人気ブログランキング |

by and by yumimi61.exblog.jp

2019年 08月 13日 ( 1 )

コンパネ

巨大すぎた普門館

1977年~2011年まで全日本吹奏楽コンクールの中・高校生部門が行われていた普門館(東京都杉並区にあった立正佼成会所有のホール)。
このホールが吹奏楽の甲子園とも言われていた。
下の文は前にも転載したが、この「普門館」の記述に反響板が出てきた。

1977年に指揮者のヘルベルト・フォン・カラヤンがベルリン・フィルハーモニー管弦楽団を率い、同館で来日公演を行った。しかしホールがあまりに巨大で、コンサート専用のホールとして設計されたホールでないため響きが悪く、聴衆の失望を招き、1979年の再来日時にはカラヤンが反響板を新たに作るよう要求した

カラヤン(1908-1989年)はオーストリア出身の世界的指揮者であり、ソニーともご縁があった方である。
カラヤンという人は音響に非常に煩く厳しく、音響の悪いホールではレコーディングをしなかったそうである。
1955年から亡くなるまでベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の指揮者であり芸術監督であったが、その本拠地のコンサートホールがベルリン・フィルハーモニー。
1963年竣工。世界で最初のヴィンヤード型(※後述)で収容人数は2440席、当時としては大きなホールであった。
カラヤンは設計の段階から携わっていたそうであるが、それでも実際に演奏してみると音響が悪く、レコーディングの際にはそのホールを使わないことが10年ほど続いたそうである。反響板を追加したり、ステージの高さを変えたりして、やっと納得できる音響になったという。

普門館の収容人数は5000席弱だったが、これは音楽ホールとして考えた場合にはかなり巨大なホールである。
しかしながら普門館は音楽専用ホールではなく多目的ホールだった。
音楽専用ホールでは一般的にせいぜい2000席程度。1000席以下の小さなホールも少なくない。そんなに大きな建物(収容人数)にはしないのが一般的。2440席のベルリン・フィルハーモニーだって苦労したのだ。

音楽専用ホールの場合、まずホールの形状や構造や建材などといった建造物自体に検討が加えられている。さらに座席の材質やクッションによって吸音性が変わるので、拘る場合にはそこまで拘る。
そしてステージ上はもちろんのこと、建物自体の壁や天井などが反響板になっていたりする。さらに凹凸を付けて反響音を拡散させるような工夫がなされている。

音楽専用ホールではない多目的ホールの場合、建造物は当然に音楽専門にはなっていない。コンサートホール(音楽演奏)に使用する場合にはステージ上に反響板を設置するホールと、その反響板もないというホールがある。


コンサートホールの形式

e0126350_21503597.jpg


・シューボックス型は、靴の箱のように直方体であるもの。左右、上下の壁面が、基本的には平らで平行となっている。

・ヴィンヤード(アリーナ)型の特徴は、ステージを囲むように座席がある、つまりステージの後ろ側にも座席があるということ。
ヴィンヤードとは、vineyard(ブドウ畑)のことで、ブトウ畑が段々に連なっているのに似ていたからだという。ワインヤードと呼ばれることもある。
但し現在のアリーナ型は必ずしもブトウ畑が段々に連なっているようにはなっていない。
比較的規模(キャパシティ)の大きなホールはこのタイプとなり、音響のためには複雑な設計や工夫が必要だと言われている。

・ステージの後ろ側には座席がないのがメガホン(扇)型。シューボックス型とヴィンヤード(アリーナ)型の中間的なホール。

名称にアリーナと付く「横浜アリーナ」。
多目的ホールであり、収容人数は最大17,000人。 
座席が可動式ありで3パターンの配置が可能。
いわゆるコンサートホールでいうアリーナ型は、一番右のパターンが該当する。
残り2つはメガホン(扇)型である。
e0126350_22220894.jpg
(図)横浜アリーナ座席情報 https://www.yokohama-arena.co.jp/seatguide/


クラシックコンサートは生

クラシックコンサートではPA機器(マイクやスピーカなど)は使わない。
(コンサートを録音する時は演奏中にもマイクを入れている)
兎にも角にも生演奏が最大の特徴である。会場の大小には演奏者の人数調整や音の出し方で対応する。

生演奏・生歌唱とは、もはや、そこに人がいて演奏したり歌ったりしているという意味ではなく、PA機器を使わない演奏や歌唱のことである。

ポップスやロックではPA機器(マイクやアンプやスピーカなど)を使用する。
楽器を使うバンドの場合は、会場の大きさや演奏者の希望により、ボーカルだけ、あるいはギターやベースやキーボード類もPA使用、さらにドラムまで含め全てPA使用などのパターンがある。
近年の大規模会場や野外フェスなどの場合にはPAが多用されている。
従って機材搬入に始まって、設営、会場の音響設計とかなり手間と時間がかかるはずである。演奏中もPAブースにて演奏などをオペレートしていく。
大規模会場や野外だと結局幾つものスピーカーを使う必要が出てきて、さらに音を大きくしてしまうので、騒音問題が付いて回るし、聴力への影響も心配である。

Public Address(パブリック・アドレス)
一般に英語で放送設備を意味する。略してPA(ピーエー)とも呼ばれ、電気的な音響拡声装置の総称である。

語源であるPublic AddressのAddressには「演説」という意味があり、装置が発達するきっかけとなったのはヒトラー(宣伝全国指導者はヨーゼフ・ゲッベルス)がプロパガンダを行う際に拡声装置を重要視したことである。

以降、デパート、学校など施設内のアナウンスに用いられたり、閉鎖空間でのスピーチの補助から、野外での数十万人の観衆に対する音楽イベントの拡声まで幅広く普及しており、その目的はいずれも大人数に音声情報を伝達するものである。 最近では一定規模以上かつ多チャンネルを使用するコンサートなどのシステムを指して SR(Sound Reinforcement)とも言うようになっている。

これらは目的に応じて、施設に設置されている固定の設備で運用することもあれば、その都度会場に仮設する設備を搬入設置して運用する場合もある。音楽や大規模イベント等の商業的な発展に伴い、一度の興行でより多人数を収容する会場で演奏するニーズの高まりとともに対応する機材の開発と運用技術が進化し、各種イベントにおける重要性が高まっている。


オリンピックもPAもヒトラーの産物なのだった。

音の響き

音の響きが優れているのは、シューボックス型である。
それも大きくなく、比較的コンパクトな方がよい。
何故なら音が反射しやすいからである。
e0126350_23261078.jpg
楽器から出るのが直接音、その音がステージ上(上下・左右)の反射板に跳ね返り(反射音)、それらの音は客席に出ていく。
さらに客席でも、左右の壁、天井や床で音が跳ね返る(残響音)。平行面では音が行ったり来たりしやすく、何往復もする。そして非常に厚みのあるふくよかな音になる。
聴衆は、自然と、直接音・反射音・残響音の合成音を聴いていることになる。

但し反響板ではない普通の壁や天井や床では、音は吸収されたり放散されたりしてしまうので、繰り返しの跳ね返りは弱い。
ステージ上でも左右の舞台袖は開いており、せいぜい幕やパネルで隠されている程度で、音の反射は期待できない。
よって音楽専用ホールではないホール、さらに反射板の設置もない場合には、音響はかなり落ちる。

これがPAを使う演奏なり歌唱ならば、まだなんとか誤魔化しようがあるが、生演奏では影響が大きく、音響の良いホールとそうでないホールの差は歴然となる。

どの形式であっても、ホールが大きい場合には、音の跳ね返りの距離が長くなるので、結局上手く跳ね返らない。
さらに観客(衣類とかいろいろ)が音を吸収してしまうので、観客が多いほど跳ね返りが弱くなる。
よって音響を重視するならば、あまり大きくしない方が良い。

それから人間の耳に真っ直ぐ入る音ほど広がりのある音に聴こえる。
だから聴衆に対して平行に壁のあるシューボックス型の方が、聴く人は音に厚みを感じられる。


響かないということ

生演奏が響かない。それはモノラルで音の重なりがないということ。
よって必然的に音が小さく感じられてしまう。
同じ音を出しても、大きなホールや反射板などがなく音響に劣るホールでは、聴衆は音も小さいし何か物足りないような感じを受ける。
そうすると同じ演奏技術で演奏していても下手に聴こえる。
案外下手ね、と失望するはめになる。

学校内や地域のコンクールなどでありがちなことなのだが、吹奏楽でも合唱でも音や声が大きいと、聴衆はそれだけで凄いとか上手いとか思うものなのである。一生懸命さや情熱を感じたり、練習の成果だと思うものなのである。
だからやたら大きな音や声を出したり、オーバーアクションな指揮が行われたりする。
そして音や声がそれほど大きくなかったクラスなどが一番になったりすると、「え~意外」という感想が占めたりもする。
これは実際に何度も経験がある。
だけど音楽の教師に言わせれば、音(声)の大きさ=上手い、というわけでは決してないそうなのだ。

学校の音楽の教師の論を待たずしても、本来は演奏技術の上手い下手は音の大きさだけで決まるわけではない。
でも音の大小含めて、会場に合わせた音出しが出来るというのは、演奏技術の1つと言っても良いかもしれないが。

だけどやっぱりコンクール審査での評価(審査)は審査員次第なところがあるだろうと思う。何に価値を置くかによって左右される。
それが聴衆と同じ価値なのか、それとも全く別の観点があるのかとか。
聴く人の知識や技術の度合い、価値観や信念、印象や先入観、聴いている座席の位置、聴力などによって、誰にどのように響くのか、微妙に(または、かなり)違うということである。





... Ads by Excite .....
無料ブログのため広告が上部及び下部に強制表示されてしまいますが、内容など一切関知しておりません。個人の広告収入などもありません。(yumimi61)

by yumimi61 | 2019-08-13 21:15