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2019年 08月 19日 ( 1 )

イヤコン

加齢による聴力低下

カラヤンは公演のためにトータルで11回来日した。
先日も書いたが、初来日は1954年。

1954年(46歳) NHK交響楽団への客演指揮
1957年(49歳) ベルリン・フィルハーモニーの指揮
1959年(51歳) ウィーン・フィルハーモニーの指揮
1966年(58歳) ベルリン・フィルハーモニーの指揮
1970年(62歳) ベルリン・フィルハーモニーの指揮
1973年(65歳) ベルリン・フィルハーモニーの指揮
1977年(69歳) ベルリン・フィルハーモニーの指揮 ←初「普門館」、ベートーヴェン・チクルス
1979年(71歳) ベルリン・フィルハーモニーの指揮 ←リベンジ「普門館」
1981年(73歳) ベルリン・フィルハーモニーの指揮
1984年(76歳) ベルリン・フィルハーモニーの指揮
1986年(78歳) 来日予定だったが病気のため来日できなかった。
1988年(80歳) ベルリン・フィルハーモニーの指揮

1986年の病気は「長引くウィルス感染」とアナウンスされた。
ウィルス感染と言ったっていろいろあるが、聴力に大きな影響を与えるウィルス感染もある。
最後の来日公演は1988年80歳で、指揮台に上がるどころか、もう一人ではステージに出てくることも困難な状態にあった。

前に載せたこのグラフを再掲載する。
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初来日40代と70代の聴力を見比べてみてほしい。
もちろんこれはカラヤンの聴力ではない。比較的低い周波数の言語を持ち、静かであることを好む日本人の平均である。常に音を聴いている音楽家の平均でもないし、個々には個人差があるだろう。
それでも目安としてみれば、40代に比べれば70代はかなり聴力が劣っている。
実体験としても、生活に支障が出るほど耳が遠くなる老人は少なくないように感じている。例えば、電話での話が聴き取れないとか、どちらか片側の耳の方で話さないと聴こえないとか、大きな声で話しかけないと聴こえないなど。
そして、聴こえにくくなっていても、「聴こえない」とはっきり言う老人はわりに少ないし、分かるまで聞き返すということもしない。
適当に相槌を打ったり、愛想笑いをしたり、自分から畳み掛けるように話しかけたりして、何とか誤魔化して、その場をやり過ごそうとすることが非常に多い。
質問と違う答えが返ってくることで、よく聴こえていないことに気が付くこともある。


指揮者は必要なのか?

合唱でも吹奏楽でもオーケストラであっても、自分が歌っている時や演奏している時、あるいは聴いている時、あるいは指揮棒を振っている時、ふと、指揮者って必要なのかなぁと思ったことがあるはずだ。
バンドには指揮者がいないのにと。

指揮者は曲の基本的な速さと緩急(テンポ)、規則的な音の塊と強弱(リズム)、音を出すタイミングなどを演奏者に伝えるという役目を担っている。
同じ本を読んでも感じ方や解釈は人それぞれ違うように、同じ曲を聴いても同じ譜面を見ても楽曲に対する解釈は違う。
大人数の演奏者が解釈の違ったまま演奏したら纏まるものも纏まらない。例え音が協和融合していたとしても微妙に不協和音が生じてくる。
だから楽曲の解釈や方向性を決定し、各楽器にどのように演奏させるかを考えて指示を出すのが指揮者である。
楽曲や演奏者に感情を乗せる役目もある。

もちろん指揮者がいなければ演奏できないなんてことはない。
指揮者がいなくても合わせる工夫はいろいろあるだろうし、指揮者の代わりになりうる人(例えばコンサートマスター)もいる。
また事前に十分な練習やリハーサルの時間が取れれば、その段階で解釈や方向性や演奏の仕方を取り決めておけばよいのだ。(だから学校のコンクールなど素人集団ほど指揮者の必要性を感じない、笑)(特に多感な青少年期にあり、感情が伝播しやすい女子集団なんかは余計に、笑)
でも沢山の種類の楽曲を演奏する機会があり、1曲1公演の演奏時間が長丁場であり、また指揮者やメンバーが変わったりすることもあるオーケストラなどでは、やはりそんなに事前の練習やリハーサルに時間を割くわけにはいかないであろうから、指揮者はより重要になるのだろうと思う。

しかし、ひとつ重要なことを忘れがちなのだ。
それが音響である。


PAオペレーター(PAエンジニア)としての役割

ロックでもポップスでも、ライブ会場でもイベント会場でも、今はPAオペレーターがいて、音を聴衆に聞こえやすく調整していることが多い。
だいたいそのPAオペレーターはミキサーというものを操作している。

女子的にはミキサーと言えばキッチンのミキサーを思い出すかもしれないが、音響機器のミキサーは音をミックスさせる機械である。
スピーカーにマイク、CDプレーヤー、ギターやアンプなど複数の音響機材をつなげるための装置で、音量やイコライザーなど個別に操作して補正などができる。
ミックスさせる機械のミキサーなので、音を混ぜる機械と言われることもあるが、若干分かりにくい。音を調和させてひとつに纏める機械と言った方がよいかもしれない。

PAオペレーターはステージ上ではなくて観客側にて音を聴いている。
但し規模が大きなライブやイベントだとステージ上で音が聴き取れなくなるので、観客側に音を出すスピーカーとは別に、ステージに向けて音を出すモニタースピーカーや個人の耳に音を送るインイヤーモニター(イヤモニ)が必需品になる。これを使っている場合にはステージ上にもPAエンジニアがいることがある。

基本的に生演奏であるクラシックはPAを使わない。
しかしながら、他の音楽と同じように、またそれ以上に、ステージで演奏される音を会場の音響特性に合わせて最適な音質で提供することが求められる。
それにはどんな対策が必要で、どの楽器がどんな音量で演奏すれば良いのか、指揮者はそれを見極めて会場主や演奏者に指示を出す必要がある。
そして演奏の最中にも常に音響に気を配りながら、演奏を進めていくる必要がある。
指揮者は演奏者と逆を向いている。観客と同じ方向を見ている。
つまり演奏者に一番近い観客であり、音を聴きながら音を調和させてひとつに纏めるPAオペレーターでもある。
だからこそ音響には煩く厳しい必要があり、だからこそ聴力は重要なのだ。


職業病と趣味病

聴衆の手前にいて、一番大きな音が届く演奏者(楽器)の近くで、いつもいつも大きな音に晒されていたら、普通の人よりも聴力が落ちるリスクは高い。
しかもいつも研ぎ澄まされた神経で敏感に慎重に音を聴き分けるという行為はかなりストレスがかかる。
ストレスや疲労は難聴の引き金になるとされている。

さらに飛行機に乗って、国内外を頻繁に移動するとなると、耳への負担も増す。
移動後にすぐに演奏というスケジュールでは耳が休む暇がない。

カラヤンは自家用ジェット機を自ら操縦するほどの飛行機好きで、公演や別荘など世界中を飛び回っていたという。
これだけでも高高度と騒音のダブルパンチを食らってしまう。
さらに晩年になってもまだ、80歳で期限が切れる飛行機免許の代替としてヘリコプターの免許を取得したというから、もはや・・といった感じだったのだろうか。

カラヤンと親しかったソニーの大賀も、音楽家でありながら飛行機好きでジェット機を自ら操縦していた。






by yumimi61 | 2019-08-19 17:14