不足
・参加者全員の 低体温症に対する無知・認識不足(ツアー客らは全員低体温症を知らず自分がその状態になっても(概念すら知らないので)自覚せず、ガイドらもその詳細を知らず、あっけなくその状態に陥るものだという認識がなかったこと)
等々の要因・原因が重なって起きた事故である。



このガイドは天候を全く考えていなかったわけではない。
テレビ、携帯(ネット)、ラジオで天気予報を見たり聞いたりしている。
だがそれは遭難を防ぐことには繋がらず、結果的に気象遭難してしまう。

7月13日
・天気予報を部屋のテレビで確認、ガイドの一人が14日は大丈夫だが15日、16日は崩れるだろうと予測。

7月14日
・夕食後、スタッフ3人での打ち合わせが行われる。携帯電話の天気サイトで天気予報を確認したところ、明日午後には寒冷前線が通過し天気が悪化することを知り、雷を怖れ出発時間を30分早める決定をする。18時過ぎに就寝。

7月16日(事故当日)
・午前3時半起床。午前5時の出発予定であったが、天候悪化のため雨と風が強く、待機。リーダーは天気の回復具合や出発直後の雪渓の登りを考慮し、出発を30分遅らせる判断をし全員に伝える。 ガイドらはラジオで十勝地方の予報「曇り、昼過ぎから晴れ」と聞き、午後から天候は好転すると見越して出発を決定。
5時半、リーダーが今日はトムラウシ山には登らず、迂回コースをとると伝える。「僕たちの仕事は山に登ることじゃなく、皆さんを無事山から下すことです」と説明。 

因みに、旭岳の別パーティもこのパーティと同じ天気予報を聞いていたが、山の天気が平地より遅れてくるとの経験則から夕方まで荒れると見越して、中止の決断をしたことで遭難しなかった

かつて登山の際はラジオの気象通報を聞いて天気図を書いた。
登山には天気図が書けたり読めたりすることが必須だった。
最近はネットでいつでも情報が取れ、人気の高い登山者の多い山々のネット環境は比較的整っているので、天気図なんて用いているのは高校や大学の山岳部くらいだろうか。それももはや・・という感じなんだろうか。
だけど天気サイトが教えてくれる天気はせいぜいピンポイントな山の麓の天気である。
山の中、山の上の天気は、それと同じではない。
天気図から、あるいは経験から、予測しなければならない。




by yumimi61 | 2018-08-28 12:22