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2019年 12月 13日 ( 1 )

低空飛行2

下野新聞「SOON」ニュース  2018年9月6日
米軍オスプレイ、栃木県内で目撃相次ぐ 横田基地と訓練地移動か

米軍の輸送機オスプレイとみられる航空機の目撃情報が7~8月、県内で相次いだ。今春、米軍横田基地(東京都福生市など)に5機が暫定配備され、各地の訓練区域などと同基地間を移動する際に本県上空を通過したとみられる。国内外で墜落や緊急着陸などの事故やトラブルが多発している機体だけに、目撃者からは「(県内を)飛行していることを知らなかった。本県でもトラブルが起きるのではないか」などと不安の声も上がっている。
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県内では7月24日午後、大田原市城山1丁目でオスプレイとみられる2機の飛行を下野新聞社の記者が撮影。2日後には鹿沼市内での目撃情報が市民から下野新聞社に寄せられ、8月13~15日にも宇都宮市内などで目撃が相次いだ。

 目撃の多くが縦列飛行する2機で、目撃者は「高度がかなり低い」と感じたという。8月に目撃したという宇都宮市、自営業男性(50)は「安全性の問題が取り沙汰されている。なぜ、あんなに低く飛ぶのか」と疑問視。



前記事に載せたマップを下に再掲する。
上の記事の地図の中で「ホテル地区」と書いてある所は、自衛隊のエリアH(自衛隊高高度訓練空域)のことである。
自衛隊はほとんど海上空域を訓練エリアにしているが、この群馬県上空を中心としたエリアHとエリア3は、陸上空域であり、しかも内陸である。
山口県でも陸上空域を利用しているが、そちらは日本海沿いの陸上空域となる。
その他、富山県と岐阜県の県境辺りに高高度訓練空域、福島県の西部に低高度訓練空域がある。このエリアは内陸である。
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HがHotel(ホテル)と呼ばれているのはフォネティックコード由来

通話表、又はフォネティックコードとは、無線電話で通信文の聞き間違いを防ぐために制定された規則である。
通話表は、帯域が狭く、歪や雑音の多い無線電話で、話者の発音の癖などがあっても、原文を一文字ずつ正しく伝達する目的で生まれた。

欧文通話表(ラテン文字)は、一般にフォネティックコード(phonetic code)と呼ばれる。アルファベットの「B」と「D」や「M」と「N」の様に、発音が似通っている言葉を弁別するため、国際電気通信連合で制定された。無線通信に限らず多くの業種で用いられ、ここから派生した規則もあり、主なものに北大西洋条約機構が制定した「NATOフォネティックコード」がある。例えば ALPHABET を送るときには Alfa Lima Papa Hotel Alfa Bravo Echo Tango と送る。

現行の表は、国際民間航空機関の国際民間航空条約に基づき条約に記載され、使用が義務付けられているものである(雑音や混信などにより、この表現でも認識できない場合は、地名・人名で表すなど別の表現を使ってもよいとされている。

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横田配備オスプレイの訓練空域

前述のようにエリアHは自衛隊の訓練空域であるが、米軍がオスプレイを横田基地に配備するにあたって、横田基地配備のオスプレイが使用する訓練空域を6か所挙げている。
これはアメリカ空軍特殊作戦コマンド(AFSOC)が作成した「CV-22の横田飛行場配備に関する環境レビュー」(横田ER)の中で示されているものである。2015年9月に防衛省が日本語で公表している。
アメリカ国内では国家環境政策法(NEPA)に基づき環境影響評価を行う必要があって、影響を受ける自治体などの意見も聞かなければならないそうであり、日本においても環境レビュー(空域・騒音・安全性・大気などについて)を提出しているが、それをもとに関係自治体の意見を吸い上げるなんてことは日本ではないようだ。
横田基地があるせいか、横田ERは普天間ERに比べるとかなり簡易なレビューとなっており、重大な影響もないとされている。

①東富士演習場(静岡県、富士山東麓の陸上自衛隊演習場で米軍と共同使用している) 
②ホテル地区(群馬県・新潟県・長野県、自衛隊の高高度訓練空域)←一部は低高度訓練空域とも重なっている
③三沢対地射爆撃場(青森県、航空自衛隊と米軍が共同使用している)
④沖縄の訓練場(沖縄県、米軍と自衛隊が共同使用している)
⑤アンダーセン空軍基地(グアムにあるアメリカ空軍基地)
⑥韓国烏山空軍基地周辺のピルサン・レンジ(韓国にあるアメリカ空軍基地)

②のホテル地区というのが自衛隊のエリアHと同じ範囲であるとの説明がなされている。
自衛隊の訓練空域にしている箇所ではあるが、ここは陸地部分が演習場や訓練場となっているわけではない。普通に社会生活が営まれている場所である。市街地、工業地、田畑、観光地、山々など様々な生活環境と自然が混在している場所である。


エリアHとエリア3

自衛隊高高度訓練空域である「エリアH」と自衛隊低高度訓練空域である「エリア3」は平面的に見ると一部重なっている。
しかし「エリアH」は高高度(10,000~23,000ft) 、「エリア3」は低高度(地表~10,000ft)であるため、立体的にみると違う空間ということになる。

国土交通省が発行していて、航空機の運航のために必要な恒久的情報を掲載しているAIP(Aeronautical Information Publication;航空路誌)には、エリアHは自衛隊低高度訓練空域エリア3と相馬原コントロールゾーンの部分を除くとの但し書きがある。(↓JSDFは自衛隊のこと)

"Excluding the portion JSDF Low Altitude Training/testing Airspace No.3 and the airspace of Soumagahara Control Zone"

つまりHというエリアを忠実に守れば、低高度域、特にエリア3と重なっている箇所では10,000ft以下には入らないはずであるが、実際には自衛隊もエリアH全体を地表~23,000ftと捉えて運用している時もあるそうである。
自衛隊機でも米軍機でも500ft~2000ftくらいの低高度で飛行しているものがある。


飛行制限区域と空域調整

航空法では、航空機の飛行を禁止する区域「飛行禁止区域(その上空における航空機の飛行を全面的に禁止する区域)」、「飛行制限区域(その上空における航空機の飛行を一定の条件の下に禁止する区域)」を定めている。
そうした空域を飛行する場合には事前に申請し許可が必要となる。

一 氏名及び住所
二 航空機の型式並びに航空機の国籍及び登録記号
三 飛行計画の概要(飛行の目的、日時、経路及び高度を明記すること。)
四 飛行禁止区域又は飛行制限区域を飛行する理由
五 操縦者の氏名及び資格
六 同乗者の氏名及び同乗の目的
七 その他参考となる事項


【エリア3】
このエリアを使用する軍用機
・自衛隊のジェット偵察機、輸送機、連絡機、ヘリなど。
・米軍の輸送機など。

統制機関:航空自衛隊入間基地
管制機関:自衛隊レーダーサイト “OFF SIDE” 124.9
(エリア南東で宇都宮進入管制区と重複する部分の7,000ft以下は”宇都宮 Radar”122.45 が管制)

自衛隊入間基地に連絡し空域調整を依頼する必要あり。自衛隊機の飛行が優先で、 “OFF SIDE” 124.9 とコンタクトすることが求められる。

【エリアH】
自衛隊および米軍のジェット戦闘機・練習機が高機動な訓練などを行っている。

統制機関:航空自衛隊入間基地
管制機関:自衛隊レーダーサイト “OFF SIDE” 124.9

この空域は必ず事前に統制機関へ申請し許可を得た上で空域調整してもらう必要がある。(但し日曜日は訓練が無いので空域自体が無くなる)
雷雲回避などの理由で急遽進入する場合には管制機関に通報しなければならない。

群馬県の防災ヘリが墜落したのは、エリアH内である。
墜落したのは2018年8月10日(金曜日)であった。




by yumimi61 | 2019-12-13 17:00