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2019年 02月 25日 ( 1 )

出産後(あるいは妊娠中から)産褥期(産後6~8週)に発症する精神障害を「産褥期精神障害」と呼ぶ。

(1)マタニティ・ブルーズ ・・・正常の範囲内
(2)産後うつ病
(3)産後躁病
(4)双極性障害(躁うつ病)
(5)全般性不安障害
(6)強迫性障害、パニック障害
(7)産褥期精神病 ・・・ disease(疾患・疾病)

上記「産褥期精神障害」の中で一番多いのは、ホルモンバランスの影響が大きいマタニティ・ブルーズを除けば、産後うつ病である。
出産を経験した女性の10%ほどが発症している。
生後1年以内に起こる実母による虐待死は、「産褥期精神障害」が潜んでいる可能性が高いと考えられている。


「精神障害」は身近なもの

「精神障害」は一般的であり、WHOは世界の多くの国々において3人に1人が、OECD諸国では2人に1人が、人生のある時点において精神障害を経験するとしている。

OECD諸国においては、労働年齢のおおよそ20%が軽中程度の精神障害を罹患しており、平均で市民の15%が精神保健問題にて医療機関を受診している。


OECD諸国(Organisation for Economic Co-operation and Development:経済協力開発機構 加盟35国)
(EU)
イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、フィンランド、スウェーデン、オーストリア、デンマーク、スペイン、ポルトガル、ギリシャ、アイルランド、チェコ、ハンガリー、ポーランド、スロヴァキア、エストニア、スロベニア、ラトビア
(EU外)
日本、アメリカ合衆国、カナダ、メキシコ、オーストラリア、ニュージーランド、スイス、ノルウェー、アイスランド、トルコ、韓国、チリ、イスラエル。

精神障害の中では「うつ病」がもっとも身近である。
有病者数は世界で3.5億人ほどで一般的であり、世界の障害調整生命年(DALY)において第3位(4.3%)に位置づけられる。
しかし多くの国にて治療につながっておらず、先進国であろうと適切にうつ病と診断されていない事が多く、その一方ではうつ病と誤診されたために間違った抗うつ薬投与がなされている。
WHOはうつ病の未治療率を56.3%と推定し、mhGAPプログラムにて診療ガイドラインおよびクリニカルパスを公開している。



季節性情動障害(Seasonal Affective Disorder; SAD)

冬季うつ病 (Winter Depression)、季節性うつ病(Seasonal depression)とも言う。
西洋圏や日本では一般に、秋か冬に発症し春になると治る。(夏型では秋には治るが、こちらはタイやインドで一般的である)
うつ病の10~-20%が季節性うつを経験している。

10〜11月頃に始まり、3月頃には自然に治るものの、毎年毎年反復しやすい。20〜40歳の比較的若い女性に起こりやすい。
ヨーロッパなどの高緯度の地域や冬季に発症することが多いことから日照時間が発症の原因となっているという説が有名だが、そのメカニズムは良く分かっていない部分もある(諸説ある)。
日照が原因の1つと考えられているため、うつ病や睡眠障害の治療や対症療法、または予防的に光療法や日光浴が行われたり推奨されている。

母子保健事業に携わる者は、「20〜40歳の比較的若い女性に起こりやすい」というところに注目すべきだと思う。
発症しやすい年齢が出産をする女性の年齢とほぼ重なる。
従って秋から冬に出産した産婦、北国の産婦、日照差のある地域間での転居などは注意が必要である。
(ちなみに私は20代前半頃、どんよりとした日が続く梅雨の季節が憂鬱で、梅雨期がとても長く感じた)


動物や植物は光周性を持つ

光周性
昼の長さ(明期)と夜の長さ(暗期)の変化に応じて生物が示す現象である。北半球では、昼の長さ(日長)は夏至で最長となり、冬至で最短となる。生物は、このような日長変化を感知することで、季節に応じた年周期的な反応を行うと考えられている。

日長の変化が動植物のホルモン生成と分泌に影響して生じると考えられている。

動物・植物を問わず、多くの生物で光周性が認められる。動物では渡りや回遊、生殖腺の発達、休眠、毛変わりなど、植物では花芽の形成、塊根・塊茎の形成、落葉、休眠などが光周性によって支配されている。中でも花芽の形成と光周性の関係については最も研究が進んでおり、有名である。

そろそろ桜の開花時期が話題になる時期であるが、通常より気温が高い年に乱れ咲きが取り上げられることがあり、花の開花は気温が決めていると思いがちであるが、一番大きく影響を与えているのは日長時間の季節変動である。

年周期的に変化する外的要因には、日長のほかに気温があるが、気温は日長に比べて不安定な要因であり、日によってはしばしば一か月前や後の平均気温を示すこともめずらしくない。したがって、気温の変化によって花芽の形成や落葉などの時期が決定されてしまうと、季節はずれの時期に花が咲いたり、葉が落ちたりしてしまうことになりかねない。生物の年周期的な反応は、花芽の形成にしろ生殖腺の発達にしろ、生存上重要なものが多い。

なお、動物の夜行性・昼行性やオジギソウの葉の開閉などの、一日を単位とする周期的反応は日周性と呼ばれ、生物の体内時計による。


体内時計は俗に言う「時差ボケ」に関わっている。
人間の体内の器官は規則正しいリズムで働いており、このリズムが時差により乱されると体調に変化が現れる。
「時差ボケ」は通常、数時間以上の時差がある地域間を飛行機などで短時間で移動した際に起こる、心身の不調状態。
「魔の3週目」の新生児は明暗の変化・違いによって「時差ボケ」のような状態になっていると考えられる。
夜間にも短時間で寝たり起きたり繰り返さなければならず、昼間に仮眠することもある出産直後の母親たちもまた体内時計が乱れてしまいがち。


ダーク・ホルモン(Dark Hormone)

人間を含め動植物の光周性に関与しているのが「メラトニン」というホルモンである。
人間の場合、脳から全身に分泌され、身体をリラックスさせる効果があり、眠りに導くことが出来るため、良い睡眠には必須なホルモンとされる。

「メラトニン」は昼間はほとんど分泌されず、日が暮れて暗くなると盛んに分泌されるようになる。つまり身体中に「暗さ」を伝達する役割を持っている。そのためダーク・ホルモンと呼ばれることもある。
昼と夜の時間が季節によって変われば当然「メラトニン」の分泌時間も変わる。動植物は「メラトニン」の長短によって季節を知る。


メラトニンの前のセロトニン

「メラトニン」の材料となるのが「セロトニン」というホルモン。
従って「メロトニン」が夜にたくさん分泌されるためには、「セロトニン」が日中にしっかりと分泌される必要がある。
この2つのホルモンの循環が大切である。
睡眠や生体リズムの他にも、気分そのもの、ストレス、食欲、体温調節などにも関わっている。

昼間のセロトニン ⇒ 夜間のメラトニン

昼間が明るく夜間が暗いならば、昼間や夜間をそのままの意味で受け取ってもらって構わないが、人間の環境はそうでないことも多い。
光周性は単に昼間であり夜間であれば良いとよいということではなく、光の明暗が関与している。
「メラトニン」は暗い環境でより多く分泌され、「セロトニン」は明るい環境でより多く分泌される。
目から入った光が脳の深部にある松果体という部位に作用して、ホルモン分泌に影響を与える。
夜間に目から光が入れば「メラトニン」分泌は減るし、昼間に光が入らなければ「セロトニン」が分泌が減る。
また携帯電話などから発せられる電磁波は「メラトニン」を分解してしまうとも言われている。

昼間のセロトニン⇒(15時間)⇒夜間のメラトニン

「セロトニン」が「メラトニン」に変わるには15時間必要だと考えられている。
例えば、22時の15時間前は7時、24時の15時間前は9時である。
すなわち朝に日差しや光(明るさ)を浴びないと就寝時間に合わせて十分な「メラトニン」が分泌されなくなってしまう。
12時ごろに1日の最初の光を浴びたということになれば、「メラトニン」が分泌しだすのが深夜3時頃になり、その時間くらいまで寝付けないという状態になりやすい。また次の日は朝早くに起きなければならないとしても、その時間にはまだまだ「メラトニン」が盛んで起きにくいということになってしまう。

さらに言うと、「セロトニン」「メラトニン」というホルモンを作るためには栄養成分も必要である。
 ・炭水化物
 ・トリプトファン(タンパク質に多く含まれる)
 ・ビタミンB6


一説によると

上でも少々触れたが人間が生活している環境は、照明やカーテンや住居などにより、明るさが自在にコントロールできるため日長時間の季節変動を感じにくく、すでに日長時間を感知する力が退化しつつあるのではないかとも言われている。
日長時間を感知する力とは、動植物のように「メラトニン」の長短によって自然に季節を知る力、すなわち季節感知力ということになるが、動植物の生存上重要なものとされているこの能力を現代人はもはや失っていると言うのである。
動植物のように季節による「メラトニン」の長短(季節による分泌差異)がなくなっていること。

ところがなんと冬季うつ病になる人はこの力がまだ残っているらしい。
冬季うつ病は、妊娠出産年齢とも重なる「20〜40歳の比較的若い女性に起こりやすい」ということと考え合わせると、ちょっと奥深い感じがある。


日の出と日照と冬季うつ

冬季うつ病の人は季節による「メラトニン」の長短(季節による分泌差異)がまだ残っているとするならば、そうでない人と、どこで差が出るかというと、冬季うつ病の人はどうも夏の朝の日照を感じやすいようなのだ。
夜に分泌される「メラトニン」の分泌量を、冬季うつ病と健常者、夏と冬、で比べると分泌開始8時間後から差が出る。
8時間後から冬季うつ病の人の夏の分泌量が少なくなる、ということは冬季うつ病の人のほうが夏は早くに日照を感じ始めるということになる。
普通の人は夏も冬も「メラトニン」の分泌に差がないけれど、冬季うつ病の人は夏と冬に差がある。その差は「メラトニン」の分泌開始から9~10時間後に顕著となる。
冬季うつ病の人は体内に夏時間と冬時間を持っているということである。


下の●は、朝日を浴びた時間によって差が顕著になる時間が変わるので、その時間を追ったもの。

●6時に朝日を浴びる⇒(15時間後)⇒21時にメラトニン分泌開始⇒6~7時に夏と冬のメラトニン分泌の差が顕著になる(夏のほうが少ない)

●8時に朝日を浴びる⇒(15時間後)⇒23時にメラトニン分泌開始⇒8~9時に夏と冬のメラトニン分泌の差が顕著になる(夏のほうが少ない)

ヨーロッパには夏時間と冬時間があり、夏時間を1時間早め、冬時間で元に戻すけれど、うつ病対策的には冬時間を1時間遅らせたほうが良いような気がする。
ヨーロッパの冬は日の出が8時過ぎ9時過ぎなので、6時でも8時でも朝日を浴びることはもとより不可能である。(日本の冬の日の出は6時代後半で7時に近い。6時に朝日を浴びることは難しい)
従ってヨーロッパでも日本でも冬季の午前中はエンジンがからず体調不良に繋がりそう。冬季うつの人はその典型と言える。


ではこの場合の「日照」とはどれくらいのレベルの日差しなのかと言うと、直射日光で物の影ができる程度。
影が出来ないような日照は「日照時間」にはカウントされない。
(ちなみに日長時間とは日の出から日没までの時間のことで、天気が悪くて人間の目に太陽が見えなくても日長時間が左右されることはない)
だから1日の日長時間よりも日照時間のほうが少し少ないのが普通。
夏は朝から影が出来るような強い日差しが降り注ぐ日が多いが、北国の冬ではそうもいかないであろう。
単に日長(日の出日の入り)だけでなく、十分な明るさを提供する日照も重要である。






by yumimi61 | 2019-02-25 13:13 | 日光浴について