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2019年 11月 12日 ( 1 )

混水摸魚(17)

土壌の構造

川沿いの土手(堤防)を踏み固めることは、土手にとっても桜にとっても良いことではないということはすでに述べた。
踏圧によって土壌の隙間を潰して土を硬くし、水分も肥料も入りにくくなってしまうからである。
但しこの隙間とはモグラが作るような大きさの空洞のことを言っているのではない。もっと細かな土の粒の隙間のこと。
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上の図の右側が隙間のない硬い土の構造となる。
(粒子の大きさが大きい石の場合は単体構造に近くても左のように隙間ができるので水はけが良くなる。)
最初は左側のような構造の土でも上から踏み固めれば右側のようになっていく。
踏み固めないとしても、植物を生やさなかったり(植物の根が土中にないということ)、植物由来の有機物が土壌に返ることがない場合には、雨が降るたびに隙間は狭くなっていき次第に右側のようになっていく。

柔らかい土よりも硬い方が抵抗力があり良いようなイメージを持ってしまいがちだけれど、それは隙間がない密な構造だからそう見えたり考えてしまうだけで、1粒1粒が単体であるということは離れやすいということでもある。全部が簡単にバラバラになりやすい。だから単体構造の土が剥き出しの場合には土が壊れやすいと言える。
保水力がない土壌なので非常に乾燥しやすく、乾燥すればガチガチになって、ひびや亀裂なども入りやすい。


潰れていく隙間

人が歩く程度の圧でも土壌の隙間は潰れていく。
しかしながら当然重量が重いほど潰れやすい。

あまり表立って問題視されないが、農業に使うトラクターも重量が重い。
こうした大型トラクターが整地した畑は結構滑らかでサラサラの土のように見えることがある。粒子が細かくて見た目はとても綺麗に見えるのだ。
でもこれは、何度も圧することによって団粒構造が壊れていくということではないだろうか。
耕すためにトラクターが入っても、トラクター自身がかなりの重さを持っていて、表面から15cmくらいまでは柔らかくなったとしても、その下は硬い土となっている。粘土化してしまう。野菜も根が深く入らないということになる。
化学肥料などでとりあえずの成長は補われるが、その化学肥料も連投が続けば土を硬くする要素を持つので悪循環となる。
日本の平野はもともと粘土質な土壌が多いので、有機物が入らない農業の先行きも心配なところではある。

人が歩いてもトラクターでも潰れるということは、自動車でも建物でも潰れるということである。
隙間や水分が多い土壌に建物を建てる時には、後々水分が沈んで行ったり圧で隙間が潰れたりして沈下しないように(圧密沈下)、予め対策を施して建設をする必要がある。
昔は畑や水田を宅地に変える場合には、何年か寝かせなければダメと言われた。これは自然に水分が抜けて隙間が潰れるのを待つ時間と言ってよい。だけど寝かせている間に雑草をわさわさ生やしていたら効果は薄くなってしまう。
現在はもっと積極的に土壌改良を行っていくことが多いと思うが、この改良も従来の土壌に盛土しただけではダメで、古い土を取り除いた上で適した土を入れる必要がある。
適した土と言いながら業者が排土(廃土)を投入していないかチェックする必要もありそうだが、現実的にはなかなか難しいのかもしれない。


土とアスファルトの隙間

重量で潰れるということは、土そのものの重さでも潰れてくるということである。
堤防のように土を高く積むということは、それだけ土の重量がかかり、徐々に隙間が潰れる。
土の重さだけでなく、自動車などで余計に圧が掛かれば、尚更潰れやすくなる。土とアスファルトでは圧に対する抵抗力が違うので、同じだけ圧が掛かっても、最初に土が沈む。
この時に問題になるのは、アスファルトなどとの隙間(空洞)である。
これは下記のように、堤防に限らず普通にどこの道路でも起こっている問題であるので、土を盛り上げて作り、その土の重さも加わる堤防は要注意ということになるだろう。
空洞が生じているということは、アスファルトなどにひびが入りやすい。(酷い場合には陥没する)上からも水が入りやすく、横からの水圧にも弱くなる。

堤防天端にアスファルトなどを敷かず、土や植物だけの土手や堤防では、この空洞問題は生じない。万一土が多少沈んだり段差が出来たとしても外から見えやすいが、アスファルトなどを敷いてしまうと酷くなってくるまで見えないだけに、定期的に調査しないと発見が遅れる。

https://www.teretek.jp/case/road_asphalt/
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空洞のリスク

土壌にとって隙間は大事なものであるが、それが空洞と呼ばれるような大きさになってしまうとデメリットになるし、事故だとか災害に繋がってしまいかねない。

アスファルトの下の空洞について、上では堤防を前提にして書いたので、土自体の重さとか自動車による踏圧を問題にしたが、堤防ではなく生活圏では土壌中に埋没されている物体(例えば配管など)が空洞を作る原因(きっかけ)となることが多い。

そして先に述べたように河川敷や堤防ではモグラやオケラやネズミなども空洞を作ることがある。
アスファルトの下に出来た空洞と同様に、空洞があるということは水の引き込みや浸水を助長したり、水圧にも弱くなるので、大雨や増水が著しければ河川敷や堤防を崩すきっかけとなりかねない。


①アスファルトやブロックを敷き詰めた場合
土壌保水力を生かしきれず、土壌を隠してしまうため重量や踏圧による沈下や空洞などの土壌の変化に気が付きにくい。

②土に草を生やすなど自然の環境を維持した場合
有機物が豊富となり、生き物が生息しやすい。このことがモグラなどを寄せ付けることにもなる。

地図や写真で見ただけだけど、千曲川の決壊場所はどちらのリスクも高そうな場所のように感じた。


護岸壁の亀裂

下の図は護岸壁に僅かな亀裂が生じて、そこから土壌が少しずつではあるが水側に繰り返し吸い出されることによって、護岸壁の後ろ側に空洞が生じるという事例である。
堤防の天端や高水敷まで水が上がるということは頻繁にあることではない。
しかしながら水に繰り返し接触する部分(例えば河川敷の低水敷の護岸)ではこのようなことが進行している恐れもある。壁の後ろの支えが無くなっている状態なので、水の勢いや量が増した時には水圧に耐えきれず護岸壁が崩壊しかねない。

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田んぼの横に空洞があったので撮った写真。似ているが2枚は違う場所。
水色の線から下側はコンクリートで用水路となっている。
右側の白い丸は排水口なので、人為的にあらためて土に穴を開ける必要はないはずだから、何か生き物の仕業ではないかなぁと思う。
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by yumimi61 | 2019-11-12 16:52