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2019年 11月 15日 ( 1 )

混水摸魚(19)

e0126350_16252116.png 今日は七五三か。
 ではここで一句。
   千歳あめ 私のせなに 羽リード

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ダムのことを書くと、ダムにしか問題がないと思われがちなので、もう一度言っておきます。

水が川に流入するのはダムの上流ばかりではなく、川が海に注ぐまでの至る所で流入している。
流入する水は降雨だったり排水(農業・工業・生活)だったりする。
土壌や環境に吸水性・保水性がなく、アスファルトやコンクリートで覆われた都会ほど流入量は多くなる。
(これは支流の合流の話をしているのではない。この他にも当然各地に支流が合流する地点がある)
そしてそれは水だけはなく、土砂や枝葉なども同じことであり、川岸や河川敷の状態などにもよるが、上流から下流どこでも川に落下・混入の恐れがある。都市部では生活ゴミが混入することも多々ある。

その上でまたダムの話に戻ります。

ダムの堆砂率について

ダムにも水だけでなく、土砂や枝葉が流入してくる。
土砂については最初から流入して堆積することを想定してダムを設計している。
ダムの種類や建設時期によっても多少違うかもしれないが、一般的にはダムの寿命は100年と設定されており、100年間で土砂が堆積する量を予想してダム設計されている。
下の図の堆砂容量というのが、設定した容量である。
当然にダムが初めて稼働した時はゼロということになる。それから少しずつ増えていき、100年後に堆積容量の所がいっぱい(100%)になるという計画である。
設定設計した堆砂容量が100%であり、「ダムの堆砂率」と言う時には堆砂容量に対する割合のことで、ダム全体に対する割合ではない。
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「ダムは100年経つと砂に埋もれて使えなくなる」という意見がある。2002年11月18日付の朝日新聞では『44ダムで堆砂50%以上』というセンセーショナルな記事が掲載された。やがて田中康夫元長野県知事による「脱ダム宣言」の有力論証となった。ここでは日本のダム堆砂の現状と対策について述べる。

ダムの堆砂を測るものとして堆砂率(たいしゃりつ)がある。堆砂率が、20パーセントを超えると堆砂が進行していることになる。
水系別ダム堆砂率で見てみると、中央構造線付近を流域に持つ天竜川・大井川・富士川において水系内全ダム堆砂率が30パーセントを超えている。堆砂率上位10ダムの大半はこの3水系で占められる。
他の河川ではどうかと言うと、全国109の一級水系においてダム堆砂が30パーセント以上進行している水系は前述3水系のほか、四万十川と那賀川の計5水系である。
日本の主要水系では木曽川水系が15パーセント、信濃川水系が8パーセントであり、石狩川・北上川・利根川・淀川・吉野川・筑後川では5パーセント程度しか堆砂が進行していない。
なお、排砂事業を実施している黒部川水系では16パーセント、川辺川ダムで問題と成る球磨川水系では7パーセントである。

ダム個別で堆砂進行状況を見ると、日本では千頭ダム(寸又川)の97パーセントが最高である。将来的な堆砂状況を試算した場合、堆砂問題が特に深刻な天竜川水系では佐久間ダム(天竜川)が無対策で放置した場合約200年で貯水池が砂で満杯となる試算が出ている。天竜川水系や大井川水系等、中央構造線付近にあるダムは地質的に土砂が流入しやすいため、多少にかかわらずこの傾向がある。だが、同様の試算で堆砂の影響が少ない河川の場合、矢木沢ダム(利根川)で約2,600年、岩洞ダム(丹藤川)では実に約70万年未対策で放置しないと貯水池が堆砂で満杯にはならないとされる。


上に記載されている朝日新聞の記事というのが2002年のことで、データは2000年のもののようだ。
下のランキングは朝日新聞の記事より↓

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堆砂率が堆砂量/総貯水容量(総貯水容量に対する堆砂量)と書いてあるが、一般的には私が上に書いたように堆砂容量に対する堆砂量を堆砂率と言うはずである。
総貯水容量に対して砂が100%堆積したら、ダムのほとんどが砂で埋まっているということである。
解釈を間違えたのか、問題を大きくするためにあえて総貯水容量に摩り替えたのか、それとも堆砂容量なんかとっくに超えているという事実があるということなんだろうか?

2000年からはすでに19年も経っている。およそ20年だから、記事の後にも想定した寿命100年の5分の1の年月と、その分の堆砂が追加されているはずである。

但し上のランキングに入っているダムの多くが発電用の重力式コンクリートダムのような感じである。
発電用なので洪水調節機能は持っていないし、利水を目的にしているわけでもない。
要するに台風などでダム貯水容量の限界を超えたら、上部の非常用洪水吐から自然に放流されるか越水するタイプのダムである。
発電用ダムの場合は水を下の発電所に落下させて発電させるので、水さえ常時確保できれば、ダムに堆砂していてもあまり関係はない。というかむしろ水の高さが維持できるとも言えてしまうくらいである。
取水という方法で河川や別の多目的ダムなどから常時落下(発電)させる水を確保出来れば、余計に水を貯めて置く必要はないということになる。


ダムの特殊性


上のランキングの16位の品木ダム(群馬、利根川水系、国交省)というのは、群馬県の北西部を流れる吾妻川に関係するダムである。
1965年完成だから2000年の段階では35年経過したところである。堆砂率は75.8%とある。
2000年の堆砂率上位50のダムの中では、11位で80.8%の雨畑ダム(山梨、富士川水系、日本軽金属)に次いで新しい。
雨畑ダムは日本軽金属がアルミニウム製造の電力確保のために建設した民間企業が所有しているダムである。

ランキングに入っているダムは発電用ダムが多いと書いたが、吾妻川の品木ダムはちょっと特殊なダムである。

●品木ダム
群馬県吾妻郡中之条町、一級河川・利根川水系湯川に建設されたダムである。
高さ43.5メートルの重力式コンクリートダム。
目的は他のダムと異なり日本屈指の酸性河川であった吾妻川の水質改善、河水の中性化を最大の目的としているダムであり、これに付随して水力発電も行う。
施工は群馬県が行ったが、完成後建設省に管理が移され現在は国土交通省関東地方整備局が直轄で管理を行っている。
ダムによって形成された人造湖は上州湯の湖(じょうしゅうゆのこ)と命名されている。


台風19号の後に八ツ場ダムに関連して、「一部ではヒ素についても取り沙汰されている」と書いたが、品木ダムは当然無関係ではない。

朝日新聞デジタル 2009年11月13日
八ツ場上流、ヒ素検出を公表せず 国交省

八ツ場(やんば)ダム(群馬県)の建設予定地の利根川水系の吾妻川とその支流で、国土交通省が少なくとも93年以降、環境基準を超えるヒ素を毎年検出しながら、調査結果を公表していなかったことが朝日新聞社の調べでわかった。下流で取水する飲用水の水質に影響する結果ではないが、ダム建設の是非に影響しかねないとみた国交省が、データの公表を避けて計画を進めていた。

 国交省は昨年12月から政権交代直前まで、非公表の第三者機関「八ツ場ダム環境検討委員会」を設け、ダム建設が水質や自然環境に与える影響を検討。朝日新聞社は「八ツ場ダム 環境保全への取り組み」と題した報告書を入手した。非公表とされてきた水質データが記されている。

 ヒ素は自然界に広く分布し、火山の岩盤や温泉水には高濃度で含まれる。環境基本法に基づく河川の水のヒ素の環境基準は1リットル当たり0.05ミリグラムだったが、世界保健機関がヒ素の発がん性を懸念して厳格化。日本でも93年から同0.01ミリグラムに強化された。

 報告書によると、草津温泉を流れる湯川や、酸性の水質を改善するために設置された品木ダムの放水口、八ツ場ダム建設予定地から約10キロ上流の貝瀬地点では86年度以降、ヒ素濃度が高く、基準が強化された93年度以降は基準を上回っていた。08年度の平均値は湯川で基準の約100倍、品木ダムの放水口で約10倍、貝瀬地点で5倍を記録した。

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 吾妻川の水質は、草津白根山系の硫黄鉱山からしみ出す水や草津温泉からの水が流入して酸性が強い。1952年に計画が浮上した八ツ場ダムも、コンクリートが溶けることを理由に一度は断念された。だが、63~65年に、強酸性を改善するための中和工場や品木ダムが造られ、湯川など上流の三つの川に石灰液を投入して中和化が進められ、八ツ場ダム計画が復活した。

 環境省によると、環境基準は政府としての目標値で、基準を超えても国や自治体に法的な改善義務は生じないが、環境基本法は改善に努力するよう義務づけている。しかし、国交省はこうした事態を公表せず、封印していた。

 吾妻川とその支流の水は飲み水には使用されておらず、国交省は「下流に流れるにつれて他の河川と合流するなどしてヒ素は薄まる。ダムでは沈殿するため、下流の利根川での取水で健康被害の心配はない」としている。報告書を作成した環境検討委も、八ツ場ダム完成後は「(下流部での)ヒ素濃度は下がる」と予測している。

 水質調査の結果を長年、非公表としてきた理由について、国交省は「ヒ素の数値が出ると、観光や農業、漁業など流域の幅広い産業に風評被害が起きる可能性があったため」と説明する。

 環境検討委は今年3月までに3回開催され、8月には報告書を公表する予定だったが、総選挙の時期とも重なり、基準を上回るヒ素の公表が、ダム建設の是非にどのような影響を与えるかを巡って検討委や省内の調整作業が難航。4回目の開催は9月に延びたが、結局、政権交代で八ツ場ダム自体が中止の方向となり、4回目の会合は開催されていない。

 国交省は報告書の存在を認めた上で、「まだ検討段階のもので、最終結論を得たわけではない。今後、公表するかどうかは未定」としている。
(津阪直樹、菅野雄介、歌野清一郎)


群馬県のホームページ 最終更新日2019年11月7日 より一部抜粋
吾妻川の水質(ヒ素)についてお答えします
 ヒ素は自然界に広く分布し、火山の岩盤や温泉水に多く含まれているものです。国土交通省では、草津白根火山周辺を起源とする吾妻川支川で水質観測を実施していますが、湯川や大沢川のヒ素濃度の観測結果は、他の河川と比べ高い値を示しています。これは、ヒ素が自然由来のものであることを示すものです。

 しかし、国土交通省及び群馬県が湯川や大沢川などが合流する吾妻川本川で実施している水質調査結果では、ヒ素濃度は環境基準を満たしています。理由については、品木ダムでヒ素が堆積物と一緒に沈殿していることや、吾妻川の水と合流し希釈されていることなどが考えられます。

 現在、利根川と合流する吾妻川の水は『安全できれいな水』と判断できますが、県民や下流都県の方が抱くヒ素に関する疑問について、以下で詳しくお答えします。

1.吾妻川を流れる水のヒ素濃度は環境基準を満たしているのでしょうか?
群馬県が監視している地点(吾妻川監視地点:新戸橋、吾妻橋)では、環境基準を満たしています。また、吾妻川と合流してから千代田町の利根大堰までの利根川の水質測定結果についても、すべての測定地点(9地点)でヒ素濃度は環境基準を満たしています。

7.品木ダムは、どのような目的でつくられたのでしょうか?
 湯川などの強酸性の河川を中和するために、品木ダムの上流で石灰が投入されています。品木ダムは、酸と石灰の化学反応を促進させること及び反応によって生じる中和生成物(硫酸カルシウムや塩化カルシウムなど)を沈殿・貯留させることを目的としたダムです。

8.品木ダムの堆積物には、ヒ素が含まれているということですが、その濃度はどの程度なのでしょうか?
 品木ダムの堆積物に含まれているヒ素は、天然の成分として河川水に元々含まれていたもので、酸を中和する過程で、河川水から中和生成物と一緒に除去され沈殿したものです。

9.品木ダムの堆積物は、浚渫(しゅんせつ)され、ダム近くの処分場に埋め立てられているということですが、処分場から浸出した水により、土壌が汚染される恐れはないのでしょうか?
 堆積物と浸出した水に含まれるヒ素濃度は、廃棄物処理法で定める基準値(埋立基準と排水基準)を下回っています。(※「埋立基準」は、堆積物に関する溶出試験結果に基づく基準値です。また、「排水基準」は、処分場から浸出する水に関する水質の基準値です。)

 浚渫(しゅんせつ)された堆積物の性状は、概ね、天然の土砂が6割、中和生成物が2割、未反応の石灰が2割となっています。中和のために投入される石灰は天然の鉱物であり、中和生成物についても元々の河川水に含まれていた成分と石灰が反応して生じた化合物で、天然にも存在する鉱物です。

 処分場は、ダム湖の集水域に立地していることから、処分場から浸出した水は再びダム湖に戻ります。また、ヒ素に着目すると、ダム湖に流入する湯川のヒ素濃度は、処分場からの浸出水のヒ素濃度を大幅に上回っています。以上のことから、処分場から浸出する水により土壌が汚染される心配はないと考えられます。




堆積と浚渫、塵も積もれば山となる


ダムには土砂が堆積する。それが分かっているから堆積容量が予め確保してある。
しかし予想を上回るペースで堆積していたり、出来るだけ多くの貯水量を確保したいと考えたり、最初に予定した寿命よりも長いことダムを使いたいということになれば、堆積している土砂を取り除く(浚渫工事を行う)必要がある。
但しそれには費用が相当かかる。さらに一度行ったからと言って根本的な解決にはならない。浚った土砂をどこに運んで廃棄するのか利用するのかという問題も生じる。
浚渫工事を行うくらいならば、ダムの容量をさらに大きく改造してしまえという考えもあり、実際にその方法を採る場合もある。
それくらい浚渫工事は割の合わない対策と言えるのかもしれない。
それを品木ダムは行っていると言う。
浚渫を行っているのに、記事に基づけば完成から35年で総貯水容量の75.8%もほども堆砂しているというのだ。
それともその記事後に浚渫を行うようになったということなんだろうか。
ともかく品木ダム無しでは再び死の川に戻るしかないというのに、品木ダムは満杯が見えてきたような状態だったわけである。

そして、「品木ダムの堆積物に含まれているヒ素は、天然の成分として河川水に元々含まれていたもの」と書かれているが、塵も積もれば山となるという言葉があるように、1単位的にはどんなに少量でもそれを集めれば(貯めれば)(溜まれば)少量ではなくなってくる。そのことを無視した書きっぷりである。
治療に使用する薬だって適量ならば問題ないが、その薬を貯めて飲んだら大問題になったり、他の薬との飲みあわせに適さなかったり、飲んではいけない人というものがある。
大丈夫だったはずものが大丈夫でなかったということは、幾らでも事例があるだろう。
自然の土や川にあるくらいは問題ないとしても、それを溜めたら間違いや予期せぬことが起こるということはあり得ることである。
ダムは薄めることの逆(ヒ素の濃縮)を行ってしまう結果となりうる。

上流に天然のヒ素化合物鉱床がある河川はヒ素で汚染されているため、高濃度の場合、流域の水を飲むことは服毒するに等しい自殺行為である。低濃度であっても蓄積するので、長期飲用は中毒を発症する。慢性砒素中毒は、例えば井戸の汚染などに続発して、単発的に発生することもある。

IARC発がん性リスク一覧で、ヒ素およびヒ素化合物は最もリスクが高い「グループ1」に分類されている。
2004年には英国食品規格庁がヒジキに無機ヒ素が多く含まれるため食用にしないよう英国民に勧告した。これに対し、日本の厚生労働省はヒジキに含まれるヒ素は極めて微量であるため、一般的な範囲では食用にしても問題はないという見解を出している。






by yumimi61 | 2019-11-15 16:41