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2019年 08月 06日 ( 1 )

コンポジ

昨日載せた『涙はロンド』の目次の最後に、「さし絵 大木隆明」と書いてあったのにお気づきでしょうか。
あの絵は大木先生が描いたものだったんですね。
ほんとは絵が好きだったりして?(笑)

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これは第二部「すべてに王道なし」と第四部「生徒からの手紙」の挿絵です。


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これは第四部「生徒からの手紙」の終わりで、あとがきの前。
涙なんか知らない、いつでも微笑みを、そんな君が好きだと、あなたはささやく~♪


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これは第一部「涙はロンド」と第三部「第十五回定期演奏会の原稿から」の挿絵。


吹奏楽部の甲子園「普門館」

 右往左往 全国大会初金賞
 イヤーな予感がした。東京上野の本郷大通りからちょっと奥に入った旅館の前に降り立った時、玄関の看板に「合唱部様」と書いてあるではないか。
 おれ達吹奏楽部だぞ。電話で予約した時「練習場はありますか」と聞いたら「はいはい、ありますよ。大きな部屋がありますから、安心していらして下さい」と調子のよい返事だったので大船に乗ったつもりで来たのに、案内された部屋は、生徒が十五名ほどで一杯になってしまうくらいのものであった。
 宿の主人に聞くと、すっかり合唱部だと思っていたと割と平然と言う。早速の近くの学校を借用に出掛ける。しかし、近所に音が迷惑だからと貸してくれない。途方に暮れた。全国大会を明日に控えて練習するところがないなんて何たること。宿の主人の悪知恵で、近くの東京大学の構内に入らせてもらうことにする。
 大きな大学で、入り口があちこちにあり、三三五五生徒達は楽器を抱えて構内に入って行った。ところが、まだ一人も音を出さないうちに、守衛にとがめられ「他人のうちに無断で入るとは何事ぞ、不法侵入で訴える」と脅かされ、すごすご引き揚げてくるではないか。
 これでこの計画も簡単につぶれた。
 さて、次の作戦会議で、今度はちょっと遠いが、不忍の池の周りはどうかということになった。ぞろぞろ旅館に戻ってきた生徒達を、素早くそちらへ行くよう指示する。ついでに「お巡りさんが来たら、吹かないで池の魚でも見ているふりをするように」なんてくだらない注意を与えて、それでも、生徒は誰一人不平を言わない。真剣である。
 一時間ほど経って、不忍の池へ行ってみると、パート別にロングトーン、音階練習、ハーモニーの練習などをきちんとやっている。
 近くの道路を自動車がいっぱい走っているため、その騒音で生徒達の音がかき消され、思ったよりうるさくない。見渡すと、お巡りさんも木陰に自転車を止めて、彼らの練習を眺めている。
 整然とした彼らの練習風景を対岸から見ていると、環境の悪いことなど全く気にしていないようで、私の生徒でありながら頼もしさを感じた。
 さて、翌日の練習のことで考え込んでしまった。やはりコンクールの当日であるから全員で合奏くらいしなければならない。
 夕食後、厚い電話帳をめくって、やっと上野公園管理事務所というところを探し当てた。「公園の中でも道路のような、人が通行するところでなければいいですよ。広いんだからどうぞやって下さい。」という快い返事に一安心。
 早起きし、上野公園裏の線路脇の広場で全員音出しを始めた。
 こう書くと簡単だが、六トン車一杯の楽器、それも布団に二重、三重にくるんであるあの楽器の出し入れは実に大変なのである。
 ところが、ものの五分としないうちに、すぐ前の寺の住職が血相を変えて来て「あんたが責任者か。こんなところで朝早くから音を出されては困る。朝の読経が全然聞こえない。すぐ引き揚げてくれ」とひどく叱られてしまった。
 仕方なく今度は、科学博物館の前の森の中に移動。もう、やけくそである。関係者が来ないうちに早くやっちゃおうと基礎練習もすべて省略して、すぐに課題曲と自由曲を吹き始める。
 東京というところは面白いところで、この早い時間にもう我々の練習を見学に来ている人がいる。なぜか写真を撮る人もいる。私の足もとに座り込んで、下から私の顔を見ている人もいる。いつのまにか大勢の人が我々の演奏を囲んでいる。いくら日曜日とはいえ、まだ朝の六時半である。それも十月の寒い朝である。やっている曲といえば、この場所に全くふさわしくない「能面」である。かれこれ三十分くらい練習できたろうか。やはり来た。おっちゃんが自転車で。「あんたは誰に断ってここで演奏しているのか。何?管理事務所に?私は連絡を受けていない。すぐにやめなさい」
 こんな具合で、ついには大切な全国コンクール前の貴重な時間は無情にもつぶされてしまった。
 ところが皮肉なことに、こんな状態で出場した全国大会であるが、なんと初金賞を受賞してしまったのである。わからないものだ。
 いや、わかったのかな。コンクール直前の練習は、あまり関係ないってことが。


全日本吹奏楽コンクールは、中学・高校・大学・職場(一般)の4部門がある。
地区予選があるので(ない地域もあるらしい)、勝ち上がらないと全国大会には出場できない。
大木先生は高校の吹奏楽部を率いていたわけだから、当然に高校の部に出場していた。
上の記述にある初金賞を受賞したのは1978年のこと。
この時の会場は東京都杉並区にあった「普門館」だった。

普門館というのは立正佼成会という宗教団体が所有しているホールである。収容人数は5000人弱。
1967年9月に着工し、約2年8ヶ月の工期を経て1970年4月28日に落成した。こけら落としは日本フィルハーモニー交響楽団による特別公演。東京佼成ウインドオーケストラの本拠地でもあった。
1977年に指揮者のヘルベルト・フォン・カラヤンがベルリン・フィルハーモニー管弦楽団を率い、同館で来日公演を行った。しかしホールがあまりに巨大で、コンサート専用のホールとして設計されたホールでないため響きが悪く、聴衆の失望を招き、1979年の再来日時にはカラヤンが反響板を新たに作るよう要求した。
立正佼成会所有ホールではあるが、「文化、学術、芸術活動の普及と発展に貢献する」という佼成会方針の下、同会の活動拠点としてのみならず音楽コンサートで多くの人々に幅広く利用されていた。


中学と高校の部の会場が普門館に固定されたのは、実は1977年のことである。
それまでは開催場所は各地域を巡っていた。
だから1978年にはまだ東京開催コンクールの出場にそれほど慣れていなかったというわけである。
各地域の会場キャパシティは普門館の半分にも満たない所が多かった。
生徒が出場するとなれば、保護者や学校関係者、OBや友人などが集まる。大学や一般よりも集客力がある。
そこで生徒部門はキャパの大きい普門館に固定したわけだが、それが影響して回を重ねていくちに普門館が吹奏楽部の甲子園と言われるようになった。

部活動における吹奏楽への知名度が高まり、従来から高校入試にあった吹奏楽推薦のほか、普通科吹奏楽コースを設置する高校が増え、音楽活動としての芸術よりもコンクール中心の競争が優先される場合が多い。

普門館開催の最後は2011年。
東日本大震災をきっかけに耐震性に問題があることが分かったからだ。
そして会場は名古屋国際会議場センチュリーホールに移った。


誰かの熱狂は誰かの騒音、誰かの生真面目さは誰かの迷惑

「右往左往 全国大会初金賞」にも書いてあることから分かるように、誰かにとってはどんな素晴らしい音楽・演奏であっても、誰かにとっては騒音でしかないということも多々ある。

「右往左往 全国大会初金賞」は現地での大会直前の練習についての話だが、こんな例もある。

全日本吹奏楽コンクール全国大会では毎年熱心な聴衆で埋め尽くされる。ただ、一部の過度に熱狂的な聴衆のマナーはしばしば問題にされる(顕著な例としては、演奏が終わるか終わらないかのところで残響を無視して奇声をあげる者が毎年いる事があげられる)。

奇声とは何か言うと、「ブラボ~~~~!」というあれである。
知らない人が聞けば、いきなり何を叫んでいるのかと驚くこと必至。
それがフライング気味に起こるからなお性質が悪いということになる。
全ての演奏が終えた後の、張り詰めた緊張が未だ残るような一瞬の静寂を愛する者にとっては、甚だ迷惑なものとなる。
掛け声や拍手が大きければ大きいほど良い演奏だったと審査員が思い込むに違いないと気合を入れてわざとやっているのではないかと勘繰りたくなる時もあるだろう。


全国津々浦々

第三部「第十五回定期演奏会の原稿から」より
 翌五十年(1975年)の全国大会は札幌でした。父兄の方々、学校のご尽力により往きは飛行機で行くことが出来ました。初めて乗る飛行機に心躍らせました。演奏はベストを尽くしたにもかかわらず、結果は無残にも銅賞でした。
 泣きじゃくる私達に札幌郊外でジンギスカン料理を御馳走してくださった藤生校長先生は「全国大会で負けて泣くようになったか。以前は参加するだけで満足していたのに」と逆に「きっと近いうちに全国一になるだろう」と言って慰めてくれました。
※この札幌大会の後に、先に書いた大きな危機(部員同士で数組のペアが出来る♡)があり、私が当時衝撃を受けた恋愛禁止と相成るわけである。

1975年の札幌大会は初金賞の3年前。
群馬県は日本の真ん中くらいに位置するけれど、それでも日本列島の北端である北海道は遠い。
でもそう考えると、もっと西にある学校にとっては、もっと遠い。
さらに考えれば、この年はたまたま北海道だったけれど、北海道や沖縄や九州の学校では、大体の場合、遠くに出向かざるを得ない。
それはすなわち費用もかかるということである。

生徒が「父兄の方々、学校のご尽力により」と述べているが、多くの場合、その費用はOBや後援会などの寄付で賄われるのではないだろうか。
吹奏楽部は人も然ることながら楽器を遠方まで運ぶだけで一仕事である。
公立の学校では予算的にそんなに余裕はないはずだし、急に大きい出費というのもなかなか難しいだろうと思う。

吹奏楽の楽器が高いという話が最初の頃に出てきたが、それだけでなくどこかに所属して活動するということは、それ以外の費用もかかる。例えば合宿や大会参加費用など。

またまたサッカーの話になるが、少年サッカーにも費用のあまりかからないスポーツ少年団タイプと費用がかなりかかるクラブチームがある。
中学生になっても費用のあまりかからない部活動と費用がかなりかかるクラブチームがある。高校生でも同じである。
クラブチームは月々の月謝も高いし、合宿などもあるので費用が結構かかる。海外に合宿や遠征に行くクラブチームもある。ユニフォームのみならずトレーニングウェアやバッグもクラブのものを購入しなければならなかったりする。
そうなるとそこまでの費用は出せないという家庭も出てくる。
部活動では基本的にはそこまではかからない(はず)。
でも全国大会に出るとなれば、やっぱり費用がかかる。

近年では個人で旅行など行く機会も多く、修学旅行すらバリエーションが出来たけれど、それでも初めての新幹線、初めての飛行機という生徒は少なくないし、そもそも修学旅行費用の積立をしていたりする(一括払いもできるけれども)。
どこの家庭でも、いつでも好きな時に、まとまったお金が出せるわけではない。
その意味からすると、部活に所属していても、肩身の狭い思いをする生徒もいるだろうし、寄付が集まらない学校ならば全国大会には出ない、出場しない方が良いということにもなりかねない。

それでも開催地が全国で持ち回りならば、「今年度は近い所で開催される」ということもあるだろう。
それを東京とか、どこか一つに固定してしまうと、北海道や沖縄は毎度毎度開催地が遠い場所ということになる。


下記青字は開催地を変える大学と一般の部の説明。
近年では、東京文化会館・大阪府立国際会議場・アクトシティ浜松・宇都宮市文化会館など同一の会場で複数回開催される例もある一方で、Kitara・ミューズ・りゅーとぴあ・びわ湖ホールなど音響に優れた音楽専用のホールを会場として開催される例もある。

中学・高校の部とは違い、コンサートホール・反響板を備えている多目的ホールで開催されることが多いものの、大阪府立国際会議場・仙台サンプラザなど響かないホール・横に長いホール・配置が重要なホールで開催されることもある。

毎年会場を変えているため、会場の特性を把握出来ないまま本番に臨む団体がほとんどである。この場合、必然的にホールを知っている地元支部の団体が有利となる。
持ち回り開催のため、このような問題がある。


持ち回りのためにホールを知っている地元支部が有利になることを問題としているが、持ち回りなんだから別にそれでいいのでは?という考え方も出来る。
国体でもオリンピックでも開催した所が強いのは当たり前に捉えられている。それとも「威信をかけて」とか開催地区の賞レース熱が過熱するから問題ということでしょうか。



本物の音を知らない!?

音響に優れた音楽専用ホールとか反響板とかいった話が出てきたが、同じ人達が演奏しても、環境(場所)によって聴こえ方が違うということである。
音楽にしてもテレビにしても、最近では写真や動画などもそうだけれど、様々な機材を使って調整し、さらに編集加工をして作品を作り出す。
要するに’ありのまま’ではない。
それが良いか悪いかは別にして、何もしない音がいつでもどこでも心地よいわけではないという一つの証明になる。

『涙はロンド』には、練習場所を借りるため学校に掛け合ったが、近所に音が迷惑だからと断られたと書いてある。
最近起きた元官僚が息子を殺してしまったという事件も学校の音がきっかけとなっている。
すなわち今も昔も、狭い所に住宅その他がひしめく都市部の学校ほど、思い切り練習が出来ないということである。
もちろんエアコン完備で窓を閉め切っても大丈夫とか、防音装置が入っているという学校もあるだろうけれど、ここでもやっぱり費用のかけられない学校ほど練習が出来ないということになる。(例え楽器を揃えたとしても!)

「同じ高校生だから」「同じ中学生だから」ということで一概に比較することは決して出来ない難しさがある。
この点からも競争重視の芸術やスポーツは考えものなのだ。





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by yumimi61 | 2019-08-06 15:45